団地の街の隠れ家フレンチ 【Bistrot Lierre】
2018.08.26
東久留米 滝山・前沢地区の夏祭りで狂言の舞台があるという。
祭りのポスターを見ると屋外での開催のようで、薪能を彷彿させそれはそれでおもしろそうだが、この夏何度目かの猛暑のピークの本日、真っ昼間にそんなことやって大丈夫か?

やるのかやらないのか確認だけでもと、とにかく現場に行くだけ行ってみようとなった。

現場に中止の案内はないので、やることはやるようだ。
とりあえず昼ごはんを食べ、狂言開演時間の14時に再度会場に。
西部地域センター入り口前の階段を舞台に見立ててあるようだ。

観客はほとんどおらず、まあ舞台真ん前の位置を確保したわけだが、開演が迫るなか、係の人が「前のほうの人は、できれば座ってください」と。いまは日陰になっているがアスファルトは日に焼けていて、とてもじゃないが尻を下ろせるものじゃない。
まさかのヤンキー座りで狂言を見るはめに。
出演は、能楽師大蔵流狂言方・大藏彌太郎千虎さんの一門。
演目『寝音曲』
シテ(太郎冠者)大藏彌太郎、アド(主)吉田信海
まず狂言について簡単なお話。600年の歴史があり武士たちが楽しんだ舞台芸術であること。重心を落としてすり足で進む独特の所作や、泣く、笑う、怒る… といった表現方法を軽妙なトークで説明。装束こそ浴衣に袴という略式であったが、能楽堂で見るのと遜色ない舞台だった。

「寝音曲」の筋は、前に見たことがある「伯母ヶ酒」によく似ている。
酒飲みというものはいつの時代も、あさましくも滑稽であるな ( ̄▽ ̄; )… と、久々に笑わせてもらった。
https://youtu.be/BTgYCPpCNKA
日が傾いてやや涼しくなり、祭りのメイン会場、滝山中央商店街にもぼちぼち人出が増えてきた。
時間が前後するが、昼ごはん。
商店街の飲食店はどこも祭りの店頭販売モードで、中で食べられそうにない。
交番のある交差点を越え、中華料理「珍来」やそば「石倉家」のほうに向かう。

そういえば、裏道の隠れ家的ビストロ店で意外にリーズナブルなランチの看板を最近見た。
ああいうお店は日曜はやってないだろうな… と期待せずに行ってみたら、やってました。

ランチ A.カレーライス サラダ付き600円、B.ハンバーグステーキ サラダ・スープ・ライス付き1000円。
ビストロでこのお値段は、かなりオトクでは?

一瞬カラオケスナックかと思った、というようなお店のつくりに、スナックママさんというか… マダムのお出迎え。
マダムの肩ひじ張らない庶民キャラに、たちまちリラックスムードに。

小さいお店で、テーブル席が4人用と2人用の2つ。カウンターが2(+2 ?)席。
ランチのAとBをオーダー。
「とってもおいしいコーヒーゼリー、500円のところ400円でいかがですか(笑)」
もちろんお願いする。

ずっと前から気になっていたお店で、その旨伝えると、
「ずっと前じゃ、うちじゃないと思います」とマダム。「うちはまだ2年なんですよ」

この裏道は僕の自転車ルートで、ここにはずっと前から民家の一角を改造したようなビストロ店があった。以前のシェフはいまのご主人よりもっと高齢だったそうで、もう亡くなられていると。
同じフレンチでそのまま使いやすいということでこちらに入居、一昨年6月に開店。
ご主人は長くホテルのシェフを務めた方だそうだ。
お子さんが市内八幡町に住んでいることも、この場所を選んだ理由。
撮影用(?)に料理写真のボードをわざわざ持ってきてくれたマダム。
「うちはすごい料理を出すんです。でも滝山じゃ、ぜんっぜん出ないですね(笑)」

ハンバーグにかかるのは、「ちょっとこだわってます」と自信のソース・ドゥミグラス。
かすかに酸味があって香ばしい。ていねいにこしてあり、ホテルのフレンチらしさが感じられる。肉はふっくら外側がこんがり。

カレーは、なかなかお目にかかれないような上品なビジュアル。

こちらもたいへん滑らかな舌触りで、お味も濃厚。しっかりフォンをとりバターと生クリームで仕上げた、まるでフレンチのソースのよう。
そこいらの定食屋やそば屋のカレーとは別次元の、たとえてみればヴルーテ・ヴォライユのような一品である。見たことも食したこともないけど。

…かと思うと、定食屋やそば屋のような福神漬け。
フレンチの名シェフに寄り添う梅干し… もとい、糟糠の… 一緒か(笑)。
そんなほほ笑ましくもある一皿だと思った。
あっという間に取り壊された「ザ・プライス」(元 イトーヨーカドー)の跡地には埼玉の食品スーパー、その向かいの駐車場跡には電気屋ができるのが待ち遠しい、と。
「にぎやかになったら、うれしいですよ」
そうなったら、この場所は意外に好立地かもしれない。
滝山の名店として語られるようになる日も遠くないかも… と、こちらも想像を膨らませる。

[DATA]
Bistrot Lierre
東京都東久留米市滝山5-8-9
[Today's recommendation]

https://youtu.be/2s7xXLLB6sI
https://youtu.be/gUWsAcW9ju4


東久留米 滝山・前沢地区の夏祭りで狂言の舞台があるという。
祭りのポスターを見ると屋外での開催のようで、薪能を彷彿させそれはそれでおもしろそうだが、この夏何度目かの猛暑のピークの本日、真っ昼間にそんなことやって大丈夫か?

やるのかやらないのか確認だけでもと、とにかく現場に行くだけ行ってみようとなった。

現場に中止の案内はないので、やることはやるようだ。
とりあえず昼ごはんを食べ、狂言開演時間の14時に再度会場に。
西部地域センター入り口前の階段を舞台に見立ててあるようだ。

観客はほとんどおらず、まあ舞台真ん前の位置を確保したわけだが、開演が迫るなか、係の人が「前のほうの人は、できれば座ってください」と。いまは日陰になっているがアスファルトは日に焼けていて、とてもじゃないが尻を下ろせるものじゃない。
まさかのヤンキー座りで狂言を見るはめに。
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出演は、能楽師大蔵流狂言方・大藏彌太郎千虎さんの一門。
演目『寝音曲』
シテ(太郎冠者)大藏彌太郎、アド(主)吉田信海
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まず狂言について簡単なお話。600年の歴史があり武士たちが楽しんだ舞台芸術であること。重心を落としてすり足で進む独特の所作や、泣く、笑う、怒る… といった表現方法を軽妙なトークで説明。装束こそ浴衣に袴という略式であったが、能楽堂で見るのと遜色ない舞台だった。

「寝音曲」の筋は、前に見たことがある「伯母ヶ酒」によく似ている。
酒飲みというものはいつの時代も、あさましくも滑稽であるな ( ̄▽ ̄; )… と、久々に笑わせてもらった。
https://youtu.be/BTgYCPpCNKA
日が傾いてやや涼しくなり、祭りのメイン会場、滝山中央商店街にもぼちぼち人出が増えてきた。
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![]() | ![]() |
時間が前後するが、昼ごはん。
商店街の飲食店はどこも祭りの店頭販売モードで、中で食べられそうにない。
交番のある交差点を越え、中華料理「珍来」やそば「石倉家」のほうに向かう。

そういえば、裏道の隠れ家的ビストロ店で意外にリーズナブルなランチの看板を最近見た。
ああいうお店は日曜はやってないだろうな… と期待せずに行ってみたら、やってました。

ランチ A.カレーライス サラダ付き600円、B.ハンバーグステーキ サラダ・スープ・ライス付き1000円。
ビストロでこのお値段は、かなりオトクでは?

一瞬カラオケスナックかと思った、というようなお店のつくりに、スナックママさんというか… マダムのお出迎え。
マダムの肩ひじ張らない庶民キャラに、たちまちリラックスムードに。

小さいお店で、テーブル席が4人用と2人用の2つ。カウンターが2(+2 ?)席。
ランチのAとBをオーダー。
「とってもおいしいコーヒーゼリー、500円のところ400円でいかがですか(笑)」
もちろんお願いする。

ずっと前から気になっていたお店で、その旨伝えると、
「ずっと前じゃ、うちじゃないと思います」とマダム。「うちはまだ2年なんですよ」

この裏道は僕の自転車ルートで、ここにはずっと前から民家の一角を改造したようなビストロ店があった。以前のシェフはいまのご主人よりもっと高齢だったそうで、もう亡くなられていると。
同じフレンチでそのまま使いやすいということでこちらに入居、一昨年6月に開店。
ご主人は長くホテルのシェフを務めた方だそうだ。
![]() | ![]() |
お子さんが市内八幡町に住んでいることも、この場所を選んだ理由。
撮影用(?)に料理写真のボードをわざわざ持ってきてくれたマダム。
「うちはすごい料理を出すんです。でも滝山じゃ、ぜんっぜん出ないですね(笑)」

ハンバーグにかかるのは、「ちょっとこだわってます」と自信のソース・ドゥミグラス。
かすかに酸味があって香ばしい。ていねいにこしてあり、ホテルのフレンチらしさが感じられる。肉はふっくら外側がこんがり。

カレーは、なかなかお目にかかれないような上品なビジュアル。

こちらもたいへん滑らかな舌触りで、お味も濃厚。しっかりフォンをとりバターと生クリームで仕上げた、まるでフレンチのソースのよう。
そこいらの定食屋やそば屋のカレーとは別次元の、たとえてみればヴルーテ・ヴォライユのような一品である。見たことも食したこともないけど。

…かと思うと、定食屋やそば屋のような福神漬け。
フレンチの名シェフに寄り添う梅干し… もとい、糟糠の… 一緒か(笑)。
そんなほほ笑ましくもある一皿だと思った。
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あっという間に取り壊された「ザ・プライス」(元 イトーヨーカドー)の跡地には埼玉の食品スーパー、その向かいの駐車場跡には電気屋ができるのが待ち遠しい、と。
「にぎやかになったら、うれしいですよ」
そうなったら、この場所は意外に好立地かもしれない。
滝山の名店として語られるようになる日も遠くないかも… と、こちらも想像を膨らませる。

[DATA]
Bistrot Lierre
東京都東久留米市滝山5-8-9
[Today's recommendation]

https://youtu.be/2s7xXLLB6sI
https://youtu.be/gUWsAcW9ju4

