30年ぶりの営業再開 【とん亭】
2018.07.02
東村山市役所の東側の道を空堀川のほうへ下り、本町商店街のかつての中心街を天王橋に差しかかる手前、現役のたべもの屋でいうと「昭和軒」「木村屋」「亀屋」と続いて家並みが途切れる。
その端っこの「亀屋」よりさらに川っ縁に、春ごろから建物の建設が始まった。
ちょっとわかりにくいが、春先にはまださら地だった(左、自販機の後ろ)
亀屋の裏庭ぐらいにしか見えない狭い敷地で、はじめ物置き程度の掘っ立て小屋としかみていなかったが、あるとき散歩の途中にできあがりつつある物件をのぞいていた相方が、「カウンターみたいになってる」と言う。
こんなさびれた商店街の端っこに飲食店の新築は考えにくいが、やがて立派な無垢一枚板の看板が掛かった。
「とん亭」と書いてある。どうやら、ちゃんとした飲食店のようだ。

しかし、とん亭の“とん”が“豚”なら豚肉料理か豚骨料理ということになるが、時流からして豚骨料理すなわちラーメン屋の公算が大きいだろう、と、まだ他人事のような反応。
最近になって「“とんかつ”とん亭」の張り紙を見るに至り、「これはナニゴト!?」と、ようやく正面から向き直ろうとしていたところである。
今日の昼、川沿いを天王橋に向かっていると、「とん亭」からワイシャツ姿が数人出てきた。
不動産会社の物件引き渡し? とか思ったが、どうも様子が違う。
店頭には生花が飾られ、よく見ると“営業中”の札がかかっている。

“近日開店予定”の張り紙からトントンと急だったので驚きはしたが、「あ、やってる」くらいの感覚で、そのまま店の横のアンダーパスを抜けようとした。
アンダーパスに面したサイドの壁に“7月2日開店”の張り紙。
え、7月2日って、今日?
今日というか、ついさっき開店しましたって感じ?
左は6月29日撮影
オープン当日のお店に入ったことはないし、今後もそんな機会はめったにないと思う。
このチャンスの逃す手はないんじゃないか?
いったん久米川駅の南口側に抜けたものの、そんな気持ちが膨らみ、踏切を北口側に戻り地下駐輪場に止めて天王橋のほうに下った。

お店の人はご夫婦かな、60代くらいのあたりの柔らかい男女。
店内はカウンター4席と、意外にもテーブル席のスペースもあり、2人用2卓で先客はそちらに2組4人。2階への階段もあり、10畳ほどのスペースの使い道を検討中とのこと。
ランチメニューからロースカツ定食850円を注文。

定食は、みそ汁、お新香、冷ややっこが付いてバランスがよい。
コスパもよい。
カツは小ぶりで、やや揚げすぎ感があるが、ロースの脂身の甘さが際立つ肉質のよさを感じる。脂だけでなくどの部分も良質の甘味が広がるとてもおいしいトンカツだ。
実は僕が入った時点でご飯を切らしてしまっていて提供に少し時間がかかったが、おかげで炊きたてのおいしいご飯をいただけた。

少しお話をさせていただいて驚いた。
こちらの店主は以前同じ場所でトンカツ屋をやっていて、本日、実に30年ぶりの“営業再開”なのだという。
「さ、30年ですか…!?」
「そうなの、30年(笑)」とおばさま。「まだ生まれてなかったんじゃない?」
え…?
“30年前+生まれていない= ”
に、20代に見られたと?
うーん、あまりにすさまじい誤差(笑)。
こちらのおばさま、30年ぶりに動きだした時計のゼンマイがまだ本調子じゃないのかも。
現在と過去の時の刻みが入り乱れて、目の前のおっさんの30年前の姿がチラついていたりして…。

30年前といえば、まだ昭和。ほぼ平成いっぱい“旅”をして帰ってきたということ。
その間、いろんなドラマがあったに違いない。
“昭和食堂本日開店”または“30年ぶりの営業再開”
――図らずも奇跡のような瞬間に立ち会っていたのかな…。

[DATA]
とん亭
東京都東村山市本町4-2-13
[Today's recommendation]

https://youtu.be/6aeXNP2p47c


東村山市役所の東側の道を空堀川のほうへ下り、本町商店街のかつての中心街を天王橋に差しかかる手前、現役のたべもの屋でいうと「昭和軒」「木村屋」「亀屋」と続いて家並みが途切れる。
その端っこの「亀屋」よりさらに川っ縁に、春ごろから建物の建設が始まった。
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亀屋の裏庭ぐらいにしか見えない狭い敷地で、はじめ物置き程度の掘っ立て小屋としかみていなかったが、あるとき散歩の途中にできあがりつつある物件をのぞいていた相方が、「カウンターみたいになってる」と言う。
こんなさびれた商店街の端っこに飲食店の新築は考えにくいが、やがて立派な無垢一枚板の看板が掛かった。
「とん亭」と書いてある。どうやら、ちゃんとした飲食店のようだ。

しかし、とん亭の“とん”が“豚”なら豚肉料理か豚骨料理ということになるが、時流からして豚骨料理すなわちラーメン屋の公算が大きいだろう、と、まだ他人事のような反応。
最近になって「“とんかつ”とん亭」の張り紙を見るに至り、「これはナニゴト!?」と、ようやく正面から向き直ろうとしていたところである。
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今日の昼、川沿いを天王橋に向かっていると、「とん亭」からワイシャツ姿が数人出てきた。
不動産会社の物件引き渡し? とか思ったが、どうも様子が違う。
店頭には生花が飾られ、よく見ると“営業中”の札がかかっている。

“近日開店予定”の張り紙からトントンと急だったので驚きはしたが、「あ、やってる」くらいの感覚で、そのまま店の横のアンダーパスを抜けようとした。
アンダーパスに面したサイドの壁に“7月2日開店”の張り紙。
え、7月2日って、今日?
今日というか、ついさっき開店しましたって感じ?
![]() | ![]() |
オープン当日のお店に入ったことはないし、今後もそんな機会はめったにないと思う。
このチャンスの逃す手はないんじゃないか?
いったん久米川駅の南口側に抜けたものの、そんな気持ちが膨らみ、踏切を北口側に戻り地下駐輪場に止めて天王橋のほうに下った。

お店の人はご夫婦かな、60代くらいのあたりの柔らかい男女。
店内はカウンター4席と、意外にもテーブル席のスペースもあり、2人用2卓で先客はそちらに2組4人。2階への階段もあり、10畳ほどのスペースの使い道を検討中とのこと。
ランチメニューからロースカツ定食850円を注文。

定食は、みそ汁、お新香、冷ややっこが付いてバランスがよい。
コスパもよい。
![]() | ![]() |
カツは小ぶりで、やや揚げすぎ感があるが、ロースの脂身の甘さが際立つ肉質のよさを感じる。脂だけでなくどの部分も良質の甘味が広がるとてもおいしいトンカツだ。
実は僕が入った時点でご飯を切らしてしまっていて提供に少し時間がかかったが、おかげで炊きたてのおいしいご飯をいただけた。

少しお話をさせていただいて驚いた。
こちらの店主は以前同じ場所でトンカツ屋をやっていて、本日、実に30年ぶりの“営業再開”なのだという。
![]() | ![]() |
「さ、30年ですか…!?」
「そうなの、30年(笑)」とおばさま。「まだ生まれてなかったんじゃない?」
え…?
“30年前+生まれていない= ”
に、20代に見られたと?
うーん、あまりにすさまじい誤差(笑)。
こちらのおばさま、30年ぶりに動きだした時計のゼンマイがまだ本調子じゃないのかも。
現在と過去の時の刻みが入り乱れて、目の前のおっさんの30年前の姿がチラついていたりして…。

30年前といえば、まだ昭和。ほぼ平成いっぱい“旅”をして帰ってきたということ。
その間、いろんなドラマがあったに違いない。
“昭和食堂本日開店”または“30年ぶりの営業再開”
――図らずも奇跡のような瞬間に立ち会っていたのかな…。

[DATA]
とん亭
東京都東村山市本町4-2-13
[Today's recommendation]

https://youtu.be/6aeXNP2p47c


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Re: No title
carmencさま
場所は、八坂方面から来たとして、改札近くの踏切を越えて交番の角を左折、そのまま下って橋を渡ったすぐ左手です。
30年って、どういうんでしょうね。
30年前のこと、ほとんど覚えてないです。
それほどの空白を隔てて継続性があるっていうだけで、もう…。
いろいろなものがあるんでしょうね…。
場所は、八坂方面から来たとして、改札近くの踏切を越えて交番の角を左折、そのまま下って橋を渡ったすぐ左手です。
30年って、どういうんでしょうね。
30年前のこと、ほとんど覚えてないです。
それほどの空白を隔てて継続性があるっていうだけで、もう…。
いろいろなものがあるんでしょうね…。
No title
おいしそうなとんかつ!!
亀屋の看板に記憶があります
診療所の近くですか?
オープンに至るまでの長い年月
30年の思い、熱い思い、奥深く、
晴れのオープンですね!!
見るからにおいしそうで、ロースカツ食べたいです〜
亀屋の看板に記憶があります
診療所の近くですか?
オープンに至るまでの長い年月
30年の思い、熱い思い、奥深く、
晴れのオープンですね!!
見るからにおいしそうで、ロースカツ食べたいです〜