おもてなされ感いっぱい、満腹定食 【百太郎】
2018.03.23
定食・居酒屋の「百太郎」は、食べログによれば小平駅から204m、徒歩2分。
小平駅前という立地だが、住所は東村山市萩山町である。
この店は以前、もう少し駅寄りのT字路角のビル(いまの村野調剤薬局のビルの建て替え前)に入居していた。「松屋」やセブンイレブンの向かいあたり。
いまとは違う「旨くて安くて御麺」という店名で、看板には立ち食いそばと書いてあった。実際には立ち食いではなく、そば屋というより食堂・居酒屋という、いまと同様の営業スタイルだったらしい。
ビルの建て替えで現在地に移転した。

移転前の場所。道の向かって左側に「旨くて安くて御麺」があった
セブンイレブンの角を曲がると、その先の十字路あたりでご高齢の食堂のおばちゃん風が空を見上げている。
「なんだか曇ってきちゃったね」と言いながらお店のほうにぶらぶら。
ちょうど出てきたお客さんを見送り、入り口の手前で振り返ってまた空を見上げる。
僕が立ち止まって店内をのぞいたりしても、気に留める気色もなく。
1歩、2歩と距離を詰めたところでようやくこちらに気づいた。
「はい、どうぞどうぞ」
普段の客層とはタイプが違っていて、こっちの存在が認識されなかったものとみられる。

外観から想像していたより広い店内。鉤型のカウンター10席と、4人掛けテーブル3脚。
「こちらにどうぞ」と、入って左手のカウンター席に通される。
右斜め前に1人、初老男性が食事中。

厨房の向こうのほうからおかあさんがじっとこっちを見ているので、「唐揚げ」と申告。
「定食?」と聞かれる。
そうか。この店の客は、この時間でも半分くらいは飲みなんだろうな。

僕の目の前で鶏肉に粉をまぶしてフライヤーに投入。それから納豆を小鉢に移したり、タッパーウェアから漬物や酢の物を出したり、ネギを刻んだりと、おかあさんは淡々と定食を整えていく。あらかじめ器に準備されているものはないようだ。
カウンターの中にはほかにおやじさん。むっつりした外見で、ひと言もしゃべらない。おかあさんを手伝うでもなく、向こうの勝手口を出たり入ったり、所在なさげ。
おかあさんは、唐揚げを引き上げて盛り付け、みそ汁をよそい、各皿をトレーに並べてカウンター越しに手渡す。
おやじさんの労働、ご飯をつぐ、以上!(笑)
手渡されたトレーが重い。
それもそのはず、メインの皿・ご飯・みそ汁のほかに、小鉢・小皿が5つも載っているのである。
入るとき入り口におかあさんが立ちはだかっていて表のランチメニューをよく見られなかったが、向こうの壁の張り紙を確認してみると、これは“本日定食”のうち“鳥からあげ”というもので、お値段750円。
コスパ、抜群によろしい。
小鉢はナスのみそ煮、キュウリとワカメとカニカマの酢の物、お新香は大根のぬか漬け、みそ汁の具は大根がたっぷりと。これらはすべて手作り感いっぱい、素朴で優しい味わいだ。ほかに納豆と生卵が付く。
唐揚げは大きめが4個。表面や皮がカリッと香ばしく揚がっていて、中は軟らか。しっかり味が付いている。添えられたキャベツもかなり多め。

途中、おかあさんが「ご飯足りなかったら言ってくださいね」と。
このうえ、おかわり自由っすか…!? サービスよすぎでしょ。
たしかにおかずが多いからご飯のハカがいって、このあと卵かけがびしゃびしゃになることは必定。しかしすでに腹はパンパン。

「初めて?」とおかあさん。うなずくと、「そう思ったんだけど違ってたら悪いし(笑)」
それをきっかけにいろいろ話を聞くことができた。
会話が始まれば、おやじさんも入ってきて、むっつりどころか話し好き。にこやかで当たりが柔らかく、たいへん感じのよい方なのである。

小平市美園町から東村山市萩山町に移って4年。といっても50mほど動いただけだが。
「この道を挟んで、向こうが小平、こっちが萩山」とおかあさん。
「でもこっちに来てよかったんだよ。静かだし」とおやじさん。「前はとにかく車がうるさかった。危ないし。酔っ払ったお客さん、帰るときにひかれそうになってたんだから」
「あ、出てすぐ車道だったから?」
「そう。段差もあったしね」
移転の告知を半年前から始めたことも功を奏し、以前のお客さんはみんな通い続けているそうだ。
「たまたま近くにあったからよかったの」とおかあさん。「遠くに移ってたらこうはいかなかったよね」

道の左が小平市美園町、右が東村山市萩山町
壁いっぱいに写真が貼ってあるのは、常連さんに愛されている証し。
自分のような一見客にこれだけ温かく接してくれるんだから、それもうなずける。
おなかだけでなく、満たされます。

[DATA]
百太郎(ももたろう)
東京都東村山市萩山町1-22-28
[Today's recommendation]

https://youtu.be/VDwMhE7WjP4
この回りくどいネタを解読できる方はいるだろうか…


定食・居酒屋の「百太郎」は、食べログによれば小平駅から204m、徒歩2分。
小平駅前という立地だが、住所は東村山市萩山町である。
この店は以前、もう少し駅寄りのT字路角のビル(いまの村野調剤薬局のビルの建て替え前)に入居していた。「松屋」やセブンイレブンの向かいあたり。
いまとは違う「旨くて安くて御麺」という店名で、看板には立ち食いそばと書いてあった。実際には立ち食いではなく、そば屋というより食堂・居酒屋という、いまと同様の営業スタイルだったらしい。
ビルの建て替えで現在地に移転した。

移転前の場所。道の向かって左側に「旨くて安くて御麺」があった
セブンイレブンの角を曲がると、その先の十字路あたりでご高齢の食堂のおばちゃん風が空を見上げている。
「なんだか曇ってきちゃったね」と言いながらお店のほうにぶらぶら。
ちょうど出てきたお客さんを見送り、入り口の手前で振り返ってまた空を見上げる。
僕が立ち止まって店内をのぞいたりしても、気に留める気色もなく。
1歩、2歩と距離を詰めたところでようやくこちらに気づいた。
「はい、どうぞどうぞ」
普段の客層とはタイプが違っていて、こっちの存在が認識されなかったものとみられる。

外観から想像していたより広い店内。鉤型のカウンター10席と、4人掛けテーブル3脚。
「こちらにどうぞ」と、入って左手のカウンター席に通される。
右斜め前に1人、初老男性が食事中。

厨房の向こうのほうからおかあさんがじっとこっちを見ているので、「唐揚げ」と申告。
「定食?」と聞かれる。
そうか。この店の客は、この時間でも半分くらいは飲みなんだろうな。

僕の目の前で鶏肉に粉をまぶしてフライヤーに投入。それから納豆を小鉢に移したり、タッパーウェアから漬物や酢の物を出したり、ネギを刻んだりと、おかあさんは淡々と定食を整えていく。あらかじめ器に準備されているものはないようだ。
カウンターの中にはほかにおやじさん。むっつりした外見で、ひと言もしゃべらない。おかあさんを手伝うでもなく、向こうの勝手口を出たり入ったり、所在なさげ。
おかあさんは、唐揚げを引き上げて盛り付け、みそ汁をよそい、各皿をトレーに並べてカウンター越しに手渡す。
おやじさんの労働、ご飯をつぐ、以上!(笑)
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手渡されたトレーが重い。
それもそのはず、メインの皿・ご飯・みそ汁のほかに、小鉢・小皿が5つも載っているのである。
入るとき入り口におかあさんが立ちはだかっていて表のランチメニューをよく見られなかったが、向こうの壁の張り紙を確認してみると、これは“本日定食”のうち“鳥からあげ”というもので、お値段750円。
コスパ、抜群によろしい。
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小鉢はナスのみそ煮、キュウリとワカメとカニカマの酢の物、お新香は大根のぬか漬け、みそ汁の具は大根がたっぷりと。これらはすべて手作り感いっぱい、素朴で優しい味わいだ。ほかに納豆と生卵が付く。
唐揚げは大きめが4個。表面や皮がカリッと香ばしく揚がっていて、中は軟らか。しっかり味が付いている。添えられたキャベツもかなり多め。

途中、おかあさんが「ご飯足りなかったら言ってくださいね」と。
このうえ、おかわり自由っすか…!? サービスよすぎでしょ。
たしかにおかずが多いからご飯のハカがいって、このあと卵かけがびしゃびしゃになることは必定。しかしすでに腹はパンパン。

「初めて?」とおかあさん。うなずくと、「そう思ったんだけど違ってたら悪いし(笑)」
それをきっかけにいろいろ話を聞くことができた。
会話が始まれば、おやじさんも入ってきて、むっつりどころか話し好き。にこやかで当たりが柔らかく、たいへん感じのよい方なのである。

小平市美園町から東村山市萩山町に移って4年。といっても50mほど動いただけだが。
「この道を挟んで、向こうが小平、こっちが萩山」とおかあさん。
「でもこっちに来てよかったんだよ。静かだし」とおやじさん。「前はとにかく車がうるさかった。危ないし。酔っ払ったお客さん、帰るときにひかれそうになってたんだから」
「あ、出てすぐ車道だったから?」
「そう。段差もあったしね」
移転の告知を半年前から始めたことも功を奏し、以前のお客さんはみんな通い続けているそうだ。
「たまたま近くにあったからよかったの」とおかあさん。「遠くに移ってたらこうはいかなかったよね」

道の左が小平市美園町、右が東村山市萩山町
壁いっぱいに写真が貼ってあるのは、常連さんに愛されている証し。
自分のような一見客にこれだけ温かく接してくれるんだから、それもうなずける。
おなかだけでなく、満たされます。

[DATA]
百太郎(ももたろう)
東京都東村山市萩山町1-22-28
[Today's recommendation]

https://youtu.be/VDwMhE7WjP4
この回りくどいネタを解読できる方はいるだろうか…

