こだわり食材の絶品炭火焼き 【西のやかた】
2017.08.12
西武池袋線秋津駅北口は、JRとの乗り換えで混雑する南口とは一変、閑散とした街である。スーパー「いなげや」があるくらいで商店も少なく、用事のある人以外は行くこともない。しいて挙げればこの先に明治薬科大学があるので、学生はちらほら見かける。
僕は特に用事がある人でもないんだが、明治薬科大のもっと先の中里緑地や柳瀬川回廊に植物などを見に行くことがあるので、ときどきこのあたりを通る。
あと、坂の下の団地の中を流すことも。あのすし屋はまだやってるのかな… という感じで。

そんなときに見かけて気になっていたのが鶏料理・串焼きの「西のやかた」。
備長炭使用店にしてお手ごろ価格のランチを提供するという。

本日、昼すぎに武蔵野線を使うという妻に、昼ごはんは秋津近辺でどうか、と打診され、それならばと真っ先に思い浮かんだのがここ。
情報の少ない店だしお盆休みも懸念されたが、とりあえず行ってみて暖簾が掛かっていてひと安心。

店先のランチメニューを検討していると、「ここ、生活クラブなんだ」と妻。“こだわり食材”のポスターが張ってある。
真っ先にそれに気づいたのは、妻自身が組合員だから。
一気に親近感と期待感が高まる。

店内は思ったほど広くない。外からは隣のテナントと一体化して見えていたのだ。でも狭いわけでもなく、左手の上がりにはゆったり3卓配置されている。右がカウンターで、席の上をぐるりと瓦付きの庇を巡らしてある。
優しそうなおとうさんとしっかりしてそうなおかあさんという、イメージ的に最も安定感のあるコンビネーション。
今年で開店13年という。

奥の席に上がる。注文を決めかねていると、おかあさんが「やきとりと干物は炭火で焼きます」と言うので、迷わずその2品に。
「干物はアジかサバになります」
「じゃあサバで」
「やきとりのご希望は? おまかせでいいですか?」
「はい。おまかせで」

おとうさんはリチャード・ギアと二瓶正也を足して2で割ったような容貌で(ちょっと違うか…)、辛子色の半纏の前をはだけて着こなす粋な料理人だ。
あとで生活クラブのホームページ(おかあさんが教えてくれた。「お父さんの顔写真も出てるの」と)で確認したところ、“神田の名店で30年以上、技を磨きつづけた”とのこと。“その熟練の技で備長炭で焼き上げた国産鶏のやき鳥は絶品です”とある。

やきとり定食と干物定食は、ともに副菜にポテトサラダ、人参と小松菜のごまあえ、大根おろし、お新香(大根、きゅうりのぬか漬け)、みそ汁(油揚げ、水菜)。いずれも食材・調味料の素性の正しさが伝わる手づくりの味わい。
それに、いま備長炭で焼き上げた主菜。どちらも870円とは思えない充実の内容だ。

サバはよく脂がのり、炭火で香ばしく焼き上げられている。下ごしらえも実に丁寧。
やきとりは、やきとり(ねぎま)、つくね、すなぎも、ぼんちりの4串。生活クラブのすなぎもはよく食べるので覚えのある味だが、ほかもすごい。特に、よく脂がのっていながら軽く上品なぼんちりは、まさに絶品。

「ここのレバーを食べたらほかではちょっと、と言われますよ」とご主人。
そうだろうな、と納得しつつ夜に来られたらいいだろうな… と考えていると、同じことを思ったのか「夜は何時までなんですか?」と妻。9時半とのことで、けっこう早いが、やっぱりうちからはちょっと遠いかな…。

「個別配送ですか?」と聞かれ、「それと、あとうちは『デポー』が近いから」と妻。
「それはうらやましい」とおかあさん。
「昨日も行ってきたところですよ」とおとうさん。
ついさっき会ったばかりなんだから知るよしもないが、実のところご近所さんのような近しい関係であったという、とても不思議な感覚。

こちらのご主人はひたすら空堀川沿いを自転車で東村山のデポーまで買い物に行くという。
ならば僕らは同じルートを逆向きにここまで飲みに来てもいいのではないか?
ただし、飲んだら帰りは自転車を押して帰ることになるんだが。

[DATA]
西のやかた
東京都清瀬市野塩1-171-13
[Today's recommendation]

https://youtu.be/2vnYKRacKQc


西武池袋線秋津駅北口は、JRとの乗り換えで混雑する南口とは一変、閑散とした街である。スーパー「いなげや」があるくらいで商店も少なく、用事のある人以外は行くこともない。しいて挙げればこの先に明治薬科大学があるので、学生はちらほら見かける。
僕は特に用事がある人でもないんだが、明治薬科大のもっと先の中里緑地や柳瀬川回廊に植物などを見に行くことがあるので、ときどきこのあたりを通る。
あと、坂の下の団地の中を流すことも。あのすし屋はまだやってるのかな… という感じで。

そんなときに見かけて気になっていたのが鶏料理・串焼きの「西のやかた」。
備長炭使用店にしてお手ごろ価格のランチを提供するという。

本日、昼すぎに武蔵野線を使うという妻に、昼ごはんは秋津近辺でどうか、と打診され、それならばと真っ先に思い浮かんだのがここ。
情報の少ない店だしお盆休みも懸念されたが、とりあえず行ってみて暖簾が掛かっていてひと安心。

店先のランチメニューを検討していると、「ここ、生活クラブなんだ」と妻。“こだわり食材”のポスターが張ってある。
真っ先にそれに気づいたのは、妻自身が組合員だから。
一気に親近感と期待感が高まる。

店内は思ったほど広くない。外からは隣のテナントと一体化して見えていたのだ。でも狭いわけでもなく、左手の上がりにはゆったり3卓配置されている。右がカウンターで、席の上をぐるりと瓦付きの庇を巡らしてある。
優しそうなおとうさんとしっかりしてそうなおかあさんという、イメージ的に最も安定感のあるコンビネーション。
今年で開店13年という。

奥の席に上がる。注文を決めかねていると、おかあさんが「やきとりと干物は炭火で焼きます」と言うので、迷わずその2品に。
「干物はアジかサバになります」
「じゃあサバで」
「やきとりのご希望は? おまかせでいいですか?」
「はい。おまかせで」

おとうさんはリチャード・ギアと二瓶正也を足して2で割ったような容貌で(ちょっと違うか…)、辛子色の半纏の前をはだけて着こなす粋な料理人だ。
あとで生活クラブのホームページ(おかあさんが教えてくれた。「お父さんの顔写真も出てるの」と)で確認したところ、“神田の名店で30年以上、技を磨きつづけた”とのこと。“その熟練の技で備長炭で焼き上げた国産鶏のやき鳥は絶品です”とある。

やきとり定食と干物定食は、ともに副菜にポテトサラダ、人参と小松菜のごまあえ、大根おろし、お新香(大根、きゅうりのぬか漬け)、みそ汁(油揚げ、水菜)。いずれも食材・調味料の素性の正しさが伝わる手づくりの味わい。
それに、いま備長炭で焼き上げた主菜。どちらも870円とは思えない充実の内容だ。

サバはよく脂がのり、炭火で香ばしく焼き上げられている。下ごしらえも実に丁寧。
やきとりは、やきとり(ねぎま)、つくね、すなぎも、ぼんちりの4串。生活クラブのすなぎもはよく食べるので覚えのある味だが、ほかもすごい。特に、よく脂がのっていながら軽く上品なぼんちりは、まさに絶品。

「ここのレバーを食べたらほかではちょっと、と言われますよ」とご主人。
そうだろうな、と納得しつつ夜に来られたらいいだろうな… と考えていると、同じことを思ったのか「夜は何時までなんですか?」と妻。9時半とのことで、けっこう早いが、やっぱりうちからはちょっと遠いかな…。

「個別配送ですか?」と聞かれ、「それと、あとうちは『デポー』が近いから」と妻。
「それはうらやましい」とおかあさん。
「昨日も行ってきたところですよ」とおとうさん。
ついさっき会ったばかりなんだから知るよしもないが、実のところご近所さんのような近しい関係であったという、とても不思議な感覚。

こちらのご主人はひたすら空堀川沿いを自転車で東村山のデポーまで買い物に行くという。
ならば僕らは同じルートを逆向きにここまで飲みに来てもいいのではないか?
ただし、飲んだら帰りは自転車を押して帰ることになるんだが。

[DATA]
西のやかた
東京都清瀬市野塩1-171-13
[Today's recommendation]

https://youtu.be/2vnYKRacKQc

