Stylishかつ、いい感じにユルく 【ひらの】
2019.06.09
西武池袋線保谷駅前の繁華街は西東京市(旧 保谷市)かと思っていたらここは市区境にあたっていて、北口も南口も東半分は練馬区である。南口の駅前は保谷新道が境界になっていて、わかりやすくいうと「保谷大勝軒」は西東京市東町から練馬区南大泉に移転したことになる。
南大泉3・4丁目の駅に近いエリアは、味のある構えのお店が多く残る穴場スポットである。

通りの右が西東京市東町、左が練馬区南大泉
西東京市の「西友」を出て信号を渡り南大泉の細道を50m入った左手に、「食堂 ひらの」はある。

置き看板の“食堂”の文字に定食屋をイメージしていたが、近寄って品書きを見てみると、うどんがメインのよう。

実際、写真では絡まっちゃってわかりづらいが、青いのぼりの文字は“地粉うどん”、その奥の小窓は麺打ち場である。
一方、定食メニューもそれなりにインパクトがあり、ここは定食 & うどんでいってみようか、ということで入店。

いかにも人のよさそうなご主人に迎えられる。
4人掛けテーブル4脚というこじんまりした店内。
お茶を運んできたのは、きっちり“女将さん的装い”のおかみさん。

注文はやや協議に難航の末、冷したぬきうどん780円と、とりの唐揚げ定食850円。
難航の理由は、武蔵野うどん系の地粉うどんであれば肉うどんにするべきではないかという命題が急浮上したためであるが、おかみさんに聞いたところメニューにある肉うどんとは武蔵野系によくある付け汁タイプではなく温かい汁うどんとのこと。
蒸し暑い梅雨の時期、運動のあと汁うどんはさすがに食指が働かないと(西武柳沢から3.5km歩いてきた)。
店内にはサラダうどんの品書きが張り巡らされていて、そういう推しの強いメニューを頼むべきだったかとあとで思った。

まずやって来た唐揚げ定食に驚いた。
ボリューム、すごくない…?

各テーブルの扇形の品書きといいおかみさんの物腰といい、上品な民芸調和食系統というふうに印象を書き換えていたので、この見た目は驚き。
唐揚げ1個、箸で持ち上げて、二度驚かされた。
これ全部、1cmに満たない薄切りの唐揚げなのである。

僕はこういう鳥の唐揚げに出会ったことがないから驚いたのだが、考えてみれば理にかなっている。唐揚げは塊で揚げるから火の通しが難しいのであって、こういう薄さならば仕上がりの均質化が図れる。
食欲をそそる香りも強く、しっかり味がのってたいへんおいしい。
上品系というか、これは繊細でていねいな仕事である。

うどんはパッと見、太さが不均一でよじれが入るという、武蔵野台地のこのあたりの手打ちうどんの特徴そのもの。
食べてみると、小麦は香るが食感はかなり軽いという、それはそれで個性的なうどんである。
汁は甘味系の甘さはなく、しっかりだしのうま味が効いている。
野菜が多いところは、イチオシのサラダうどんでなくてもヘルシー志向に力点を置いていることの表れかも。

配膳のあと、入れ直したお茶をついでくれ、食後ていねいにカットされたフルーツがサービスで出され… と、ヘルシー志向を含め、ホスピタリティの高いお店だと思った。
2度目のお茶のサービス以外は奥に下がったままというのも、客としてはくつろげていい。

お支払いで厨房に声を掛けると、お二人は立ったまま『NHKのど自慢』を鑑賞中。
どうりでホールに出てこないわけだ(笑)。
…というのんびりムードもまたいいわけで。

[DATA]
ひらの
東京都練馬区南大泉3-29-10
[Today's recommendation]


◆ 猫写真はこちら その1 その2 その3 ◆

https://youtu.be/JyXHxh3Sye0
https://youtu.be/FOzaVpgeHJg
西武池袋線保谷駅前の繁華街は西東京市(旧 保谷市)かと思っていたらここは市区境にあたっていて、北口も南口も東半分は練馬区である。南口の駅前は保谷新道が境界になっていて、わかりやすくいうと「保谷大勝軒」は西東京市東町から練馬区南大泉に移転したことになる。
南大泉3・4丁目の駅に近いエリアは、味のある構えのお店が多く残る穴場スポットである。

通りの右が西東京市東町、左が練馬区南大泉
西東京市の「西友」を出て信号を渡り南大泉の細道を50m入った左手に、「食堂 ひらの」はある。

置き看板の“食堂”の文字に定食屋をイメージしていたが、近寄って品書きを見てみると、うどんがメインのよう。

実際、写真では絡まっちゃってわかりづらいが、青いのぼりの文字は“地粉うどん”、その奥の小窓は麺打ち場である。
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一方、定食メニューもそれなりにインパクトがあり、ここは定食 & うどんでいってみようか、ということで入店。

いかにも人のよさそうなご主人に迎えられる。
4人掛けテーブル4脚というこじんまりした店内。
お茶を運んできたのは、きっちり“女将さん的装い”のおかみさん。

注文はやや協議に難航の末、冷したぬきうどん780円と、とりの唐揚げ定食850円。
難航の理由は、武蔵野うどん系の地粉うどんであれば肉うどんにするべきではないかという命題が急浮上したためであるが、おかみさんに聞いたところメニューにある肉うどんとは武蔵野系によくある付け汁タイプではなく温かい汁うどんとのこと。
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蒸し暑い梅雨の時期、運動のあと汁うどんはさすがに食指が働かないと(西武柳沢から3.5km歩いてきた)。
店内にはサラダうどんの品書きが張り巡らされていて、そういう推しの強いメニューを頼むべきだったかとあとで思った。

まずやって来た唐揚げ定食に驚いた。
ボリューム、すごくない…?

各テーブルの扇形の品書きといいおかみさんの物腰といい、上品な民芸調和食系統というふうに印象を書き換えていたので、この見た目は驚き。
唐揚げ1個、箸で持ち上げて、二度驚かされた。
これ全部、1cmに満たない薄切りの唐揚げなのである。

僕はこういう鳥の唐揚げに出会ったことがないから驚いたのだが、考えてみれば理にかなっている。唐揚げは塊で揚げるから火の通しが難しいのであって、こういう薄さならば仕上がりの均質化が図れる。
食欲をそそる香りも強く、しっかり味がのってたいへんおいしい。
上品系というか、これは繊細でていねいな仕事である。

うどんはパッと見、太さが不均一でよじれが入るという、武蔵野台地のこのあたりの手打ちうどんの特徴そのもの。
食べてみると、小麦は香るが食感はかなり軽いという、それはそれで個性的なうどんである。
汁は甘味系の甘さはなく、しっかりだしのうま味が効いている。
野菜が多いところは、イチオシのサラダうどんでなくてもヘルシー志向に力点を置いていることの表れかも。

配膳のあと、入れ直したお茶をついでくれ、食後ていねいにカットされたフルーツがサービスで出され… と、ヘルシー志向を含め、ホスピタリティの高いお店だと思った。
2度目のお茶のサービス以外は奥に下がったままというのも、客としてはくつろげていい。

お支払いで厨房に声を掛けると、お二人は立ったまま『NHKのど自慢』を鑑賞中。
どうりでホールに出てこないわけだ(笑)。
…というのんびりムードもまたいいわけで。

[DATA]
ひらの
東京都練馬区南大泉3-29-10
[Today's recommendation]


◆ 猫写真はこちら その1 その2 その3 ◆

https://youtu.be/JyXHxh3Sye0
https://youtu.be/FOzaVpgeHJg