fc2ブログ

土曜の昼の洋食屋 【きっちんコバヤシ】

2017.09.02

 昭和の時代を思い起こすときにキモとなる要素の一つに“土曜半ドン”がある。僕は半ドンといえば学校という年代だが、親の様子なんかを思い返すと会社も半ドンだったわけだ。
午前の3時間授業を終えて帰宅し、ばあちゃんが「日清 出前一丁」を作ってくれている間、テレビでNHK大阪局制作の演芸番組を見たりしている。その先には永遠の自由の時間が広がっているかのように感じている。


kitchen-kobayashi39.jpg


本日は7時ごろから仕事を始め、半ドンならぬ10時すぎにおしまいにして、昼食に出かける。
妻の希望はハンバーグかメンチカツ。ずっと気になっていた小平市学園西の洋食屋に向かう。


kitchen-kobayashi31.jpg


一橋学園駅から見て一橋大学小平国際キャンパスの向こう側、すなわち一橋大と津田塾の間の閑静な住宅街は、ポツリポツリと古い飲食店が残る。通りには商店会の看板を掲げた街路灯が設置されているので、かつては商店街が形成され、衰退していった果てのポツリポツリなんだろうと思う。
このあたりで南北に比較的車の通行が多い通り沿いの角地に、洋食店「きっちんコバヤシ」はある。


kitchen-kobayashi40.jpg


表にはサンプルケース。食品サンプルは色あせているが、ケース自体はきれいにしてある。
“出前致します”の札も掲示してあって、勝手口の横にはお約束のカブ。
西日よけは葦のすだれだ。


kitchen-kobayashi15.jpg


店内はかなり狭く、4人掛けテーブルが3卓置かれ、うち1つは出入り口にかかるのでいすは3脚のみ。ほかには隅っこに壁に向かった1人用の席があり、計12人収容可。

壁に張ってあるメニュー表は手書きである。正確に言うと、レタリングで作成してある。
昔、仕事で転写式レタリングシートを使っていた。そのこと自体忘れていたぐらいだから使い方も何もかも覚えていないが、こういう書体を見ているといろいろなことを思い出しそうになる。


kitchen-kobayashi34.jpg


メニューはまず“BEST 8”というオススメ的な一覧があり、それ以外は部門別に表示されている。
料理の部門は“ピラフ&ソース”“アラカルト”“スパゲッティ”“丼物etc”。ちょっとわかりにくいが、ピラフ&ソースにはカレーやオムライスを含み、アラカルトとはハンバーグや揚げ物といったいわゆる単品料理を指すようだ。
BEST 8から、きっちんランチ600円(妻)、カツ定食650円(私)を注文。


kitchen-kobayashi33.jpg


僕らの前にお客さんが1組。名古屋市長によく似た容貌のおじさんと、その方とのミスマッチ感の否めないすらっと背の高いファッション・アパレルまたは広告・メディア業界OL風のおねえさん。ずっとお店のお母さんとおしゃべりしているが、常連というよりはたまにわざわざ遠くからやって来る人たちらしいことが、会話の端々から読み取れる。


kitchen-kobayashi35.jpg


料理の提供はかなり早く、まず妻のコーンポタージュが出される。ちょっと粉っぽい、素朴な味わい。
きっちんランチは、カニクリームコロッケ、ハンバーグ、目玉焼きのプレートで、コロッケなんかはけっこう大きめ。
深く考えずに頼んでいるが、これで600円はものすごくお得だ。


kitchen-kobayashi38.jpg


カツ定食はお盆に載り、お新香、みそ汁付きの和食スタイルでの提供。
先には気づかなかったが、メニューを見直すと料理はスープ付きとみそ汁付きに分かれている。同様にご飯の器も変えてあり、ランチは皿で定食はどんぶり。考えてみると割り箸の扱いさえも、妻には三角折りのペーパーナプキンが添えられ、僕のは裸だ。


kitchen-kobayashi36.jpg


この店は洋食と和食の区別というか差別というか、様式に対するこだわりがあるようで、ちょっとした独自のルールがなんだかほほ笑ましい。


kitchen-kobayashi37.jpg


少し秋めいてきた土曜の昼下がり、住宅街の小さな食堂で素朴でおいしい洋食をいただく。台風一過の澄んだ青空のように清々しくもどこか懐かしい気持ち。
天井近くのテレビでは仁鶴師匠のバラエティーが流れている。


kitchen-kobayashi32.jpg


[DATA]
きっちんコバヤシ
東京都小平市学園西町2-9-20





[Today's recommendation]


https://youtu.be/Gmq4WIjQxp0



chat170902-22.jpg



chatdailleurs170902-22.jpg




 夜は焼き鳥!
2017.09.02 西のやかた/東京都清瀬市野塩1-171-13


nishinoyakata2-21.jpg
nishinoyakata2-22.jpgnishinoyakata2-23.jpg
やきとり190円、つくね190円、レバー300円、ぼんちり160円、せせり190円


Latest Articles
多摩地域の家系草分け 【吉祥寺 武蔵家】 Jun 03, 2023
ラーメンと幸せの距離感問題 【九州ラーメン いし】 Jun 02, 2023
至れり尽くせりな酒蔵ツアー 【石川酒造】 Jun 01, 2023
第1回? 玉川上水ウォーキング🚶‍♀🚶‍♂ 【下の川緑地せせらぎ遊歩道公園】 May 30, 2023
トーホクの車窓から 【駅弁屋 旨囲門 ecute大宮】 May 28, 2023
80’s tasted 吉祥寺ブランド 【レモンドロップ 本店】 May 27, 2023
価値観の混迷する時代に 【天下一品 吉祥寺店】 May 26, 2023
衰え問題と中盛り問題と… 【ラーメンショップ YAMANAKA】 May 25, 2023
ちゃちゃっとクラシックコンサート!(後編) 【NHKホール】 May 23, 2023
ちゃちゃっとクラシックコンサート!(前編) 【パークス代々木 野外ステージ前店】 May 22, 2023
ポストコロナのカオス 【昇龍】 May 21, 2023
国際博物館の日 【国立科学博物館】 May 19, 2023
Ranking
          
          
Category
Category-2