横浜発祥のアツアツ麺――寒い冬こそこんな麺④ 【谿明飯店】

2018.02.09

 「多摩爺」「宝華」「秀永」に続くアッタマル麺シリーズ。

多摩地区で温まる麺といって、田無の「谿明飯店」の生碼麺を避けて通ることはできない。
といって、普通の人は漢字を読むことができない。
いきなり見せられたら、書いている本人だって読むことができない。
ケイメイハンテンのサンマーメンと読む。


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サンマーメンについておさらい(かながわサンマー麺の会HPより改変)。
――戦前当時、調理人たちのまかない料理で、とろみをつけた肉そばが原形になったといわれています。 神奈川県横浜市中区の中華料理店から戦後(昭和22~23年ころ)発祥したといわれ、60余年の歴史があります。しょうゆ味がベースのスープに具は肉・もやし・白菜、その季節にある具にあんをかけた簡単なものでした。しかし当時ではラーメンよりボリュームがありおいしく、あんがかかっているので寒い季節は温まって元気が出てくることから徐々に商品化されお店にも並ぶようになってきたのです。


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つまり戦後横浜発祥のあんかけ麺であり、秋刀魚がのったラーメンではない
ご当地麺として神奈川県では広く浸透しており、元神奈川県民の僕らにはなじみ深い。
東村山の人は、5年前に閉店した本町の中華店「どんどん」がサンマーメン一押しだったので、聞き覚えのある方もおられるかと思う。


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谿明飯店のホームページでは次のように説明されている。
――当店では、先代が華僑の方より教わったこの味を頑固に守り通し、豚、鳥の他9種類の食材から丁寧に出汁をとり安くてボリューム感があって栄養価満点な、この生碼麺(サンマーメン)をお客様に召し上がっていただいております。


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古びた店構えとは対照的な入り口周りのカラフルな掲示物が目を引くが、その横には懐かしのサンプルケースがそのまま残されている。
「鯉の丸揚 ご予約承ります」とある。
テーブル2脚、カウンター2席とホールは小さいが、奥の板の間がメインの客席となる。


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一見町外れだが、目の前には新しいマンションが建ち、西東京中央総合病院やシチズン時計本社に近く、いつもにぎわっている。
なので、1時20分でお客さんゼロは、意外というかラッキーであった。
大家族経営で、大女将もお元気そう。
いちばん奥の席に上がらせてもらう。


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考えてみれば、この店ではサンマーメンと、せいぜい半チャーハンぐらいしか食べたことがない。
HPやFacebookにはおいしそうな写真がたくさん載っていて、実にもったいない話だと思うが、それだけサンマーメンの吸引力が強いということ。


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サンマーメンの提供まで約4分とスピーディ。
あんのとろみが強く、麺が持ち上がらないほど。
具は、キャベツ、モヤシ、ニラ、ニンジン、豚肉、ナルト。
横浜発祥という本格っぽいイメージに、ナルトを動員して難易度を下げるというか…。そういうB級路線は嫌いじゃない。
とても優しい味わいで、後半酢などを投入して味の変化を楽しむのもいいかと思う。


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サンマーメンにはデザートが付く。本日はパイナップルゼリー。
アツアツになった体を少しクールダウンさせて帰ってもらおうという心遣いだと思う。
甘酸っぱいゼリーをいただき、ホッとひと息。


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[DATA]
谿明飯店(けいめいはんてん)
東京都西東京市芝久保町2-6-21
http://www.keimeihanten.co.jp/



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◆ 猫写真はこちら


心置きなくアツアツ麺 【谿明飯店】

2017.09.19

 人間が汗をかくのは、汗が蒸発するときに周りから奪う気化熱で体温を下げるためで、したがって暑いときほど発汗を促す食べ物を欲する、というようなことを夏の初めに何度か書いているが、その際あえて気づかないふりをしていた食べ物がある。谿明飯店の生碼麺(サンマーメン)である。


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生碼麺とは何か。谿明飯店のホームページに説明が載っている。
――昭和20年代前半、横浜市中区より、少し違う形で発売された、細切りにした野菜と肉のあんかけ麺(肉糸湯麺・ルースータンメン)、これが始まりでした。その後、昭和20年代後半に横浜中華街に於いてもやしを加えて、現在の生碼麺(サンマーメン)になったと言われております――

つまり戦後横浜発祥のあんかけ麺であり、ご当地麺として神奈川県では広く浸透しているラーメンの一種である。僕が最初に出会ったのは30年近く前、当時住んでいた川崎市新丸子の有名店「三ちゃん食堂」でのこと。
いまでは“かながわサンマー麺の会”というものまであり、そのホームページでは、

サンマー麺って…? 秋刀魚が乗ったラーメン?

というお約束ネタがヘッダーのキャッチコピーに使われている(http://www.sannma-men.com/origin.html)。
語源については、“生(サン)は「新鮮でしゃきしゃきした」という意味、 馬・碼(マー)は「上に載せる」という意味”という説が一般的なようだ。


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汗かきメニューの話に戻るが、なぜ僕が谿明飯店の生碼麺をしらばっくれて通したかというと、このもの、あんのトロミが強くきわめてアツアツで、盛夏に食す危険さが度を越すと思われたから。滝の汗は必至で、まともな姿では帰れない。
まあ、ぶっちゃけ、去年の夏に食べて大変なことになったんだが(笑)。当方軟弱者につき強者は避けて通る。


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それでもときどきは食べたくなる絶品麺だと思っている。
明日は彼岸の入りで、暦の上どころかもはや秋のど真ん中。そろそろ安心して生碼麺を食べられる季節である。
本日の東京の最高気温は28.2℃。まだ早いんじゃないの? と思われるかもしれないが、そうでもない。暑すぎず、なおかつ店内は冷房が効いている。それぐらいの条件がベスト。この先、冷房を使わなくなる季節については、また別の話。


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谿明飯店は田無のシチズン時計本社近くの裏道にある。
店頭の古びたショーケースには懐かしの鯉の丸揚げ。“時価”ではなく“ご予約”となっている。っていうか、いまだに扱っていて、ご予約すれば作ってくれるんだ。
店内は入ってすぐのテーブル2卓とカウンター2席のほか、一段高くなった奥の板の間のスペースが広くなっている。座卓が全部で8卓。今日はすいているので奥に上がらせてもらう。
僕はいつも生碼麺700円。半チャーハンを付けることが多いが、諸事情により単品で。


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おそらく家族経営の、たぶん3代そろっての切り盛りである。詳しい構成はわからないが、大女将的なお母さんがよく目立つ。今日も常連客と「2階で寝ててもしょうがないしね」などと話している。アツアツ麺のどんぶりを掲げて真横を通られたりするとドキドキするが、ともかくあっぱれである。


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生碼麺はしょうゆ味のラーメンにモヤシ主体のあんがかかる。具はほかに、キャベツ、ニンジン、ニラ、豚肉、ナルト。デザート付き(コーヒープリン)。
麺はややウェーブがかかった中細。ベースのスープがしょうゆ前面の味付けで、シンプルなので最後まで飽きが来ない。


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落ち着いてゆっくり食べないとたちまち汗が噴き出すので、なるべくペースを落とすように心がけるが、それでも最後は汗ぐっしょりになる。
今日のようなカラッとした日にはそれも爽快。汗の感触にも季節の移り変わりを感じたりする。


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[DATA]
谿明飯店(けいめいはんてん)
東京都西東京市芝久保町2-6-21
http://www.keimeihanten.co.jp/



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