夢幻のごとき過日の面影 【食堂 蘭】
2019.05.22
清瀬市北西部の旭が丘団地は入居開始が1967年と、築年数50年超の物件である。
2016年公開の是枝裕和監督作品『海よりもまだ深く』の舞台として知られ、監督自身9歳から28歳までこの団地で暮らしていたという。
駅から遠く便利とはいえないが、それゆえに“自前の”立派な商店街を備えている。いや、備えていた、というべきか…。
今回取り上げる「食堂 蘭」は、この衰退商店街の真ん中にひっそりたたずむ食堂遺産である。

左が東京都清瀬市、右が埼玉県新座市
ブログ記事をつくるにあたり基本情報を調べて初めて知ったが、ここには都県境が引かれていて、道を挟んで団地側が清瀬市、商店街側が新座市になる。
人々は、清瀬市から新座市にラーメン食べに行ったり、新座市から清瀬市に寿司を出前したりしている。埼玉県の小児科にかかって東京都の薬局で薬出してもらったり、東京都の郵便局で買ったハガキを埼玉県のポストに投函したりしているわけである。
まあ実際に生活している分にはそんなことはどうでもいいとは思うが。


このあたりをたまに自転車でうろついたりしていたのはもう20年も前のことだろうか。
そのころすでにだいぶくたびれていたように記憶しているが、それでもいまよりずっとお店も人出も多かった。

ショッピングモール(これは清瀬市側)内の去年倒産した「スーパーナカヤ」はシャッターを下ろしたままで後継テナントも決まらず、衰退ぶりを強く印象づけている。
で、このスーパーの場所、以前は「クイーンズ伊勢丹」だったと記憶しているが、本当だろうか σ(・・?) ホエ…?
こんなとこにクイーンズがあったはずないんじゃないの…? と考えだすと、自分の記憶にまったく自信が持てなくなる。
キツネやタヌキに化かされでもしていたかのようで。



最近まで営業していた表通りの中華屋も今回見たらなくなっていた。
飲食店で残っているのは、すし屋2軒と焼き肉屋とうどん屋と、この「食堂 蘭」くらいだろうか。

「食堂 蘭」の店頭メニューで特徴的なのが曜日サービスで、水曜日の今日はチキンカツ、からあげ、アジフライ、コロッケ、もつ煮の各定食が690円。

メニューを確認のうえ、入店。

店内は10席足らずのL字カウンターのみ… と思ったら、壁に備え付けの小さいテーブルというかカウンターというか、そちらも一応2人席として利用可。
スタッフはご夫婦と思われる年配のお二人。

サービスの下げ幅が大きくいちばんオトクなのが770円→690円のアジフライだが、無難な感じのからあげを注文。
おかあさんが揚げ鍋に火を入れる。

一膳飯屋とか一杯飲み屋のようなものをイメージしていたが、壁のていねいなレタリングの品書きを見ると、エビフライ、コロッケ、カレーライス、ナポリタン、ミートソース… と、ベースは洋食屋だろうか。
実際、途中で奥から出てきて調理を交代したご主人は、ビシッと白いシェフスーツをまとっている。

からあげは小ぶりがごろごろ。このタイプにありがちな揚げすぎということもなく、しっとりジューシー。
付け合わせの具なしナポリタンが洋食屋origin説を裏づけるようだ。

でも、何げにご飯がおいしい。
何かの葉っぱのしょうゆ漬けのような小鉢の漬物も自家製じゃないだろうか?

食後はコーヒー or 紅茶 or ウコン茶(この日はなし)が付くというサービスのよさ。
食べるスピードがこういう場所では速すぎると自覚せざるを得ず、店を出れば相対論的時間軸のズレがいくばくかは生じているんじゃないかと、あたりを見回してみるのである。

[DATA]
食堂 蘭
埼玉県新座市あたご3-7-3
[Today's recommendation]


◆ 猫写真はこちら その1 その2 その3 ◆

https://youtu.be/SZgIk2b68gQ
https://www.youtube.com/watch?v=ZDglQDpqqAM
清瀬市北西部の旭が丘団地は入居開始が1967年と、築年数50年超の物件である。
2016年公開の是枝裕和監督作品『海よりもまだ深く』の舞台として知られ、監督自身9歳から28歳までこの団地で暮らしていたという。
駅から遠く便利とはいえないが、それゆえに“自前の”立派な商店街を備えている。いや、備えていた、というべきか…。
今回取り上げる「食堂 蘭」は、この衰退商店街の真ん中にひっそりたたずむ食堂遺産である。

左が東京都清瀬市、右が埼玉県新座市
ブログ記事をつくるにあたり基本情報を調べて初めて知ったが、ここには都県境が引かれていて、道を挟んで団地側が清瀬市、商店街側が新座市になる。
人々は、清瀬市から新座市にラーメン食べに行ったり、新座市から清瀬市に寿司を出前したりしている。埼玉県の小児科にかかって東京都の薬局で薬出してもらったり、東京都の郵便局で買ったハガキを埼玉県のポストに投函したりしているわけである。
まあ実際に生活している分にはそんなことはどうでもいいとは思うが。

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このあたりをたまに自転車でうろついたりしていたのはもう20年も前のことだろうか。
そのころすでにだいぶくたびれていたように記憶しているが、それでもいまよりずっとお店も人出も多かった。

ショッピングモール(これは清瀬市側)内の去年倒産した「スーパーナカヤ」はシャッターを下ろしたままで後継テナントも決まらず、衰退ぶりを強く印象づけている。
で、このスーパーの場所、以前は「クイーンズ伊勢丹」だったと記憶しているが、本当だろうか σ(・・?) ホエ…?
こんなとこにクイーンズがあったはずないんじゃないの…? と考えだすと、自分の記憶にまったく自信が持てなくなる。
キツネやタヌキに化かされでもしていたかのようで。

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最近まで営業していた表通りの中華屋も今回見たらなくなっていた。
飲食店で残っているのは、すし屋2軒と焼き肉屋とうどん屋と、この「食堂 蘭」くらいだろうか。

「食堂 蘭」の店頭メニューで特徴的なのが曜日サービスで、水曜日の今日はチキンカツ、からあげ、アジフライ、コロッケ、もつ煮の各定食が690円。

メニューを確認のうえ、入店。

店内は10席足らずのL字カウンターのみ… と思ったら、壁に備え付けの小さいテーブルというかカウンターというか、そちらも一応2人席として利用可。
スタッフはご夫婦と思われる年配のお二人。

サービスの下げ幅が大きくいちばんオトクなのが
おかあさんが揚げ鍋に火を入れる。

一膳飯屋とか一杯飲み屋のようなものをイメージしていたが、壁のていねいなレタリングの品書きを見ると、エビフライ、コロッケ、カレーライス、ナポリタン、ミートソース… と、ベースは洋食屋だろうか。
実際、途中で奥から出てきて調理を交代したご主人は、ビシッと白いシェフスーツをまとっている。

からあげは小ぶりがごろごろ。このタイプにありがちな揚げすぎということもなく、しっとりジューシー。
付け合わせの具なしナポリタンが洋食屋origin説を裏づけるようだ。

でも、何げにご飯がおいしい。
何かの葉っぱのしょうゆ漬けのような小鉢の漬物も自家製じゃないだろうか?

食後はコーヒー or 紅茶 or ウコン茶(この日はなし)が付くというサービスのよさ。
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食べるスピードがこういう場所では速すぎると自覚せざるを得ず、店を出れば相対論的時間軸のズレがいくばくかは生じているんじゃないかと、あたりを見回してみるのである。

[DATA]
食堂 蘭
埼玉県新座市あたご3-7-3
[Today's recommendation]


◆ 猫写真はこちら その1 その2 その3 ◆

https://youtu.be/SZgIk2b68gQ
https://www.youtube.com/watch?v=ZDglQDpqqAM