また一つ、名店の灯が… 【手打うどん 不動】
2017.11.25
地元の人間でも場所を説明するのが難しいような古い住宅街の奥でひっそり営業する「手打うどん 不動」。
小金井街道の「魁力屋 東久留米店」のすぐ南の交差点を東に入り、住宅街を抜けて新所沢街道を突っ切り、所沢街道の「麺場壱歩」の交差点あたりに出る道、といえばラーメン好きの人ならイメージできるかもしれない。

この通りには閉店した中華屋が2店、最近までやっていたがやはり畳んだすし屋、小金井街道近くにはそば屋もあったような記憶がある。なので、一応商店街として機能していたはずだが、たぶんパーマ屋など数軒しか残っていない。
で、「不動」はそのさらに1本道を折れたところに位置する。

2006年開店。以前は金土日の営業だったが、たしか今年の春ごろ、日曜日に行ってみたら金土のみ営業に変更と張り紙がしてあった。
そこからちょっと間が空いたが、今回は出直しという形である。

お店は小さなプレハブ小屋だ。
引き戸を開けると、すぐにカウンター席。4席のみ。3席埋まっていたので待たせてもらう。
入り口の左手が麺打ち場になっていて、2席ほど作り付けてあって、そこも使わせてくれるらしい。
だが、先客のおじさんが急いで食べて「はい、出たよ」と、席を空けてくれる。

壁のお品書きを見ようとしたら、その横に張り紙。
「本年12月23日(土)をもちまして閉店いたします。11年間ご愛顧有難うございます」
なんということ…。

いきなり寂しい気持ちに。
かなりご高齢の店主と奥さんである。仕方ないのかな…。

注文は柳久保小麦・肉汁・天ぷら付800円×2
柳久保小麦は東久留米市が特産化をめざす小麦品種。

パン屋、洋菓子屋、和菓子屋などが商品化し市を挙げて認知拡大が図られているが、もともと伝統的にうどん文化圏であり、武蔵野うどん人気に乗じた展開は特に訴求力が高いと思われる。それだけに「不動」の存在は大きかった。
それで思い出したが、10月に開催された“麦の収穫祭~東久留米麦まつり~”に「不動」も出店していたはず。
閉店はずいぶん急な話だったんじゃないかな…。

店主のおとうさんが麺ゆで、おかあさんが天ぷら担当。
おとうさんはタイマーをセットし損ねたようだが、そこは長年の勘でどうにでもなるようだ。余裕の表情で大鍋の麺をグルグルやってる。
天ぷらの揚がるタイミングで麺を上げ、水で締める。徹底的に締める。

うどんはコシが強く、小麦が香る。“耳”ものっていて、こうやって食べると本当に香りがよいのだ。
汁はかつおだしが効いて甘さ控えめ、少し酸味が出ているが、かなり僕好みの味。
糧・薬味は小松菜、ネギ、ショウガ。

天ぷらはかき揚げとちくわ。かき揚げが田舎風というか素朴でいい感じ。
タマネギ、ニンジン、サツマイモ、ピーマン、ミツバと種がいっぱいなのが、素朴でいい感じ。

ゴマすり器を使っていると、「ゴマ、出ます?」とおかあさんが笑う。たしかに空回りしてる気がする。
「そっちのほうがいいかも」と向こうのゴマすり器を勧めてくれたが、「これもハンドルがうまく回んない」とおとうさん。「ゴマすり、3種類も買っちゃったよ(笑)」
「JIS規格に文句言わなくちゃね」とおかあさん。

なんかのんびりしてていいな、と。
「どうして閉めちゃうんですか?」と聞きそうになったが、聞けなかった。
たぶん聞かなくてよかったんだと思う。
11年間おつかれさまでした。

[DATA]
手打うどん 不動
東京都東久留米市前沢3-4-3
[Today's recommendation]

https://youtu.be/_csn7KtVeOU


◆ 猫写真はこちら ◆
老舗メーカー直売所
2017.11.25 中谷製菓久留米工場 直売所/東京都東久留米市南町3₋10₋29

創業1919(大正8)年、まもなく100年目を迎える老舗かりんとうメーカー中谷製菓の工場直売所。
OEM品など品ぞろえが多い。
いちごドーナツ100円、アーモンドかりんとう 久助100円、黒かりんとう 久助100円
地元の人間でも場所を説明するのが難しいような古い住宅街の奥でひっそり営業する「手打うどん 不動」。
小金井街道の「魁力屋 東久留米店」のすぐ南の交差点を東に入り、住宅街を抜けて新所沢街道を突っ切り、所沢街道の「麺場壱歩」の交差点あたりに出る道、といえばラーメン好きの人ならイメージできるかもしれない。

この通りには閉店した中華屋が2店、最近までやっていたがやはり畳んだすし屋、小金井街道近くにはそば屋もあったような記憶がある。なので、一応商店街として機能していたはずだが、たぶんパーマ屋など数軒しか残っていない。
で、「不動」はそのさらに1本道を折れたところに位置する。

2006年開店。以前は金土日の営業だったが、たしか今年の春ごろ、日曜日に行ってみたら金土のみ営業に変更と張り紙がしてあった。
そこからちょっと間が空いたが、今回は出直しという形である。

お店は小さなプレハブ小屋だ。
引き戸を開けると、すぐにカウンター席。4席のみ。3席埋まっていたので待たせてもらう。
入り口の左手が麺打ち場になっていて、2席ほど作り付けてあって、そこも使わせてくれるらしい。
だが、先客のおじさんが急いで食べて「はい、出たよ」と、席を空けてくれる。

壁のお品書きを見ようとしたら、その横に張り紙。
「本年12月23日(土)をもちまして閉店いたします。11年間ご愛顧有難うございます」
なんということ…。

いきなり寂しい気持ちに。
かなりご高齢の店主と奥さんである。仕方ないのかな…。

注文は柳久保小麦・肉汁・天ぷら付800円×2
柳久保小麦は東久留米市が特産化をめざす小麦品種。

パン屋、洋菓子屋、和菓子屋などが商品化し市を挙げて認知拡大が図られているが、もともと伝統的にうどん文化圏であり、武蔵野うどん人気に乗じた展開は特に訴求力が高いと思われる。それだけに「不動」の存在は大きかった。
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それで思い出したが、10月に開催された“麦の収穫祭~東久留米麦まつり~”に「不動」も出店していたはず。
閉店はずいぶん急な話だったんじゃないかな…。

店主のおとうさんが麺ゆで、おかあさんが天ぷら担当。
おとうさんはタイマーをセットし損ねたようだが、そこは長年の勘でどうにでもなるようだ。余裕の表情で大鍋の麺をグルグルやってる。
天ぷらの揚がるタイミングで麺を上げ、水で締める。徹底的に締める。

うどんはコシが強く、小麦が香る。“耳”ものっていて、こうやって食べると本当に香りがよいのだ。
汁はかつおだしが効いて甘さ控えめ、少し酸味が出ているが、かなり僕好みの味。
糧・薬味は小松菜、ネギ、ショウガ。

天ぷらはかき揚げとちくわ。かき揚げが田舎風というか素朴でいい感じ。
タマネギ、ニンジン、サツマイモ、ピーマン、ミツバと種がいっぱいなのが、素朴でいい感じ。

ゴマすり器を使っていると、「ゴマ、出ます?」とおかあさんが笑う。たしかに空回りしてる気がする。
「そっちのほうがいいかも」と向こうのゴマすり器を勧めてくれたが、「これもハンドルがうまく回んない」とおとうさん。「ゴマすり、3種類も買っちゃったよ(笑)」
「JIS規格に文句言わなくちゃね」とおかあさん。

なんかのんびりしてていいな、と。
「どうして閉めちゃうんですか?」と聞きそうになったが、聞けなかった。
たぶん聞かなくてよかったんだと思う。
11年間おつかれさまでした。

[DATA]
手打うどん 不動
東京都東久留米市前沢3-4-3
[Today's recommendation]

https://youtu.be/_csn7KtVeOU


◆ 猫写真はこちら ◆

2017.11.25 中谷製菓久留米工場 直売所/東京都東久留米市南町3₋10₋29

創業1919(大正8)年、まもなく100年目を迎える老舗かりんとうメーカー中谷製菓の工場直売所。
OEM品など品ぞろえが多い。
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