消えた商店街にコスパ抜群の本格中華 【孔雀苑】

2019.06.25

 清瀬と新座の都県境に広がる旭が丘団地とその付設商店街の記事にはたくさんのコメントが寄せられた(「食堂 蘭」参照)。
団地およびアーケード商店街なる高度経済成長期を支えた重要インフラの、機能を喪失しつつ構造物のみ往時に近い形に取り残された姿にもののあはれを思うのか。


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コメントをいただいた一人「Single KitchenでSweetsを」のmarinさんこと翻訳家の森嶋マリさんは、以前のやりとりからこのあたりに土地勘をお持ちの方と推察していたが、重ねてコメントをいただくうちに近隣の違う商店街が浮上してきた。

――当時、家の近くの小さな商店街はそれなりににぎわっていて、普段の食料品はそのあたりの店でほぼすべて揃いました。肉屋、パン屋、魚屋、よろず屋(かな?)、本屋、豆腐屋、酒屋、八百屋、文房具屋、薬屋、駄菓子屋、床屋、美容院、etc.…… 思いかえしてみると、あんな小さな商店街に、よくもあれだけの店がそろってたものだと感心します。いまはもう見る影もないし、そこが商店街だったってことも、知らずに通り過ぎる人のほうが多いかもしれません。


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場所はひばりヶ丘駅寄りの東久留米市内というが…? コメントは次のように続く。
「その、いまはなき商店街の片隅で、営業してる中華料理屋の『孔雀苑』。入ってみたいけど、入れていないお店のひとつです」


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上の青枠の拡大が下図。立野川北通りと川(立野川)の間の細道がかつての商店街のメインストリートと推測される。下の写真は浅間(せんげん)通りとの交差点を各方角から撮影


それは僕のひばりヶ丘からの帰路の一つ、坂の途中にある古びた中華屋。
しかしお店が一つぽつんとあるだけで、商店街らしいありさまは思い浮かばない。書かれているように“いまはなき商店街”。
たしかに途中2度折れながら坂を下った先で川沿いの道と交わるあたり、独特の気の流れ(あるいはよどみ)を感じなくもないが。

こうして「孔雀苑」潜入ルポの道筋がつけられた。


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立野川は“平成の名水百選”に東京都から唯一選定されている南沢湧水群にごく近い位置を水源とする

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坂を上る。右奥の赤い庇テントが「孔雀苑」

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実は先週木曜に一度訪れて(ここまでの写真はそのとき撮影)薄暗い店のイメージに反して明るい色合いのシャッターに、「お店、なくなった…?」と戸惑っていると、斜向かいの住宅で庭木の剪定をしている男性が「すいませんね。木曜休みなんです」と。「え…? お店の人?」みたいなやりとりがあって、今日は入るのも少し気が楽だ。


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“中華×孔雀”といったら冷菜孔雀盛り的なものを連想するから、ここは冷やし中華だろうと決めてやって来たが、ショーケースに張ってある冷やし中華の短冊には670円と。安いのはいいけど豪華盛り付けは期待できないだろうな。


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外観はどこかおどろおどろしく薄暗い印象だが、店内は抑えめの照明がしっとり落ち着いた雰囲気を醸し出すという、同じ“暗い”でも大違い。きれいな手書きのメニュー帳にも高級感がある。


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品ぞろえを見ると焼きそば類が充実しており、急きょ方針変更。エビ好きのmarinさんにちなんでエビ焼そばに。あと餃子。


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こぢんまりしたお店で4人掛けテーブルが4卓。
先週少しお話をしたところ非常に感じのよい店主ご夫婦で、昔の商店街の話など伺いたかったが、厨房とホールの仕切りがはっきりしていてコミュニケーションがとれなかったのが残念。


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冷やし中華と同じ670円であまり期待してはいなかったエビ焼そばが、思いのほか立派。
ぷりぷりのエビが7つものってる。


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野菜はいずれも大きいカットのハクサイ、チンゲン菜、パプリカ2色、干しシイタケ、キクラゲ、ブナシメジ。やや甘めの塩あんかけである。
量が少ないことはないので、驚くべきコスパといえる。


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餃子のあんは肉が主体でショウガの風味が強く、みっしり詰まった感じ。


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どちらも和式の街中華とは一線を画す本格中国料理路線だと思う。
これなら冷やし中華にも何かしらサプライズが期待できるかもしれない。


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風通しがよく運気のよどみのない高台より街を見下ろす一羽のクジャク。


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[DATA]
孔雀苑
東京都東久留米市浅間町3-1-3



[Today's recommendation]

wakacha0204.jpg 
◆ 猫写真はこちら その1 その2 その3




https://youtu.be/WvJwXfyqtF4





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Re: 冷やし中華トライしたい

泉大福さま

ナショナルNマークに気づかれましたか。さすがです。
「孔雀苑」の物件は元は電気屋だったんでしょうか。marinさんによれば、古くから商店街にあったわけではないようですし。
ぜひ冷やし中華に挑んでみてください。

冷やし中華トライしたい

孔雀苑。気になっていたのでレポート有難かったです。
シャッターには”ナショナルのお店”のペイントがありますが、孔雀苑の看板も相当年期入っているので、商店街の栄枯盛衰も偲ばれます。
落合商店街は、本当に孔雀苑さんだけになってしまいました。次回近くに行ったときには、ぜひ寄ってみたいです。

Re: いやぁ、いい処だ

ツキさま

こんなところに立派な商店街があったことが驚きです。
逆に考えれば、いまほとんどその面影が残っていないのは、ひばりヶ丘徒歩圏という便のよさゆえかと。
宅地としてのニーズが大きいですから。
たとえば旭が丘の商店街がそのまま残っているのは、たぶんさばけないから。

いやぁ、いい処だ

地図で見たけれど、なかなか複雑な地形の中にありますね。それも住宅街の一角。
これはこれで近隣住人のアイコンで、あれば安心。でも、気付いたらテントが破れていてなんてこともあるのでしょうか。
こんな地元道の隅から見下ろす立野川にも憧れます。冬は寒いだろうし、これからは蚊との戦い。見ると住むには大きな違いがあるけど、憧れるな。一軒構えれば、気分は御宿かわせみか?(笑)

実は、ウチの近くにも五日市街道から外れた一通(最近、なぜか二方向になった)に野菜や加工肉なども売る昔ながらの商店が孤軍奮闘しています。道が二方向路になってから初めて気付いたくらいですが、夏を前にしてビーチボールや浮き輪まで売っていました。潰れそうな外観に現役世代の店員さんが数名。元気、元気!
こちらの孔雀苑も、住人たちと一緒に歳をとってきたことがよく分かる。marinという人、落ち着いたいい街で育ったんだなぁ。そして、朽ちるにはまだまだ勿体無いお店ですね。

Re: No title

馬場さま

ご存知でしたか。
外ヅラと中身は大違いで、きれいな店内でおいしい料理という印象でした。
ぜひ行ってみてください。

Re: No title

marinさま

メニューを見てエビ焼そばの文字にピンとくるものがあって(笑)、それが大当たりでした。
でもそうなんです。小ぶりの中華料理店で、ほかの料理も期待できそうですよ。

崖の下の川べりの小さな公園でラジオ体操…
東京というより自分の田舎に近いような情景が思い浮かびます。
ラジオ体操で賞品もらった記憶はないけど(←たぶん忘れてるだけ)
いずれにしろ、これもまた思いっきり夢マボロシの世界ですね。

ぜひ行ってみてください。
これからもいろいろ教えていただけるとうれしいです。

No title

こんにちは、馬場でございます。

ああぁ、ここですか!
入ったことはないのですが知っていました、
まだ現役だったのですね、素晴らしい。
私も機会を設けて突撃しようと思います。

No title

レポートありがとうございます!
わたしにちなんで海老を頼んでくださったとは、感激です!

何度も読み返して、懐かしくなりました。
さらに、商店街だったことを知らない人の目を通しての、周辺の感想もすごく興味深かったです。いや〜、嬉しい。本当にありがとうございます。

気のよどみを感じられたあたり、川沿いの今は駐車場になっている場所が、昔は公園で、夏休みにはそこでラジオ体操が行われました。そのラジオ体操のほぼ皆勤賞の賞品が、子供にとってはかなり豪華版だったので、頑張って早起きして行ったものです。
文房具が数個、小学生向けの雑誌(付録付き)、お菓子一袋分などなど、ラジオ体操の最終日に大きな袋をもらって、ホクホク顔。
そのぐらいの賞品が出るのが普通なんだろうと思い込んでましたが、大人になって人に話したら、「ノート1冊だった」と言われて、へ〜と思った記憶が。
商店街が協賛(?)してたから、あんなに賞品がもらえたのか、と大人になってから気づくという呑気さ(^_^;)

おっと、肝心の孔雀苑。
ラーメン屋寄りかと思ってたら、中身は小ぶりの中華料理店だったんですね。
店主は斜め向かいのお宅にお住まいというのも、すごく意外でした。(住まいはお店の二階じゃないの⁉︎)
わたしもやっぱり行ってみよう!
幼馴なじみの友達を誘って、行ってみます^ ^
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