一人焼き肉な December 【明月館】
2017.12.01
東横線の新丸子に住んでいたころ、近所に「プルコギ苑」という焼き肉屋があって、格安ランチを提供していた。
まだ子どもが生まれる前のこと、休日に夫婦でランチをしていると、近所に住む会社仲間が入ってくるのが見えた。いまでこそ一人焼き肉も珍しくないが、そのころそのような光景はあまり見なかった。
大らかな彼は人目を気にするふうでもなく慣れた態度でどっしり構えているが、こっちが落ち着かない。見てはいけないものを見てしまったようで申し訳なく、気づかれないように縮こまり、こそこそと食べて急いで店を出た。

それから約30年。
いまに至るまで僕は1人で焼き肉屋に入ったことがなかった。

あるアンケート調査によれば、1人では入りづらい飲食店で、3位すし屋を抑えて焼き肉屋は堂々2位に入る(1位はフレンチ)。
その理由として、みんなで盛り上がる場に1人でいるのがつらい、というのが多い。寂しい、他人の目が気になる… と。

個人的には、焼き肉というスタイルの大掛かりなのが、カタジケナイ。
焼き肉テーブルはだいたいが4人席。それを独占し、個人専用に火をおこす。ガスならまだしも炭を運んできてくれる店もある。
店の会計処理で4人相当と算出される経費を1人でかけさせちゃってる、ような気持ちになる。
かたじけない【忝い・辱い】《形》①感謝にたえない。ありがたい。②(分に過ぎた処遇に対して)おそれ多い。もったいない。

久米川駅近くの「明月館」は1975年創業の老舗焼き肉店。
以前、年季の入った店構えに惹かれ入ろうとしたが、薄暗い店内の様子に断念。去年、再チャレンジで入ってみると、ごく普通のお店で拍子抜けした。
1時45分で先客はなし。一人焼き肉にはもってこい。
ホールにはテーブルが6つ、2列に並んでいる。右手前が厨房で、奥は広い座敷になっている。

窓際の席に外向きに座る。
目の前に裏返しの巨大な“肉”の文字。
店内はきれいだが、こういうディスプレイ関係は古くさい、昭和時代まま。
Aランチ(カルビ・ハラミのミックス、ライス・キムチ・もやしナムル・冷奴・のり・スープ付)999円を注文。

ランチ一式、全部並ぶとなかなか豪華である。

10枚もあろうかという厚めの肉。
肉以外のおかずでご飯1杯いけそうだ。

一人で肉を網にのせる。2枚? いや、3枚にしよう。
火力が弱い。ジュージューとならない。
ジワジワー… という感じでゆっくりと。
ものすごーく景気が悪い。
焼き肉慣れしてないから気づかなかったが、自分で火力を調節すればよかったのだ。

焼き肉は基本的にシェアする食べ物。大皿料理のようなものだ。
だからこそ、みんなで囲んだほうが楽しく… とはいえ、遠慮も入る。
家族で食べても気を使う。子どもと一緒だったら、どうしても譲りぎみ。

一人なら誰にも気兼ねなく食べられる。
自分で網にのせた肉は全部自分のもの。
一人焼肉の魅力は十分理解できたと思う。

[DATA]
明月館
東京都東村山市栄町2-21-8
[Today's recommendation]

https://youtu.be/Gs069dndIYk


◆ 猫写真はこちら ◆
東横線の新丸子に住んでいたころ、近所に「プルコギ苑」という焼き肉屋があって、格安ランチを提供していた。
まだ子どもが生まれる前のこと、休日に夫婦でランチをしていると、近所に住む会社仲間が入ってくるのが見えた。いまでこそ一人焼き肉も珍しくないが、そのころそのような光景はあまり見なかった。
大らかな彼は人目を気にするふうでもなく慣れた態度でどっしり構えているが、こっちが落ち着かない。見てはいけないものを見てしまったようで申し訳なく、気づかれないように縮こまり、こそこそと食べて急いで店を出た。

それから約30年。
いまに至るまで僕は1人で焼き肉屋に入ったことがなかった。

あるアンケート調査によれば、1人では入りづらい飲食店で、3位すし屋を抑えて焼き肉屋は堂々2位に入る(1位はフレンチ)。
その理由として、みんなで盛り上がる場に1人でいるのがつらい、というのが多い。寂しい、他人の目が気になる… と。

個人的には、焼き肉というスタイルの大掛かりなのが、カタジケナイ。
焼き肉テーブルはだいたいが4人席。それを独占し、個人専用に火をおこす。ガスならまだしも炭を運んできてくれる店もある。
店の会計処理で4人相当と算出される経費を1人でかけさせちゃってる、ような気持ちになる。
かたじけない【忝い・辱い】《形》①感謝にたえない。ありがたい。②(分に過ぎた処遇に対して)おそれ多い。もったいない。

久米川駅近くの「明月館」は1975年創業の老舗焼き肉店。
以前、年季の入った店構えに惹かれ入ろうとしたが、薄暗い店内の様子に断念。去年、再チャレンジで入ってみると、ごく普通のお店で拍子抜けした。
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1時45分で先客はなし。一人焼き肉にはもってこい。
ホールにはテーブルが6つ、2列に並んでいる。右手前が厨房で、奥は広い座敷になっている。

窓際の席に外向きに座る。
目の前に裏返しの巨大な“肉”の文字。
店内はきれいだが、こういうディスプレイ関係は古くさい、昭和時代まま。
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Aランチ(カルビ・ハラミのミックス、ライス・キムチ・もやしナムル・冷奴・のり・スープ付)999円を注文。

ランチ一式、全部並ぶとなかなか豪華である。

10枚もあろうかという厚めの肉。
肉以外のおかずでご飯1杯いけそうだ。

一人で肉を網にのせる。2枚? いや、3枚にしよう。
火力が弱い。ジュージューとならない。
ジワジワー… という感じでゆっくりと。
ものすごーく景気が悪い。
焼き肉慣れしてないから気づかなかったが、自分で火力を調節すればよかったのだ。

焼き肉は基本的にシェアする食べ物。大皿料理のようなものだ。
だからこそ、みんなで囲んだほうが楽しく… とはいえ、遠慮も入る。
家族で食べても気を使う。子どもと一緒だったら、どうしても譲りぎみ。

一人なら誰にも気兼ねなく食べられる。
自分で網にのせた肉は全部自分のもの。
一人焼肉の魅力は十分理解できたと思う。

[DATA]
明月館
東京都東村山市栄町2-21-8
[Today's recommendation]

https://youtu.be/Gs069dndIYk


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