陶器や絵画に囲まれて、秘密のランチスポット 【喫茶庵 うたたね】
2017.12.23
東村山中央公園の東~南のエリアには隠れ家カフェがいくつもある。隠れ家だけにどこも一見にはハードルが高いが、なかでも入りにくいオーラMAXなのが「陶器・喫茶 うたたね」。

中央公園通りに面した喫茶店「樹樹」の裏を斜めに入る路地の先、道なりに左に曲がって、ウサギ小屋の向かいに「うたたね」はある。
というか、東京街道から入ればすぐで、表通りに看板も出ている。
店先をロウバイやカシワバアジサイの鉢植え、藤棚にうっそうと覆われ、中の様子はまったくつかめない。
先週、小川駅前の シュガープラム で食事をしたあとに通りかかったら、ガラス戸に“焼き物セール”の張り紙がしてある。それにかこつけ、思い切って潜入してみた。
思いがけず店主のおばさまのおもてなしにあずかり、いたく感激したのである。
そういうわけで、あらためて正式にお食事をいただきに伺うことに。

店主さんは覚えていてくださって、やっぱりうれしい。
聴いていたラジオを止めてピアノ曲をかけてくれる。先週、置いてあったCDから世界的ヴァイオリニストKyung-Wha Chungの話になり、僕がクラシック音楽を好きそうと思っていてくれたのか、それとも営業モードに入ったということか。
でも、それまでかかっていたのがNHKラジオ第1の長寿番組『ひるのいこい』で、そっちを聴いていたかった気もする。

開店26年のこの店は、焼き物や絵、アンティーク雑貨などのギャラリーを兼ねる。焼き物は、丹波、瀬戸、信楽、常滑、益子などの陶芸家の作品を扱う。
たたきと奥の上がりというつくり。左手に大小2つのテーブルがあって、5人くらいは座れるだろうか。
ところ狭しと展示された作品に囲まれ、たいへん居心地がよい。
まず、うたたね風鶏肉カレー750円と紅天うどん700円をオーダー。
店主さんはお茶を入れてくれ、
「できるまでお芋でも食べていてください」
と、またまたストーブに載っていたアルミホイルをとってくれるのである。
店主さんは奥の台所で調理に忙しく、その間ゆっくり店内を拝見する。
焼き物の棚に器が並んでいるが、売れている様子は感じられない。
階段箪笥がいい感じにさびれた雰囲気を醸し出す。
BGMはショパン~リスト~シューマンと、初期ロマン派ピアノ曲の自己編集盤。
同じ作風の抽象絵画が数枚飾ってある。開店当初から扱っている丹波の陶芸作家(故人)のお孫さんの作という。青と黄がポイントの明るい色づかいをツレは気に入ったようだ。
テーブルにはワレモコウやホトトギスのドライフラワーに『牧野富太郎植物記』全8巻(第2巻欠落)。店主さんは植物もお好きとのことで、貯水池周辺の植生にも詳しい。

紅天うどんは、ちくわと紅ショウガを一緒にした天ぷらがおもしろく、その酸味が甘めのつゆとよく合う。
ホウレンソウとワカメ、ノリ、ゆでたまごなど具だくさん。

鶏肉カレーはタマネギの甘味が強く、バランスをとるようにヨーグルトと思われる酸味を出している。辛さは感じない。
ライスは麦ご飯。鶏肉がごろごろ。
一緒に煮込まれたレーズンがいいアクセントになっている。

付け合わせはラッキョウと浅漬けキムチ。
ラッキョウは、しょうゆ、酢、蜂蜜などで漬けた自家製の2年ものという。

食後、店主さんはお茶をつぎ足し、お茶請けのせんべいと最中まで出してくれる。
喫茶部門では、いま時分のおしるこ、夏場の豆かんというあたりが見逃せない。
秋から春には予約制の食事会を開いており、語り芝居や落語会も開催しているそうだ。
今月開いた落語会(別府康子さん)では20人ほどが来店したというが、どうやってそんな人数入れたんだろう。
次の落語会にはぜひご案内をいただきたく、お願いをして店を出た。

外から見ただけではこのような創造性とホスピタリティにあふれる空間が広がっているとはまったく思いもつかない。
こんな身近にも、自分の知らない世界はまだまだある。

[DATA]
喫茶庵 うたたね
東京都東村山市富士見町5-5-47
[Today's recommendation]

https://www.youtube.com/watch?v=M6mgPnQaZNw


◆ 猫写真はこちら ◆
東村山中央公園の東~南のエリアには隠れ家カフェがいくつもある。隠れ家だけにどこも一見にはハードルが高いが、なかでも入りにくいオーラMAXなのが「陶器・喫茶 うたたね」。

中央公園通りに面した喫茶店「樹樹」の裏を斜めに入る路地の先、道なりに左に曲がって、ウサギ小屋の向かいに「うたたね」はある。
というか、東京街道から入ればすぐで、表通りに看板も出ている。
店先をロウバイやカシワバアジサイの鉢植え、藤棚にうっそうと覆われ、中の様子はまったくつかめない。
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先週、小川駅前の シュガープラム で食事をしたあとに通りかかったら、ガラス戸に“焼き物セール”の張り紙がしてある。それにかこつけ、思い切って潜入してみた。
思いがけず店主のおばさまのおもてなしにあずかり、いたく感激したのである。
そういうわけで、あらためて正式にお食事をいただきに伺うことに。

店主さんは覚えていてくださって、やっぱりうれしい。
聴いていたラジオを止めてピアノ曲をかけてくれる。先週、置いてあったCDから世界的ヴァイオリニストKyung-Wha Chungの話になり、僕がクラシック音楽を好きそうと思っていてくれたのか、それとも営業モードに入ったということか。
でも、それまでかかっていたのがNHKラジオ第1の長寿番組『ひるのいこい』で、そっちを聴いていたかった気もする。

開店26年のこの店は、焼き物や絵、アンティーク雑貨などのギャラリーを兼ねる。焼き物は、丹波、瀬戸、信楽、常滑、益子などの陶芸家の作品を扱う。
たたきと奥の上がりというつくり。左手に大小2つのテーブルがあって、5人くらいは座れるだろうか。
ところ狭しと展示された作品に囲まれ、たいへん居心地がよい。
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まず、うたたね風鶏肉カレー750円と紅天うどん700円をオーダー。
店主さんはお茶を入れてくれ、
「できるまでお芋でも食べていてください」
と、またまたストーブに載っていたアルミホイルをとってくれるのである。
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店主さんは奥の台所で調理に忙しく、その間ゆっくり店内を拝見する。
焼き物の棚に器が並んでいるが、売れている様子は感じられない。
階段箪笥がいい感じにさびれた雰囲気を醸し出す。
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BGMはショパン~リスト~シューマンと、初期ロマン派ピアノ曲の自己編集盤。
同じ作風の抽象絵画が数枚飾ってある。開店当初から扱っている丹波の陶芸作家(故人)のお孫さんの作という。青と黄がポイントの明るい色づかいをツレは気に入ったようだ。
テーブルにはワレモコウやホトトギスのドライフラワーに『牧野富太郎植物記』全8巻(第2巻欠落)。店主さんは植物もお好きとのことで、貯水池周辺の植生にも詳しい。

紅天うどんは、ちくわと紅ショウガを一緒にした天ぷらがおもしろく、その酸味が甘めのつゆとよく合う。
ホウレンソウとワカメ、ノリ、ゆでたまごなど具だくさん。

鶏肉カレーはタマネギの甘味が強く、バランスをとるようにヨーグルトと思われる酸味を出している。辛さは感じない。
ライスは麦ご飯。鶏肉がごろごろ。
一緒に煮込まれたレーズンがいいアクセントになっている。

付け合わせはラッキョウと浅漬けキムチ。
ラッキョウは、しょうゆ、酢、蜂蜜などで漬けた自家製の2年ものという。

食後、店主さんはお茶をつぎ足し、お茶請けのせんべいと最中まで出してくれる。
喫茶部門では、いま時分のおしるこ、夏場の豆かんというあたりが見逃せない。
秋から春には予約制の食事会を開いており、語り芝居や落語会も開催しているそうだ。
今月開いた落語会(別府康子さん)では20人ほどが来店したというが、どうやってそんな人数入れたんだろう。
次の落語会にはぜひご案内をいただきたく、お願いをして店を出た。

外から見ただけではこのような創造性とホスピタリティにあふれる空間が広がっているとはまったく思いもつかない。
こんな身近にも、自分の知らない世界はまだまだある。

[DATA]
喫茶庵 うたたね
東京都東村山市富士見町5-5-47
[Today's recommendation]

https://www.youtube.com/watch?v=M6mgPnQaZNw


◆ 猫写真はこちら ◆
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Re: No title
たしかに車だとあの看板は目に留まりづらいし、用水沿いからだと微妙に死角なポジショニングですね…。
実は私も後悔してます。
どうしてもっと早く入らなかったんだろう、と。
あんなにウェルカムで居心地のよいお店だとは思っていませんでした。
機会があれば、ぜひ再訪してみてください。
実は私も後悔してます。
どうしてもっと早く入らなかったんだろう、と。
あんなにウェルカムで居心地のよいお店だとは思っていませんでした。
機会があれば、ぜひ再訪してみてください。
No title
ここに一度は行ったような…
曖昧ですけどうっすら記憶があります
奥さんの風情がかすかに脳裏に残っている感じもあり
いい触れ合いをしたような…
すっかり忘れていました
看板をよく見ていたのですが車に乗ってる場合が多く
素通りしてたんですよね
自転車のときは用水沿いを走るようになっていたので、、、
この記事を見て後悔してます
曖昧ですけどうっすら記憶があります
奥さんの風情がかすかに脳裏に残っている感じもあり
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自転車のときは用水沿いを走るようになっていたので、、、
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