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2018夏、聖地巡礼のすすめ 【正栄】

2018.07.29

 このブログに記事を上げているようなワタクシの行動が第一義的にはおいしいものを食べたいという欲求に基づいているのは言うまでもないが、食うだけでなく、偶然の出会いや予想外の発見というものに対する感性、いわゆるセレンディピティを高くもっていたいと思うのである。
だからかどうか、最近楽しい出来事によく出くわす。

前々記事に記した田無の中央図書館での一件は特に、得難い幸運だったと思っている。
ところがその日、さらにもう一件、ちょっとした事件に遭遇することになる。


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昼ごはんに焼き肉との声が上がり、あっち方向(どっち方向?)に気になる焼き肉屋があったことを思い出し、図書館前の道をそのまま石神井川のほうに下り、上って田無市民公園横に出た。
「そういえば、すぐそこにシブい中華屋あるけど?」
「じゃ、そこでいい」
“あっち方向”は、この先もうちょっと遠い。2人とも腹ペコで、もう焼き肉でも何でもよくなってる。


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公園からは交差点の対角のマンション1階にある中華料理店「正栄」。
もう1本先が多摩湖自転車道になるので、よく脇にそれてここの前を通る。
ずっと気になっていた、こんな町外れにひっそり残ってる、典型的な昭和の街の中華屋さん。


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紺色の粋な暖簾に、赤字で「ラーメン 焼肉」と入っている。
焼き肉だし、ちょうどいいや(笑)。


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店内は縦に長く、右手に厨房とカウンター3~4席、左に4人掛けテーブル3卓。
奥にはさらに座敷もあり、座卓が2つほど見える。
奥正面の壁は大きな鏡になっていて、お店の暖簾をくぐる若者の写真が掛けてある。


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お店の人は、厨房にメリヤスシャツ姿(っていうの?)のおとうさんと、接客係のおかあさん。どちらもご高齢で、おかあさんは足が悪そうだ。
お客さんは、いちばん手前のテーブル席にけっこう若い男性1名。
奥のテーブル席に着き、焼肉定食750円と五目そば750円を注文。


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おそろしいスピードで定食を食べ終えて出ていった先客と入れ違いに野球おやじ2名が来店、真ん中のテーブルに。
僕と背中合わせに座ったほうは、じいさんといっていいような年代で、もう一方はわれわれのちょっと上くらい。


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続いてもう1組、今度はベビーカーを含む子ども連れファミリー。
僕らでもビビるようなくたびれた食堂には、かなり異質なお客さんといえるが、こういうパターンはときどきあって、親の代から(小さい時分から)通い続けている人たち。
実際、若い母親はお店のおかあさんと親しげにあいさつを交わしている。


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が… どうも様子がおかしい。
お店のおかあさんの発言は丁寧語でよそよそしく、しきりにお礼を言っている。常連さん相手の所作には見えない。

で、隣の席のじいさんに、「○○さんのファンの方で、わざわざ三島から来てくださったんですって」と。
「それはどうも、ありがとうございます」と、じいさんも丁重にお礼を述べ、「私はむしろ、このお店のファンなのです(笑)」と、ついでに気の利いたことを言ってみせる。
どうやら写真のイケメンの若者が話題に上っているらしい。

事情をつかめないのはわれわれだけで、「えっ、なになに? だれ? 息子さん?」とかヒソヒソ。
俳優か何かのようで、入り口のほうにも同じ写真が飾ってある。


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おかあさん、反応の鈍い中年夫婦(わしら)のもとにやって来て、
「○○ケンタロウさん」と教えてくれた。
「あ、そうなんですか」
背後のじいさんが
「田無警察んとこ住んでるの」
「あ、そうなんですか…」

もはや「そのケンタロウさんはどなたですか?」と聞ける雰囲気じゃない。


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おかあさんが相方相手に「〇番の○○」とか、しきりに説明してる。
そのうち「8番のコウノドリ」という言葉が聞き取れた。それなら聞き覚えがある。たしかテレビドラマ。
“番”というのはチャンネルだったのね。まあ、『コウノドリ』は6番が正しいらしいけど(笑)。

ということで、(あとで調べて)ようやく坂口健太郎さんに行き着いたのであった ┐(- ー ;)┌ヤレヤレ…


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話をまとめると、田無出身の俳優・モデルの坂口健太郎はこちら「正栄」のファンで、写真集にもお店でのショットが載っている。
それを見た静岡県三島市のファンの方が、店の場所を調べてわざわざ訪ねてきた。
その貴重な瞬間に、われわれがたまたま居合わせた。


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そのファミリーが入ってこなかったらそんな話題にはならなかったわけで、目の前に飾ってあった写真の人物もわからずじまいだった。
これも一種の一期一会の出会いのよう。


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五目そばの具は約10種、色どりよく昭和感たっぷり。
焼肉定食の甘辛たれはごはんによく合い、ポテトサラダもボリューミーで、おなかいっぱい。
ちなみに坂口健太郎さんはスタミナ定食をよく食べていたそうです。


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ご高齢の方が営むお店は、いまさらお客さんに来られても… という場合がなくもないが、こちらは「ありがたい話」と喜んでおられるので遠慮なく書かせていただく。
坂口健太郎ファンの方はぜひ行ってみてほしい。
おかあさんは話し好きのようなので、とっておきのエピソードとか聞けちゃうかもよ。


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[DATA]
正栄
東京都西東京市向台町4-21-40





[Today's recommendation]


https://youtu.be/LNBjMRvOB5M



chat180729-22.jpg
◆ 猫写真はこちら その1 その2


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Re: No title

ツキさま

中華屋さんの焼き肉または生姜焼きって、こんな感じが多いですよね。
甘めの味付けでものすごく油っこいから、ご飯ぐびぐび食べられる。

最近、近くのとんかつ屋さんが突然閉店しました。
やっぱりそういった身体面で何かあったのかな… と推測しています。
そこは夏場でも網戸でしのぐことが多く、お店を続けていたらこの夏はどうしてたでしょう。

近場のお店はともかく、自分の場合やや広範囲に動いているので多くは一期一会の関わりで、第三者的に無責任なところはあると思いますが、地元の常連さんにすればたとえ1軒であっても身を切られるようなつらいことなんだと思います。
“その時”を待つのみ、というお店が多いのも事実で、切ないですよね。

No title

きのう、家の近所の中華屋さんで生姜焼き定食を食べました。正栄さんの焼肉定食によく似た構成で、お店の具合も何だかよく似ている。。
2年前におやっさんがガンに倒れてから1年の療養を経てお店に復帰。その間、おばちゃんと息子さんで、どうにか堪えて店を守り。そして昨年、こんどは、おばちゃんが倒れた。いつ帰って来られるかどうかわからぬままに病院でリハビリをしているらしい。
すっかりくたびれた暖簾をくぐると、いつもはクソ暑い店の中も今年ばかりはと業務用エアコンでキンキンに冷やしていた。
住宅街に残った、たった一軒の飲食店。行けば必ず顔を合わす客が居て、連日の日差しに疲れた気持ちを迎えてくれる。おばちゃんも居なくなって、おやっさんも切り干し大根みたいに痩せちゃったけれど、息子さんの代までお店は屋号を残してくれると思う。住めば都。そんな言葉の最後の砦。朽ちるまで見守る気概を僕らも忘れては行けないのだろう。
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