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青梅街道 田無宿の歴史を伝える 【坂平】

2019.02.22

 田無駅北口、青梅街道筋のうなぎ屋「坂平」。
文久元(1861)年創業といわれる正真正銘の老舗である。


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田無の歴史を伝える座談会記録『田無のむかし話』に、「坂平」について次のような記述がある。

――高級料亭で、奥座敷がいくつもあり、その一部は今でも使われている。黒光りした廊下の額に入っている明治28年の料理飲食業の許可証がこの店の歴史の古さを物語っているようだ。6月になるとうなぎのシーズンが本格的に始まり蒲焼の匂が道行く人の胃袋を刺激する。だがうなぎ料理の食べられるのは町の名士、登記所のお客ぐらいなもので、庶民には縁遠かった。(田無市立中央図書館 編、『田無のむかし話 その3 ―明治末期から大正初期にかけての青梅街道の町並み―』(1979)より)


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地図は明治末期~大正初期の町並みを再現したもので、登記所(法務局)が現在の田無アスタの位置にあり、青梅街道から登記所への通路入り口に「坂平」があった。


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アスタ裏へ出て登記所の客のお大尽になったつもりで「末広」前から「坂平」に抜ける路地に入る。


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実は事情により酒を抜いている。…と聞いたら僕を知る人は相当びっくらこくであろう局所的大事件で、断酒は胃カメラをのんだ3年2カ月前のとき以来。つまり約850日連続記録が途切れたと。禁酒は昨日(2月21日)で11日目となり、ふだん焼酎1升を3~4日というペースなのでこの間3升浮いた計算で、乙類1升パック約1300円として4000円。
この4000円がお大尽の軍資金である。


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お店は想像していたよりずっと小さく、右手に4人テーブルが3卓、左が小上がりで2人用座卓3つ。幾棟かが連なったようなつくりに見え、奥に個室や広間等があるのかもしれない。


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真ん中のテーブルに着いて、うな重 並1900円を2つ注文。


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「肝吸いお付けしますか?」とおかみさん。
うな重には+100円で付く肝吸い(単品は200円)もお願いして、2人前ジャスト4000円。


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それにしても、いまどき2000円でうな重にありつける機会というのもなかなかないが、それが創業150余年の老舗となるとかなり貴重といえよう。


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先客は小上がりにちょこんと腰かけている年配男性1人で、真横にそういうふうに座られていると落ち着かないなぁ… と思っていたら持ち帰りの客だった。
通りから様子がうかがえる焼き場では大量のうなぎが扱われていたように見えたので、持ち帰り需要が多いのかもしれない。


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かば焼きは強めに焼かれ、ふっくら感はないが臭みが落ちて香ばしい。
たれは照りの強い見た目から想像するほど甘くはないが、継ぎ足して煮詰めたような濃厚さが老舗の歴史を感じさせる。


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現店主が5代目とのことで、一緒に仕込み~焼きにあたるのが息子さんで6代目。
おかみさんはたいへん気さくな方で、いまはときどき訪ねてくるお孫ちゃん(6代目のお子さん)と会うのが何より楽しみと話していた(今日がたまたまその日だった)。


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来し方を思い出でつつ、行く末の見通し良好のようである。


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[DATA]
坂平
東京都西東京市田無町2-4-7





[Today's recommendation]

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https://youtu.be/zH3JpqhpkXg


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