人気ラーメン店の、ちょっといい話 【麺屋 どらいち】
2018.06.18
僕は行列店が苦手だ。
自分が並ぶのも好きじゃないが、もっと嫌なのが後ろに並ばれること。せかされているようで、ものを食べた気がしない。
特にラーメン屋はカウンターだけというところも多いので、背後に並ばれればますます落ち着かない。

西武線小川駅西口、職業能力開発総合大学校向かいにある「麺屋 どらいち」。北多摩北部でも特に人気が高く、行列の絶えないラーメン店だ。
お店の前はよく通るが、そんな感じでいつも混んでいるので自分にはハードルが高い。
ところが今日、自転車で前を通ったら店先に行列がない。しかも店内にもお客さんが2人しかいない。
時刻は13:27。
14時台でも行列当たり前という店だから、めったにないというか、大げさでなくこれは初めて見る光景だ。
実はこちら、ブログのお友だちcarmencさんイチオシのお店。推しが強いので一度は食べてみたいと思っていた。千載一遇のチャンスである。

入り口左手に券売機。
「縦に同じ味になります」と店主が声をかけてくれる。
こういう場合、いちばん左・いちばん安い… が基本形と考えてよいので、どらそば680円をポチットナする。
「席はどこでもいいですよ」とご主人。
カウンター8席のみ。左端と右から2番目に先客がいるので、必然的に真ん中らへんの席に座る。

提供は意外に早く、約3分。
どらそばは塩豚骨ベースのスープに節粉がかかって、動物系と魚介のダブルうま味というコンセプトのようだ。ニンニクが効いてうま味も濃厚だが過剰なところのない好みの味。
麺はストレートの細麺で、塩豚骨なだけに九州系を思わせる。あぶりチャーシューがトロトロかつ香ばしい。

食べ始めてすぐにお客さんが1人。
「右端の席にお願いします」とご主人。
この店は混んでいる状態が通常なので細かな交通整理が基本オペレーションなのだと、そのとき気づいた。僕の入ったタイミングは珍しくすいていたので、“どこでもいいですよ”というまれなケースだったと。
しかしすぐに、“どこでもいいわけではなかった”という事態に。
次に入店したのが男子高校生4人組だった。
左端の客はすでに出ているが、それでも空いているのは僕の左3席、右2席。
速やかに右に2つスライドして、5席つづきで空けてあげました。

店主はたいへん恐縮しているが、僕にとってはごく当たり前の行い。
そして、“情けは人の…”じゃないが、これは自分のための行動でもある。
だって、そのまま動かなかったらどうなるか。4人組が僕の背後に立って席が空くのを待つか、2人ずつに分かれて僕の左右に座るかのどっちかだ。
相手は男子高校生ですよ。落ち着いて食べていられるはずないじゃないですか(笑)。
というわけで、座り直して心静かに食事を再開したのである。
すぐに、スッと小鉢が差し出された。
「まかないですけど、よろしかったら」とご主人。
小鉢には味玉。
形が崩れてまかない用に回してあったと思われるもの。席を譲ったお礼だという。
今度はこっちが恐縮しきり。でもこういうの、すごくうれしい。
図らずも僕の“どらそば”は一番人気“どらたま”にグレードアップした。

人気ラーメン店のルポはどうしても味の系統や具材・食材に切り込むような内容になりがちだが、そうではなくてもっと本質的なコミュニケーションというか、ご主人の善意に接する機会を得られ、それをこのような形で報告できる幸運に恵まれたことを感謝したい。

[DATA]
麺屋 どらいち
東京都小平市小川西町4-23-5
[Today's recommendation]

https://youtu.be/humDgJ-SmHI


僕は行列店が苦手だ。
自分が並ぶのも好きじゃないが、もっと嫌なのが後ろに並ばれること。せかされているようで、ものを食べた気がしない。
特にラーメン屋はカウンターだけというところも多いので、背後に並ばれればますます落ち着かない。

西武線小川駅西口、職業能力開発総合大学校向かいにある「麺屋 どらいち」。北多摩北部でも特に人気が高く、行列の絶えないラーメン店だ。
お店の前はよく通るが、そんな感じでいつも混んでいるので自分にはハードルが高い。
ところが今日、自転車で前を通ったら店先に行列がない。しかも店内にもお客さんが2人しかいない。
時刻は13:27。
14時台でも行列当たり前という店だから、めったにないというか、大げさでなくこれは初めて見る光景だ。
実はこちら、ブログのお友だちcarmencさんイチオシのお店。推しが強いので一度は食べてみたいと思っていた。千載一遇のチャンスである。

入り口左手に券売機。
「縦に同じ味になります」と店主が声をかけてくれる。
こういう場合、いちばん左・いちばん安い… が基本形と考えてよいので、どらそば680円をポチットナする。
「席はどこでもいいですよ」とご主人。
カウンター8席のみ。左端と右から2番目に先客がいるので、必然的に真ん中らへんの席に座る。

提供は意外に早く、約3分。
どらそばは塩豚骨ベースのスープに節粉がかかって、動物系と魚介のダブルうま味というコンセプトのようだ。ニンニクが効いてうま味も濃厚だが過剰なところのない好みの味。
麺はストレートの細麺で、塩豚骨なだけに九州系を思わせる。あぶりチャーシューがトロトロかつ香ばしい。

食べ始めてすぐにお客さんが1人。
「右端の席にお願いします」とご主人。
この店は混んでいる状態が通常なので細かな交通整理が基本オペレーションなのだと、そのとき気づいた。僕の入ったタイミングは珍しくすいていたので、“どこでもいいですよ”というまれなケースだったと。
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しかしすぐに、“どこでもいいわけではなかった”という事態に。
次に入店したのが男子高校生4人組だった。
左端の客はすでに出ているが、それでも空いているのは僕の左3席、右2席。
速やかに右に2つスライドして、5席つづきで空けてあげました。

店主はたいへん恐縮しているが、僕にとってはごく当たり前の行い。
そして、“情けは人の…”じゃないが、これは自分のための行動でもある。
だって、そのまま動かなかったらどうなるか。4人組が僕の背後に立って席が空くのを待つか、2人ずつに分かれて僕の左右に座るかのどっちかだ。
相手は男子高校生ですよ。落ち着いて食べていられるはずないじゃないですか(笑)。
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というわけで、座り直して心静かに食事を再開したのである。
すぐに、スッと小鉢が差し出された。
「まかないですけど、よろしかったら」とご主人。
小鉢には味玉。
形が崩れてまかない用に回してあったと思われるもの。席を譲ったお礼だという。
今度はこっちが恐縮しきり。でもこういうの、すごくうれしい。
図らずも僕の“どらそば”は一番人気“どらたま”にグレードアップした。

人気ラーメン店のルポはどうしても味の系統や具材・食材に切り込むような内容になりがちだが、そうではなくてもっと本質的なコミュニケーションというか、ご主人の善意に接する機会を得られ、それをこのような形で報告できる幸運に恵まれたことを感謝したい。

[DATA]
麺屋 どらいち
東京都小平市小川西町4-23-5
[Today's recommendation]

https://youtu.be/humDgJ-SmHI

