ただいま昭和を生放送中 【しなの】
2017.04.24
タイムトラベルもののSF映画で、時空を超える瞬間に映像を揺らすというかひずませる演出がある。フリュッ… という感じで。
昭和的食堂を訪ねるときに、ああいう視覚効果を実際に体感することがある。引き戸を開けて店内に一歩足を踏み入れた瞬間に、自分の周りがフリュッというかグニャッとひずむ。
それは自分の中の時間軸といま視界に飛び込んできた光景の乖離によってもたらされる平衡感覚の喪失(目眩)なんじゃないかと思っている。
僕はこれをグニャリ体験と呼んでいる。

その感覚が特に強かったのが「しなの」だ。
ここは店のつくりや調度品が相当年代物であることに加え、照明の具合、客層、店のおかあさんのキャラクター等によって、見事に昭和40年代的空間が実現している。暖簾をくぐった瞬間に昭和に飛ばされる。グニャリときて、一瞬、自分がどこにいるのかわからなくなる。
想像だが、タバコの煙幕もその演出に一役買っている気がする。

そのタバコをふかしている人々が、場違いな闖入者(僕ら)をジロリとにらむ。
『スター・ウォーズ』で辺境の星の場末のパブみたいなところに人捜しだか何だかで入り込むというようなシーンがありますよね、たぶん。そこにたむろしている化け物(異星人)のならず者どもが主人公たちをギロリとねめつける。「坊っちゃん嬢ちゃんが何の用だい」みたいな。あんな感じです(笑)。
これをジロリ体験と呼ぶ。

去年「しなの」に初めて入ったときにグニャリだけでなくジロリも待っていた。
妻と長女と3人だったのだが、特に若い女性が異質だったらしく、化け物、もとい常連のおっさんがずーっとこっち見てる。
タバコを吸いながらジロリ。ラーメン食いながらジロリ。
グニャリは嫌いじゃないがジロリは勘弁してほしいと思っていたが、これも昭和食堂の醍醐味の一つと、なんだか最近は楽しめるようにもなっている。

さて、2回目以降はなかなかグニャリときてくれない。意表を突かれないとそうはならないからだ。
そうはいってもこの店が昭和であることに変わりはない。本日は昭和なおばちゃん3人組が一杯ひっかけてた。
僕はそっちに背を向けて2人掛けテーブルに座り、天もりそば880円を注文。

ここのそばは個性的で、けっこうはっきりとウェーブがかかっている。太さも長さも不ぞろいで自家製感いっぱいだ。
食感はニチャッとしていて、これも独特。どこかそばがきを思わせる。そば粉を買って家で打ったときにこんな感じになったことを思い出した。
製麺所のごく普通のそばを予想していると、このようにこの店は意表を突いてくる。

そばの量は僕には少ない。その代わり天ぷらがたっぷり。
エビ、かぼちゃ、さつまいも、なす、ピーマン、ししとう、舞茸の7点。
さっくり揚がっていて、エビがプリプリでおいしい。

2時を過ぎて立て続けに2組入ってきた。客の入りがいいことも意外といえば意外。
常連のじいさんと先の3人組がやり合っている。話したことはないがどこの誰かは知っている、という関係のようだ。じいさんが「美人」「美人」とほめ殺しを仕掛ければ、おばちゃん連中は「釣り好き」「(度を過ごし)」「店をたたんだ」とやり返す。もちろん婉曲的にだが。
こういうひと昔もふた昔も前のイベントが普通に行われている。
まさに「昭和の昼下がり」というライブショーである。

[DATA]
しなの
東京都東村山市萩山町4-1-22



https://youtu.be/q3VFSI2sXJE
タイムトラベルもののSF映画で、時空を超える瞬間に映像を揺らすというかひずませる演出がある。フリュッ… という感じで。
昭和的食堂を訪ねるときに、ああいう視覚効果を実際に体感することがある。引き戸を開けて店内に一歩足を踏み入れた瞬間に、自分の周りがフリュッというかグニャッとひずむ。
それは自分の中の時間軸といま視界に飛び込んできた光景の乖離によってもたらされる平衡感覚の喪失(目眩)なんじゃないかと思っている。
僕はこれをグニャリ体験と呼んでいる。

その感覚が特に強かったのが「しなの」だ。
ここは店のつくりや調度品が相当年代物であることに加え、照明の具合、客層、店のおかあさんのキャラクター等によって、見事に昭和40年代的空間が実現している。暖簾をくぐった瞬間に昭和に飛ばされる。グニャリときて、一瞬、自分がどこにいるのかわからなくなる。
想像だが、タバコの煙幕もその演出に一役買っている気がする。

そのタバコをふかしている人々が、場違いな闖入者(僕ら)をジロリとにらむ。
『スター・ウォーズ』で辺境の星の場末のパブみたいなところに人捜しだか何だかで入り込むというようなシーンがありますよね、たぶん。そこにたむろしている化け物(異星人)のならず者どもが主人公たちをギロリとねめつける。「坊っちゃん嬢ちゃんが何の用だい」みたいな。あんな感じです(笑)。
これをジロリ体験と呼ぶ。

去年「しなの」に初めて入ったときにグニャリだけでなくジロリも待っていた。
妻と長女と3人だったのだが、特に若い女性が異質だったらしく、化け物、もとい常連のおっさんがずーっとこっち見てる。
タバコを吸いながらジロリ。ラーメン食いながらジロリ。
グニャリは嫌いじゃないがジロリは勘弁してほしいと思っていたが、これも昭和食堂の醍醐味の一つと、なんだか最近は楽しめるようにもなっている。

さて、2回目以降はなかなかグニャリときてくれない。意表を突かれないとそうはならないからだ。
そうはいってもこの店が昭和であることに変わりはない。本日は昭和なおばちゃん3人組が一杯ひっかけてた。
僕はそっちに背を向けて2人掛けテーブルに座り、天もりそば880円を注文。

ここのそばは個性的で、けっこうはっきりとウェーブがかかっている。太さも長さも不ぞろいで自家製感いっぱいだ。
食感はニチャッとしていて、これも独特。どこかそばがきを思わせる。そば粉を買って家で打ったときにこんな感じになったことを思い出した。
製麺所のごく普通のそばを予想していると、このようにこの店は意表を突いてくる。

そばの量は僕には少ない。その代わり天ぷらがたっぷり。
エビ、かぼちゃ、さつまいも、なす、ピーマン、ししとう、舞茸の7点。
さっくり揚がっていて、エビがプリプリでおいしい。

2時を過ぎて立て続けに2組入ってきた。客の入りがいいことも意外といえば意外。
常連のじいさんと先の3人組がやり合っている。話したことはないがどこの誰かは知っている、という関係のようだ。じいさんが「美人」「美人」とほめ殺しを仕掛ければ、おばちゃん連中は「釣り好き」「(度を過ごし)」「店をたたんだ」とやり返す。もちろん婉曲的にだが。
こういうひと昔もふた昔も前のイベントが普通に行われている。
まさに「昭和の昼下がり」というライブショーである。

[DATA]
しなの
東京都東村山市萩山町4-1-22



https://youtu.be/q3VFSI2sXJE
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