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地蔵通りに、中華屋さんがありました 【宝来軒】

2019.12.17

 若いころ友人に聞いた笑い話――とある年季の入った食堂に訳知り顔の2人組が「こういう店がうまいんだ」と言いながら入ってきた。それを聞いていた店の主人がボソッと、「うちは汚えだけだよ」

こういうブログをやっていると、もしかしたらそう思われているかもしれないので念のため断っておくが、キタネエだけの店に入ることが主目的ではありません ゞ( ̄∇ ̄;)


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僕もやはり「こういう店がうまいんだ」を期待して入る。
だからといって、結果、うまいのまずいのだけをどうこう言うつもりもない。
矛盾しているようだけれども。


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古さびれたお店に惹かれる理由が何かといったら、それはごくパーソナルな動機づけであるのでうまく言い表せるものでもなく。
あの日 あの時 あの場所で… と。そういうもの…?
とはいえ――


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地蔵通りの「宝来軒」。
想像を超えるほど老朽化著しい店内。


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テーブル2つにいすが全7脚。カウンターはあるがいすはセットされておらず。
営むのは老夫婦。
注文はAセット(ラーメン・半チャーハン)700円。


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おかみさんが厨房、ご主人は食堂のいすという配置で、おかみさんが調理するのかと思ったら、ややあってご主人が立ち上がり厨房に入る。
野菜を切ったり器具をセットしたりしている様子のご主人。だいぶたってようやく炒めものが始まり、いい匂いが漂ってきて少しホッとした。


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そのあとラーメンに取りかかってる?
2人がかりで相当の手数がかけられている様子だが、完成に向かっている気配が感じられないし、そもそもラーメン1杯作るのにそんなに工程数が必要か?

そうこうするうちにおかみさんがおもむろに炒めものを始めた。これは明らかにチャーハンを作っている動きだ。
さっきのご主人の炒めものは何だったの…?

結局、ラーメン・半チャーハン、提供までに15分を要した。


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厨房の様子についてもう少し踏み込んで記述すると、ご主人は思うように身体が動かないようで、そのため作業を任せつつきめ細かに介助するおかみさんの手数が自然、多くなっている。
それと、もしかしたら僕はその日最初の客で(1時半すぎだが)、ご主人がはじめに炒めものをしたのは炒め鍋に油をなじませるために作り置きの惣菜でもこしらえたのではないか…? とあとで思った。
それだけの工数で2人がかりで15分は、700円の品にかける手間ひまとしてはまったく合わない。
でもそれはこのご夫婦の選択なのだ。


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途中、僕は心臓がどきどきしてきて、ようやく配膳台にチャーハンが載ったころにはすっかりかしこまった心持ちにさせられていた。


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あるいは昔なじみの客からすれば、おやじさん、腕落ちたなぁ… という出来栄えかもしれない。
ご主人もそんな自覚はあって、でも昨日はうまくできなかったが今日は昔のように上手に作れるはず… と思いながら毎日厨房に立っているのかもしれない。


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通りすがりの僕から見ても、明らかに自家製のやや平打ちで強く縮れた麺のラーメンは、往年はなかなかのものだったんじゃないかと想像がつく。
たかがラーメン、されど…。


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このお店はライフサイクルの最終段階にあると思う。
そんな厳粛な場面について、このような冷やかし半分みたいな記事を上げてよいものか、大いに悩ましいところではあるのだが…。


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並びのおそば屋さんは長く休業している


[DATA]
宝来軒
東京都小金井市緑町1-1-17





[Today's recommendation]

wachat191217.jpg




https://youtu.be/j6mNynRbnJ4


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