駅前で味わえる隠れ家感 【大八車】

2018.02.03

 東久留米駅北口から大門町のほうに延びる商店街は、会員数で市内一大きい商店会だそうだ。
平行する東口駅前大通りより店舗数・人通りが圧倒的に多い。その分、お店の入れ替わりが激しく、シャッターも目立つ。

そんな商店街の歴史が記されたサイトを見つけた(注:下記引用部の「現在」は10年ほど前と思われる)。


daihachiguruma29.jpg


――「東久留米駅前商店会」はその名の通り、大正4年(1915年)に駅が開設してから、商店が生まれる。しかし、第二次世界大戦前は7店ほどで、昭和30年(1955年)頃でも10店前後にすぎなかった。東久留米団地が開設された昭和38年(1963年)頃から順次店舗が増加していく。昭和51年(1976年)頃は69店舗ほどになり、現在商店会会員数は、100有余を少しであるが超えるほどに成長している。(東久留米市 > 市民参加のページ > 商店街の散策 > 東久留米駅前商店会)


daihachiguruma12.jpg


この商店街の中ほどにある古びた天ぷら・居酒屋「大八車」。
メイン通りからちょっと脇に入るが、開けた交差点で、わりと人目に付きやすい位置にある。にもかかわらず、魔法か忍法かで気配を消しているかのように目立たない。僕はつい最近までこの店の存在を知らなかった。
マンション1階のお店の前には大八車の車輪や人の背丈ほどもある巨大徳利が飾ってあり、よく見れば存在感はある。


daihachiguruma13.jpgdaihachiguruma14.jpg


まず、お店の狭さに驚いた。
左手がカウンター席で、いすは9個置かれているが5人も座ればいっぱいになりそう。右は小上がりで2人用座卓が2つ。奥に座敷席があるかもしれないが、見える範囲ではこれだけ。
先客はなく、カウンターの右端に座る。


daihachiguruma16.jpg


カウンターの向こうに初老のおやじさん。
寡黙ながらテキパキ動くタイプで、奥のほうに引っ込んで無言でガチャガチャとやったのち、お茶を出してようやく「何にしましょう?」


daihachiguruma18.jpgdaihachiguruma17.jpg


注文は、本日の日替り(豚肉天婦羅定食)800円と天丼定食950円。
店内は清潔そのもの。古いお店でよくある奥行きのない狭いカウンターは、手入れの行き届いた白木の一枚板。棚の食器類もきちんと整理されている。驚くことに、油対策と思われるが、食器はすべてビニール袋に入れてある。


daihachiguruma21.jpg


見ていると、どうやら準備の初期段階から定食の用意が始まったようだ。
たとえばみそ汁は、だし汁で具の白菜を煮た状態まで仕込んであって、それを小鍋に入れてみそを溶く、みたいな。当然、天ぷらは粉をボウルにあけるところから。


daihachiguruma19.jpgdaihachiguruma20.jpg


いろいろとやることが多いから客にかまってなんかいられない様子で、おやじさんは1人の世界で仕事に没頭。
カウンターの反対端に水槽があって金魚が泳いでいる。
この店のほかの部分同様、水槽も水も非常にきれい。


daihachiguruma22.jpg


金魚に交じって褐色のチョウザメを思わせるフォルムの魚が泳いでいる。
「あれ、何だろうね?」とツレ。
僕もさっきから気になっていた。

「あれはギギっていうんですよ」と、突然おやじさんが口を開く。「絶滅危惧種ですから養殖したやつ譲ってもらったんですがね」
「カマツカみたいなものですか?」と最初に感じたことを質問してみた。
「あ… 近いですね」
それでスイッチオン。おやじさんのおしゃべりが止まらなくなった。


daihachiguruma24.jpg


群馬県下仁田出身で、故郷の川やその生き物をこよなく愛するおやじさん。当地でお店を始めて40年という。
水辺の生き物のことや東久留米の古い話もいろいろ聞かせてくれた。


daihachiguruma23.jpg


昔はこの商店街がバス通りで、駅前にUターンするスペースがないからターンテーブルで回していた。
いまはさら地になったが駅前に第一製粉があって、コカ・コーラの前に三河屋製麺があるのは、もともとは柳久保小麦の産地だったから。
高橋留美子は以前すぐそこのマンションに住んでいて、オカノ電機ができるまでは市内の納税者番付1位だった。

等々、ここに書ききれないほど。


daihachiguruma25.jpg


壁に野球のピッチャー姿の写真がある。
「ご主人は野球やられてたんですか?」
「僕がやってたのはソフトボール。お客さんにパ・リーグの審判がいて、始球式に出ないかって。西武球場のまだ屋根がないときで、清原なんかの時代。清原、こーんなでっかいの。東尾が監督だったんだけど、東尾、こーんなちっちゃいの(笑)」


daihachiguruma26.jpgdaihachiguruma27.jpgdaihachiguruma28.jpg


これ、ずっとごはん食べている間のことだから、ほとんど味わえない(笑)。でも楽しいから全然OK。
ちなみに天丼は、エビ×2、鶏、カボチャ、インゲン、アスパラ、シシトウ… だったと思う。日替りは天丼のエビが豚肉に変わる。
この内容でこの価格はたいへんリーズナブル。


daihachiguruma15.jpg


でもそれ以上に惹かれるのが、壁のお勧め料理のお品書き。
さよりの木の葉造り、帆立炙り刺、牡丹海老、会津産馬刺し、水蛸刺身…。
夜に来たら絶対まったり落ち着きそう。
いや、駅前なのに隠れ家感いっぱい感は、昼飲みもいけるんじゃない?


daihachiguruma11.jpg


[DATA]
大八車
東京都東久留米市東本町3-16



[Today's recommendation]

Carpenters Jambalaya
Carpenters
『Jambalaya』

https://www.youtube.com/watch?v=-4o86juvMEE



chat180203-2.jpg
◆ 猫写真はこちら


Latest Articles
ランチずし最強宣言! 【東鮨】 Aug 22, 2019
絵心をそそる門前の茶屋 【小林屋】 Aug 20, 2019
関東(ry) うどんロード ―2 【おぎの屋 板倉店】 Aug 19, 2019
オープン1年、市内要注目エリアに 【野口製麺所 本町店】 Aug 18, 2019
気軽に立ち寄るカウンター寿司の原点? 【すし食堂 勝】 Aug 17, 2019
実りの季節へ 【収穫祭 小山園】 Aug 17, 2019
ガラパゴス化する? 都会の洋食文化 【タカセ 池袋本店】 Aug 16, 2019
国立クオリティを村山プライスで 【アジアン酒場 アビマーニ】 Aug 14, 2019
灼熱のカツカレー 【太丸食堂】 Aug 13, 2019
I see a ‘Naruto’ and want it painted black 【さんらいず亭】 Aug 12, 2019
この夏、ビールのアテはここ! 【秋津ナンバーワン】 Aug 11, 2019
横丁の風情ある食事処 【高ふじ】 Aug 10, 2019
Category
Ranking
         
          
Category-2