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鎮守の森を借景に 【宮前寿司】

2018.09.02

 東村山市には意外にすし屋が多いということを書いたことがあるが(「亀八鮨」参照)、隣接するほかの市はどうだろう? ちなみにその記事には次のように記している。

――ここでは非チェーン系ということに限定するが、その中でさらにランチサービスを提供するという条件で絞り込んでも、自分の知る限り該当する店は15店ほどもある。これは、面積にして20%広い小平市よりも、路線価で70%高い国分寺市よりも、すし屋の数で東村山市は50%強上回るという数字になる。

国分寺はともかく、小平市ではその後、一橋学園の「黒潮寿し」、小川の「千成寿し」が残念ながら閉店、比較するのもむなしいばかり。
このように、生活圏である東村山、清瀬、東久留米、小平、東大和、所沢あたりの動向は自然と目につくわけで。
そういった中で、気になるおすし屋さんもいろいろ存在するわけで。


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たとえば東久留米市。
滝山の住宅街に「愛寿司」というお店がある。たぶん誰も知らない。いわゆる隠れ家スタイルだが、滝山くんだりで隠れる必要ある? 三宿や池尻大橋じゃないんだから… という営業スタイルがミョーに気になる。
逆に、大通り沿いに立派な店構えで堂々と商売をしているのが、下里の「宮前寿司」。
隠れていようが堂々としていようが、そこはすし屋、入りにくいことに違いはない。


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「宮前寿司」は、新青梅街道の柳窪交差点(山崎製パン武蔵野工場西のT字路)から東久留米駅方面に向かう道路の中ほどに位置する。この道を新宮前通りという。
「宮前」とは、「日本全国にみられる地名のひとつ。多くの場合、宮とは『神宮社』『神社』『社(やしろ)』を表し、もともと神社等の参道周辺の地域を指した」(Wikipedia)ものであり、この場合のヤシロは下里氷川神社。
通りを挟んで神社の真向かいにお店はある。


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一応、幹線道路沿いとはいえ、一帯はもともとは畑。
商業エリアから離れ人通りは少なく、消費人口が多いとも思えない。
いったい誰が入るんだろう…? という疑問はぬぐえない。


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われわれも今日ここに入ることになるとは、これっぽっちも思っていなかったわけで。
その先に向かうはずが、台風21号の先ぶれで空模様が安定せず、雨宿りのような形で入店した次第。

そういういきさつでもない限り、なかなか入る理由が浮かんできづらい。
ただ、昼の営業は不規則とみていただけに日曜でランチサービスの看板は意外でもあり、これらすべてのことが予定調和のように思えなくもないのだが。


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先客がないということも、なんとなく予感のまま。って、お店の人もいないんだけど(笑)。
気配を察し奥から出てきた大将が、客席の明かりをつけて回る。
念のためランチをやっているか確認したうえで、カウンターの端の席へ。


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外観から想像されるとおり広く立派な店内で、カウンター8席、小上がりに4卓。
入り口すぐのところに階段があるので、2階も客席になっているもよう。


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大将は意外に若く、僕ら世代だろうか。気さくそうに見えるが、愛想をするようなタイプでもなく、AMラジオの音だけが流れている。あとは客同士(わしら)の会話の声。


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不意に横の暖簾をくぐっておかみさんがサラダを持ってくる。
少しおいて、大将からカウンター越しにチラシ寿司の木の大鉢、そしておかみさんがお椀… と、言葉少なに(機械的でもなく)粛々と進行するシステムというのは嫌いじゃない。


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チラシのネタは、マグロ、タイ、しめさば、タコ、甘えび、とびこ、玉子、かまぼこ、など。
シャリの上には刻んだかんぴょうや桜でんぶなどが敷いてある。
仕事がていねいでネタもよい。本まぐろやしめさばなんか、抜群においしい。
畑の真ん中のような土地で新鮮な魚というのも不思議な感覚。


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突然2階から人が下りてきた。それも3人。
1人は「ごちそうさま」と出て行ったので、客に違いない。残り2人は再び2階へ。
まったく気づかなかったが、階上は宴会の最中だったようだ。
建物のつくりがよっぽどしっかりしているとみえて、ぜんぜん物音がしなかった。


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町内会の会合のような感じで、こういう立地でも顧客はちゃんとついている。
水槽にはイサキのような魚影が見えるし、目の前のネタケースもけっこう埋まっている。


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実際、近所にこういうお店があったらうれしい。
昼でも夜でも、まったり居心地よさそう。
構えはどっしりしているが、こういうのはやっぱり隠れ家感覚っていうんだろうな。


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左手の森が下里氷川神社


[DATA]
宮前寿司
東京都東久留米市下里2-9-37





[Today's recommendation]


https://youtu.be/ZUXviJxS-Aw



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