昭和なカレースタンド、復活! 【モンスナック 新宿野村ビル店】
2022.05.24
昭和のころどこにでもあったカレースタンドだが、いつしかすっかり見かけなくなり、その代表格の新宿の人気店も半世紀の歴史に幕…。
と、閉店時にけっこう騒がれた「モンスナック」が場所を変えて復活しているという情報をインスタ投稿で見つけた。

2019年3月(過去記事をご参照ください)
「モンスナック」は1964(昭和39)年の創業以来、新宿東口「紀伊國屋ビル」の地階で営業、ビルの上階や周辺路上にまでカレーの匂いを漂わせる名物的存在だった。
2021年7月、ビルの耐震補強工事に伴い閉店… と報道されていたが、実は閉店ではなく“一時閉店”だったらしい。
したがって今回の復活劇も“移転”ではなく、ホームページによれば“新店舗オープン”。
正面左が新宿野村ビル
「モンスナック 新宿野村ビル店」は2022年1月14日オープン。
――これまでの新宿東口から反対の西口側に新たにオープンすることで、今までモンスナックを知らなかった方にもぜひ足を運んでほしいと考えております。今後もモンスナックは「新宿のソウルフード」の味を多くの方に広めてまいります。(プレスリリース)
野村ビルは超高層ビル群の一つ。
ビジネス街・西新宿は職業別人口構成的に客層が東口とは大きく異なり、たしかに興味深い店舗展開ではあるが、スーツ族になじむかどうか微妙な感じがしないでもない。
ビル南側から地下街に入る階段を下ってすぐ右手。
B1というよりMB1の位置に「モンスナック」はある。
黒を基調としたPOPやシックな外装デザイン。
サイケでアングラな? 新宿東口との街のカラーの違いが表れているかも。
横に長いカウンター14席の店内は、紀伊國屋地下とは大違いでピカピカ。(←そりゃ新規オープンだから ヾ(- -;))
券売機でカツカレーをポチッとな。
食券を渡すと、交換に玉子サービス券をくれるおねえさん。にこやかで行き届いた接客も、前とは大違いかも…。
なにかと“らしくない”モンスナック。
取り違えてならないのは、懐かしむあまり何でもかんでも美化してしまっては本質を見失う。
無愛想よりにこやかな接客のほうがいいに決まってる。
ものの1分でカツカレー来る。
いわゆるシャバシャバ、お店的には“元祖サラサラカレー”は、変わらずシャバシャバサラサラ。

なんかこのカレー食べるのに、お店、明るすぎるかな… ヾ(ーー )ォィ
新店舗オープンに伴い、一時閉店中の“本店”はHP上で「モンスナック 新宿東口店」という表記に。
元の場所での本当の復活もありえるかも…。
[DATA]
モンスナック 新宿野村ビル店
東京都新宿区西新宿1-26-2 新宿野村ビル B1F
https://www.monsnack.com/
[Today's recommendation]




https://youtu.be/5Jj3wZVc7nw
昭和のころどこにでもあったカレースタンドだが、いつしかすっかり見かけなくなり、その代表格の新宿の人気店も半世紀の歴史に幕…。
と、閉店時にけっこう騒がれた「モンスナック」が場所を変えて復活しているという情報をインスタ投稿で見つけた。

2019年3月(過去記事をご参照ください)
「モンスナック」は1964(昭和39)年の創業以来、新宿東口「紀伊國屋ビル」の地階で営業、ビルの上階や周辺路上にまでカレーの匂いを漂わせる名物的存在だった。
2021年7月、ビルの耐震補強工事に伴い閉店… と報道されていたが、実は閉店ではなく“一時閉店”だったらしい。
したがって今回の復活劇も“移転”ではなく、ホームページによれば“新店舗オープン”。
![]() | ![]() |
「モンスナック 新宿野村ビル店」は2022年1月14日オープン。
――これまでの新宿東口から反対の西口側に新たにオープンすることで、今までモンスナックを知らなかった方にもぜひ足を運んでほしいと考えております。今後もモンスナックは「新宿のソウルフード」の味を多くの方に広めてまいります。(プレスリリース)
![]() | ![]() | ![]() |
野村ビルは超高層ビル群の一つ。
ビジネス街・西新宿は職業別人口構成的に客層が東口とは大きく異なり、たしかに興味深い店舗展開ではあるが、スーツ族になじむかどうか微妙な感じがしないでもない。
![]() | ![]() |
ビル南側から地下街に入る階段を下ってすぐ右手。
B1というよりMB1の位置に「モンスナック」はある。
![]() | ![]() |
黒を基調としたPOPやシックな外装デザイン。
サイケでアングラな? 新宿東口との街のカラーの違いが表れているかも。
![]() | ![]() |
横に長いカウンター14席の店内は、紀伊國屋地下とは大違いでピカピカ。(←そりゃ新規オープンだから ヾ(- -;))
![]() | ![]() |
券売機でカツカレーをポチッとな。
食券を渡すと、交換に玉子サービス券をくれるおねえさん。にこやかで行き届いた接客も、前とは大違いかも…。
![]() | ![]() |
なにかと“らしくない”モンスナック。
取り違えてならないのは、懐かしむあまり何でもかんでも美化してしまっては本質を見失う。
無愛想よりにこやかな接客のほうがいいに決まってる。
![]() | ![]() |
ものの1分でカツカレー来る。
![]() | ![]() |
いわゆるシャバシャバ、お店的には“元祖サラサラカレー”は、変わらずシャバシャバサラサラ。

なんかこのカレー食べるのに、お店、明るすぎるかな… ヾ(ーー )ォィ
![]() | ![]() |
新店舗オープンに伴い、一時閉店中の“本店”はHP上で「モンスナック 新宿東口店」という表記に。
元の場所での本当の復活もありえるかも…。
![]() | ![]() |
[DATA]
モンスナック 新宿野村ビル店
東京都新宿区西新宿1-26-2 新宿野村ビル B1F

[Today's recommendation]




https://youtu.be/5Jj3wZVc7nw
貴重な現存カレースタンド 【モンスナック】
2019.03.04
新宿紀伊國屋書店といえばいまだに庄司薫の『ぼくの大好きな青髭』が思い出される。地方の高校生だった自分はこういう小説を読んでは東京での学生生活へのあこがれを募らせ、それが大学受験の大きなモチベーションとなった。困ったことに僕の読むこのテの小説は、たいてい主人公が東大生(作者が東大卒)であり、東京大学に籍を置いてこそそれらの体験が特別なものに映るのではないかと懐疑的に思うところなきにしもあらずだったが、おかげで高い目標意識につながったことは確かである。まるで自分が東大をめざしたかのような書き方だが(笑)。

先日、久々に紀伊國屋を外から眺めて驚いた。
両脇のビルが取り壊され、紀伊國屋だけぽつんと取り残された感が漂っているのだ。
紀伊國屋ビルディングは2017年、東京都選定歴史的建造物に選定されている。これは東京都景観条例に基づき知事が選定するもので、規制ではないが“ゆるやかな保存”を基本とする。
一方、このほど発表された“旧耐震基準”に準拠して建設された建造物の耐震性調査結果によると、震度6強~7程度の揺れで倒壊する危険性が高いものは都内で156棟に上り、紀伊國屋ビルもそれに該当する。
景観上の重要性と建物の安全性をはかりにかければ、後者が優先されるべきは明らか。左右が空虚であると、ひとりぽつんと立つ姿はいかにも心もとない。

紀伊國屋ビルは、書店はもとよりレコード・CDショップ、小劇場演劇のメッカ「紀伊國屋ホール」などを有し、若者の学問・文化・芸術活動を支えた。
そして忘れてならないのが地下飲食店街。

紀伊國屋は地下といわずビル全体、周囲の路地にまでカレーの匂いが漂っている。
地下飲食店街には昔から、(自分の知る限り)カレーショップが2店あり、匂いのもとと目されていた。そのうち「ニューながい」は2011年秋に閉店、あとには「クローブ」というやはりカレーショップが入ったが、昔ながらのカレーを提供するのは「モンスナック」1店のみとなった。
そのへんの事情に関し、興味深い書き込みを見つけた。
込み入ったことにコメントする立場にないが、一連のツイートによれば、紀伊國屋ビルでいまも残る個人経営の飲食店は「モンスナック」のみ。
お店ホームページによれば「モンスナック」の創業は昭和39年と、紀伊國屋ビル竣工と同年である。
店内はU字カウンターのみ(13席)。いまやめったに見られないカレースタンドの往年のスタイルを残す。
13時30分で半分ほどの客入り。

注文は“本日のサービスメニュー”カツカレー900円→800円。

中国系? のおねえさんが「カツー」と、投げやり感たっぷりに奥の厨房に伝達。
そしてそのカツカレーが3分ほどで出てくるところがすごい。
こちらのカレーは“変わらぬ製法にこだわった元祖サラサラカレー”(HP)。
サラサラまたはシャバシャバと表現されるスープのようなカレーだが、いっときはやったスープカレーとは、なんか違う。シャバシャバしてるけどボディ感があるというか。

甘味に加えて酸味が強いのが特徴。あの時代、カレーといえばポークカレーであり、トロトロの脂身はシャバカレー以上に懐かしい。
カツは厚みがあってスプーンではカットしづらいほど。サクサクの衣がシャバシャバの海を漂ううちにしっとりカレーを吸い取って、いい感じ。
昭和の食堂めぐりは、年齢を重ねるごとにどこかに置き去りにしてきた大切なものを拾い集める旅のようなもの、かも…。

――1969年7月20日の午前10時少し過ぎ、開店直後の新宿紀伊国屋のエスカレーター昇り口のわきのところで、ぼくは一体自分が第三者の目にはどんな若者にうつっているのかを初めはちょっと相当に気にしながら、激しい夏の陽ざしの中に突っ立っていた。というのもぼくは、洗いざらしの淡いブルーのダンガリーの上下に薄茶の細縁のサングラスをかけ(これは問題ないわけだ)、この春植木屋が縁の下に置き忘れていった古い麦わら帽子をかぶって素足に木のサンダルをつっかけ、薄鼠色になった古い昆虫網を小脇にかかえて、さらに(ここが重要なのだが)鼻の下にかなり立派な八の字型の髭をつけてあたりを睥睨(へいげい)していたのだ。(庄司薫『ぼくの大好きな青髭』より)

[DATA]
モンスナック
東京都新宿区新宿3-17-7 紀伊國屋ビルB1F
http://www.monsnack.com/
[Today's recommendation]



https://youtu.be/VsOXimmwwxI
新宿紀伊國屋書店といえばいまだに庄司薫の『ぼくの大好きな青髭』が思い出される。地方の高校生だった自分はこういう小説を読んでは東京での学生生活へのあこがれを募らせ、それが大学受験の大きなモチベーションとなった。困ったことに僕の読むこのテの小説は、たいてい主人公が東大生(作者が東大卒)であり、東京大学に籍を置いてこそそれらの体験が特別なものに映るのではないかと懐疑的に思うところなきにしもあらずだったが、おかげで高い目標意識につながったことは確かである。まるで自分が東大をめざしたかのような書き方だが(笑)。

先日、久々に紀伊國屋を外から眺めて驚いた。
両脇のビルが取り壊され、紀伊國屋だけぽつんと取り残された感が漂っているのだ。
紀伊國屋ビルディングは2017年、東京都選定歴史的建造物に選定されている。これは東京都景観条例に基づき知事が選定するもので、規制ではないが“ゆるやかな保存”を基本とする。
一方、このほど発表された“旧耐震基準”に準拠して建設された建造物の耐震性調査結果によると、震度6強~7程度の揺れで倒壊する危険性が高いものは都内で156棟に上り、紀伊國屋ビルもそれに該当する。
景観上の重要性と建物の安全性をはかりにかければ、後者が優先されるべきは明らか。左右が空虚であると、ひとりぽつんと立つ姿はいかにも心もとない。

紀伊國屋ビルは、書店はもとよりレコード・CDショップ、小劇場演劇のメッカ「紀伊國屋ホール」などを有し、若者の学問・文化・芸術活動を支えた。
そして忘れてならないのが地下飲食店街。

紀伊國屋は地下といわずビル全体、周囲の路地にまでカレーの匂いが漂っている。
地下飲食店街には昔から、(自分の知る限り)カレーショップが2店あり、匂いのもとと目されていた。そのうち「ニューながい」は2011年秋に閉店、あとには「クローブ」というやはりカレーショップが入ったが、昔ながらのカレーを提供するのは「モンスナック」1店のみとなった。
![]() | ![]() |
そのへんの事情に関し、興味深い書き込みを見つけた。
込み入ったことにコメントする立場にないが、一連のツイートによれば、紀伊國屋ビルでいまも残る個人経営の飲食店は「モンスナック」のみ。
お店ホームページによれば「モンスナック」の創業は昭和39年と、紀伊國屋ビル竣工と同年である。
![]() | ![]() |
店内はU字カウンターのみ(13席)。いまやめったに見られないカレースタンドの往年のスタイルを残す。
13時30分で半分ほどの客入り。

注文は“本日のサービスメニュー”カツカレー

中国系? のおねえさんが「カツー」と、投げやり感たっぷりに奥の厨房に伝達。
そしてそのカツカレーが3分ほどで出てくるところがすごい。
![]() | ![]() |
こちらのカレーは“変わらぬ製法にこだわった元祖サラサラカレー”(HP)。
サラサラまたはシャバシャバと表現されるスープのようなカレーだが、いっときはやったスープカレーとは、なんか違う。シャバシャバしてるけどボディ感があるというか。

甘味に加えて酸味が強いのが特徴。あの時代、カレーといえばポークカレーであり、トロトロの脂身はシャバカレー以上に懐かしい。
カツは厚みがあってスプーンではカットしづらいほど。サクサクの衣がシャバシャバの海を漂ううちにしっとりカレーを吸い取って、いい感じ。
![]() | ![]() |
昭和の食堂めぐりは、年齢を重ねるごとにどこかに置き去りにしてきた大切なものを拾い集める旅のようなもの、かも…。

――1969年7月20日の午前10時少し過ぎ、開店直後の新宿紀伊国屋のエスカレーター昇り口のわきのところで、ぼくは一体自分が第三者の目にはどんな若者にうつっているのかを初めはちょっと相当に気にしながら、激しい夏の陽ざしの中に突っ立っていた。というのもぼくは、洗いざらしの淡いブルーのダンガリーの上下に薄茶の細縁のサングラスをかけ(これは問題ないわけだ)、この春植木屋が縁の下に置き忘れていった古い麦わら帽子をかぶって素足に木のサンダルをつっかけ、薄鼠色になった古い昆虫網を小脇にかかえて、さらに(ここが重要なのだが)鼻の下にかなり立派な八の字型の髭をつけてあたりを睥睨(へいげい)していたのだ。(庄司薫『ぼくの大好きな青髭』より)

[DATA]
モンスナック
東京都新宿区新宿3-17-7 紀伊國屋ビルB1F
http://www.monsnack.com/
[Today's recommendation]



https://youtu.be/VsOXimmwwxI