普通にいちばん好きな店 【ますや】
2019.02.02
以前住んでいた場所からいちばん近い飲食店がうどんの「ますや」だった。
よく食べに行っていたし、武蔵野うどんというものの魅力を知ったのがこのお店だった。

うどんのうまいのまずいのというだけならほかにおいしい店はいくらもあると思うが、店内の雰囲気やおばちゃんの存在感などトータルな魅力は何物にも代え難い。個人的に、いまでも武蔵野うどん不動のナンバーワンである。
まあ、フツーにいちばん好きなお店ということだが。

稲作に向かない武蔵野台地では小麦主食の文化圏が形成されていた。うどんはハレの日の行事食であり、寄り合いや人寄せ(冠婚葬祭)のときにうどんを打って出す習慣があった。
大ざっぱにいうと、そうした流れをくむのが武蔵野うどんである。

店に入ったのが1時前。
小さいカウンター席と小上がりが3卓。常連客とお店のおばちゃんが普通に世間話をしている。

昔、カウンター前の配膳台に天ぷらの大皿が載っているのを初めて見たときは、少なからず感動したものだ。
いつもはここでおばちゃんがゆで置きの麺を水でほぐして供してくれる。
しかし今日は「これからゆでますのでお待ちください」とお手伝いらしき女性。
待っている間、おばちゃんがごぼうとさつまあげの煮物と大根の漬物を持ってきてくれた。
この店はいつも何かしらサービスで出てくる。まったくの家庭の味で、ほっとするおいしさ。
お茶をセルフで足そうと思って火鉢にかかった鉄瓶を見ると、今日は炭に火が入っていなかった。

肉汁うどん700円。
天ぷらはゴボウとニンジン、豚肉のコクと香りが立つ肉汁。

地粉の素朴な香りと根菜の土くささの相性の良さ。
そこに自家製の柚子胡椒を投入し混然一体となったところを食べる幸せ。

ゆで置きうどんもひなびた家庭の味で、こういう店ではおいしいが、今日のゆでたてうどんは格別のおいしさだ。
食べ終わって靴をはいていると、店のおじさんが火の入った炭を運んできた。
「うどん薪でゆでてるから、炭が出るの。40年以上、これでやってる」
薪は材木屋さんに持ってきてもらっているとのこと。

火鉢の横にはビニール袋に入った小さな卵。
「うこっけいですか」と尋ねると、
「そうだよ」とおばちゃん。「ご飯にかけて食べてみな。コクがあっておいしいよ」
小平の農家の生産品とのこと。
小さくてかわいらしい卵3個入り300円を購入。
小麦といい、実はこだわりのお店なのだ。

[DATA]
ますや
東京都東村山市久米川町4-33-10
[Today's recommendation]



https://youtu.be/kVc5rCl0BIs
以前住んでいた場所からいちばん近い飲食店がうどんの「ますや」だった。
よく食べに行っていたし、武蔵野うどんというものの魅力を知ったのがこのお店だった。

うどんのうまいのまずいのというだけならほかにおいしい店はいくらもあると思うが、店内の雰囲気やおばちゃんの存在感などトータルな魅力は何物にも代え難い。個人的に、いまでも武蔵野うどん不動のナンバーワンである。
まあ、フツーにいちばん好きなお店ということだが。

稲作に向かない武蔵野台地では小麦主食の文化圏が形成されていた。うどんはハレの日の行事食であり、寄り合いや人寄せ(冠婚葬祭)のときにうどんを打って出す習慣があった。
大ざっぱにいうと、そうした流れをくむのが武蔵野うどんである。

店に入ったのが1時前。
小さいカウンター席と小上がりが3卓。常連客とお店のおばちゃんが普通に世間話をしている。

昔、カウンター前の配膳台に天ぷらの大皿が載っているのを初めて見たときは、少なからず感動したものだ。
いつもはここでおばちゃんがゆで置きの麺を水でほぐして供してくれる。
しかし今日は「これからゆでますのでお待ちください」とお手伝いらしき女性。
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待っている間、おばちゃんがごぼうとさつまあげの煮物と大根の漬物を持ってきてくれた。
この店はいつも何かしらサービスで出てくる。まったくの家庭の味で、ほっとするおいしさ。
お茶をセルフで足そうと思って火鉢にかかった鉄瓶を見ると、今日は炭に火が入っていなかった。

肉汁うどん700円。
天ぷらはゴボウとニンジン、豚肉のコクと香りが立つ肉汁。

地粉の素朴な香りと根菜の土くささの相性の良さ。
そこに自家製の柚子胡椒を投入し混然一体となったところを食べる幸せ。

ゆで置きうどんもひなびた家庭の味で、こういう店ではおいしいが、今日のゆでたてうどんは格別のおいしさだ。
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食べ終わって靴をはいていると、店のおじさんが火の入った炭を運んできた。
「うどん薪でゆでてるから、炭が出るの。40年以上、これでやってる」
薪は材木屋さんに持ってきてもらっているとのこと。

火鉢の横にはビニール袋に入った小さな卵。
「うこっけいですか」と尋ねると、
「そうだよ」とおばちゃん。「ご飯にかけて食べてみな。コクがあっておいしいよ」
小平の農家の生産品とのこと。
小さくてかわいらしい卵3個入り300円を購入。
小麦といい、実はこだわりのお店なのだ。

[DATA]
ますや
東京都東村山市久米川町4-33-10
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https://youtu.be/kVc5rCl0BIs
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Re: No title
KUONさま
いと寒きに 炭もて渡るも もうれつに うどん食べたい 巳四つ時
二月の「みんなのうた」はこれでお願いします。
意味不明(笑)。
いと寒きに 炭もて渡るも もうれつに うどん食べたい 巳四つ時
二月の「みんなのうた」はこれでお願いします。
意味不明(笑)。
Re: No title
ツキさま
まさにハレの日のごちそうですね。
20年くらい前に初めて入ったときから、ますおばちゃんは全然変わっていないような気がします。
このお店では時が止まってるんです。
いろいろリセットするために定期的に訪れたいですね。
まさにハレの日のごちそうですね。
20年くらい前に初めて入ったときから、ますおばちゃんは全然変わっていないような気がします。
このお店では時が止まってるんです。
いろいろリセットするために定期的に訪れたいですね。
No title
つやつやの、おいしそうなうどんですね。かき揚げも美味しそう。
途中で、やっと?現れた炭の、いい匂いを、感じました。お座布団の柄とか何もかも、懐かしい感じのすてきなお店ですね。夜の十時半、もうれつに、うどん食べたい私。
途中で、やっと?現れた炭の、いい匂いを、感じました。お座布団の柄とか何もかも、懐かしい感じのすてきなお店ですね。夜の十時半、もうれつに、うどん食べたい私。
No title
まるで婆ちゃんの家に行ったような空気。民芸調の鄙びた店内は素敵だし、畳を敷いた小上がりで胡座をかくのが贅沢です。
外連味に埋もれた飾りより、忘れていた営みを肌で思い出す良さ。今では軽視されてしまう祭り事のご馳走を、鮮度に満ちた人の温もりで味わう。この上もない幸せですね(笑)
外連味に埋もれた飾りより、忘れていた営みを肌で思い出す良さ。今では軽視されてしまう祭り事のご馳走を、鮮度に満ちた人の温もりで味わう。この上もない幸せですね(笑)