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最後のラーメンは少ししょっぱめ 【ピリカ(吉祥寺)】

2018.03.28

 開店閉店.com.というサイトがあって、文字どおりいろんなジャンルのお店の開店・閉店情報が載っている。
特にチェックしているわけではないが、街で気がかりな光景を見かけたときなんかに「〇〇_閉店」で検索してみるとこのサイトにたどり着くことがよくある。


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先日、新所沢街道の「ますや製麺」が見当たらないので調べたときもここがヒットし、ついでに最新の閉店一覧みたいなページをながめていたら、“【閉店】ピリカ”という文字が目に入った。
僕の通う「ピリカ」は2軒あって、そのうち吉祥寺のほう。


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吉祥寺の「ピリカ」は、いつの話か知らないがテレビでも取り上げられたようなそこそこ有名なお店で、それなりに固定客が付いているという印象があった。
吉祥寺ローカルな情報サイト吉祥寺ファンページの記事が見つかった。
それによると、閉店理由は家屋解体による家主との契約解除とのこと。「3月末日をもってピリカを閉店(引退)することになりました」という張り紙の写真が載っている。


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ピリカには妙に気になっていた映像がある。ネットの口コミか何かで見たみそコーンラーメン。コーンがホールでなくペーストなのだ。そのやや異様なヴィジュアルに、実物を見て(食べて)みたいという思いがどこかに引っかかっていたようだ。


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初めて入ったとき、ベレー帽のおばさまに「木曜休みですからお願いしますね」と、なぜか声をかけられたのを思い出した。
明日が木曜日で休み。そのあと金土と営業して店を畳む。自分の週末の行動なんてどうなるかわからない。今日がラストチャンス!?
えもいわれぬ焦燥感にとらわれ、急いで吉祥寺に向かった。


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毎年この時期、何の気なしに吉祥寺に行って後悔する。井の頭公園の花見客でごった返しているのだ。街中に入って、そのことに気づかされる。
いつものガード下の駐輪場もいっぱい。ピリカは街外れなので大丈夫だろうと、自転車のままお店に向かう。


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1時45分で、客は自分を含めて4人。L字カウンターの中には店主ご夫妻。
僕は昼しか入らないのでこれまではいつもおばさま1人体制で、お父さんは初めて見た。


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店内の品書きをいくら見直してもコーンの文字が見つからない。
「コーンって、ないんですか?」と聞いてみた。
「ないんです」とおばさま。「やめてからもうずいぶんたつんですよ」
そうだったのか…。
仕方ないのでいつもどおりトッピングなしのみそラーメンに。


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見ていると、前のお客さんの塩ラーメンが完成してから、僕の麺をテボに投入している。それがこちらのお父さんのシステムのようで、後ろの2人組の分も、僕のが完成するまではいっさい手を付けない。
この悠長な仕事ぶりが、50年近く続けられた秘訣だったりするのかな?


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おばさまはアシスタントに徹しているせいか、いつもよりもっと穏やかでほのぼの感が漂う。
それとも肩の荷が下りたというような感覚もあるのかな。表情が晴れ晴れとしている。

「お待ちどおさま」とみそラーメンを運んできたおばさま、「バターだったらありますよ」と。
僕は普段、ラーメンにバターをのせることはないが、この際だから何でものっけてやろうと、「お願いします」と。
冷蔵庫からタッパーを持ってきて、トングでバターをつかみ、「ポン♪」と呪文を唱え(本当に言った)魔法をかけた。
おばさまがコメットさんに見えた。


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ポン♪

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お父さんのみそラーメンは、いつものおばさまのよりちょっとしょっぱめかな…。そういうゆらぎも味わいのうちじゃないかと思う。
でも来てよかったかな。
最後にほほ笑ましい魔法を見られたし。


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夕方、相方よりLINEが入る。
「たぬきのお父さんは山に帰ってしまって、もう下りてこないようだ。楽しみが減ってしまったよ~」
西武柳沢の洋菓子店「サン・ローザ」がすっかり気に入った相方は、ときどき途中下車で寄っていた。
先週シャッターが下りていて、今日張り紙を見つけた、と。
ブログに掲載させてもらって半月ちょっと。ショックが大きい。


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[DATA]
ピリカ
東京都武蔵野市吉祥寺南町2-20-9



[Today's recommendation]

Live at the Troubadour Carole King and James Taylor
Carole King and James Taylor
『Live at the Troubadour』

https://www.youtube.com/watch?v=pB8Mu_rnbLc



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◆ 猫写真はこちら



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3月28日、井の頭恩賜公園


吉祥寺で、サッポロ 【ピリカ(吉祥寺)】

2017.08.11

 久しぶりのサッポロラーメンの店。
ここでいうサッポロラーメンとは、現在の、あるいはおそらく過去においても札幌のラーメンシーンとは何の由縁も関連性も見いだされないままに、そう名乗り展開していた一連のグループのこと。つまり1970年代に全国を席巻した某チェーン店の傍流の生き残りの話(蝦夷えぞふじピリカ 参照)。


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僕はこの手のラーメンが好きで一定ペースで食べているが、お気に入りだった花小金井の「えぞふじ」が5月いっぱいで閉店してしまい、そのショックを引きずってか、ずいぶん間が空いてしまった。
でもそれを言ったらどちらも危ういことに変わりはないのだから、むしろ立ち止まってはいられないのである。


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吉祥寺の「ピリカ」は、吉祥寺にあって異質な存在である。異質な存在というか、存在感がない。ないわけではないのだが、ひた隠している。気配を消して、生き馬の目を抜く吉祥寺の飲食業界を40数年にわたって生き延びてきた。
これは、なかなか面的な開発が進まない街の南東側という立地も幸いしている。同じ井ノ頭通り沿いでも三鷹寄りだったらこうはいかなかったと思う。


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店内はカウンターのみ11席。女性客1人、僕と入れ替わりに出る。で、僕1人。
お店のお母さんは頭に黒い頭巾をちょこんと載せ、なんかかわいらしい。ラーメンの領域内を見渡しても洗練とは特に隔たりの大きいタイプの店で、たぶん60代のお母さんが、ややおしゃれに映るという、吉祥寺マジック。


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注文はサッポロラーメンの鉄則、みそラーメン(600円)。
中華鍋でひき肉と野菜を炒め、スープを注いで合わせみそを溶く。野菜はモヤシ、ニラ、ニンジンで、量は多め。
以前食べたときやわめに感じた麺は、今日はちょうどよいゆで加減。でも全体になぜか短め。
ちょっとクセのあるだしのにおいが店に漂っているが、スープのみそ味はこの系統にしてはかなりマイルド。でもニンニクがひそかに効いている。
一口めにあっさりすぎに感じて途中からしっかり味が来るのは、僕にはちょうどよいバランスだ。


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この店は“きたな”というキーワードでちょっと有名になったが、僕の尺度でいうと、全然。たとえば冒頭の3店を思い浮かべてみても、うん、ここがいちばんきれい(笑)。
お母さんは僕のラーメンをつくったあと洗い物に移り、引き続き水切り籠の食器を一つずつ布巾で拭いている。ラーメン屋ではあまりお目にかからない光景だと思う。

並行する末広通りがどんどん開けていくのに対し、井ノ頭通りはあまり変化がない。2つの通りの間の狭い区画のビル群が防波堤となって開発の波を押しとどめているようにも映る。その表裏のコントラストが面白い。
向こうの通りには、はやりのラーメン店。

吉祥寺にこういう店が残っているのは奇跡的であり、うれしいことである。


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[DATA]
ピリカ
東京都武蔵野市吉祥寺南町2-20-9



[Today's recommendation]

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Dr. Buzzard's Original Savannah Band
『Dr. Buzzard's Original Savannah Band』




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