40年、変わらぬ存在 【ABAN】
2018.04.29
立川駅北口のドン・キホーテの向かい、ビルの2階の喫茶店「ABAN」。
このお店を僕はずいぶん前から知っていた気がする。
ずっと記憶があやふやだったが、すぐにその疑問は解消することになる。

「今日は主人がサイボクに行っていてまだ戻ってこれないからお出しできるメニューが限られるのと、ちょっと準備が遅れちゃっててご飯がまだできていないので少々お待ちいただくことになりますが、よろしいですか?」
お店の入り口で、ママさんというか奥さんから現在の状況とそれに伴う諸課題についてのアナウンスがある。

20分ほどかかるというが、特に急ぎの用事もないのでそのまま入店。
ほかにお客さんはおらず、ドンキの客の出入りがよく見える窓際の席を勧められる。
「外から見られるのがお嫌じゃなかったら(笑)」
と、ずっとこんな感じでウィットの効いたトークが続く。

気さくで話しやすい奥さんに、疑問を尋ねてみた。
「昔ここにCD屋さん、ありませんでした?」
「クラプトン?」
「あ、そうです! クラプトン」
昔このビルの3階にあった中古CDショップ「クラプトン」にけっこう通っていた。そこはCDの研磨サービスをやっていて、神田のC社のYHさんに貸したら傷だらけで返されて再生できなくなっていたエリック・クラプトンのCDをよみがえらせてくれたという、個人的に妙に因縁めいたところのあるお店だった。
3階に上る途中、「古く趣のある喫茶店で、カレーがおいしそうだ…」と見ていたのが、やはりこちら「ABAN」だったのだ。
「街がすごく変わったから、昔のお客さんはどのビルだったかわからなくなったっておっしゃいますよ」

話は戻るが、本日できるのはランチメニューのうちゴールデンポークカレーとカリフォルニアプレートの2品。
それを1つずつお願いする。

忙しく手を動かしながら口も止まらない奥さんのお話をまとめると、こちらはオープンから約40年。
カリフォルニアプレートはオープン当初からの人気メニューで、途中2年間の産休を経て再開時に新たな看板メニューとして売りだしたのがゴールデンポークカレー。

ゴールデンポークとは、埼玉県日高市の㈱埼玉種畜牧場・サイボクハムの銘柄豚。
こちらのご主人は、今日のように直接サイボクの牧場に出向き、自分の目で見て食材を仕入れるという。
ほかにも、減農薬国産米など食材にはこだわりがある。

家具調度にもこだわる。
8組あるテーブル・チェアセットは開店当時からのもので、20年前に天板や座面など木材部分を自ら張り替えリメークしたという。そのこと自体驚きだが、それからさらに20年たっているとは思えないほどピカピカにしてある。
アンティークが好きなんだそう。
壁に飾ってある電話機は映画『アンタッチャブル』に出てくるものと同じモデルで、以前近くにあったNTTの人に調整してもらって実際に使っていたという。
天井の照明は福生の米軍ハウスからの払い下げ。金ぴかのフィギュアは大阪公演で入手した「マイケル・ジャクソンでーす♪」
まず出されたサラダ2種。
タマネギは九州からの取り寄せ、もう一皿の野菜も農家直とのことなので、地場かな。
ちなみにカリフォルニアプレートにはサラダは付かないが、「お待たせしちゃったので」と、うれしいサービス。

カリフォルニアプレートは、ぱっと見、クレープか茶巾ずしかオムライス。実際、奥さんは「オムライス」と呼んでいる。
オムライスの中身がドレッシングであえたライスサラダという感じのたべもので、具はアボカド、キュウリ、オリーブ、ツナ、ハム。上にミニトマトとアボカドがのる。

キュウリやトマトの爽やかさが新しい、まさにサラダ感覚のオムライス。アボカドやツナのオイリーなコク味もしっかり。
この料理を開店当初から出していたというのは驚きだ。

カレーはタマネギの甘味に加えてコク・うま味が強く、そのバランスがとてもよい。

ゴールデンポークは、一切れは小さめだがごろごろ入っている。

「スープは軍鶏でとってます。スパイスは神田の名店に卸している人から。ゴールデンポークとの出会いもありますけど、素人なりにいろいろ勉強しました(笑)」

ご主人の帰りを待ちつつ1人でお店を切り盛りしていた奥さん。
「私より人好きだから、もっと楽しいお話ができると思うの!」とおっしゃる。
次回はご夫妻そろったところにおじゃましたいと思えるお店でした。

[DATA]
ABAN
東京都立川市曙町2-17-15 サンライズビル2F
[Today's recommendation]

https://youtu.be/LsYhFFwyD00
https://youtu.be/JgEvS2IjEsY


立川駅北口のドン・キホーテの向かい、ビルの2階の喫茶店「ABAN」。
このお店を僕はずいぶん前から知っていた気がする。
ずっと記憶があやふやだったが、すぐにその疑問は解消することになる。

「今日は主人がサイボクに行っていてまだ戻ってこれないからお出しできるメニューが限られるのと、ちょっと準備が遅れちゃっててご飯がまだできていないので少々お待ちいただくことになりますが、よろしいですか?」
お店の入り口で、ママさんというか奥さんから現在の状況とそれに伴う諸課題についてのアナウンスがある。

20分ほどかかるというが、特に急ぎの用事もないのでそのまま入店。
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ほかにお客さんはおらず、ドンキの客の出入りがよく見える窓際の席を勧められる。
「外から見られるのがお嫌じゃなかったら(笑)」
と、ずっとこんな感じでウィットの効いたトークが続く。

気さくで話しやすい奥さんに、疑問を尋ねてみた。
「昔ここにCD屋さん、ありませんでした?」
「クラプトン?」
「あ、そうです! クラプトン」
昔このビルの3階にあった中古CDショップ「クラプトン」にけっこう通っていた。そこはCDの研磨サービスをやっていて、神田のC社のYHさんに貸したら傷だらけで返されて再生できなくなっていたエリック・クラプトンのCDをよみがえらせてくれたという、個人的に妙に因縁めいたところのあるお店だった。
3階に上る途中、「古く趣のある喫茶店で、カレーがおいしそうだ…」と見ていたのが、やはりこちら「ABAN」だったのだ。
「街がすごく変わったから、昔のお客さんはどのビルだったかわからなくなったっておっしゃいますよ」

話は戻るが、本日できるのはランチメニューのうちゴールデンポークカレーとカリフォルニアプレートの2品。
それを1つずつお願いする。

忙しく手を動かしながら口も止まらない奥さんのお話をまとめると、こちらはオープンから約40年。
カリフォルニアプレートはオープン当初からの人気メニューで、途中2年間の産休を経て再開時に新たな看板メニューとして売りだしたのがゴールデンポークカレー。

ゴールデンポークとは、埼玉県日高市の㈱埼玉種畜牧場・サイボクハムの銘柄豚。
こちらのご主人は、今日のように直接サイボクの牧場に出向き、自分の目で見て食材を仕入れるという。
ほかにも、減農薬国産米など食材にはこだわりがある。

家具調度にもこだわる。
8組あるテーブル・チェアセットは開店当時からのもので、20年前に天板や座面など木材部分を自ら張り替えリメークしたという。そのこと自体驚きだが、それからさらに20年たっているとは思えないほどピカピカにしてある。
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アンティークが好きなんだそう。
壁に飾ってある電話機は映画『アンタッチャブル』に出てくるものと同じモデルで、以前近くにあったNTTの人に調整してもらって実際に使っていたという。
天井の照明は福生の米軍ハウスからの払い下げ。金ぴかのフィギュアは大阪公演で入手した「マイケル・ジャクソンでーす♪」
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まず出されたサラダ2種。
タマネギは九州からの取り寄せ、もう一皿の野菜も農家直とのことなので、地場かな。
ちなみにカリフォルニアプレートにはサラダは付かないが、「お待たせしちゃったので」と、うれしいサービス。

カリフォルニアプレートは、ぱっと見、クレープか茶巾ずしかオムライス。実際、奥さんは「オムライス」と呼んでいる。
オムライスの中身がドレッシングであえたライスサラダという感じのたべもので、具はアボカド、キュウリ、オリーブ、ツナ、ハム。上にミニトマトとアボカドがのる。

キュウリやトマトの爽やかさが新しい、まさにサラダ感覚のオムライス。アボカドやツナのオイリーなコク味もしっかり。
この料理を開店当初から出していたというのは驚きだ。

カレーはタマネギの甘味に加えてコク・うま味が強く、そのバランスがとてもよい。

ゴールデンポークは、一切れは小さめだがごろごろ入っている。

「スープは軍鶏でとってます。スパイスは神田の名店に卸している人から。ゴールデンポークとの出会いもありますけど、素人なりにいろいろ勉強しました(笑)」

ご主人の帰りを待ちつつ1人でお店を切り盛りしていた奥さん。
「私より人好きだから、もっと楽しいお話ができると思うの!」とおっしゃる。
次回はご夫妻そろったところにおじゃましたいと思えるお店でした。

[DATA]
ABAN
東京都立川市曙町2-17-15 サンライズビル2F
[Today's recommendation]

https://youtu.be/LsYhFFwyD00
https://youtu.be/JgEvS2IjEsY

