心置きなくアツアツ麺 【谿明飯店】
2017.09.19
人間が汗をかくのは、汗が蒸発するときに周りから奪う気化熱で体温を下げるためで、したがって暑いときほど発汗を促す食べ物を欲する、というようなことを夏の初めに何度か書いているが、その際あえて気づかないふりをしていた食べ物がある。谿明飯店の生碼麺(サンマーメン)である。

生碼麺とは何か。谿明飯店のホームページに説明が載っている。
――昭和20年代前半、横浜市中区より、少し違う形で発売された、細切りにした野菜と肉のあんかけ麺(肉糸湯麺・ルースータンメン)、これが始まりでした。その後、昭和20年代後半に横浜中華街に於いてもやしを加えて、現在の生碼麺(サンマーメン)になったと言われております――
つまり戦後横浜発祥のあんかけ麺であり、ご当地麺として神奈川県では広く浸透しているラーメンの一種である。僕が最初に出会ったのは30年近く前、当時住んでいた川崎市新丸子の有名店「三ちゃん食堂」でのこと。
いまでは“かながわサンマー麺の会”というものまであり、そのホームページでは、
サンマー麺って…? 秋刀魚が乗ったラーメン?
というお約束ネタがヘッダーのキャッチコピーに使われている(http://www.sannma-men.com/origin.html)。
語源については、“生(サン)は「新鮮でしゃきしゃきした」という意味、 馬・碼(マー)は「上に載せる」という意味”という説が一般的なようだ。

汗かきメニューの話に戻るが、なぜ僕が谿明飯店の生碼麺をしらばっくれて通したかというと、このもの、あんのトロミが強くきわめてアツアツで、盛夏に食す危険さが度を越すと思われたから。滝の汗は必至で、まともな姿では帰れない。
まあ、ぶっちゃけ、去年の夏に食べて大変なことになったんだが(笑)。当方軟弱者につき強者は避けて通る。

それでもときどきは食べたくなる絶品麺だと思っている。
明日は彼岸の入りで、暦の上どころかもはや秋のど真ん中。そろそろ安心して生碼麺を食べられる季節である。
本日の東京の最高気温は28.2℃。まだ早いんじゃないの? と思われるかもしれないが、そうでもない。暑すぎず、なおかつ店内は冷房が効いている。それぐらいの条件がベスト。この先、冷房を使わなくなる季節については、また別の話。


谿明飯店は田無のシチズン時計本社近くの裏道にある。
店頭の古びたショーケースには懐かしの鯉の丸揚げ。“時価”ではなく“ご予約”となっている。っていうか、いまだに扱っていて、ご予約すれば作ってくれるんだ。
店内は入ってすぐのテーブル2卓とカウンター2席のほか、一段高くなった奥の板の間のスペースが広くなっている。座卓が全部で8卓。今日はすいているので奥に上がらせてもらう。
僕はいつも生碼麺700円。半チャーハンを付けることが多いが、諸事情により単品で。


おそらく家族経営の、たぶん3代そろっての切り盛りである。詳しい構成はわからないが、大女将的なお母さんがよく目立つ。今日も常連客と「2階で寝ててもしょうがないしね」などと話している。アツアツ麺のどんぶりを掲げて真横を通られたりするとドキドキするが、ともかくあっぱれである。

生碼麺はしょうゆ味のラーメンにモヤシ主体のあんがかかる。具はほかに、キャベツ、ニンジン、ニラ、豚肉、ナルト。デザート付き(コーヒープリン)。
麺はややウェーブがかかった中細。ベースのスープがしょうゆ前面の味付けで、シンプルなので最後まで飽きが来ない。

落ち着いてゆっくり食べないとたちまち汗が噴き出すので、なるべくペースを落とすように心がけるが、それでも最後は汗ぐっしょりになる。
今日のようなカラッとした日にはそれも爽快。汗の感触にも季節の移り変わりを感じたりする。

[DATA]
谿明飯店(けいめいはんてん)
東京都西東京市芝久保町2-6-21
http://www.keimeihanten.co.jp/
[Today's recommendation]


Diana Ross And The Supremes
『Greatest Hits Volume I』 / 『Greatest Hits Volume II』


人間が汗をかくのは、汗が蒸発するときに周りから奪う気化熱で体温を下げるためで、したがって暑いときほど発汗を促す食べ物を欲する、というようなことを夏の初めに何度か書いているが、その際あえて気づかないふりをしていた食べ物がある。谿明飯店の生碼麺(サンマーメン)である。

生碼麺とは何か。谿明飯店のホームページに説明が載っている。
――昭和20年代前半、横浜市中区より、少し違う形で発売された、細切りにした野菜と肉のあんかけ麺(肉糸湯麺・ルースータンメン)、これが始まりでした。その後、昭和20年代後半に横浜中華街に於いてもやしを加えて、現在の生碼麺(サンマーメン)になったと言われております――
つまり戦後横浜発祥のあんかけ麺であり、ご当地麺として神奈川県では広く浸透しているラーメンの一種である。僕が最初に出会ったのは30年近く前、当時住んでいた川崎市新丸子の有名店「三ちゃん食堂」でのこと。
いまでは“かながわサンマー麺の会”というものまであり、そのホームページでは、
サンマー麺って…? 秋刀魚が乗ったラーメン?
というお約束ネタがヘッダーのキャッチコピーに使われている(http://www.sannma-men.com/origin.html)。
語源については、“生(サン)は「新鮮でしゃきしゃきした」という意味、 馬・碼(マー)は「上に載せる」という意味”という説が一般的なようだ。

汗かきメニューの話に戻るが、なぜ僕が谿明飯店の生碼麺をしらばっくれて通したかというと、このもの、あんのトロミが強くきわめてアツアツで、盛夏に食す危険さが度を越すと思われたから。滝の汗は必至で、まともな姿では帰れない。
まあ、ぶっちゃけ、去年の夏に食べて大変なことになったんだが(笑)。当方軟弱者につき強者は避けて通る。

それでもときどきは食べたくなる絶品麺だと思っている。
明日は彼岸の入りで、暦の上どころかもはや秋のど真ん中。そろそろ安心して生碼麺を食べられる季節である。
本日の東京の最高気温は28.2℃。まだ早いんじゃないの? と思われるかもしれないが、そうでもない。暑すぎず、なおかつ店内は冷房が効いている。それぐらいの条件がベスト。この先、冷房を使わなくなる季節については、また別の話。


谿明飯店は田無のシチズン時計本社近くの裏道にある。
店頭の古びたショーケースには懐かしの鯉の丸揚げ。“時価”ではなく“ご予約”となっている。っていうか、いまだに扱っていて、ご予約すれば作ってくれるんだ。
店内は入ってすぐのテーブル2卓とカウンター2席のほか、一段高くなった奥の板の間のスペースが広くなっている。座卓が全部で8卓。今日はすいているので奥に上がらせてもらう。
僕はいつも生碼麺700円。半チャーハンを付けることが多いが、諸事情により単品で。


おそらく家族経営の、たぶん3代そろっての切り盛りである。詳しい構成はわからないが、大女将的なお母さんがよく目立つ。今日も常連客と「2階で寝ててもしょうがないしね」などと話している。アツアツ麺のどんぶりを掲げて真横を通られたりするとドキドキするが、ともかくあっぱれである。

生碼麺はしょうゆ味のラーメンにモヤシ主体のあんがかかる。具はほかに、キャベツ、ニンジン、ニラ、豚肉、ナルト。デザート付き(コーヒープリン)。
麺はややウェーブがかかった中細。ベースのスープがしょうゆ前面の味付けで、シンプルなので最後まで飽きが来ない。

落ち着いてゆっくり食べないとたちまち汗が噴き出すので、なるべくペースを落とすように心がけるが、それでも最後は汗ぐっしょりになる。
今日のようなカラッとした日にはそれも爽快。汗の感触にも季節の移り変わりを感じたりする。

[DATA]
谿明飯店(けいめいはんてん)
東京都西東京市芝久保町2-6-21
http://www.keimeihanten.co.jp/
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