路地裏ラーメンは、実直そのもの 【中華そば まるあ】
2018.04.16
鷹の台の駅から西に伸びる商店街を「鷹の台駅前商店街」という。
駅の西側なので普通の感覚なら“西口商店街”だが、この駅は東側に小平中央公園が隣接するので“東口”というものが存在しない。東側は、僕の田舎の用語でいうと“駅裏”。
なので、西側の商店街は“駅前”商店街でいいのだ。

鷹の台は大学が多いので、この商店街はいまも学生街の要素を残す。洋食店や喫茶店、格安中華など。
しかし、いまの大学生はわれわれが学生御用達とイメージする業態を利用しないという情報もある。
たとえば、いまの学生は喫茶店に入る文化がないから客はおばさん世代が主体、という話を、長く大学正門前で営業してきた喫茶店「タンパ」の店主さんに聞いた。

鷹の台の商店街のそういうお店も、客の多くは昔を懐かしむ中高年世代のような気がしている。
実際、ここでも閉店してそのまま朽ち果てているような物件をちらほら見かける。

商店街の終点近くに、玉川上水側にコの字形に入り込む路地がある。
その隅っこで営業するラーメン屋「まるあ」。

並びの古本屋をときどきのぞいていたので存在は知っていたが、「なぜこんなところで…?」というくらいに、まったく目立たない場所である。
それだけに、まったく商売に向かない立地でけっこう続いてるなぁ… と。

入り口の右に製麺機。こだわりの強そうなお店だ。
店内はカウンターのみ7席。1時半すぎでお客さんはなし。
各席の前には、メニュー表、割り箸立て、楊枝入れ、コショウ入れ、以上。
そのすっきりしたカウンターまわりのほかもよけいなものがない清潔感のある店内で、掲示物もほとんどない。
目に付くのは、ラーメン作りの苦労を記してあるというホームページのお知らせくらい。

メニューは、中華そば、チャーシューめん、つけめん、辛いつけめんの4品のみ。
中華そば650円を注文。
こちらの店主、髪は白いがけっこう若そう。何というか、まじめそう。
客あしらいは苦手そうだが、ラーメン一筋、その誠実さはビシビシ伝わってくる。

「私の育った町には、魚介を使ったスープが有名なラーメン屋がありました」という一節で始まるHPの抜粋で、こちらの中華そばを紹介する。

――スープ作りをはじめる時に、世にはすでに、動物系に魚介系を直前にあわせるWスープがはやっていました。しかし、煮干のダシは、とても淡くて、微妙で、強烈なパワーをもった動物系のダシにまったくかないません。もちろん、この対策のためにWスープという製法ができたのですが、私には、動物ダシを一滴でもいれれば、魚介の味は消し飛んでいくように感じ、到底納得いくものではありませんでした。行き着いた結論は、動物ダシは一切使わない、ということでした。

こうして魚だしを引き立てるタレの探求が始まる。
そして麺、チャーシューのこだわりと、HPからは並々ならぬラーメン愛が伝わってくるのである。

個人的には、東村山久米川町の府中街道沿い、閉店した「まる紀」を思い出した。
過剰なところがなく奥ゆかしい煮干し系。
作り手の性質をそのまま表す実直なラーメンだと思う。

[DATA]
中華そば まるあ
東京都小平市たかの台36-4
http://marua.dotera.net/
[Today's recommendation]

https://youtu.be/tO4dxvguQDk


鷹の台の駅から西に伸びる商店街を「鷹の台駅前商店街」という。
駅の西側なので普通の感覚なら“西口商店街”だが、この駅は東側に小平中央公園が隣接するので“東口”というものが存在しない。東側は、僕の田舎の用語でいうと“駅裏”。
なので、西側の商店街は“駅前”商店街でいいのだ。

鷹の台は大学が多いので、この商店街はいまも学生街の要素を残す。洋食店や喫茶店、格安中華など。
しかし、いまの大学生はわれわれが学生御用達とイメージする業態を利用しないという情報もある。
たとえば、いまの学生は喫茶店に入る文化がないから客はおばさん世代が主体、という話を、長く大学正門前で営業してきた喫茶店「タンパ」の店主さんに聞いた。

鷹の台の商店街のそういうお店も、客の多くは昔を懐かしむ中高年世代のような気がしている。
実際、ここでも閉店してそのまま朽ち果てているような物件をちらほら見かける。

商店街の終点近くに、玉川上水側にコの字形に入り込む路地がある。
その隅っこで営業するラーメン屋「まるあ」。

並びの古本屋をときどきのぞいていたので存在は知っていたが、「なぜこんなところで…?」というくらいに、まったく目立たない場所である。
それだけに、まったく商売に向かない立地でけっこう続いてるなぁ… と。

入り口の右に製麺機。こだわりの強そうなお店だ。
店内はカウンターのみ7席。1時半すぎでお客さんはなし。
各席の前には、メニュー表、割り箸立て、楊枝入れ、コショウ入れ、以上。
そのすっきりしたカウンターまわりのほかもよけいなものがない清潔感のある店内で、掲示物もほとんどない。
目に付くのは、ラーメン作りの苦労を記してあるというホームページのお知らせくらい。

メニューは、中華そば、チャーシューめん、つけめん、辛いつけめんの4品のみ。
中華そば650円を注文。
こちらの店主、髪は白いがけっこう若そう。何というか、まじめそう。
客あしらいは苦手そうだが、ラーメン一筋、その誠実さはビシビシ伝わってくる。

「私の育った町には、魚介を使ったスープが有名なラーメン屋がありました」という一節で始まるHPの抜粋で、こちらの中華そばを紹介する。

――スープ作りをはじめる時に、世にはすでに、動物系に魚介系を直前にあわせるWスープがはやっていました。しかし、煮干のダシは、とても淡くて、微妙で、強烈なパワーをもった動物系のダシにまったくかないません。もちろん、この対策のためにWスープという製法ができたのですが、私には、動物ダシを一滴でもいれれば、魚介の味は消し飛んでいくように感じ、到底納得いくものではありませんでした。行き着いた結論は、動物ダシは一切使わない、ということでした。

こうして魚だしを引き立てるタレの探求が始まる。
そして麺、チャーシューのこだわりと、HPからは並々ならぬラーメン愛が伝わってくるのである。

個人的には、東村山久米川町の府中街道沿い、閉店した「まる紀」を思い出した。
過剰なところがなく奥ゆかしい煮干し系。
作り手の性質をそのまま表す実直なラーメンだと思う。

[DATA]
中華そば まるあ
東京都小平市たかの台36-4
http://marua.dotera.net/
[Today's recommendation]

https://youtu.be/tO4dxvguQDk

