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ディープ中華の意外な魅力 【昭和軒】

2017.11.28

 東村山市の三大ディープゾーンと勝手に呼んでいる物件の一つ「昭和軒」。
あとの2つは萩山町の 揚子江 と青葉町の 虎楽 で、この2店には去年と今年で1回ずつ入っている。しかし昭和軒は三大の中でもハードルが1段高く、なかなか足が向かなかった。
どういうことかというと、昔、入ったことがある。それも立て続けに2度。
いい印象がない。味に。


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「お父さんの好きそうな中華屋さん見つけた」と妻が言う。
東村山の久米川町に住んでいたころの話。まだお店を見つけるという段階だから、住み始めのころだと思う。昭和ということはないが、20世紀だった可能性は高い。
行ってみると、無駄に派手な看板が、なんとも趣味が悪くレトロチック。そのへんの雰囲気を僕が好きそう、と。そういう嗜好は昔から変わってないんだな、といま思う。
1回目はラーメン、2回目はチャーハンを食べた。どちらも僕の好みではなかった。


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三大のうち一つを残すのは気持ち悪いので最近気にかかっていたが、この店は暖簾を出さないのでやっているかどうかわかりづらい。出前のカブはいつも止まっているので、店を畳んだということはないとは思うが。

及び腰で遠巻きに様子をうかがうと、“営業中”の札が出ている。これは入るしかないな、と。
自動ドアが壊れて“手であけて下さいね”と書いてある、よくあるパターンの手動ドアを開ける。
お客さんがいる。3人も。それには驚いた。
厨房ではお母さんが忙しそうに立ち回ってる。きびきびと。これも意外だった。
僕の中ではこの店は「いろいろ止まっていそう」というイメージだったが、意外にも活気があるのである。僕のあとにもお客さんが2人。


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昔は店主のおやじさんが調理していたはずだが、姿が見えない。店先にカブがなかったから出前に行っているものと思われる。
カウンター8席ほどと小さな2人用テーブル2脚。
カウンターのいちばん奥に座り、ラーメン400円を注文。


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BGMは演歌。僕の背後のCDラジカセから流れている。
演歌といっても生半可じゃない。こういう曲調は春日八郎とか三橋美智也とかの時代の歌謡曲というやつだ。聞いたことのない声なので、いまの歌手による昔の曲のカバーかもしれない。
そういえば隣に歌謡曲専門・カセットメインのレコード屋があったが、いつの間にか開いているのを見なくなった。


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おやじさんが帰還。
お母さんの様子が変わった。
最前のとおりきびきびと調理してはいるものの、突然へこたれる。
「ああ、もう…!」という感じで。
お父さんにいろいろ文句があるようにも見える。「まったく、気が利かないんだから」と。
自分の体が思うように動かないことへのいら立ちのようにも見える。お父さんにそのへんをねぎらってほしいのかもしれない。
見ている間、10回はへこたれた。
最後の1回、へこたれたあと苦笑いを浮かべた。お父さんも一緒にニヤついてる。


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「多いけど、大丈夫?」と配膳台にどんぶりを載せる。多いのは汁で、こぼさないように気をつけてね、という意味。
ラーメンの見た目が意外。シンプルな昔ながらの中華そばタイプを想像していたが(というか、昔そうだったと思うが…?)、いろいろのってる。
チャーシュー、メンマ、ワカメ、ナルト、ネギまではわかるが、真ん中にグジャッとしたものがのってる。
あんかけの野菜炒めだ。
キャベツ、モヤシ、ニンジン、それにたっぷりの豚肉。いわゆるモヤシソバのモヤシ少なめという感じ。


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ラーメンという名称で野菜炒め on the noodle までは、まあないこともないかもしれない。でもあんかけはもうひと手間だ。400円のラーメンにどうしてそこまで手をかけるのか。
問題の味のほうは… 悪くないのである。というか、おいしい。不自然なうま味や甘味のない優しいスープで、炒め野菜との相性もいい。豚肉が香ばしい。
モヤシソバと考えても出来は悪くないんじゃないだろうか。
400円のモヤシソバ。すごいな。
調理担当が記憶と違ってお母さんであるのと、味に対する僕の印象が劇的に変わったことに、因果関係はあるのだろうか?

食べ終わるころ、曲は三橋美智也の『古城』に替わった。
こういう店でこういう曲を聴くとジーンとくるものがある。
でも僕の中では“新生”昭和軒なのかもしれない。


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[DATA]
昭和軒
東京都東村山市本町4-2-3



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Emerson Lake & Palmer
『Pictures At An Exhibition』




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◆ 猫写真はこちら


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