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時空を超えるチキンかつ 【かつ秀】

2017.09.12

 昭和的食堂に足を踏み入れた瞬間、周りの空間がグニャッとひずむような感覚を覚えることがある。それが特に強かったのが久米川のそば屋 しなの。そこでは内装や照明の具合、店・客双方側の登場人物のキャラなどによって、見事に昭和40年代的空間が実現していた。
僕がグニャリ体験と呼ぶそういう感覚は、暖簾をくぐった瞬間、自分の中の時間軸といま視界に飛び込んできた光景との乖離によってもたらされる平衡感覚の喪失(目眩)なんじゃないかと思っている。


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初めて入ったとき、「しなの」と同じぐらいグニャリとなったのが、萩山のとんかつ屋「かつ秀」。
ここは外観もだいぶ年季が入っているが、内部のしつらえは素人目にもひと昔もふた昔も前のものだ。照明はオレンジのランプシェードにより昼どきにして落日の色、『三丁目の夕日』的演出効果を上げている。
聴覚効果としてはNHKラジオ第1。不意に『ひるのいこい』テーマ曲が流れたりして、いやおうなしに昭和に飛ばされる(「掘り出されたタイムカプセル」参照)。


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ちなみに、しなのもかつ秀も東村山市萩山町だが、ほかにも ふじのやあさひ揚子江 と、ディープな物件を列挙することができる。萩山町自体、次元の狭間であるかのようだ。


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本日、入り口の引き戸は網戸になっている。店内が丸見えで、こうなるとグニャリ効果は得られない。
しかし、盛夏はさすがに冷房を使うだろうが、いまぐらいの季節は網戸で十分という、人にも環境にも優しい対応といえる。


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小さな店で、4人掛けテーブル×2、壁(鏡)に向かった2人掛けテーブル×1、カウンター4席。
テーブル・カウンターの天板も壁も、店内はいつもピカピカに磨き上げられて木材が飴色の光沢を放ち、歳月の経過を感じさせる。
BGはやはりNHK第1で、こういう空間で聴いていると時の彼方より届けられる音声のような錯覚を覚える。


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注文はチキンかつ定食800円。
カツは中サイズが2枚。付け合わせはいつものポテトサラダではなくスパゲティサラダ(リンゴ入り)が別皿で。きゅうりのぬか漬け、豆腐とネギの味噌汁という内容。


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こちらは市内でいちばんおいしいとんかつ屋と勝手に決めていて(といっても専門店は5軒もないんだが…)、個人的評価としては都心の名店にも引けをとらない… かもしれない(採点等は上のリンクより前の記事を参照してください)。
そのようにロースかつはおすすめの逸品だが、チキンかつ定食も味・ボリュームともたいへん満足のいく内容であった。

それにしても、店頭に札が出てる冷やし中華が気になるなぁ。もうシーズンオフだけど。


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[DATA]
かつ秀
東京都東村山市萩山町1-2-3



[Today's recommendation]

Over the Rainbow The Young Judy Garland
Judy Garland
『Over the Rainbow』




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秋の七草・萩;ミヤギノハギ(萩山公園)


掘り出されたタイムカプセル 【かつ秀】

2017.03.27

 1月にふらっと入ってとても気に入った店。
いつの時代の建造か、店内のつくりの古さは相当で、その時代のまま残っている感じ。そういう場所へ踏み入ると、一瞬クラッとくる。その感覚が僕は好きだ。
この店は掃除が行き届いており、テーブルやカウンターはピカピカに磨き上げられている。クラッときてピカッとなるのはもっと好きだ。


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外観、店内の状況から予想されるとおり、この店も高齢のたぶんご夫婦で回している。お父さんは寡黙な職人タイプで、お母さんは話し好き。
このお母さん、ラジオのニュースの項目一つ一つにご自身の見解をもっている。トランプ次期大統領、トヨタ自動車からマニー・ラミレスまで、いちいち何か意見を言う。すごい博識、というか好奇心の強い人なんだと思う。お父さんも別にうるさがるでもなく、ときどきニコニコと相づちを打っている。
こうやって何十年もこの小さな店を2人仲よく切り盛りしてきたんだろうな。


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ニュースが終わって次の番組のテーマ音楽が流れだした。
『ひるのいこい』
えっ… まだやってたの? 懐かしすぎでしょう。
あとで調べたら昭和27年放送開始だから65年番組だ。テーマ曲も変わらず。

古関裕而作曲のこの曲が素晴らしい。
ちなみに同様に昭和の農村風景を想起させる名曲『新日本紀行』後期のテーマ曲(冨田勲作曲)は昭和44年だから、それよりさらに17年さかのぼった曲想ということになる。

https://youtu.be/9QLuvzjLlQo

このお店にして、この曲。その偶然の一致はほとんど奇跡に近い。鳥肌ものの体験をした。

ここまでが1月の話。

そのとき食べたロースかつ定食1000円がおいしかったので今回もそれにした。チキンかつという手もあったのだが、ロースかつで『東京とんかつ会議』の基準で採点してみようと考えたのだ。
このお店は肉、ご飯、お新香が秀逸と前回感じたが、今回もその感想は変わらない。

〈採点〉 肉3、衣2、油1、キャベツ2、ソース2、御飯3、新香3、味噌汁2、(特記:ポテトサラダ3)の計21点。

山本益博氏採点の高田馬場「成蔵」上ロースカツ定食と並んでしまった(笑)。


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[DATA]
かつ秀
東京都東村山市萩山町1-2-3


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