酒屋で食べる圧倒的鳥肉料理 【川島屋】
2017.09.07
府中街道の八坂小前交差点を西に折れ、踏切を越えて道なりに直進、美住町一丁目アパートに差しかかるあたり、左手に黄色いランチののぼりが見える。そのまま通り過ぎて振り返ると、建物の外壁に落書きのような“かつ煮 かつ丼 山賊焼”の文字。
この店が山賊焼きを売りにしている定食屋にして居酒屋、そのじつ本業は酒屋という「川島屋」である。

この店はもともと酒屋で、コンビニを経て2014年に当地で再スタート、その際飲める酒屋をめざし、目玉料理として縁のある松本市に伝わる山賊焼きを習得したとのこと(マサさんのブログ「東村山グルメ日記2」参照)。

山賊焼きは長野県中信地方(松本市、塩尻市など)の郷土料理。地元ではご当地グルメとして盛んにPR活動が行われているようだ。
――にんにくを効かせた醤油ダレに鳥の胸肉やもも肉を漬け込み、片栗粉をまぶして“から揚げ”にし、キャベツと一緒に盛り付けた塩尻の郷土料理です。(塩尻市観光協会 ホームページより)
――松本地方に伝わる郷土食。鶏の肉をニンニクなどの入った汁に漬け込み、片栗粉をまぶしてあげたものを山賊焼と呼んでいます。(松本市公式観光情報ポータルサイト 新まつもと物語 より)
どちらのサイトにもそう書いてあるように、この料理は揚げるもの、つまりでっかい鳥の唐揚げのようなものと、写真や説明文から僕は想像している。
これは唐揚げ好きとしてはぜひ食べておきたいところだ。

実は最近、お店休みで空振りが2回続いていた。三度目の正直じゃないが、今日は大丈夫だろう。
というのも、定休日が水曜だということを昨日ちゃんと“店頭で”確認している。
まあ、要するに昨日がその空振りの日だったということで…。そういうの、ちゃんと調べて行こうよ(笑)。

12時5分前に到着。
り口が奥まっていて一見入りにくそうだが、歩道からのぞくと入ってすぐのところのカウンター席がよく見える。誰も座っていない。ちょっと気が楽になる。

入って右手が4席のカウンター、左手は酒屋らしく酒の棚および冷蔵庫用スペース。飲み屋兼業だから酒類は“お持ち帰り用”“店内用”と分けられている。
ほかに、棚の前の隅に2人用の小さなテーブル、奥は個室風の座敷になっているもよう。
カウンターのいちばん奥の席に座る。
カウンターの向こうの調理場には店主とみられる男性。思ったよりも若い。
そのお母さんとみられる女性。「なみなみになっちゃった」と笑いながら、升を受け皿にしたコップ酒のようにタプタプになったお冷やを持ってきてくれる。
注文は山賊焼定食780円。

ちょっと前の情報だとランチは山賊焼のほかにカツ丼だけだったと思うが、ランチメニューがもう1枚あって、そちらにはカレー丼、もつ煮定食、牛すじ定食、アジフライ定食と、もう立派な定食屋のラインアップになっている。
こういう“進化”は部外者ながらもうれしいし、牛すじ定食なんか非常にひかれるものがある。
調理場の奥のほうからはずっと揚げ物の音。けっこう時間がかかっている。
その間、ぽつりぽつりとお客さんが入り、カウンターは4席がすべて埋まった。いずれも地元風リタイア風の男性で、注文は僕も入れると山賊焼2、カツ丼2。
それからガテン風の若者3人組が座敷へ。こちらの注文は「山賊・もつ・アジ」と店主復唱。

ご飯、みそ汁・しば漬け、そして山賊焼と、お母さんが少しずつ運んできてくれる。
「今日のはちょっと大きいみたいです」と、カウンターの中から店主。
「あ、そうなの? ありがとうございます!」

実際、うわっ! と思うぐらいにデカかった。皿に並べきれないから上に1切れ重ねてあるし。
「嫌いじゃなかったら使ってみてください」と店主がタバスコの瓶を渡してくれる。これがまた、うわっ! というデカさで、見れば350mlって、そんなタバスコ見たことないわ。

このデカい肉は、もうひたすらかぶりつく。外のコロモ部はカリカリのクリスピーで、中は心地よい軟らかさ。鶏の胸肉では、プリプリでもなくスジスジでもない、こういう噛み応えが僕は好きだ。
端のほうから食べていって中央付近に差しかかると厚みがピークに。最厚部は2cmはありそうだ。
味付けはニンニクが効いていて食べるほどに食欲が増す感じ。まず2~3切れにレモンを搾る。それからタバスコ。これがどっちもよく合う。両方いっぺんにかけたら、う、うまい!
ご飯はそれほど多く見えないが、味のしっかり付いたおかずがこれだけ大量にあっても足りなくならないということは、少なくないということ。このご飯茶わん、深さがあるのだ。
とにかく肉を目いっぱい食べたいという欲求を満たしてくれて(meatじゃないけど)、1000円でたくさんお釣りがくる。
立地の悪さや業態の珍しさから穴場感がハンパないが、そんなマイナーな愉しみを超えて有無を言わさず満腹させる圧倒的鳥肉料理である。

[DATA]
川島屋
東京都東村山市美住町1-6-14
[Today's recommendation]

https://youtu.be/fnl5X6aE0v8


府中街道の八坂小前交差点を西に折れ、踏切を越えて道なりに直進、美住町一丁目アパートに差しかかるあたり、左手に黄色いランチののぼりが見える。そのまま通り過ぎて振り返ると、建物の外壁に落書きのような“かつ煮 かつ丼 山賊焼”の文字。
この店が山賊焼きを売りにしている定食屋にして居酒屋、そのじつ本業は酒屋という「川島屋」である。

この店はもともと酒屋で、コンビニを経て2014年に当地で再スタート、その際飲める酒屋をめざし、目玉料理として縁のある松本市に伝わる山賊焼きを習得したとのこと(マサさんのブログ「東村山グルメ日記2」参照)。

山賊焼きは長野県中信地方(松本市、塩尻市など)の郷土料理。地元ではご当地グルメとして盛んにPR活動が行われているようだ。
――にんにくを効かせた醤油ダレに鳥の胸肉やもも肉を漬け込み、片栗粉をまぶして“から揚げ”にし、キャベツと一緒に盛り付けた塩尻の郷土料理です。(塩尻市観光協会 ホームページより)
――松本地方に伝わる郷土食。鶏の肉をニンニクなどの入った汁に漬け込み、片栗粉をまぶしてあげたものを山賊焼と呼んでいます。(松本市公式観光情報ポータルサイト 新まつもと物語 より)
どちらのサイトにもそう書いてあるように、この料理は揚げるもの、つまりでっかい鳥の唐揚げのようなものと、写真や説明文から僕は想像している。
これは唐揚げ好きとしてはぜひ食べておきたいところだ。

実は最近、お店休みで空振りが2回続いていた。三度目の正直じゃないが、今日は大丈夫だろう。
というのも、定休日が水曜だということを昨日ちゃんと“店頭で”確認している。
まあ、要するに昨日がその空振りの日だったということで…。そういうの、ちゃんと調べて行こうよ(笑)。

12時5分前に到着。
り口が奥まっていて一見入りにくそうだが、歩道からのぞくと入ってすぐのところのカウンター席がよく見える。誰も座っていない。ちょっと気が楽になる。

入って右手が4席のカウンター、左手は酒屋らしく酒の棚および冷蔵庫用スペース。飲み屋兼業だから酒類は“お持ち帰り用”“店内用”と分けられている。
ほかに、棚の前の隅に2人用の小さなテーブル、奥は個室風の座敷になっているもよう。
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カウンターのいちばん奥の席に座る。
カウンターの向こうの調理場には店主とみられる男性。思ったよりも若い。
そのお母さんとみられる女性。「なみなみになっちゃった」と笑いながら、升を受け皿にしたコップ酒のようにタプタプになったお冷やを持ってきてくれる。
注文は山賊焼定食780円。

ちょっと前の情報だとランチは山賊焼のほかにカツ丼だけだったと思うが、ランチメニューがもう1枚あって、そちらにはカレー丼、もつ煮定食、牛すじ定食、アジフライ定食と、もう立派な定食屋のラインアップになっている。
こういう“進化”は部外者ながらもうれしいし、牛すじ定食なんか非常にひかれるものがある。
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調理場の奥のほうからはずっと揚げ物の音。けっこう時間がかかっている。
その間、ぽつりぽつりとお客さんが入り、カウンターは4席がすべて埋まった。いずれも地元風リタイア風の男性で、注文は僕も入れると山賊焼2、カツ丼2。
それからガテン風の若者3人組が座敷へ。こちらの注文は「山賊・もつ・アジ」と店主復唱。

ご飯、みそ汁・しば漬け、そして山賊焼と、お母さんが少しずつ運んできてくれる。
「今日のはちょっと大きいみたいです」と、カウンターの中から店主。
「あ、そうなの? ありがとうございます!」

実際、うわっ! と思うぐらいにデカかった。皿に並べきれないから上に1切れ重ねてあるし。
「嫌いじゃなかったら使ってみてください」と店主がタバスコの瓶を渡してくれる。これがまた、うわっ! というデカさで、見れば350mlって、そんなタバスコ見たことないわ。

このデカい肉は、もうひたすらかぶりつく。外のコロモ部はカリカリのクリスピーで、中は心地よい軟らかさ。鶏の胸肉では、プリプリでもなくスジスジでもない、こういう噛み応えが僕は好きだ。
端のほうから食べていって中央付近に差しかかると厚みがピークに。最厚部は2cmはありそうだ。
味付けはニンニクが効いていて食べるほどに食欲が増す感じ。まず2~3切れにレモンを搾る。それからタバスコ。これがどっちもよく合う。両方いっぺんにかけたら、う、うまい!
ご飯はそれほど多く見えないが、味のしっかり付いたおかずがこれだけ大量にあっても足りなくならないということは、少なくないということ。このご飯茶わん、深さがあるのだ。
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とにかく肉を目いっぱい食べたいという欲求を満たしてくれて(meatじゃないけど)、1000円でたくさんお釣りがくる。
立地の悪さや業態の珍しさから穴場感がハンパないが、そんなマイナーな愉しみを超えて有無を言わさず満腹させる圧倒的鳥肉料理である。

[DATA]
川島屋
東京都東村山市美住町1-6-14
[Today's recommendation]

https://youtu.be/fnl5X6aE0v8

