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各地の古民家を再生・保存 【川崎市立日本民家園】

2023.10.29

 テレビは公共放送のニュース+α、ブラウザ(Edge、Chrome)のホーム画面はGooglehttps://www.google.com/と過度な情報インプット回避の生活を送るワタクシにとって貴重な情報源がInstagram。たしかに広告は多いが、ササッとスクロールすればよいので、いまのところさほどストレスには感じない。

最近インスタで知ったスポットの一つが「川崎市立日本民家園」。
川崎市多摩区の生田緑地に位置し、ホームページには“急速に消滅しつつある古民家を永く将来に残すことを目的に、昭和42年に開園”とある。
僕らは1987年から10年ほど川崎市に住んでおり、生田緑地のある多摩丘陵には遊び場がたくさんあってよく知っているつもりでいたが、この施設は記憶にない。
昭和42(1967)年ということはそのころとっくに開園していたわけで、いまとの興味の対象の違いとしか言いようがないが。


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ということで、たぶん最近初めて知った「日本民家園」へ。


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生田緑地東口駐車場から少し上ると日本民家園本館。
こちらが券売所で、館内は展示室(常設・企画)および売店となっている。


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本館横手へ出るとさらに上り坂で、その先が古民家屋外展示。


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自然の地形を生かしたレイアウトで峠の宿場の趣が醸し出され、いきなりタイムスリップ的にグッと引き込まれる感覚。


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以下、順路(👆案内図参照)に沿って建物の写真を載せていく。
※解説は説明板の書き起こし・改変(詳細は川崎市教育委員会HPをご参照ください)



0 原家住宅
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次々回掲載予定


鈴木家住宅
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※以下、説明板👆の様式で諸元・解説を記載


井岡家住宅
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■神奈川県指定重要文化財/■奈良県奈良市下高畑町/■商家/■切妻造、桟瓦葺、一重、一部二階、桁行7.9m、梁行12.7m/■17世紀末期~18世紀初期/💡奈良の柳生街道に面した商家。古くは油屋を営み、のちに線香屋としてその製造・販売を行った。外観は正面に庇を設け、つり上げ式の大戸、格子、揚見世を備えており、商家の面影を伝えている。


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佐地家の門・供待
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■川崎市重要歴史記念物/■愛知県名古屋市東区白壁/■武家屋敷付属建/■門=棟門、桟瓦葺、塀=延長10.5m、桟瓦葺 / 供待=入母屋造、桟瓦葺、 桁行4.6m、梁行9.2m/■19世紀初期/💡元は名古屋城の東南にあり、禄高250石の武家屋敷の出入り口だった。主屋は名古屋に残されたため、④の三澤家住宅を母屋に見立てて配置されている。


三澤家住宅
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■神奈川県指定重要文化財/■長野県伊那市西伊那/■商家(薬種問屋→旅籠)/■切妻造、石置板葺、一重、一部二階、桁行13.6m、梁行12.7m/■19世紀中期/💡中山道から分かれる伊那街道の宿駅・伊那部宿にあった建物。農業を主とし、代々組頭を務めていたが、江戸時代末に製薬・売薬業を始めて成功。


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水車小屋
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■川崎市重要歴史記念物/■長野県長野市大字上ケ屋/■水車小屋/■寄棟造・妻入り、茅葺、桁行4.5m、梁行4.2m/■19世紀中期/💡飯縄山の豊富な水に恵まれた長野県旧芋井村の池平という集落にあったもので、「クルマヤ」と呼ばれていた。


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佐々木家住宅
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■国指定重要文化財/■長野県南佐久郡佐久穂町畑/■農家(名主の家)/■寄棟造、一重、一部中二階、茅葺、桁行24.1m、梁行7.3m/■享保十六年(1731)、延享四年(1747)に座敷普請/💡名主の家で、長大で軒が高く、中二階の採光のため屋根の東側を“かぶと造”としている。外観の特徴のほか、普請帳や記録によって家の歴史がわかる点で重要。


江向家住宅
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■国指定重要文化財/■富山県南砺市上平細島/■農家(組頭の家)、合掌造/■切妻造、妻入、茅葺、一重三階、桁行19.6m、梁行8.5m/■18世紀初期/💡岐阜県白川地方とともに合掌造で知られる富山県五箇山地方の建物。五箇山でも庄川本流と支流・利賀谷では違いが見られ、この建物は庄川本流系で“妻入”“正面に茅葺の庇を付けた入母屋造風”“田の字形の四間取り”といった特徴を持つ。


山田家住宅
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■神奈川県指定文化財/■富山県南砺市桂/■農家、合掌造/■切妻造、一重三階、茅葺、桁行14.9m、梁行9.5m/■18世紀初期/💡五箇山の最奥に堺川を挟んで向き合う2つの集落、岐阜県加須良(かずら)と富山県桂(かつら)。ダム湖底に沈んだ桂にかつてあった5戸のうちの一つがこの山田家。五箇山にありながら白川村に通じる特徴がある。


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野原家住宅
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■神奈川県指定重要文化財/■富山県南砺市利賀村利賀/■農家(組頭の家)、合掌造/■切妻造、一重三階、各面とも庇付、茅葺、桁行17.5m、梁行10.6m/■18世紀初期/💡庄川支流・利賀谷では同じ五箇山でも間取りなどに違いが見られ、この家は“平入”“広間型三間取り”となっている。


山下家住宅
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■神奈川県指定重要文化財/■岐阜県大野郡白川村長瀬/■農家、合掌造/■切妻造、一重三階、茅葺、正面庇付、石置き板葺、桁行18.2m、梁行10.9m/■19世紀前期/💡鍵座敷を持つ典型的な白川系合掌造。1958年に川崎駅近くに移築され観光料亭として活用されていたものを70年当園に再移築という経緯があり、復元されていない箇所がある。階段は料亭時代のもの。

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次回掲載


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作田家住宅
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※保存修理中


沖永良部の高倉
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■川崎市重要歴史記念物/■鹿児島県大島郡和泊町/■倉/■寄棟造、茅葺、桁行2.7m、梁行2.5m/■19世紀後期/💡脚柱の上にのる倉“高倉”は、いまでは飛騨高山や秩父などの山間部のほか、沖縄、奄美、八丈などの島しょ部に多く残されている。屋根裏が農作物などの貯蔵庫。


広瀬家住宅
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■神奈川県指定重要文化財/■山梨県甲州市塩山上萩原/■農家/■切妻造、茅葺、桁行14.5m、梁行8.9m/■17世紀末期/💡甲府盆地の民家は切妻造の妻壁に柱を見せ、屋根中央を“突き上げ二階”とする形式が知られている。屋根裏を養蚕に利用し始めたことにより、突き上げ二階とした。

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民具製作技術保存会の展示が行われており、竹製品を2品買う


太田家住宅
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■国指定重要文化財/■茨城県笠間市片庭/■農家(名主の家)、分棟型/■主屋=寄棟造、茅葺、桁行9.6m、梁行8.3m / 土間=寄棟造、妻入、茅葺、桁行10.0m、梁行8.3m/■主屋=17世紀後期 / 土間=18世紀後期/💡2棟が軒を接して建つ、分棟(ぶんとう)型の民家。土間の右手が馬屋、左手が主屋。


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北村家住宅
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■国指定重要文化財/■神奈川県秦野市堀山下/■農家(名主の家)/■寄棟造、茅葺、桁行15.6m、梁行8.9m/■貞享四年(1687)、墨書/💡建築年代がはっきりしていることが特筆され、建築としても非常に優れており、日本で最も重要な民家の一つ。建築年代は柱の先端に墨で記されていた。


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清宮家住宅
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■神奈川県指定重要文化財/■神奈川県川崎市多摩区登戸/■農家/■寄棟造、茅葺、桁行13.6m、梁行8.2m/■17世紀後期/💡屋根の頂上を土の重さで押さえ、土が落ちないようにイチハツという植物が植えてある。5月には花が咲く。


伊藤家住宅
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■国指定重要文化財/■神奈川県川崎市麻生区金程/■農家(名主の家)/■入母屋造、茅葺、桁行16.4m、梁行9.1m/■17世紀末期〜18世紀初期/💡民家園誕生のきっかけとなった川崎の民家。※保存修理中


蚕影山祠堂
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■川崎市重要歴史記念物/■神奈川県川崎市麻生区岡上 東光院内/■宮殿および覆堂/■
宮殿=一間社春日造、向唐破風造、こけら葺 / 覆堂=正面入母屋造、背面寄棟造、茅葺、桁行4.6m、梁行2.7m/■文久三年(1863)、宮殿棟札/💡川崎市麻生区の東光院境内にあったもので、養蚕の神“蚕影山大権現”を祭った宮殿と、その覆堂(さやどう)からなる。※保存修理中



岩澤家住宅
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■神奈川県指定重要文化財/■神奈川県愛甲郡清川村煤ヶ谷/■農家(名主の家)/■入母屋造、茅葺、桁行14.5m、梁行7.3m/■17世紀末期/💡名主も務めた農家の家。谷間の斜面に敷地を開き、江戸時代は炭焼きを中心に焼き畑農業や林業に従事していた。


船越の舞台
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■国指定重要有形民俗文化財/■三重県志摩市大王町船越/■歌舞伎舞台/■正面入母屋造、背面切妻造、桟瓦葺、一部二階、桁行9.1m,梁行10.8m/■安政四年(1857)、墨書/💡船越は海女漁で栄えた漁村で、この舞台は集落の鎮守・船越神社境内にあった。毎年旧暦6月の祭礼に芝居が奉納された場所。


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菅の船頭小屋
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■川崎市重要歴史記念物/■神奈川県川崎市多摩区菅/■船頭小屋/■妻造、杉皮葺、桁行1.8m、梁行1.8m/■昭和4年(1929)/💡川崎市菅と東京都調布を結ぶ多摩川の渡船場「菅の渡し」にあった船頭小屋。


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工藤家住宅
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■国指定重要文化財/■岩手県紫波郡紫波町舟久保/■農家(名主の家)、曲屋/■寄棟造、茅葺、桁行19.2m、梁行11.1m/南面に馬屋突出、寄棟造、茅葺、桁行7.6m、梁行6.3m/■宝暦(1751〜1763)ころ/💡主屋の前に馬屋を突出させたL字形の民家は旧南部藩領に多いことから、“南部の曲屋”として知られている。


菅原家住宅
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■神奈川県指定重要文化財/■山形県鶴岡市松沢/■農家(肝煎の家)/■寄棟造(高ハッポウおよびハッポウ付き)、妻入、一部二階、背面庇付、茅葺、桁行15.8m、梁行9.6m/■18世紀末期/💡湯殿山麓の田麦俣集落や大鳥川流域には“ハッポウ造”と呼ばれる民家が分布。これは養蚕のため屋根に高窓(ハッポウ)や切上窓(高ハッポウ)を設けたもの。



――東日本の代表的な民家をはじめ、水車小屋・船頭小屋・高倉・歌舞伎舞台など25件の建物をみることができます。この25件全てが国・県・市の文化財指定を受けており、民家に関する民俗資料なども収蔵し、日本を代表する古民家の野外博物館の一つとなっています。「古民家紹介」川崎市立日本民家園HPより)

(つづく)


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[DATA]
川崎市立日本民家園
神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-1
https://www.nihonminkaen.jp/
https://twitter.com/KNihonminkaen





[Today's recommendation]


https://youtu.be/ot8P5sUQ96Q?si=iYBtQABtf98PqG2y



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次号予告


飛鳥山にて財政に思いを致す 【旧渋沢庭園】

2023.10.08

 「王子に行く」という。
気になる玉子焼きのお店があるんだとか。

ふーん、その玉子焼き屋どこらへんだろう… と、なにげなく地図を見て驚いた。
玉子カレーうどん、玉子珈琲焙煎所、玉子ビアガーデン…
あっちにも玉子、こっちにも玉子、この街はタマゴだらけなのだ。

居酒屋一休 玉子店、吉野家 玉子東店、ファミリーマート 玉子駅前店……
(だれか止めてください…💦)

玉子、もとい、王子は車では2~3度通ったことがあるが、駅を降りるのは初めて。
それどころか北区に足を踏み入れるのはこれが最初じゃないだろうか。
ちなみにうちのチビ猫は北区で保護されたとのことで、その好戦的な性格から“赤羽の白い稲妻”の異名をとる。

縁がないながらも王子の飛鳥山の存在は知っており、江戸の名勝ということでいつか行ってみたいと思っていた。


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土地勘がないため南口というマイナーな改札を出てしまい、そのまま跨線人道橋を渡って直接飛鳥山へ。


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行ってみると、飛鳥山はものすごい人出である。
なんと、「ふるさと北区 区民まつり」という“区内最大級のイベント”の真っ最中なのだった。


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江戸情緒など期待したわけでもないが、こう人が多くちゃかなわんなぁ…
と、自然、人を避けるように公園出口方向に歩いていると、左手にいかめしい鉄扉を備えた緑豊かな一角。
「旧渋沢庭園」とある。


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渋沢とはもちろんあの渋沢。
次期一万円札の顔の大役を担う近代日本経済の父・渋沢栄一である。


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――近代日本経済の基礎を作った渋沢栄一は、設立に尽力した王子製紙(設立当時は抄紙会社)の工場を眼下に見守ることができる飛鳥山に、邸を構えました。1879年(明治12)からは内外の賓客を招く公の場として、その後1901年(明治34)から亡くなる31年(昭和6)までは家族と過ごす日常の生活の場としても使用し、「曖依村荘(あいいそんそう)」とも呼ばれ、栄一もこの地をこよなく愛していました。「飛鳥山とは」飛鳥山3つの博物館HPより)


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庭園内には大正期の2つの建物「晩香廬(ばんこうろ)」と「青淵文庫(せいえんぶんこ)」が当時の姿のままに残されており、国の重要文化財に指定されている。

見学には入館料がかかるので(2館共通で300円)、ビンボーにつき写真は外観のみ (〃 ̄ω ̄〃ゞ


晩香廬

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青淵文庫

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現在、整備工事中

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青淵文庫と芝生を挟んだ対面の位置に「山形亭跡」の説明板がある。
背後の建物がそういうものかと思ったらそうではなく、ただの跡地らしい。


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その背後のあたりに「飛鳥山おみやげ館」というものがある。
見た目はKiosk風というかコンビニ風というか、味気はないが…


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正式名称を「渋沢×北区 飛鳥山おみやげ館」といい、グッズなどやはり渋沢アイテム中心の品ぞろえのお土産屋さんである。


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※許可をいただいて撮影


いろいろ面白いものが並べてあり、たとえば“驚きの青いカレー”「青淵カレー」なんか相当気になるが、レトルトカレーに648円はちょっと… というように、全体にお高い。

まあ、さっきも入館料300円×2シブッたり、新一万円札の顔というお金の神様みたいなお方を前にそんなセコいこと言ってるから、いつまでも金運が向かないという ( ̄- ̄;) ンー


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えー、気を取り直して。


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都電もなかというものがあり、これは聞いたことがある。
「都電もなか5輛入 飛鳥山おみやげ館限定品」


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王子は東京さくらトラム(都電荒川線)の要衝駅である。
いいお土産が買えた。

(つづく)


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[DATA]
旧渋沢庭園
東京都北区西ヶ原2-16-1
https://www.shibusawa.or.jp/museum/facility/





[Today's recommendation]


https://youtu.be/EpMn-5d0n3Q?si=nejjbMch0mT7fGoD



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赤羽の白い稲妻⚡



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次号予告


明治期の伝統的民家建築 【旧内田家住宅】

2023.10.01

 「石神井公園の中のふるさと文化館っていうんだけど」
「ん? どこだろう」とスマホをのぞき込む。「あー、はいはい。よく通るわ」

本日のお出かけ候補。
石神井公園を南北に貫通する通り(下石神井大泉線)沿いの公園南の小高いところにある小ぎれいな施設。
いかにもハコモノというたたずまいでこれまで関心が向かなかったが、ハコモノだとてそうばかにしたものじゃない… ということに最近気づき始めている。

自転車でGo!


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「石神井公園ふるさと文化館」の建物前で駐輪場を探していると、施設内にうどん屋の看板。
なんと、ハコモノはハコモノでも、飲食店付きというワンランク上のハコモノなのだった。

駐輪場は通りから奥まった位置にあった。
自転車を止め文化館裏口に向かおうとすると、左手に立派な茅葺き屋根が見える。


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「え…? すごくない? これ」
「だからこれが見たかったんだってば」

てっきり文化館の企画展か何かが目的と思っていた。
それにしてもいろいろ侮れじ! 石神井公園ふるさと文化館✨


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こちら「旧内田家住宅」、元は練馬区中村にあった建築物で、ふるさと文化館の屋外施設として2010年、隣接する「区立池淵史跡公園」に移築・復元されたもの。


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池淵史跡公園。下左:馬頭観音(1803)・庚申塔(1720)、下右:庚申塔(1727)・庚申塔(1818)・庚申塔(1765)


池淵史跡公園は、石神井川と三宝寺池に挟まれて東西に長く延びる台地上にある旧石器~縄文・弥生~中世の遺跡「池淵遺跡」を埋め戻し整備された公園で、2010年開園。
縄文中期の竪穴住居跡のほか、区内各所にあった庚申塔や馬頭観音など江戸時代の石造物も配置されている。


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「旧内田家住宅」は池淵史跡公園のメイン施設で、桁行8.5間(15.3m)、梁間5.5間(10.9m)の整形四間取りの主体部と、その北西部に張り出す角屋(桁行4.4m。梁間6.4m)からなる茅葺きの寄棟造。


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小屋裏で見つかった文書や伝聞などから、明治20年代初頭の建築と推定され、一部に江戸時代の古材も使われている。
部分的な改造はあるが、建築当初の主要な部材や構造、形式を良好にとどめた、練馬区内に現存する数少ない伝統的民家建築である。


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玄関から前座敷、下座敷

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前座敷(左)、下座敷(右)

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下座敷から奥座敷

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床の間では季節ごとに床飾りが行われる

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奥座敷から下座敷、庭を望む

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ボランティアのガイドの方にいろいろお話を伺った。
驚くことに、移築の際の解体直前の2007年ころまで、所有者はいつでも使えるように手入れを続けていたという。
板の間は使い勝手よく壁で小部屋に仕切られていたそうだ。

23区内の古民家暮らしとはなんとぜいたくな…! というのは部外者のお気楽な考え。
「天井がないのでエアコンが使えないし、蚊がものすごく湧くし…」というのは、記録的猛暑の間ここに詰めていた方の本音だろう。


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西の廊下

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板の間

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板の間には囲炉裏

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土間

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勝手口の井戸

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裏から


それでもやっぱり、23区内とは思えない、このぜいたくな景色。

(つづく)


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[DATA]
旧内田家住宅
東京都練馬区石神井町5-13 区立池淵史跡公園内
https://www.neribun.or.jp/archive/detail.cgi?id=10308





[Today's recommendation]


https://youtu.be/OnqWXOV7K-I?si=suEmx4FfPjNmDSzU



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次号予告


古河藩重臣のための屋敷 【鷹見泉石記念館】

2023.09.20

 NHK朝ドラ『らんまん』が来週最終回を迎える。
植物好きとしては放映開始前から楽しみで、「牧野記念庭園」を訪れたりしていたわけだが、ドラマの本筋以上に面白かったのが“八犬伝好き”という主人公妻のキャラクター設定。
牡丹のあざの化粧シーンで一発でハートをわしづかみにされた、“新八犬伝世代”ド真ん中なわしら。

今年3月21日朝、6時のニュースからの流れで連続人形劇『新八犬伝』のアーカイブ放送が始まり、「早起きは三文の得!」などとガッツリ視聴してその日の高尾山行きが遅れ、駐車料金で1000円ほど損をこく。
そればかりか「高尾山やめて古河に行くというのはどうだろう?」等の不規則発言を繰り返していたともいわれる。

それほどわれわれ世代を魅了してやまない『新八犬伝』とは何か…? は調べてもらうとして、なぜ古河か。

古河は滝沢馬琴作『南総里見八犬伝』の舞台の一つ。
古河御所(古河城)内の利根川に面して築かれた3層の物見櫓“芳流閣”(架空の設定)の屋根上で八犬士の犬飼現八と犬塚信乃が相まみえる“芳流閣の決闘”は、八犬伝屈指の名場面とされ、歌川国芳や月岡芳年など多くの絵師がこの場面を題材にとった作品を残している。
八犬伝といえば古河、古河といえば八犬伝なのである。

ちなみに犬飼現八こそが頬に牡丹のあざの人物であり、犬塚信乃は八犬士でも断トツの人気キャラである(館山市立博物館「南総里見八犬伝総選挙」中間発表参照)


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最近読んだ児童向け『南総里見八犬伝 全4巻』(滝沢馬琴〈著〉、浜たかや〈著〉、山本タカト〈イラスト〉、偕成社、2002)


春のお彼岸から秋のお彼岸へと季節は移ろう。
古河は相方の実家に近く、実家のついでみたいな展開にならざるを得ず、なかなか機会がなかった。

古河城は平安末期または鎌倉初期の築城とされ、室町時代に古河公方・足利成氏が本拠として以降、戦国時代の関東における中心の一つとなった。江戸時代には古河藩庁が置かれ、行政機能を担うとともに将軍の日光社参時の宿としても機能したが、明治の廃城令により廃城となり、明治末に開始された渡良瀬川改修工事により残された城跡も大半が消滅。
遺構としては、頼政神社(錦町)、桜町曲輪北側土塁(桜町)、古河歴史博物館(出城(諏訪曲輪)跡)(中央町)、福法寺山門(中央町)、坂長(中央町、次回掲載)などがある。


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古河歴史博物館の駐車場に車を止める。


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まだまだ残暑厳しく遺構巡りは難しそうだが、今回は下見ということで。
歩き始めてすぐ、武家屋敷風の板塀と長屋門が出現。


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「鷹見泉石記念館」とある。
“入場無料”とも。


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母屋は竹林に囲まれた藁葺きの趣ある武家屋敷である。


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鷹見泉石(1785-1858)は江戸時代の蘭学者であり、家老として藩主・土井利位に仕えた古河藩士。譜代大名として代々幕府の要職を歴任した藩主に近侍して全国各地へ同行し、職務の補佐に務めた。
対外危機意識の高まる幕末、早くから海外事情に関心を寄せ、地理、歴史、兵学、天文、暦数などの文物の収集に努めた。
また、主君・土井利位が雪の結晶を観察してまとめた『雪華図説』の編集にも携わる。


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――鷹見泉石記念館は古河藩が藩士たちのために用意した武家屋敷の一つで、隠居後もっぱら蘭学にいそしんだ鷹見泉石が最晩年を送った家と伝わります。建物は寛永10年(1633)古河城主土井利勝が、古河城の御三階櫓を造ったときの余材を使って建てたと伝えられます。もとの建坪は100坪もあり(現在の2倍以上)、屋敷全体は東西に長い他に比べて一段と広大な(現在の4倍以上)ものでした。(古河市HP「鷹見泉石記念館」より)


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1990年、改修して「鷹見泉石記念館」として開館。
現在はお茶席、雛飾りや5月人形などの飾り付けのほか、映画・ドラマ・CMの撮影などにも活用されているようだ。


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勝手口を出たところにある井戸の向こうに塀と門があり、その先は別施設となる。

(奥原晴湖画室「繍水草堂」👇へつづく)


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[DATA]
鷹見泉石記念館
茨城県古河市中央町3-11-2
https://www.city.ibaraki-koga.lg.jp/soshiki/rekihaku/kinenkan.html





[Today's recommendation]


https://youtu.be/Qggz2aunXMc?si=_DwJwJOPYBe5a96L



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古河出身の女流南画家

2023.09.20 奥原晴湖画室「繍水草堂」/茨城県古河市中央町3-11  https://www.city.ibaraki-koga.lg.jp/soshiki/rekihaku/seikogashitsu.html

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奥原晴湖(1837-1913)は古河出身の南画家で、東京上野や埼玉県熊谷などを活動の拠点とした。


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晴湖没後、主を失った画室は、晴湖のおいに当たる池田多喜雄氏によって誕生地である池田家の屋敷地内に移される(1929年)。2008年、晴湖の子孫に当たる故奥原ミチ子氏の遺志により、奥原晴湖画室の寄付申し入れがあり、歴史博物館南側に移築された。

(つづく)


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門前の繁栄の面影 ――巌殿観音参道

2023.07.30

 不要不急の外出は控えるようにと言われても、熱中症よりも家に閉じこもらされることのほうに危険を感じるワタシ。
家は小さく狭い。
閉所恐怖のケがある ( 〃 ̄ω ̄〃ゞウーム

1週間前はまだマシだった。
栃木県佐野市に出かけた7月23日、家から最寄りのアメダス練馬観測所の最高気温は34.2℃と、なんとか猛暑日を免れていた。
翌24日の35.7℃以降、連日このありさまだ。

出遅れたら家に閉じこもらざるを得なくなりそうで、Googleマップで必死に脱出先を探すワタシ。

東松山市に巌殿山正法寺(通称:岩殿観音)という寺院があり、その東方に延びる道に“巌殿観音参道”というピンが立っている。
ピンが立つ参道というのもなかなか珍しい。

――仁王門から東にまっすぐに延びる表参道の両脇には家が建ち並んでおり、かつての正法寺と門前町の繁栄の面影を残している…「正法寺 (東松山市)」Wikipediaより、最終更新 2022年12月12日04:15)

参道、門前、繁栄、面影… といった連想ワードに弱い。
Googleマップの写真を見ると緑豊かな山寺という風情で、涼しげでもある。


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県道343号岩殿岩井線からトンネルを抜けて観音堂へ下る裏参道。トンネルの上に駐車場がある


岩殿観音正法寺公式サイトには丁寧かつわかりやすい交通アクセスの説明があり、裏参道側の駐車場へ。
駐車場脇のトンネルをくぐって少し下ると観音堂。
その先の石段上からの眺めが素晴らしい。


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山門(仁王門)越しに表参道をはるか先まで望むことができる。
ここはやはり正式なお参り順を踏まねばなるまい。


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ということで、表参道入り口の惣門橋へワープ。


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ここから仁王門まで約630m。


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――…門前町の繁栄の面影を残しているが、実際に商店の建物のまま残っているのは丁字屋旅館(江戸時代から昭和初期まで営業していた)と向かいのうどん屋(2000年頃に丁字屋が運営していた)のみである。(Wikipedia)


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――門前通り:岩殿観音の表参道。かつては六十六の僧坊が並び、その後は門前町として栄えた。軒に掲げられた屋号は明治期のもの。(岩殿観音正法寺公式サイト)


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商店や宿坊の面影はほぼ残っていないが、軒に掲げられた表札の屋号から各家のかつての生業が知れ、寺院と門前町の往時のにぎわいに想像を巡らせることができる。


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正法寺“四万六千日(しまんろくせんにち)”の縁日に当たる8月9日、門前町の各戸が灯籠を奉納する「岩殿とうろうまつり」が催される。


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かつて縁日にはそうやって参道に灯籠が灯されていたといい、15年前から岩殿自治会により“復活”開催されている。
四万六千日に参拝すれば一生分の御利益があるとされ、とうろうまつりは多くの参拝客でにぎわうそうだ。

夏の夕べ、訪れた人を幽玄の世界へといざなう。


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表参道のいちばん奥、唯一かつての建物のまま残されているという「丁字屋」


それにしても暑い。
夏の夕べならともかく、炎天下の門前巡りは、幽玄ならぬ朦朧の境地。
この日全国の最高気温は埼玉県鳩山町の39.6℃。
ここは東松山市だが、裏参道駐車場から200m足らずで鳩山町なのであった😅

(つづく)


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仁王門


[DATA]
巌殿観音参道
埼玉県東松山市岩殿1473





[Today's recommendation]


https://youtu.be/YoMRp3P8d_g



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次号予告


貴重な近代建築遺構 【旧黒須銀行】

2023.06.24

 前々記事「入間市博物館 ALIT」の入り口に国の登録有形文化財「旧石川組製糸西洋館」のポスターが張ってあり、名義がALITであることから、西洋館の管理・運営も当博物館が行っていることがわかる。

その横にもう一枚“旧”の付く管理物件のポスター。
旧石川組製糸西洋館が強く印象に残っているだけに、こっちも期待が持てる。


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「入間市博物館 ALIT」の入り口に張られていたポスター


その「旧黒須銀行」、まだ整備途中のようで、公開日は今年わずか4回。
パンフレットによれば“入間市指定文化財「旧黒須銀行」復元工事開始までの特別公開”。
その4回のうちの1回がたまたま2日後というけっこう確率の低い偶然で、せっかくの機会なので行ってみることに。

というか、土曜日は最近わりと孤独で、暇つぶしに自転車で出かけるのにちょうどいい距離感(直線距離12kmほど)である。


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――明治42年(1909)5月に黒須銀行本店として建設された土蔵造り二階建で、寄棟造り瓦葺の建物です。建築史的には、明治期の地方銀行に多く見られた洋風土蔵造りであることや、現存する土蔵造り銀行建築が希少であることから、貴重な近代建築遺構とされています。(ALIT HP > 明治時代の銀行建築「旧黒須銀行」より)


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さらに社会経済的背景などは上記リンク先を参照されたい。


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1階は銀行窓口で、カウンター奥に人(スタッフ)が多くて写真を撮れなかったが💦 窓口業務ならぬお菓子の販売などが行われていた。


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左手の急階段を上った2階は仕切りのない広いスペースで、奥にステージが設けられている。
蓄音機や実演による“「くろぎん茶屋」で聴く入間の民謡・お茶のうた”の会場らしい。


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ゆがんだガラス窓を通してひずんだ風景が懐かしい


建物裏も“倉庫跡ひろば”と銘打ってイベントが催されており、こちらも食べ物屋さんの屋台が出ている。


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建屋裏面

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建物自体は内外とも崩れたままの壁などアラが目立つが、逆に言うと、よくそのまま残っていたなぁ… と。
特別公開はけっこうにぎわっている印象。
“壊す”から“残す”への発想の転換で大きな財産となす可能性を秘めており、成功することでモデルケースとして他自治体へも波及することを期待するものである。


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[DATA]
旧黒須銀行
埼玉県入間市宮前町5-33
https://www.alit.city.iruma.saitama.jp/irumashiseiyoukan/kyu-kurosubank/





[Today's recommendation]


https://youtu.be/EJoAMsydt-E



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旧街道をゆく ――吾野宿

2023.03.05

 “そうだ 埼玉、行こう。”あるいは“Go To 埼玉”シリーズ。
一昨年10月に続く旧吾野村(飯能市坂石&坂石町分)エリア。

前回はコロナ禍1年半で自分的に観光解禁とした直後だったが、それからさらに1年半が経過している。
いまさらながら、まあ長いこと、コロナ ( ̄Θ ̄;) ムゥ…

吾野宿は秩父街道の宿場町で、馬継ぎの宿として栄えたらしい。
古民家が軒を連ね歴史的な景観を残すという旧国道沿いの宿場町には惹かれるものがある。

約1.5km先の東郷公園駐車場に車を止めて歩く。
吾野宿内は、ちょっと調べた感じで10台収容のコインパーキングがあるのみというのがネック。
それくらい歩くのに全然抵抗ないけど。


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高麗川と西武秩父線橋梁(坂石橋側道橋より)


坂石橋でR299から分岐し旧国道へ。
そこから吾野橋まで約1.5km、高麗川右岸に宿場町が形成されている。


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特急ラビュー(西武秩父線 吾野第1号踏切道)


西武池袋線吾野駅から上流側は街外れで、これといった見どころはない。
湧水があるというので踏切を渡って山側へ。


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吾野駅ホーム。吾野までが西武池袋線でその先が西武秩父線… と駅前の売店のおかあさんに教わった

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吾野湧水。立て札に「…この水の管理は行っておりませんので水を飲まれる方は自己責任にてお願いします」💦 そばの登山道標識には「熊注意! 目撃情報あり!」💦💦

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吾野湧水から法光寺に抜ける隧道

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左が法光寺参道、右が旧国道


駅周辺は意外に複雑な構造で、“吾妻湧水”から線路下のトンネルをくぐって旧国道側に戻る。
法光寺にお参りして、あらためて街歩き。


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吾野弁財天

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吾野宿木碑


吾野駅前橋横の巨岩の上に弁財天が祀られている。
橋のたもとには吾野宿木碑。

「吾野まちづくり(吾野観光案内)」サイトでは吾野駅前橋の先を“吾野宿”としている。
実際、このあたりから趣ある建物が増えてくる。


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一軒の軒先に“ひな飾り”のつり下げ旗。
「飯能ひな飾り展 吾野宿」というものがちょうど始まったところだったらしい(期間 3/5~12)


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実は先週、飯能の街なかのこのイベント(飯能市といっても広く、エリアごとに会期をずらしているようだ)に行くつもりだったが忙しくていけなかったというのがあって、“飯能_ひな飾り”にビビッと反応したわけである。


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景観重要建造物「高山家」

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高山家(鱗や)ひな飾り(3/5、11、12限定開催)


ガラスの引き戸が閉まっており、これは勝手に開けて見学するんだろうか? と、鍵が閉まっていなかったので勝手に開けて見ていると、おうちのおかあさんが出てきていろいろお話を伺えた。
こちらは“厨子造り“と呼ばれる建造物で、なんと築300年。
吾野宿では明治期に大火や出水があったとのことだが、それもかいくぐって現在に残っているという。

ほかに2軒ひな飾りを展示しているお宅があるということを教えてもらい、見に行った。


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「大河原家」

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大河原家(こくや)ひな飾り(3/5、11、12限定開催)


1軒は道を少し戻ったところの「大河原家(こくや)」。
ひな人形は、なんと明治時代のものだそうで、箱の裏書きも見せてもらった。

残る1軒も「大河原家(問屋)」だが、そちらはまさに極め付きで、次回あらためて掲載しようと思う。

ちなみに吾野宿には埼玉県の景観重要建造物に指定されている古民家が3軒あり、うち2軒が今回ひな飾りを展示していた「高山家(鱗や)」と「大河原家(問屋)」である。
もう1軒は“擬洋風建築”と呼ばれるハイカラな雰囲気の建物「石田家(藤田屋)」。


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景観重要建造物「石田家」

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そのまま吾野橋まで歩き、引き返す。


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吾野橋


シャッター化や櫛欠けが著しいのは日本中共通の問題だが、たまたまひな飾りイベントがあったおかげで、いろいろお話を聞くことができたわけである。

(つづく)


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旧R299を木製の看板に従って左折すると吾野橋~吾野宿。前方の交差点(標識)はR299バイパス


[DATA]
吾野宿
埼玉県飯能市坂石町分
https://aganojuku.jimdofree.com/





[Today's recommendation]


https://youtu.be/h5AcpmGzR-w



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次号予告


猫の取り持つ縁で… 【上野桜木あたり】

2022.12.18

 前記事の続きで「松寿庵」の道を上野方面に進むと、右より「牡丹燈籠」の舞台 三崎坂、左より谷中霊園さくら通りが合流する、ミステリーゾーン。
6年前に七福神めぐりをしたときにこのあたりを通ったことを思い出した。

おそば屋さんから約450mで、目的地に到着。


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古民家リノベーションスペース「上野桜木あたり」。


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今回のきっかけは、猫関係。
うちには地元のシェルターから迎えた茶白の雄と、相方の知人が保護した雉白の雌の2匹の猫がいる。
雉白猫の保護主さんはアンティーク着物を商っており、実店舗を閉めてからはときどきイベントという形でお店を出している。


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年末の慌ただしい時節であり、予定はしていなかったのだが、SNSの告知には三味線の文字…。
三味線の生演奏が聴ける場なんてそうそうない(少なくとも僕の日常には)。


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1938(昭和13)年に建てられた三軒家を再生させたこちらの施設。
説明によれば、1階のオリーブオイルと塩の専門店は人気店で、2階のマダガスカルのお店は「マダガスカルに行った気にさせられる」とか。
先祖代々引き継がれた家土地を地域コミュニティの中で生かしていこう、というオーナーの想いが詰まっている。


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今回、催しの行われたのは、「あたり」の中の「みんなのざしき」という一室で、元は家主の暮らした場所だそうだ。
茶室としても使われたという8畳の和室では、着物好き女性たちが熱心に商品を吟味。
とても楽しそうだ。
そこには見えない強烈な結界が張られており… とても踏み込めそうにない。


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相方は躊躇なくずかずかと入っていく。
どうしたらいいの…? と、ぽつねんと取り残されたワタクシ (・Θ・;)


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「みんなのざしき」では毎週火曜日、古民家茶屋「英茶屋」が催される。
「営利目的ではなく、この建物を知っていただき、残していきたいだけなので、火曜日にやっていないこともあるかもしれません(笑)」と、英さん。

英茶屋の様子はこちら


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いよいよ三味線の演奏。


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三味線奏者 京子さんによる演奏会は、トークに始まり、端唄、小唄、民謡などなどサービス満点、盛りだくさん。
江戸情緒たっぷりで、粋な旦那の気分を堪能した。


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演奏会後は、お三味線の体験交流も


いやー、日本っていいなぁ。


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[DATA]
上野桜木あたり
東京都台東区上野桜木2-15-6
https://uenosakuragiatari.jp/
https://www.facebook.com/uenosakuragiatari
https://www.instagram.com/explore/locations/663953469/





[Today's recommendation]

https://www.instagram.com/p/CmXyzy0vV8q/



https://youtu.be/CbW1nNBqVnI?si=UrMjjTyac2YohX7O


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谷中霊園さくら通り


150年後というか、50年前との邂逅 【東京国立博物館 表慶館】

2022.11.19

前記事の続き)

今回、東京国立博物館(通称トーハク)のお目当てのイベントは、「150年後の国宝展―ワタシの宝物、ミライの宝物」。
創立150年記念事業の一環で、いまよりさらに150年後の西暦2172年に伝え残したい国宝候補を一般公募より選定、また人々の生活に新しい価値観をもたらした企業による国宝候補も併せ、その背景のストーリーとともに展示するイベントで、公式Twitterによると“トーハク史上初の公募型展覧会”。

前日の朝のニュースで見て、そこで取り上げられていた観光土産のペナントや煮干しコレクションといった“国宝候補”に、面白そう❣


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会場は本館左手の「表慶館」。


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トーハクの建物群の中でもひときわ目を引く洋風建築で、開館1909(明治42)年と博物館内唯一の明治時代の建造物だそうだ。
1978年、重要文化財に指定。


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ちなみに150年事業の目玉企画「国宝 東京国立博物館のすべて」が行われているのは平成館(1999年開館)で、建物の90年分、ハクのうえではこっちの“国宝展”がはるかに上回っているといえよう。

「表慶館」は特別展・イベント開催時を除き休館ということで、館内が見られる貴重な機会でもある。


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――大正天皇の御成婚(明治三十三年)を記念して計画された奉献美術館で、片山東熊の設計指導になる。石及びレンガ造、二階建で、ネオ・バロックの様式をもつ。円形と長方形を組合わせた平面の構成や大小ドームの取扱いなど巧みにまとめている。中央ホールのモザイクタイルを張った床は見応えがある。文化遺産オンライン

中央ホールのドーム型天井とそこに描かれた天井画を見るためだけでも、入る価値あり。
外から見れば中央の大ドームで、左右にシンメトリーに小ドームが配置されている。


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こちらは中央ホール左の間で、振り返ると…

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順路に従って奥へ進むと…

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そのまま階段を上る


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展示よりも建物の重厚感に圧倒される。
そりゃそうか… σ( ̄、 ̄=)ンー

が、2階に上がってすぐの企業展示にくぎ付けになるワタクシ。


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学研ホールディングス「科学のふろく」


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科学とは学研の小学生向け学習雑誌『科学と学習』の科学で、毎回ユニークな付録で人気だった。
展示されているテントウムシ、めっちゃ覚えてる。
空前のプラモデルブームの当時、『科学』の付録がプラモ…!? と騒然となったのだった。


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ニュースで見た「煮干しのコレクション」はあったが、ペナントが見つからない。


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あとで『NHKプラス』で確認すると、展示自体は「昭和後期のこどもの「城」~ある男子の勉強机まわり~」というもので(パネル展示)、ペナントはNHKの追加取材の過程で出てきたのだった。ペナントを見に来たと言ってもいいくらいで、残念(笑)。


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その先に「ウルトラシリーズ怪獣スクラップブック」の展示。


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お気づきのようにガンダムはさりげなくスルーしているが、こっちは素通りできない。
世代の違いである。
しかも身に覚えもあるし、実家を探したら絶対出てくるぜ、コレ…!


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ざっくりウルトラシリーズというが、あれは『ウルトラセブン』で極め、終わっている。
地底や海底、宇宙空間や未知の惑星から4次元時空まで、あるいは下町四畳半と、よいこの想像の翼を広げてくれたウルトラセブンだが、次作以降は「裏山に怪獣が出た…」という消防団の山狩りレベルまで急激にスケールダウンしてしまったのだった。


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「科学のふろく」でスイッチが入って写真撮りまくってるが、やはり収拾つかなくなるのでこのあたりでおさめておこうかと。
詳細は公式サイトでご確認いただきたい。
きっとあなたにとっての国宝に出会えるはず。

「150年後の国宝展―ワタシの宝物、ミライの宝物」は2023年1月29日(日)まで。

(つづく)


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[DATA]
東京国立博物館 表慶館
東京都台東区上野公園13-9 東京国立博物館構内
https://www.tnm.jp/
https://www.facebook.com/TokyoNationalMuseum
https://twitter.com/TNM_PR
https://www.instagram.com/tnm_pr/





[Today's recommendation]


https://youtu.be/Nh07vG6EdRg
「アンヌ。僕は、僕はね…」



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次号予告


西洋音楽黎明期における… 【大田黒公園】

2022.11.06

 前記事の続きで「角川庭園」を出て荻窪駅へ向かおうとすると、右手に森が見える。
あれは何だろう? と、行ってみると、やはり旧邸宅の公園なのである。
音楽評論家の大田黒元雄宅を整備した「大田黒公園」。


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はじめ入ろうとしていたのは裏口で、自転車をどうしたらいいかオロオロしていると、見学客のおばちゃんが教えてくれて、ぐるっと回って正門へ。


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正門から中門まで見事なイチョウ並木になっている。
この時点で個人邸のレベルを超えるスケール感。


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管理事務所を兼ねた茶室の棟を抜けると芝生の広場。
池に向かって緩やかな斜面。


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少し下って振り向くと、趣きある洋館。
登録有形文化財の記念館である。


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――昭和8年に建築されたもので、当時としては珍しい西洋風の建築物です。室内には生前氏が愛用したスタインウェイ社製のピアノや蓄音機が展示されています。(パンフレットより)


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残念ながら室内は撮影禁止だが、当時のリサイタルプログラムなども展示され、ロマンチックな洋館の雰囲気ともどもクラシックファンならずとも必見の施設である。


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――大田黒元雄(おおたぐろ もとお、1893年1月11日 - 1979年1月23日)は、日本の音楽評論家である。日本における音楽評論の草分けとして知られる。Wikipedia

昔、音楽評論家という学問分野というか職業があって、子どものころラジオ番組や雑誌を通してなじみ深かったが、藁科雅美(1915-1993)、門馬直美(1924-2001)、志鳥栄八郎(1926-2001)といった当時の大御所レベルより、大田黒元雄は四半世紀も前の人物である。当然、僕は名前も知らなかった。


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ところで、大田黒公園正門前の通りに「荻外荘通り」という標識がある。
あとで探したところ、荻外荘(てきがいそう)は大田黒公園より450mほど南にあり、こちらは戦時中の総理大臣 近衞文麿の旧邸宅。
2024年公開予定で現在復元整備中だった。


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近衛文麿の異母弟が近衛秀麿である。
――近衞 秀麿(このえ ひでまろ、1898年〈明治31年〉11月18日 - 1973年〈昭和48年〉6月2日)は、日本の指揮者・作曲家。日本のオーケストラにおけるパイオニア的存在であり、…… Wikipedia

秀麿は文麿の影響で音楽に興味を持つようになったという。
荻窪は日本の西洋音楽黎明期に大きな影響を及ぼした土地であったらしい。


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[DATA]
大田黒公園
東京都杉並区荻窪3-33-12
https://hakone-ueki.com/sub/
https://www.city.suginami.tokyo.jp/shisetsu/kouen/02/ogikubo/1007133.html





[Today's recommendation]

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https://youtu.be/OZZZTB04E_A



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荻外荘の説明看板


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