惜しみなくRockなホスピタリティ 【Cafe漕人】
2018.07.22
前回の続きになるが、「手しごとフェスタ2018」の工作が終わったのが11時すぎ。
この清瀬・東久留米・東村山の狭間地帯に飲食店はほとんどない。とりあえず涼んでから考えようと、意外に近い東久留米卸売市場(得得市場)に向かう。

日曜日の市場は自主営業となっていて開いている店もあるが、鮮魚・鮮魚卸しが閉まっているのでまるで活気がない。ほかにもシャッターが目立つ。

食堂2店は営業しているが、実はもう1軒、食事ができるお店がある。
今年1月に店名が変わった「Cafe漕人」(こぎと、旧店名「COFFEE市衛門」)。

一応、営業時間は8:00~14:00らしいが、ここも昼すぎには閉まっていることが多い印象で、まさに市場ノリの喫茶店。
意外に時間が早かったからか、今日は開いてるっぽい。
せっかくの機会だから入ってみることにした。
Curry and rice ¥400 トッピング 目玉焼き、チーズ、ウインナー all ¥100(左)、Toast set セルフサーブドリンク付き ¥400 open~10:00 モーニングサービス ¥350(中央)、ハッシュドビーフあります ¥500(右)
マスターは年配の方とばかり思っていたが、近くで見るとけっこう若い。僕ら世代じゃないかと思う。
鋭角三角形の店内、壁に面したカウンター5~6席と小さな丸テーブル1つ。
テーブル席に着き、カレーライス400円とハッシュドビーフ500円を注文。

先客はなく、マスターはまずBGMをかける。環境音楽的な落ち着いた選曲。
店の右隅にはギターが置いてあり、このへんのノリは環境音楽BGMのお店っぽくない。音響機器も楽器用アンプのようななじみの薄いものがメイン。

赤い筒形の機器に興味を引かれたワタクシ。
最近のオーディオの形状は、われわれの認識を超越するものがあり、こういうスタイリッシュなスピーカーシステムなんか、いかにもありそう。

「それ、かき氷器です」と、厨房からマスター。
どたっ (ノ_ _)ノ

「粗く削れるので外で食べるのにいいかなと。こう暑いと、きめ細かい氷だとすぐ融けちゃうんですよ」
なるほど、隣に手回し式のかき氷器がある。
写真を撮っていると、「ちょっと待って」と、マスターはもう2台かき氷器を並べる。かき氷器コレクターの一面(笑)。
一見、斜に構えたキャラのようで、このマスター、いろいろおもしろい。

手づくりっぽいピクルスに続いてハッシュドビーフ。
タマネギの甘さが優しく、上からかけたクリームがコクをプラスしていてなかなか本格的。

「子どもでも食べられるように甘めに作ってますから、お好みで」と、LEA & PERINSのウスターソースが一緒に出てきた。
ヴィネガーの酸味とスパイスの刺激で味に変化がついてさらに楽しめる。

カレーは具がごろごろの懐かしい昭和な黄色いカレー。午前中の工作教室から、まだまだ夏休みは続いている。
ポークがとろとろで、ゆっくり煮込んだ手づくり感がいい。豚肉たっぷりでこの値段は驚きだ。

「あとでかき氷、お試しで出しますから、食べ比べてみてください」とマスター。
なんか楽しそうなことになってきた(笑)。

まず先ほどの筒形機器の実演。お試しというわりに、ちゃんと量がある。
「あとは勝手にやって、と、普段はそんな感じで(笑)」とシロップを並べる。言われたとおりセルフで抹茶をかける。これは、ぶっかきまたはかち割りというタイプ。
続いて厨房よりきめの細かい氷が来る。これはもうレギュラーサイズといえるほどの量だ。こっちが手回し式のもので、王道のイチゴミルクに。
僕はかき氷を食べた記憶が30年以上も空白なのだが、「手しごとフェスタ」に続いて今日2回も食べているという不思議。
練乳の味は、40年も記憶をさかのぼらせる力があるんじゃないか? とか思ってしまう。

「バンドとかやられてるんですか?」と聞いてみる。
「バンドといえばバンド。メンバー1人だけど(笑)」
「全部の楽器弾けるとか?」
「いや、いまはけっこういろんな音源あるんですよ。たとえば…」
とギターを構えてオーディオを操作。これはギターパーツを抜いた、いわゆる“スーパーロッカラ”という音源?
聞き覚えのあるイントロが流れる。
「あ、Livin' on a Prayer」
「イエー!」
折あしく男子小学生2人兄弟が来店。ロック魂に火が付いちゃったマスター、これを完全無視(笑)。
観客が2人から4人に増えたが、小さい2人は観客というよりカウンターの片隅で身を寄せ合って嵐が過ぎ去るまでジッと耐え忍んでる感じ。このおっちゃん、ときどきこうなるんだよな… と。
マスターはプロ並みの腕前でボン・ジョヴィメドレーを弾きまくる。どれくらいうまいかというと、リッチー・サンボラくらい。
ギター弾きながら、少しずつ音量を上げていく。通路を行き交う人々がおもしろそうにこっちを見てる。これが許されるコミュニティって、いまどきめったにない。
いやー、おもしろかった(笑)。

演奏を終えたマスターは、真っ先に小さい2人に声をかける。
「お母さん情報では、お兄ちゃんはハッシュドビーフ好きって。食べてみる?」
コクコクとおにいちゃん。
お母さんが市場で働いている家庭の子という感じ。
厨房で調理中のマスターに向かって、おとうと君がか細い声で「…アイスコーヒー2つ」
「何か言ってるよ」と僕。
「アイスコーヒーだって」と相方。
「言ってあげたほうがいいんじゃないの?」
「…アイスコーヒー2つ」
「はいよ」とマスター。
注文、通った。
しかし、ハッシュドビーフと一緒に運ばれてきたのはオレンジジュース。
「アイスコーヒーは却下。野菜不足になるからね」
このマスター、めちゃめちゃいい人じゃん。

ギター演奏は東大和のライヴハウス「Cafebar COO」で飛び入りで披露することがあると。
「あそこは年齢層が高いから、浮きまくってるんだけどね(笑)」
目下、フォークソングのレパートリーを仕込み中とのこと。フォーク世代はぜひ「Cafe漕人」へ。
これだけ食べて、聴いて、笑って…。
充実感、お得感、はんぱない。

[DATA]
Cafe漕人(こぎと)
東京都東久留米市下里5-12-12 東久留米卸売市場
https://tokutoku-ichiba.or.jp/
[Today's recommendation]

https://www.youtube.com/watch?v=lDK9QqIzhwk


◆ 猫写真はこちら その1 その2 ◆
前回の続きになるが、「手しごとフェスタ2018」の工作が終わったのが11時すぎ。
この清瀬・東久留米・東村山の狭間地帯に飲食店はほとんどない。とりあえず涼んでから考えようと、意外に近い東久留米卸売市場(得得市場)に向かう。

日曜日の市場は自主営業となっていて開いている店もあるが、鮮魚・鮮魚卸しが閉まっているのでまるで活気がない。ほかにもシャッターが目立つ。

食堂2店は営業しているが、実はもう1軒、食事ができるお店がある。
今年1月に店名が変わった「Cafe漕人」(こぎと、旧店名「COFFEE市衛門」)。

一応、営業時間は8:00~14:00らしいが、ここも昼すぎには閉まっていることが多い印象で、まさに市場ノリの喫茶店。
意外に時間が早かったからか、今日は開いてるっぽい。
せっかくの機会だから入ってみることにした。
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マスターは年配の方とばかり思っていたが、近くで見るとけっこう若い。僕ら世代じゃないかと思う。
鋭角三角形の店内、壁に面したカウンター5~6席と小さな丸テーブル1つ。
テーブル席に着き、カレーライス400円とハッシュドビーフ500円を注文。

先客はなく、マスターはまずBGMをかける。環境音楽的な落ち着いた選曲。
店の右隅にはギターが置いてあり、このへんのノリは環境音楽BGMのお店っぽくない。音響機器も楽器用アンプのようななじみの薄いものがメイン。

赤い筒形の機器に興味を引かれたワタクシ。
最近のオーディオの形状は、われわれの認識を超越するものがあり、こういうスタイリッシュなスピーカーシステムなんか、いかにもありそう。

「それ、かき氷器です」と、厨房からマスター。
どたっ (ノ_ _)ノ

「粗く削れるので外で食べるのにいいかなと。こう暑いと、きめ細かい氷だとすぐ融けちゃうんですよ」
なるほど、隣に手回し式のかき氷器がある。
写真を撮っていると、「ちょっと待って」と、マスターはもう2台かき氷器を並べる。かき氷器コレクターの一面(笑)。
一見、斜に構えたキャラのようで、このマスター、いろいろおもしろい。

手づくりっぽいピクルスに続いてハッシュドビーフ。
タマネギの甘さが優しく、上からかけたクリームがコクをプラスしていてなかなか本格的。

「子どもでも食べられるように甘めに作ってますから、お好みで」と、LEA & PERINSのウスターソースが一緒に出てきた。
ヴィネガーの酸味とスパイスの刺激で味に変化がついてさらに楽しめる。

カレーは具がごろごろの懐かしい昭和な黄色いカレー。午前中の工作教室から、まだまだ夏休みは続いている。
ポークがとろとろで、ゆっくり煮込んだ手づくり感がいい。豚肉たっぷりでこの値段は驚きだ。

「あとでかき氷、お試しで出しますから、食べ比べてみてください」とマスター。
なんか楽しそうなことになってきた(笑)。

まず先ほどの筒形機器の実演。お試しというわりに、ちゃんと量がある。
「あとは勝手にやって、と、普段はそんな感じで(笑)」とシロップを並べる。言われたとおりセルフで抹茶をかける。これは、ぶっかきまたはかち割りというタイプ。
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続いて厨房よりきめの細かい氷が来る。これはもうレギュラーサイズといえるほどの量だ。こっちが手回し式のもので、王道のイチゴミルクに。
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僕はかき氷を食べた記憶が30年以上も空白なのだが、「手しごとフェスタ」に続いて今日2回も食べているという不思議。
練乳の味は、40年も記憶をさかのぼらせる力があるんじゃないか? とか思ってしまう。

「バンドとかやられてるんですか?」と聞いてみる。
「バンドといえばバンド。メンバー1人だけど(笑)」
「全部の楽器弾けるとか?」
「いや、いまはけっこういろんな音源あるんですよ。たとえば…」
とギターを構えてオーディオを操作。これはギターパーツを抜いた、いわゆる“スーパーロッカラ”という音源?
聞き覚えのあるイントロが流れる。
「あ、Livin' on a Prayer」
「イエー!」
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折あしく男子小学生2人兄弟が来店。ロック魂に火が付いちゃったマスター、これを完全無視(笑)。
観客が2人から4人に増えたが、小さい2人は観客というよりカウンターの片隅で身を寄せ合って嵐が過ぎ去るまでジッと耐え忍んでる感じ。このおっちゃん、ときどきこうなるんだよな… と。
マスターはプロ並みの腕前でボン・ジョヴィメドレーを弾きまくる。どれくらいうまいかというと、リッチー・サンボラくらい。
ギター弾きながら、少しずつ音量を上げていく。通路を行き交う人々がおもしろそうにこっちを見てる。これが許されるコミュニティって、いまどきめったにない。
いやー、おもしろかった(笑)。

演奏を終えたマスターは、真っ先に小さい2人に声をかける。
「お母さん情報では、お兄ちゃんはハッシュドビーフ好きって。食べてみる?」
コクコクとおにいちゃん。
お母さんが市場で働いている家庭の子という感じ。
厨房で調理中のマスターに向かって、おとうと君がか細い声で「…アイスコーヒー2つ」
「何か言ってるよ」と僕。
「アイスコーヒーだって」と相方。
「言ってあげたほうがいいんじゃないの?」
「…アイスコーヒー2つ」
「はいよ」とマスター。
注文、通った。
しかし、ハッシュドビーフと一緒に運ばれてきたのはオレンジジュース。
「アイスコーヒーは却下。野菜不足になるからね」
このマスター、めちゃめちゃいい人じゃん。

ギター演奏は東大和のライヴハウス「Cafebar COO」で飛び入りで披露することがあると。
「あそこは年齢層が高いから、浮きまくってるんだけどね(笑)」
目下、フォークソングのレパートリーを仕込み中とのこと。フォーク世代はぜひ「Cafe漕人」へ。
これだけ食べて、聴いて、笑って…。
充実感、お得感、はんぱない。

[DATA]
Cafe漕人(こぎと)
東京都東久留米市下里5-12-12 東久留米卸売市場
https://tokutoku-ichiba.or.jp/
[Today's recommendation]

https://www.youtube.com/watch?v=lDK9QqIzhwk


◆ 猫写真はこちら その1 その2 ◆