国立の歴史が息づくスパイシーカレー 【名曲喫茶 月草】
2017.08.27
妻は仕事が休みの日に月2~3回、習い事で国立に行く。今日は午前中で上がるので昼食は国立あたりで、ということで12時半に待ち合わせ。
国立はなじみがないこともないが食事をすることはまずないので、お店をほとんど知らない。せっかくだから国立っぽいところで、とちょっと調べてみて僕のイメージと合致するのは、カフェ的な… とか、欧風カレーの… とかが候補に挙がり、フレンチは… パスだな、となる。
で、喫茶店×カレーで「月草」に行ってみることに。存在はなんとなく知っていたし、名曲喫茶で評判のカレーが食べられるというのはちょっとお得な感じがする。
富士見通りに面したしゃれたレンガ造りのビルの2階。

店の入り口には「Cafe FLOWERS」と「名曲喫茶 月草」の2つの看板。月草のほうはプリントした紙をボードに貼り付けたものだ。
そう、月草はFLOWERSに間借りしている形態である、ということまでは事前に調べて知っていた。
この先はあとでわかったこと。

以前、この場所には「カフェ・ガラス玉遊戯」という店があった(1980-1999)。99年に惜しまれつつ店を閉めるが、程なくしてナイトカフェ「Cafe FLOWERS」として再スタート。その2店のオーナーが、「名曲喫茶 月草」の店主のお母さまにあたる。
幼少のころより国立の老舗名曲喫茶「ジュピター」に通っていたという月草店主は、クラシック音楽に対する思いから、FLOWERSの営業時間外(土日祝12:00~19:00)に同一店舗を使って名曲喫茶を始めた。2012年7月のことである。
月草には街の歴史が息づいており、“国立っぽい”という切り口で勘を働かせるとこういうところに踏み込んだりするから面白い。

オーダーは自家製チキンカレー(950円)×2。
メニュー表にはこのカレーについて次のような説明がある。
――「カフェ・ガラス玉遊戯」から引き継いできた30年以上変わらない伝統の味。1週間じっくり煮返して作ります。1人分にたまねぎ丸1個使っているので、血液がさらさらになります。
ここにもお店の歴史が凝縮されている。

名曲喫茶なので当然音楽がかかっているわけだが、“Now Playing”のスタンドにLPジャケットが載っているモーツァルト/弦楽五重奏曲全集とは明らかに違う曲だ。
店主に聞いてみると、いま流れているのはCDのほうで、20世紀初頭のドイツの作曲家マックス・レーガーの室内楽という。レーガーはほとんど知らないが、ヴァイオリンとピアノのための『古風な様式の組曲』のラルゴなんか、いい曲だなと思った。

面白いのはオーディオラックの上のテレビモニターでアニメーション映像が流れていること。ユーリー・ノルシュテイン作品と思われるが、サイレントみたいなものだからこういう流し方でも映像作品としての鑑賞には差し支えない。
昔の名曲喫茶ではありえない発想だ。

カレーは説明のとおり甘味が強い。タマネギを1週間煮詰めるとここまで甘くなるのか、とちょっと驚くぐらい甘い。
かなりスパイシーで、カルダモンやクローブなど? 甘い香りを強めに効かせた配合に感じられる。辛さは中辛程度。

月(カレー)と草(自家製ピクルス)ってこと?
LPレコードは閲覧自由ということなのでちょっと見てみたが、視力低下につきLPの背文字はムリ(笑)。
で、帰ってしばらくたってから気づいたことがある。
店主はまだ若くLP現役世代には見えない。これだけのコレクションをどうやってそろえたのだろう。
まず考えられるのは中古品の購入だ。

国立には「RARE」という中古レコード店がある。そして10数年前の引っ越しの際、僕はこのRARE国立店に大量のレコードを売っているのである。
どれくらい大量かというと、枚数はわからないが出張買い取りに来たバイヤーさんが6万5000円超のキャッシュを置いていったというくらい。ただしクラシックはほとんど値がついておらず、80年代UKロックとレゲエが高かったという話だが。
もしかしたら僕の収蔵していたLPがRARE経由で月草に入っているかも… と想像してみる。国立の歴史にちょこっと入れさせてもらった気になったりする。もしも、の話だが。
今度行ったらLPのラックをじっくり拝見させてもらおう。

[DATA]
名曲喫茶 月草
東京都国立市中1-10-8 ノア国立ビル2F
http://www.tsukikusa.jp/
[Today's recommendation]

https://youtu.be/Pxl_hmszs1A


妻は仕事が休みの日に月2~3回、習い事で国立に行く。今日は午前中で上がるので昼食は国立あたりで、ということで12時半に待ち合わせ。
国立はなじみがないこともないが食事をすることはまずないので、お店をほとんど知らない。せっかくだから国立っぽいところで、とちょっと調べてみて僕のイメージと合致するのは、カフェ的な… とか、欧風カレーの… とかが候補に挙がり、フレンチは… パスだな、となる。
で、喫茶店×カレーで「月草」に行ってみることに。存在はなんとなく知っていたし、名曲喫茶で評判のカレーが食べられるというのはちょっとお得な感じがする。
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富士見通りに面したしゃれたレンガ造りのビルの2階。

店の入り口には「Cafe FLOWERS」と「名曲喫茶 月草」の2つの看板。月草のほうはプリントした紙をボードに貼り付けたものだ。
そう、月草はFLOWERSに間借りしている形態である、ということまでは事前に調べて知っていた。
この先はあとでわかったこと。

以前、この場所には「カフェ・ガラス玉遊戯」という店があった(1980-1999)。99年に惜しまれつつ店を閉めるが、程なくしてナイトカフェ「Cafe FLOWERS」として再スタート。その2店のオーナーが、「名曲喫茶 月草」の店主のお母さまにあたる。
幼少のころより国立の老舗名曲喫茶「ジュピター」に通っていたという月草店主は、クラシック音楽に対する思いから、FLOWERSの営業時間外(土日祝12:00~19:00)に同一店舗を使って名曲喫茶を始めた。2012年7月のことである。
月草には街の歴史が息づいており、“国立っぽい”という切り口で勘を働かせるとこういうところに踏み込んだりするから面白い。

オーダーは自家製チキンカレー(950円)×2。
メニュー表にはこのカレーについて次のような説明がある。
――「カフェ・ガラス玉遊戯」から引き継いできた30年以上変わらない伝統の味。1週間じっくり煮返して作ります。1人分にたまねぎ丸1個使っているので、血液がさらさらになります。
ここにもお店の歴史が凝縮されている。

名曲喫茶なので当然音楽がかかっているわけだが、“Now Playing”のスタンドにLPジャケットが載っているモーツァルト/弦楽五重奏曲全集とは明らかに違う曲だ。
店主に聞いてみると、いま流れているのはCDのほうで、20世紀初頭のドイツの作曲家マックス・レーガーの室内楽という。レーガーはほとんど知らないが、ヴァイオリンとピアノのための『古風な様式の組曲』のラルゴなんか、いい曲だなと思った。

面白いのはオーディオラックの上のテレビモニターでアニメーション映像が流れていること。ユーリー・ノルシュテイン作品と思われるが、サイレントみたいなものだからこういう流し方でも映像作品としての鑑賞には差し支えない。
昔の名曲喫茶ではありえない発想だ。

カレーは説明のとおり甘味が強い。タマネギを1週間煮詰めるとここまで甘くなるのか、とちょっと驚くぐらい甘い。
かなりスパイシーで、カルダモンやクローブなど? 甘い香りを強めに効かせた配合に感じられる。辛さは中辛程度。

月(カレー)と草(自家製ピクルス)ってこと?
LPレコードは閲覧自由ということなのでちょっと見てみたが、視力低下につきLPの背文字はムリ(笑)。
で、帰ってしばらくたってから気づいたことがある。
店主はまだ若くLP現役世代には見えない。これだけのコレクションをどうやってそろえたのだろう。
まず考えられるのは中古品の購入だ。

国立には「RARE」という中古レコード店がある。そして10数年前の引っ越しの際、僕はこのRARE国立店に大量のレコードを売っているのである。
どれくらい大量かというと、枚数はわからないが出張買い取りに来たバイヤーさんが6万5000円超のキャッシュを置いていったというくらい。ただしクラシックはほとんど値がついておらず、80年代UKロックとレゲエが高かったという話だが。
もしかしたら僕の収蔵していたLPがRARE経由で月草に入っているかも… と想像してみる。国立の歴史にちょこっと入れさせてもらった気になったりする。もしも、の話だが。
今度行ったらLPのラックをじっくり拝見させてもらおう。

[DATA]
名曲喫茶 月草
東京都国立市中1-10-8 ノア国立ビル2F
http://www.tsukikusa.jp/
[Today's recommendation]

https://youtu.be/Pxl_hmszs1A

