ここにも歴史の生き証人が… 【とき】
2019.10.02
西武新宿線を使っている方ならご存知かもしれないが、下りで田無駅を出てまもなく、線路沿いに「お食事処 とき」というわりと大きいトタン看板が見えてくる。
僕はこれがすごく気になっていた。

田無は青梅街道の宿場であり、北口の街道沿いには「坂平」「末広」といった古い料理屋が残っている。
「とき」は入り口が線路沿いの道から目に付きにくく、ひっそりたたずむ風情だが、街道筋の老舗に通じる風格をたたえている。

台風15号で飛ばされたという袖看板の枠組みだけが残っている
営業は夜だけかな… と思いつつもときどき前を通って様子をうかがっているうちに、昼に暖簾が掛かっていることもある、ということがわかった。とはいえ、それで即入店かというと、これがなかなか…。

なにしろネット情報がまったく見当たらないので現地に足を運ぶしかなかったわけだが、行ったところで店先にも文字情報は皆無。
わかるのは暖簾すなわち営業中(たぶん平日のみ)ということのみ。

ということで1人では怖いので、平日に相方の都合がつくときに、とずっと考えていた。
本日、満を持して決行というわけである。

思ったよりこじんまり… というか間口が狭く、左にカウンター席、正面は小上がりのつくりだが物置きの様相。なので常に使われているのはカウンター5~6席のみ。
カウンターに年配男女が座っており、女性が店主で男性はお客さん。

食事メニューは床に立て掛けてあるホワイトボード。
「だいたい魚ですけど、こんなのでよかったら」とおかみさん。
いやいや、そんな感じだと思ってたのでぜんぜんオッケーです…! と、おでんとさわら西京を注文。
おかみさんは話好きな人で、「どちらから?」とかいろいろ聴かれる。
「どうして、うちに来られたんですか?」
「いや、ずっと看板見てまして。電車から」
「あら、でもこないだの台風で看板飛んじゃって…(笑)」
「えー…!?」
先客は以前、青梅街道で電気屋をやられていたという方。
いろいろ田無の昔の話を聞かせていただいた。

以前、この店は工場景気で繁盛したらしい。
「石川島播磨と三共があって」
と、おかみさん。

2階が座敷席になっていて宴会需要が多かった。
40年ほど前にご主人を亡くし、板前や仲居を雇って女手一つでがんばったという。

注文時に「時間あります?」と聞かれ、実際提供までにかなり時間がかかったので、いろいろ作ってくれたんじゃないかと思う。
定食はなかなか豪華なお膳である。
「北の『末広』、南の『とき』かな…」と電気屋さん。

おかみさんのいまの望みは、夜景のきれいなラウンジに行くこと。
「若いころ、主人に連れていってもらったような」

[DATA]
とき
東京都西東京市南町6-1-1
[Today's recommendation]



https://youtu.be/JFJl_vJdga4
西武新宿線を使っている方ならご存知かもしれないが、下りで田無駅を出てまもなく、線路沿いに「お食事処 とき」というわりと大きいトタン看板が見えてくる。
僕はこれがすごく気になっていた。

田無は青梅街道の宿場であり、北口の街道沿いには「坂平」「末広」といった古い料理屋が残っている。
「とき」は入り口が線路沿いの道から目に付きにくく、ひっそりたたずむ風情だが、街道筋の老舗に通じる風格をたたえている。

台風15号で飛ばされたという袖看板の枠組みだけが残っている
営業は夜だけかな… と思いつつもときどき前を通って様子をうかがっているうちに、昼に暖簾が掛かっていることもある、ということがわかった。とはいえ、それで即入店かというと、これがなかなか…。

なにしろネット情報がまったく見当たらないので現地に足を運ぶしかなかったわけだが、行ったところで店先にも文字情報は皆無。
わかるのは暖簾すなわち営業中(たぶん平日のみ)ということのみ。

ということで1人では怖いので、平日に相方の都合がつくときに、とずっと考えていた。
本日、満を持して決行というわけである。

思ったよりこじんまり… というか間口が狭く、左にカウンター席、正面は小上がりのつくりだが物置きの様相。なので常に使われているのはカウンター5~6席のみ。
カウンターに年配男女が座っており、女性が店主で男性はお客さん。

食事メニューは床に立て掛けてあるホワイトボード。
「だいたい魚ですけど、こんなのでよかったら」とおかみさん。
いやいや、そんな感じだと思ってたのでぜんぜんオッケーです…! と、おでんとさわら西京を注文。
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おかみさんは話好きな人で、「どちらから?」とかいろいろ聴かれる。
「どうして、うちに来られたんですか?」
「いや、ずっと看板見てまして。電車から」
「あら、でもこないだの台風で看板飛んじゃって…(笑)」
「えー…!?」
先客は以前、青梅街道で電気屋をやられていたという方。
いろいろ田無の昔の話を聞かせていただいた。

以前、この店は工場景気で繁盛したらしい。
「石川島播磨と三共があって」
と、おかみさん。

2階が座敷席になっていて宴会需要が多かった。
40年ほど前にご主人を亡くし、板前や仲居を雇って女手一つでがんばったという。

注文時に「時間あります?」と聞かれ、実際提供までにかなり時間がかかったので、いろいろ作ってくれたんじゃないかと思う。
定食はなかなか豪華なお膳である。
「北の『末広』、南の『とき』かな…」と電気屋さん。

おかみさんのいまの望みは、夜景のきれいなラウンジに行くこと。
「若いころ、主人に連れていってもらったような」

[DATA]
とき
東京都西東京市南町6-1-1
[Today's recommendation]



https://youtu.be/JFJl_vJdga4