あの時代のC級グルメとは…? 【名代富士そば 小平店】
2018.10.11
“グルメ”という用語がいつごろから日本で使われているのか知らないが、そこから派生し、いまやすっかり定着した“B級グルメ”の登場経緯は次のとおり。
――最初に登場したのは1985年とされる。フリーライターの田沢竜次が雑誌『angle』に連載した記事をもとに、『東京グルメ通信 B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)が刊行された。そして1986年に文春文庫ビジュアル版で田沢竜次もメインライターとして参加した『B級グルメ』シリーズが刊行され、この用語と概念が広がった。(Wikipedea「B級グルメ」より)
時はバブル前夜。
“一億総グルメ”といわれた空前のグルメブームに、“グルメ=食通=高級”という既成概念を打ち砕く“B級”という提案が大きな役割を果たしたのは間違いない。
そして、インターネットなど存在しない時代において、一億総の下層構成員であるわれわれ“マルビ”(古っ…(笑))グルメにとって、この文春文庫『B級グルメ』シリーズはバイブル的存在だった。
シリーズの1冊『東京・横浜 B級グルメの冒険』(1988年刊)に収録されているフォトグラファー・アマリ眞一氏によるエッセー『アマリ君の「東京C級グルメ」』に、次のような一節がある。
――給料日前でお金が乏しくなり、かなりストレスがたまった時、 ~ 僕は立喰いうどん屋に行きます。 ~ うどんの上に、コロッケ、かき揚げ、竹輪天、生玉子の4種をのせてもらい、おにぎりも2個とっていっぺんにいただきます。これでも620円です。
これをやってみたい、というのはずっとどこかに引っかかっていたんだと思う。
立ち食いそば屋をいちばん多く使っていた学生時代、たしかにトッピング多数という発想はあったが、立ち食いとはいえすねかじりの身でやってはならない贅沢だと感じていた。
社会人になったらなったで、世間体や社会的地位(笑)が邪魔をする。
それから30年。人間、年をとると恥の概念が薄れるという…。

ということで、去年小平駅前にオープンした「名代富士そば」へ。
構想としては、春菊天をベースに、コロッケもしくはイカ天、生卵の3種のせ。

券売機でいくら探しても春菊天そばもイカ天そばも見つからないので、天ぷらは単品ということに発想を変え、“コロッケそば・うどん”410円をまず購入。
“天ぷら・コロッケトッピング 選べる”110円、“玉子生/温泉 選べる”60円をポチッとな。
その3枚を注文カウンターに提出。
天ぷらは、天ぷら(野菜かき揚げ)、しめじ天(2個)、コロッケ、紅生姜天、紅生姜入りちくわ天(40円追加)の5種類。

春菊がないのはちょっと痛いが、なかなかボリュームのあるしめじ天をチョイス。
玉子は生で。
ということで、いっぱいのっけ蕎麦、完成。
しめて580円。

ビジュアル的に、どうだろう。
収まりがよい。
収まり、よすぎないか…?
コロッケかなり大きめ、しめじ天は通常サイズ2個、生卵… すべてがきれいに収まってる。
なんか、思ってたのと違う。

あくまでも想像だが、器のサイズがわしらの標準と違ってるんじゃないだろうか?
昔、立ち食いといえば駅そば。いすどころか食べ物を置く天板のスペースもとれず、はみ出した客はどんぶりを手に持ってそっちのほうで食べていたりした。器のサイズも限られていたはず。
いま、立ったまま食べる立ち食いそば屋はほとんどなくなった。器の制約がなくなった… とか?

見た目、収まりがよく、はみ出し感がない。
過剰な感じを求めるから、肩すかしを食らう。
これを文献に忠実に天ぷら2個にしたらどうか? それでは本当に過剰で、美しくない。
昭和時代の理屈の世界に誘い込まれて、思わぬ袋小路に入り込んでしまったようだ。

[DATA]
名代富士そば 小平店
東京都小平市美園町1-6-1 グリーンプラザ1F
https://fujisoba.co.jp/
[Today's recommendation]

https://www.youtube.com/watch?v=A2VpR8HahKc



アマクサコラン(天草小蘭、Cymbidium koran) ヘツカラン(辺塚蘭、Cymbidium dayanum)
“グルメ”という用語がいつごろから日本で使われているのか知らないが、そこから派生し、いまやすっかり定着した“B級グルメ”の登場経緯は次のとおり。
――最初に登場したのは1985年とされる。フリーライターの田沢竜次が雑誌『angle』に連載した記事をもとに、『東京グルメ通信 B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)が刊行された。そして1986年に文春文庫ビジュアル版で田沢竜次もメインライターとして参加した『B級グルメ』シリーズが刊行され、この用語と概念が広がった。(Wikipedea「B級グルメ」より)
時はバブル前夜。
“一億総グルメ”といわれた空前のグルメブームに、“グルメ=食通=高級”という既成概念を打ち砕く“B級”という提案が大きな役割を果たしたのは間違いない。
そして、インターネットなど存在しない時代において、一億総の下層構成員であるわれわれ“マルビ”(古っ…(笑))グルメにとって、この文春文庫『B級グルメ』シリーズはバイブル的存在だった。
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シリーズの1冊『東京・横浜 B級グルメの冒険』(1988年刊)に収録されているフォトグラファー・アマリ眞一氏によるエッセー『アマリ君の「東京C級グルメ」』に、次のような一節がある。
――給料日前でお金が乏しくなり、かなりストレスがたまった時、 ~ 僕は立喰いうどん屋に行きます。 ~ うどんの上に、コロッケ、かき揚げ、竹輪天、生玉子の4種をのせてもらい、おにぎりも2個とっていっぺんにいただきます。これでも620円です。
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これをやってみたい、というのはずっとどこかに引っかかっていたんだと思う。
立ち食いそば屋をいちばん多く使っていた学生時代、たしかにトッピング多数という発想はあったが、立ち食いとはいえすねかじりの身でやってはならない贅沢だと感じていた。
社会人になったらなったで、世間体や社会的地位(笑)が邪魔をする。
それから30年。人間、年をとると恥の概念が薄れるという…。

ということで、去年小平駅前にオープンした「名代富士そば」へ。
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構想としては、春菊天をベースに、コロッケもしくはイカ天、生卵の3種のせ。

券売機でいくら探しても春菊天そばもイカ天そばも見つからないので、天ぷらは単品ということに発想を変え、“コロッケそば・うどん”410円をまず購入。
“天ぷら・コロッケトッピング 選べる”110円、“玉子生/温泉 選べる”60円をポチッとな。
その3枚を注文カウンターに提出。
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天ぷらは、天ぷら(野菜かき揚げ)、しめじ天(2個)、コロッケ、紅生姜天、紅生姜入りちくわ天(40円追加)の5種類。

春菊がないのはちょっと痛いが、なかなかボリュームのあるしめじ天をチョイス。
玉子は生で。
ということで、いっぱいのっけ蕎麦、完成。
しめて580円。

ビジュアル的に、どうだろう。
収まりがよい。
収まり、よすぎないか…?
コロッケかなり大きめ、しめじ天は通常サイズ2個、生卵… すべてがきれいに収まってる。
なんか、思ってたのと違う。

あくまでも想像だが、器のサイズがわしらの標準と違ってるんじゃないだろうか?
昔、立ち食いといえば駅そば。いすどころか食べ物を置く天板のスペースもとれず、はみ出した客はどんぶりを手に持ってそっちのほうで食べていたりした。器のサイズも限られていたはず。
いま、立ったまま食べる立ち食いそば屋はほとんどなくなった。器の制約がなくなった… とか?

見た目、収まりがよく、はみ出し感がない。
過剰な感じを求めるから、肩すかしを食らう。
これを文献に忠実に天ぷら2個にしたらどうか? それでは本当に過剰で、美しくない。
昭和時代の理屈の世界に誘い込まれて、思わぬ袋小路に入り込んでしまったようだ。

[DATA]
名代富士そば 小平店
東京都小平市美園町1-6-1 グリーンプラザ1F

[Today's recommendation]

https://www.youtube.com/watch?v=A2VpR8HahKc



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