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創業大正元年、立川の戦後史を伝える 【福来軒】

2018.11.25

 今日は珍しく昼ごはんのお店が決まっているので、散歩コースもおのずと合理的で動きに無駄がなくなる。

立川駅北口の駐輪場に止め、高島屋の裏を通って曙町二丁目交差点から立川通り、「幸喜寿し」の路地を抜けシネマ通り、そのまま緑川通りを突き当たりまで。この間、興味深いお店を5軒ほど新発見。

中央線のガードをくぐり、錦町1丁目エリアへ。
ウインズ前を通ってたまたま気づいてジャパンカップの馬券買ったりと、行き当たりばったりの動きを交えつつ、立川南通り(江戸街道)から諏訪通りへ。
昼ごはんのお店はこの古い商店街の先。


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時間が前後するが、今日11月25日は立川諏訪神社の酉の日(大鷲祭)三の酉。
食事のあとにのぞいてみた。


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酉の市は初めてなので状況がつかめないが、人出がほぼないと言っていい。
時間がまだ早いのかな? でも参道の骨董市は2時で店じまいを始めている。


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人のまばらなよく晴れた晩秋の境内で、遅い七五三参りの家族連れに混じってお参りを済ませる。


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1時間ほど時計を巻き戻して、昼ごはん。
諏訪神社の酉の市の屋台が並ぶ通路から東門を出てすぐの三差路角地の中華料理店「福来軒」。


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創業1912(大正元)年。
現存最古ともいわれる老舗中華店である。


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実は街を歩いている最中に諏訪神社の酉の市のポスターをあちこちで見かけ、混むことを覚悟したが、そうでもなかった。まあ、前述のように神社の人出自体がないので…。


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いわゆる昭和の街中華の年輪を重ねたたたずまいとは違って、店舗物件自体が古いわけではない。モノトーンのどちらかといえばモダンな内装である。BGMはJazz。


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入り口横に白黒の店舗写真のパネルが飾ってある以外、老舗を感じさせる要素はないと言っていい。
年配客がほとんどで、若い男性がフロアマネージャー的に各テーブルに目配せをしている様子がホスピタリティの高さを感じさせ印象的。


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注文は、ミニ丼セット(半中華そば付)850円のB、チャーハン。
メニュー表に書いてある「100円増しで,中華そば普通盛りにできます」をお願いしようとしたが、相方が却下。
もう1品はチャンポンメン980円。


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ミニ丼セットのBは、わかりやすくいえば“半チャーハン・半ラーメン”セット。しかし“半”というにはどちらも多く、感覚的には“8割チャーハン・8割ラーメン”。
“100円増し”しなくてよかったと思いました。


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チャーハンはオーソドックスなタイプで、具はチャーシュー、卵、ナルト、ネギ、干しエビ。
てっぺんに飾ってあるのがグリーンピースではなく枝豆というあたりが、老舗の粋…??


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いわゆる街中華ではなんてことのない普通のラーメンを期待するが、ここのラーメンはそんな平凡なものとはちょっと違う。
特に自家製という麺が個性的。無漂白粉を使っているような灰色がかった、パスタのリングイネを思わせる平打ち麺。
スープは少し酸味のあるあっさり味。丼の底に節粉が沈んでいる。


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 チャンポンメン――2018-19秋冬メンコレ⑤ 【福来軒】

あんかけチャンポン。しかも卵とじ。
熱々麺の名品だと思う。


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具の野菜は、ハクサイ、キャベツ、タマネギ、ニンジン、キクラゲのほか、枝豆が入るところが、チャーハン同様こちらの特徴。卵とじの上にゆで卵がのるダブル仕様。
ラーメンと同じ自家製麺で、こちらのほうが小麦の風味を強く感じる。


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◆ ◆ ◆

古い写真について聞いてみると、北口の旧・第一デパートのあたりで営業していた当時のものと、男性店員さん。

「火事で失われたそうです。列車事故の火事とか…」
「え、それって有名な?」

老舗という情報は知っていたが、まさか現代史的に有名な「立川駅タンク車衝突事故」の被害当事者に行き着くとは思わなかった。ちなみに大正期の創業時は屋台であったらしい。
火事の跡地に建った第一デパート5階に入居して、現在地に移ったのは25年ほど前という。

老舗にあぐらをかくことなく味は今風にまじめそのもので、店のつくりもセンスがよい。
何よりもその歴史。
絶大なアピールポイントを含め、伝えるべきところが的確に訴求できていないように感じて、勝手にもどかし思いをしている。

(立川編、次号へつづく


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[DATA]
福来軒
東京都立川市柴崎町2-18-7





[Today's recommendation]


https://www.youtube.com/watch?v=MmJc-tKohcc



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