明治期の伝統的民家建築 【旧内田家住宅】
2023.10.01
「石神井公園の中のふるさと文化館っていうんだけど」
「ん? どこだろう」とスマホをのぞき込む。「あー、はいはい。よく通るわ」
本日のお出かけ候補。
石神井公園を南北に貫通する通り(下石神井大泉線)沿いの公園南の小高いところにある小ぎれいな施設。
いかにもハコモノというたたずまいでこれまで関心が向かなかったが、ハコモノだとてそうばかにしたものじゃない… ということに最近気づき始めている。
自転車でGo!

「石神井公園ふるさと文化館」の建物前で駐輪場を探していると、施設内にうどん屋の看板。
なんと、ハコモノはハコモノでも、飲食店付きというワンランク上のハコモノなのだった。
駐輪場は通りから奥まった位置にあった。
自転車を止め文化館裏口に向かおうとすると、左手に立派な茅葺き屋根が見える。

「え…? すごくない? これ」
「だからこれが見たかったんだってば」
てっきり文化館の企画展か何かが目的と思っていた。
それにしてもいろいろ侮れじ! 石神井公園ふるさと文化館✨

こちら「旧内田家住宅」、元は練馬区中村にあった建築物で、ふるさと文化館の屋外施設として2010年、隣接する「区立池淵史跡公園」に移築・復元されたもの。
池淵史跡公園。下左:馬頭観音(1803)・庚申塔(1720)、下右:庚申塔(1727)・庚申塔(1818)・庚申塔(1765)
池淵史跡公園は、石神井川と三宝寺池に挟まれて東西に長く延びる台地上にある旧石器~縄文・弥生~中世の遺跡「池淵遺跡」を埋め戻し整備された公園で、2010年開園。
縄文中期の竪穴住居跡のほか、区内各所にあった庚申塔や馬頭観音など江戸時代の石造物も配置されている。

「旧内田家住宅」は池淵史跡公園のメイン施設で、桁行8.5間(15.3m)、梁間5.5間(10.9m)の整形四間取りの主体部と、その北西部に張り出す角屋(桁行4.4m。梁間6.4m)からなる茅葺きの寄棟造。



小屋裏で見つかった文書や伝聞などから、明治20年代初頭の建築と推定され、一部に江戸時代の古材も使われている。
部分的な改造はあるが、建築当初の主要な部材や構造、形式を良好にとどめた、練馬区内に現存する数少ない伝統的民家建築である。

玄関から前座敷、下座敷

前座敷(左)、下座敷(右)

下座敷から奥座敷

床の間では季節ごとに床飾りが行われる

奥座敷から下座敷、庭を望む

ボランティアのガイドの方にいろいろお話を伺った。
驚くことに、移築の際の解体直前の2007年ころまで、所有者はいつでも使えるように手入れを続けていたという。
板の間は使い勝手よく壁で小部屋に仕切られていたそうだ。
23区内の古民家暮らしとはなんとぜいたくな…! というのは部外者のお気楽な考え。
「天井がないのでエアコンが使えないし、蚊がものすごく湧くし…」というのは、記録的猛暑の間ここに詰めていた方の本音だろう。

西の廊下

板の間

板の間には囲炉裏

土間

勝手口の井戸

裏から
それでもやっぱり、23区内とは思えない、このぜいたくな景色。
(つづく)

[DATA]
旧内田家住宅
東京都練馬区石神井町5-13 区立池淵史跡公園内
https://www.neribun.or.jp/archive/detail.cgi?id=10308
[Today's recommendation]

https://youtu.be/OnqWXOV7K-I?si=suEmx4FfPjNmDSzU




次号予告
「石神井公園の中のふるさと文化館っていうんだけど」
「ん? どこだろう」とスマホをのぞき込む。「あー、はいはい。よく通るわ」
本日のお出かけ候補。
石神井公園を南北に貫通する通り(下石神井大泉線)沿いの公園南の小高いところにある小ぎれいな施設。
いかにもハコモノというたたずまいでこれまで関心が向かなかったが、ハコモノだとてそうばかにしたものじゃない… ということに最近気づき始めている。
自転車でGo!

「石神井公園ふるさと文化館」の建物前で駐輪場を探していると、施設内にうどん屋の看板。
なんと、ハコモノはハコモノでも、飲食店付きというワンランク上のハコモノなのだった。
駐輪場は通りから奥まった位置にあった。
自転車を止め文化館裏口に向かおうとすると、左手に立派な茅葺き屋根が見える。

「え…? すごくない? これ」
「だからこれが見たかったんだってば」
てっきり文化館の企画展か何かが目的と思っていた。
それにしてもいろいろ侮れじ! 石神井公園ふるさと文化館✨

こちら「旧内田家住宅」、元は練馬区中村にあった建築物で、ふるさと文化館の屋外施設として2010年、隣接する「区立池淵史跡公園」に移築・復元されたもの。
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池淵史跡公園は、石神井川と三宝寺池に挟まれて東西に長く延びる台地上にある旧石器~縄文・弥生~中世の遺跡「池淵遺跡」を埋め戻し整備された公園で、2010年開園。
縄文中期の竪穴住居跡のほか、区内各所にあった庚申塔や馬頭観音など江戸時代の石造物も配置されている。

「旧内田家住宅」は池淵史跡公園のメイン施設で、桁行8.5間(15.3m)、梁間5.5間(10.9m)の整形四間取りの主体部と、その北西部に張り出す角屋(桁行4.4m。梁間6.4m)からなる茅葺きの寄棟造。



小屋裏で見つかった文書や伝聞などから、明治20年代初頭の建築と推定され、一部に江戸時代の古材も使われている。
部分的な改造はあるが、建築当初の主要な部材や構造、形式を良好にとどめた、練馬区内に現存する数少ない伝統的民家建築である。

玄関から前座敷、下座敷

前座敷(左)、下座敷(右)

下座敷から奥座敷

床の間では季節ごとに床飾りが行われる

奥座敷から下座敷、庭を望む

ボランティアのガイドの方にいろいろお話を伺った。
驚くことに、移築の際の解体直前の2007年ころまで、所有者はいつでも使えるように手入れを続けていたという。
板の間は使い勝手よく壁で小部屋に仕切られていたそうだ。
23区内の古民家暮らしとはなんとぜいたくな…! というのは部外者のお気楽な考え。
「天井がないのでエアコンが使えないし、蚊がものすごく湧くし…」というのは、記録的猛暑の間ここに詰めていた方の本音だろう。

西の廊下

板の間

板の間には囲炉裏

土間

勝手口の井戸

裏から
それでもやっぱり、23区内とは思えない、このぜいたくな景色。
(つづく)

[DATA]
旧内田家住宅
東京都練馬区石神井町5-13 区立池淵史跡公園内

[Today's recommendation]

https://youtu.be/OnqWXOV7K-I?si=suEmx4FfPjNmDSzU




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