もう一つの応援イベントで、秘密のお店へ 【うなぎ・天ぷら いしい】
2020.07.12
市内飲食店応援イベントとして、ホストタウンテイクアウトグルメラリー in 東村山というものが行われている。
ホストタウンとは東京オリンピック・パラリンピックに向け参加国・地域との人的・経済的・文化的な交流を図ろうという自治体で、東村山市は中国のホストタウン。
イベントは、参加店でスタンプシールを集め、数に応じて景品のクリアファイルや缶バッジがもらえるという、いわゆるスタンプラリーである。
一方、やはり飲食店支援プロジェクト #東村山エール飯。こちらはSNSを通じてテイクアウト情報を共有しようというもので、よりボトムアップ的性質が強い。
エール飯で応援したいお店はいくつもあるが、SNSを使った発信という手段を持たない古いお店は特に気になる。
昭和から続く古びたたたずまいのお店で、いまも変わらず厨房に立つ店主は、インターネットを通じたPRなど思いもよらないだろう。代わりに客が発信するというところが、エール飯の骨子だと思っている。

青葉町星ヶ丘の「うなぎ・天ぷら いしい」も情報の極端に少ないお店。

焼き鳥の持ち帰りができそうなので、エール飯で応援できるタイミングがあればと考えていたが、店の前を通るといつも閉まっている。おかみさんが1人で切り盛りする店だから、そのへんはしょうがないが…。
そんなタイミングで店先にホストタウン企画のポスターが張ってあるのを発見したのだ。

さっそく昼ごはんに利用しようとお店に電話。
「テイクアウト? そうねぇ、天丼とかとんかつとか…。親子丼、しょうが焼きなんかもあります。あと、うなぎね」
はじめは気だるそうだった声が、話していくうちに商売気を帯びてくる。今日はあまり客がなく、人と話していなかったのかもしれない。
天丼としょうが焼き定食を注文。
「うちの場所わかりますか? それなら20分くらいで」

「表のホストタウンのポスター見たもので。反響はどうです?」と聞いてみた。
「そりゃ常連さんはね…。でも電話して来てくださったのは初めてですよ。第一号(笑)」

エール飯のことを話すと、なんとなく知っているふうな反応で、「そこにメニューあるから写して載っけちゃって」と。
かしこまりました ( ・Θ・)ゞ ラジャ

夜はほとんどが常連で、遠くから来る客もいるが、そういう人が来られなくなっていまは近場の客だけという。
「こんな場所だから…。でもよくうちがわかりましたね。見つけてくれてありがとう!」

しょうが焼きは豚肉に付けた粉がいい具合にとろみとなって下に敷かれたレタスにからみ、添えたきゅうりやトマトでさっぱりいただける。
ケチャップ味のスパゲティも好感度高し。

ご飯の量がすごい。
おいしく炊かれていて、もしかして20分はご飯を炊く時間だったかも。

天丼は、容器の幅いっぱいの大きいエビが2本に、さつまいも、しいたけ、ししとう。

コロモがぼってりで甘めのつゆをよく吸っていて、古い門前商店街なんかで出てきそうな懐かしさいっぱい、なんかほっこりする天丼。

先刻、お店でお会計のとき、イベントの景品を並べて「好きなの持ってって」と。
「え…? でもこれってスタンプとかなんとか…」
「いいのよ、ウチは(笑)」
気さくで楽しいおかあさんなのである。

[DATA]
うなぎ・天ぷら いしい
東京都東村山市青葉町3-13-65
[Today's recommendation]



https://www.youtube.com/watch?v=gyntl24zkZs
市内飲食店応援イベントとして、ホストタウンテイクアウトグルメラリー in 東村山というものが行われている。
ホストタウンとは東京オリンピック・パラリンピックに向け参加国・地域との人的・経済的・文化的な交流を図ろうという自治体で、東村山市は中国のホストタウン。
イベントは、参加店でスタンプシールを集め、数に応じて景品のクリアファイルや缶バッジがもらえるという、いわゆるスタンプラリーである。
一方、やはり飲食店支援プロジェクト #東村山エール飯。こちらはSNSを通じてテイクアウト情報を共有しようというもので、よりボトムアップ的性質が強い。
エール飯で応援したいお店はいくつもあるが、SNSを使った発信という手段を持たない古いお店は特に気になる。
昭和から続く古びたたたずまいのお店で、いまも変わらず厨房に立つ店主は、インターネットを通じたPRなど思いもよらないだろう。代わりに客が発信するというところが、エール飯の骨子だと思っている。

青葉町星ヶ丘の「うなぎ・天ぷら いしい」も情報の極端に少ないお店。

焼き鳥の持ち帰りができそうなので、エール飯で応援できるタイミングがあればと考えていたが、店の前を通るといつも閉まっている。おかみさんが1人で切り盛りする店だから、そのへんはしょうがないが…。
そんなタイミングで店先にホストタウン企画のポスターが張ってあるのを発見したのだ。

さっそく昼ごはんに利用しようとお店に電話。
「テイクアウト? そうねぇ、天丼とかとんかつとか…。親子丼、しょうが焼きなんかもあります。あと、うなぎね」
はじめは気だるそうだった声が、話していくうちに商売気を帯びてくる。今日はあまり客がなく、人と話していなかったのかもしれない。
天丼としょうが焼き定食を注文。
「うちの場所わかりますか? それなら20分くらいで」

「表のホストタウンのポスター見たもので。反響はどうです?」と聞いてみた。
「そりゃ常連さんはね…。でも電話して来てくださったのは初めてですよ。第一号(笑)」

エール飯のことを話すと、なんとなく知っているふうな反応で、「そこにメニューあるから写して載っけちゃって」と。
かしこまりました ( ・Θ・)ゞ ラジャ

夜はほとんどが常連で、遠くから来る客もいるが、そういう人が来られなくなっていまは近場の客だけという。
「こんな場所だから…。でもよくうちがわかりましたね。見つけてくれてありがとう!」

しょうが焼きは豚肉に付けた粉がいい具合にとろみとなって下に敷かれたレタスにからみ、添えたきゅうりやトマトでさっぱりいただける。
ケチャップ味のスパゲティも好感度高し。

ご飯の量がすごい。
おいしく炊かれていて、もしかして20分はご飯を炊く時間だったかも。

天丼は、容器の幅いっぱいの大きいエビが2本に、さつまいも、しいたけ、ししとう。

コロモがぼってりで甘めのつゆをよく吸っていて、古い門前商店街なんかで出てきそうな懐かしさいっぱい、なんかほっこりする天丼。

先刻、お店でお会計のとき、イベントの景品を並べて「好きなの持ってって」と。
「え…? でもこれってスタンプとかなんとか…」
「いいのよ、ウチは(笑)」
気さくで楽しいおかあさんなのである。

[DATA]
うなぎ・天ぷら いしい
東京都東村山市青葉町3-13-65
[Today's recommendation]



https://www.youtube.com/watch?v=gyntl24zkZs
星降る丘に 【うなぎ・天ぷら いしい】
2018.09.22
青葉町3丁目は、東京都の辺境・東村山市のそのまた辺境である。
清瀬市梅園に隣接し、三方を空堀川、所沢街道、多磨全生園に包囲された陸の孤島。
見るからに古い宅地造成区域で、住宅密集度は高く、道路は迷路状。
その一角が「星ヶ丘」という美しい名で呼ばれていることを、ほとんどの市民は知らない。
そういえば久米川―秋津のバスに乗っていてバス停アナウンスで聞くなぁ… という人がいるかいないか。

このラビリンスをさまよっていると藪から棒に商店や飲み屋に出くわす。
ひと目で遺構とわかるものが多いが、なかにはビミョー… という物件も。

“星ヶ丘自治会会長”のステッカーが張られた「幸寿司」は、出前専門と書いてある。ホントに出前してくれるのかな…?
その100m南に現役の食料品店「丸八商店」、そして現役感のないうなぎ・天ぷらの「いしい」。
…と、気になる物件を線で結ぶように通るわけだが、2カ月ほど前に「いしい」の入り口ドアに定食の品書きの紙が張られているのを初めて見かけた。
いちおう現役であったらしい、と、その後何度か忍び寄ってみたが、品書き1枚では心もとない。まだまだ非現役感が勝っているのだ。

このルートは清瀬に行く抜け道の一つ。
パン屋「あいらんど」に行く途中に通りかかったら、「いしい」に暖簾がかかっている。しかも店内がにぎやか。
しばし逡巡… そして、思い切って入ってみた。

お客さんはなし。にぎやかなのは、テレビの八代亜紀と五木ひろしであった。
ただし、4人予約が入っている、とおかみさん。だからテレビが付いてるのね。
真ん中に4人用の予約席が設けられていて、僕らはその手前、入ってすぐ左の小上がり席へ。

しょうが焼定食800円(相方)とやきとり丼600円(僕)を注文。

「いつもやってるんですか?」と聞いてみた。「よく前を通るんですが、暖簾が出てるの初めて見ました(笑)」
「1人でやっているので、開けていたりいなかったり」とおかみさん。「ちょっとした用事で出かけるときも閉めちゃいますしね」

店のつくりというか席の配置がユニーク。
もともと右にカウンター、左に小上がりというつくりだが、その真ん中に畳ベンチが置いてある。
これはカウンターにも小上がりにもイスの役目をして、掘りごたつ感覚で使えるようになっている。うまいこと考えられているのだ。

入ってすぐ右手が焼き場になっていて、いまはふさいであるが表側に焼き鳥などの販売窓口が付いていたようにみえる。
僕の焼き鳥のために焼き場に火が入る。

カウンターの中の調理場の壁には、あゆ塩焼き、新さんまといった現役バリバリ感のある札が下がっている。
そして、看板のうなぎや天ぷらは各種メニューに載っていて、1人で切り盛りしているというおかみさん、うなぎまでやるのか…? と、意外に謎は奥深いのであった。
しょうが焼きは厚めの肉4枚。甘めのたれに焦げ目が付いて香ばしく、ご飯によく合う。
つけだれにショウガ、ニンニクのほか、タマネギのすりおろしを使っているのか、肉が軟らかい。
やきとり丼は、とり、かわ、つくねという感じ。火の通りが絶妙で、ふっくらとしてジューシー。
照りのあるしょうゆだれがごはんに染みて、これまたおいしい。

みそ汁はしっかりかつおだしがとられて豆腐、三つ葉と上品なところに、うなぎ・天ぷらのDNAを感じる。

予約のおばちゃん4人組は、天丼3、天ぷら定食1という予約内容。この天ぷらが実においしそうなのだ。
4人分盛り付けの最中に、おばちゃん連中から「慌てなくていいのよ、ゆっくりね」と声がかかる。
今日は異質な客(わしら)がいて、おかみさんもいつものペースでないのかも…。

帰りしなに、どれくらいやっているのか聞いてみた。
「40年!」とおかみさん。ドッと笑いが起こる。
「外観、滅びてるから(笑)」と、おかみさんは余裕の自虐ネタをかます。

[DATA]
うなぎ・天ぷら いしい
東京都東村山市青葉町3-13-65
[Today's recommendation]

https://www.youtube.com/watch?v=dzZpqlfkwvU


青葉町3丁目は、東京都の辺境・東村山市のそのまた辺境である。
清瀬市梅園に隣接し、三方を空堀川、所沢街道、多磨全生園に包囲された陸の孤島。
見るからに古い宅地造成区域で、住宅密集度は高く、道路は迷路状。
その一角が「星ヶ丘」という美しい名で呼ばれていることを、ほとんどの市民は知らない。
そういえば久米川―秋津のバスに乗っていてバス停アナウンスで聞くなぁ… という人がいるかいないか。

このラビリンスをさまよっていると藪から棒に商店や飲み屋に出くわす。
ひと目で遺構とわかるものが多いが、なかにはビミョー… という物件も。

“星ヶ丘自治会会長”のステッカーが張られた「幸寿司」は、出前専門と書いてある。ホントに出前してくれるのかな…?
その100m南に現役の食料品店「丸八商店」、そして現役感のないうなぎ・天ぷらの「いしい」。
…と、気になる物件を線で結ぶように通るわけだが、2カ月ほど前に「いしい」の入り口ドアに定食の品書きの紙が張られているのを初めて見かけた。
いちおう現役であったらしい、と、その後何度か忍び寄ってみたが、品書き1枚では心もとない。まだまだ非現役感が勝っているのだ。

このルートは清瀬に行く抜け道の一つ。
パン屋「あいらんど」に行く途中に通りかかったら、「いしい」に暖簾がかかっている。しかも店内がにぎやか。
しばし逡巡… そして、思い切って入ってみた。

お客さんはなし。にぎやかなのは、テレビの八代亜紀と五木ひろしであった。
ただし、4人予約が入っている、とおかみさん。だからテレビが付いてるのね。
真ん中に4人用の予約席が設けられていて、僕らはその手前、入ってすぐ左の小上がり席へ。

しょうが焼定食800円(相方)とやきとり丼600円(僕)を注文。

「いつもやってるんですか?」と聞いてみた。「よく前を通るんですが、暖簾が出てるの初めて見ました(笑)」
「1人でやっているので、開けていたりいなかったり」とおかみさん。「ちょっとした用事で出かけるときも閉めちゃいますしね」

店のつくりというか席の配置がユニーク。
もともと右にカウンター、左に小上がりというつくりだが、その真ん中に畳ベンチが置いてある。
これはカウンターにも小上がりにもイスの役目をして、掘りごたつ感覚で使えるようになっている。うまいこと考えられているのだ。

入ってすぐ右手が焼き場になっていて、いまはふさいであるが表側に焼き鳥などの販売窓口が付いていたようにみえる。
僕の焼き鳥のために焼き場に火が入る。

カウンターの中の調理場の壁には、あゆ塩焼き、新さんまといった現役バリバリ感のある札が下がっている。
そして、看板のうなぎや天ぷらは各種メニューに載っていて、1人で切り盛りしているというおかみさん、うなぎまでやるのか…? と、意外に謎は奥深いのであった。
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しょうが焼きは厚めの肉4枚。甘めのたれに焦げ目が付いて香ばしく、ご飯によく合う。
つけだれにショウガ、ニンニクのほか、タマネギのすりおろしを使っているのか、肉が軟らかい。
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やきとり丼は、とり、かわ、つくねという感じ。火の通りが絶妙で、ふっくらとしてジューシー。
照りのあるしょうゆだれがごはんに染みて、これまたおいしい。

みそ汁はしっかりかつおだしがとられて豆腐、三つ葉と上品なところに、うなぎ・天ぷらのDNAを感じる。

予約のおばちゃん4人組は、天丼3、天ぷら定食1という予約内容。この天ぷらが実においしそうなのだ。
4人分盛り付けの最中に、おばちゃん連中から「慌てなくていいのよ、ゆっくりね」と声がかかる。
今日は異質な客(わしら)がいて、おかみさんもいつものペースでないのかも…。

帰りしなに、どれくらいやっているのか聞いてみた。
「40年!」とおかみさん。ドッと笑いが起こる。
「外観、滅びてるから(笑)」と、おかみさんは余裕の自虐ネタをかます。

[DATA]
うなぎ・天ぷら いしい
東京都東村山市青葉町3-13-65
[Today's recommendation]

https://www.youtube.com/watch?v=dzZpqlfkwvU

