真夏のパラドックス 【ますや】
2017.07.09
東日本各地で猛暑となった本日、昼食の店選びに苦労する。家を出る時点で、この暑さで炎天下をふらふらするのはやめたほうがいいんじゃないかと及び腰だから、これはと思った店の前で躊躇してしまう。
散々迷って炎天下をふらふらした挙句にようやくビビッと来たのが、久米川辻の武蔵野うどんの老舗「ますや」。
決めてしまえば、今日ははじめからここだったような、来るべくして来たというような気持ちになる。

4~5人ぞろぞろ出るのと入れ違いに入店。
カウンターに背広のお客さんが1人。厨房におばちゃんはなし。天ぷらの大皿に天ぷらはなし。
カウンターの左端のいすに座る。
すぐに奥のゆで場から先客用のうどんを盛ったせいろを持って、おばちゃん登場。

「いらっしゃい」とおばちゃん。「何にする?」
「冷たいの」と僕。「天ぷら何があります?」
「何でもあるよ。魚はないけど(笑)」
「人参とごぼう」
「はいよ」
と、手続き終了。
ちなみに“冷たいの”とは正式には“肉汁うどん”と称する冷盛りうどんのこと。

おばちゃんはカウンターの向こうで天ぷらの野菜を切り出すところから始める。奥から手伝いっぽいやや若いおばちゃんがうどんを持ってくる。うどん待機中。
天ぷらは僕のだけってわけじゃなく、ある程度の量を揚げているようだ。種類も多そう。
やがておばちゃんはうどんのお盆に天ぷらの皿を載せ、おわんに肉汁をよそい、カウンター越しにお盆を差し出す。
「おまちどお」

肉汁うどん(天ぷら3種付き)700円。
揚げたて天ぷらは、人参、ごぼう、なす。個人的好みでは武蔵野うどんとの相性的に黄金の3種だ。
武蔵野うどんはズルズルではなくモソモソと食べる。よじれた麺の端があちこちを向いているから、勢いよくすすろうとすると汁が飛び散りまくるのだ。

モソモソ食べていると、おばちゃんが「柚子入れたかい?」
これは自家製の柚子胡椒を勧めているのである。
「あ、入れます」と答えたが、柚子胡椒の容器が見当たらない。
キョロキョロしていると、右隣の背広の人におばちゃんが「とってやんな」と指図。誰に対してもそんな感じ。
「ああ、スイマセン…」と、知らない人にとってもらって恐縮する私。
「入れるとひと味違うよ」と満足げなおばちゃん。

豚肉とごぼうと地粉と柚子の香り。しょっぱめの汁に浮かぶフニャフニャ(コロモ)。それらが次第にゴタゴタになっていくところをモソモソと食べ進める。
「足りたかい?」と、食べ終わるころ、おばちゃんはいつもおかわりを確かめる。
おかわりしたいところだが、そうすると一緒に漬物とか煮びたしとか天ぷらの追加とか、いろんなサービスが付いてくるので、1人のときはアワワワ… となる。
「また今度」と丁重にお断りする。

なんだかお盆を田舎で過ごしているような気にさせられる。地方出身者の東京の休日のひとこまというのが本当のところで、なんとかのパラドックスのようである。そういえば東京はもうすぐお盆だ。

[DATA]
ますや
東京都東村山市久米川町4-33-10
[Today's recommendation]



https://youtu.be/DC2zHP6bL-E
東日本各地で猛暑となった本日、昼食の店選びに苦労する。家を出る時点で、この暑さで炎天下をふらふらするのはやめたほうがいいんじゃないかと及び腰だから、これはと思った店の前で躊躇してしまう。
散々迷って炎天下をふらふらした挙句にようやくビビッと来たのが、久米川辻の武蔵野うどんの老舗「ますや」。
決めてしまえば、今日ははじめからここだったような、来るべくして来たというような気持ちになる。

4~5人ぞろぞろ出るのと入れ違いに入店。
カウンターに背広のお客さんが1人。厨房におばちゃんはなし。天ぷらの大皿に天ぷらはなし。
カウンターの左端のいすに座る。
すぐに奥のゆで場から先客用のうどんを盛ったせいろを持って、おばちゃん登場。

「いらっしゃい」とおばちゃん。「何にする?」
「冷たいの」と僕。「天ぷら何があります?」
「何でもあるよ。魚はないけど(笑)」
「人参とごぼう」
「はいよ」
と、手続き終了。
ちなみに“冷たいの”とは正式には“肉汁うどん”と称する冷盛りうどんのこと。

おばちゃんはカウンターの向こうで天ぷらの野菜を切り出すところから始める。奥から手伝いっぽいやや若いおばちゃんがうどんを持ってくる。うどん待機中。
天ぷらは僕のだけってわけじゃなく、ある程度の量を揚げているようだ。種類も多そう。
やがておばちゃんはうどんのお盆に天ぷらの皿を載せ、おわんに肉汁をよそい、カウンター越しにお盆を差し出す。
「おまちどお」

肉汁うどん(天ぷら3種付き)700円。
揚げたて天ぷらは、人参、ごぼう、なす。個人的好みでは武蔵野うどんとの相性的に黄金の3種だ。
武蔵野うどんはズルズルではなくモソモソと食べる。よじれた麺の端があちこちを向いているから、勢いよくすすろうとすると汁が飛び散りまくるのだ。

モソモソ食べていると、おばちゃんが「柚子入れたかい?」
これは自家製の柚子胡椒を勧めているのである。
「あ、入れます」と答えたが、柚子胡椒の容器が見当たらない。
キョロキョロしていると、右隣の背広の人におばちゃんが「とってやんな」と指図。誰に対してもそんな感じ。
「ああ、スイマセン…」と、知らない人にとってもらって恐縮する私。
「入れるとひと味違うよ」と満足げなおばちゃん。

豚肉とごぼうと地粉と柚子の香り。しょっぱめの汁に浮かぶフニャフニャ(コロモ)。それらが次第にゴタゴタになっていくところをモソモソと食べ進める。
「足りたかい?」と、食べ終わるころ、おばちゃんはいつもおかわりを確かめる。
おかわりしたいところだが、そうすると一緒に漬物とか煮びたしとか天ぷらの追加とか、いろんなサービスが付いてくるので、1人のときはアワワワ… となる。
「また今度」と丁重にお断りする。

なんだかお盆を田舎で過ごしているような気にさせられる。地方出身者の東京の休日のひとこまというのが本当のところで、なんとかのパラドックスのようである。そういえば東京はもうすぐお盆だ。

[DATA]
ますや
東京都東村山市久米川町4-33-10
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https://youtu.be/DC2zHP6bL-E
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