見どころいっぱい 【国立天文台―その2】
2023.09.24
仕事も重なりキャパオーバー気味な今週、前記事「国立天文台」はお手上げ状態で中途で投げ出したような形になったが、寝て起きてリセットされて考え直し、続きを載せることにした。
いろいろお話を伺ったりしているわけだし、やはり個人的記録として残しておくべきではないかと。

前記事の「第一赤道儀室」から真っすぐ延びる道は“太陽系ウォーキング”と称し、太陽系惑星が等縮尺の距離に配置してある屋外パネル展示になっている。
太陽から約9.54auの位置にある土星の手前を左に入ると「太陽塔望遠鏡(アインシュタイン塔)」。
太陽塔望遠鏡(アインシュタイン塔)(国登録有形文化財)



土星のところに戻ると、その先に「天文台歴史館(大赤道儀室)」。
第一赤道儀室とは太陽系ウォーキングを挟んで対峙する位置関係になっている。
天文台歴史館(大赤道儀室)(国登録有形文化財)


大赤道儀室は1926年に完成。
焦点距離10mに及ぶ屈折望遠鏡をすっぽり納めたドーム部分は木造建築で、精巧な曲面を得るため日本の匠である船大工に製作を依頼したという。
ドイツのカール・ツァイス製65cm屈折望遠鏡は日本最大口径を誇る。
接眼部が床からかなり高い位置にあり、「どうやって観測すると思います?」と解説係のスタッフさん。
なんと、床自体がせり上がる構造になっている。
地下に1トンのおもりが3基あり、床の昇降を制御しているという。
※観測床は2000年に固定され、現在は動かない。

地下のおもり

日本最大口径を誇る65cm屈折望遠鏡と、直径15mの木造ドーム
見学コース中央付近の西棟(展示室)は、すばる望遠鏡や各衛星の展示、NAOJ公開コンテンツを上映するシアタールームなどになっている。
その背後に旧図書庫。
西棟(展示室)
シアタールーム
旧図書庫(国登録有形文化財)

見学コース奥のエリアにも歴史的建造物が並ぶ。
子午儀資料館(レプソルド子午儀室)はレプソルド子午儀(国登録有形文化財)によって観測が行われていた建物で、1925年建造。
ゴーチェ子午環は1903年のフランス製。
子午環とは、子午線上の天体の位置(赤経と赤緯)を精密に観測できるように工夫された望遠鏡である。
子午儀資料館(レプソルド子午儀室)(国登録有形文化財)


ゴーチェ子午環室(国登録有形文化財)



その奥は、天文機器資料館(自動光電子午環)を挟んで南北の子午線標。
東京都とは思えない森閑たるエリア。

1.2mφパラボラアンテナ電波望遠鏡。背後は天文機器資料館(自動光電子午環)
世界最先端の観測施設を擁する日本の天文学のナショナルセンターでありながら、設立当時の貴重な建造物群と観測機器、そして武蔵野台地の面影をいまに伝える、得難い存在。
(さらに10/05へつづく)

天文機器資料館2階から望む子午線標(北)
[DATA]
国立天文台
東京都三鷹市大沢2-21-1
https://www.nao.ac.jp/
https://www.facebook.com/naoj.jpn
https://twitter.com/prcnaoj
https://www.instagram.com/naoj_pr/
https://www.youtube.com/user/naojchannel
[Today's recommendation]

https://youtu.be/3aXsQQ-ueBk?si=XDCiFt81jxQ5_xYd




100円玉の持ち合わせがなく、お土産をゲットできなかったのが心残り
仕事も重なりキャパオーバー気味な今週、前記事「国立天文台」はお手上げ状態で中途で投げ出したような形になったが、寝て起きてリセットされて考え直し、続きを載せることにした。
いろいろお話を伺ったりしているわけだし、やはり個人的記録として残しておくべきではないかと。

前記事の「第一赤道儀室」から真っすぐ延びる道は“太陽系ウォーキング”と称し、太陽系惑星が等縮尺の距離に配置してある屋外パネル展示になっている。
太陽から約9.54auの位置にある土星の手前を左に入ると「太陽塔望遠鏡(アインシュタイン塔)」。
太陽塔望遠鏡(アインシュタイン塔)(国登録有形文化財)



土星のところに戻ると、その先に「天文台歴史館(大赤道儀室)」。
第一赤道儀室とは太陽系ウォーキングを挟んで対峙する位置関係になっている。
天文台歴史館(大赤道儀室)(国登録有形文化財)


大赤道儀室は1926年に完成。
焦点距離10mに及ぶ屈折望遠鏡をすっぽり納めたドーム部分は木造建築で、精巧な曲面を得るため日本の匠である船大工に製作を依頼したという。
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ドイツのカール・ツァイス製65cm屈折望遠鏡は日本最大口径を誇る。
接眼部が床からかなり高い位置にあり、「どうやって観測すると思います?」と解説係のスタッフさん。
なんと、床自体がせり上がる構造になっている。
地下に1トンのおもりが3基あり、床の昇降を制御しているという。
※観測床は2000年に固定され、現在は動かない。

地下のおもり

日本最大口径を誇る65cm屈折望遠鏡と、直径15mの木造ドーム
見学コース中央付近の西棟(展示室)は、すばる望遠鏡や各衛星の展示、NAOJ公開コンテンツを上映するシアタールームなどになっている。
その背後に旧図書庫。
西棟(展示室)
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旧図書庫(国登録有形文化財)

見学コース奥のエリアにも歴史的建造物が並ぶ。
子午儀資料館(レプソルド子午儀室)はレプソルド子午儀(国登録有形文化財)によって観測が行われていた建物で、1925年建造。
ゴーチェ子午環は1903年のフランス製。
子午環とは、子午線上の天体の位置(赤経と赤緯)を精密に観測できるように工夫された望遠鏡である。
子午儀資料館(レプソルド子午儀室)(国登録有形文化財)


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ゴーチェ子午環室(国登録有形文化財)



その奥は、天文機器資料館(自動光電子午環)を挟んで南北の子午線標。
東京都とは思えない森閑たるエリア。

1.2mφパラボラアンテナ電波望遠鏡。背後は天文機器資料館(自動光電子午環)
世界最先端の観測施設を擁する日本の天文学のナショナルセンターでありながら、設立当時の貴重な建造物群と観測機器、そして武蔵野台地の面影をいまに伝える、得難い存在。
(さらに10/05へつづく)

天文機器資料館2階から望む子午線標(北)
[DATA]
国立天文台
東京都三鷹市大沢2-21-1





[Today's recommendation]

https://youtu.be/3aXsQQ-ueBk?si=XDCiFt81jxQ5_xYd




100円玉の持ち合わせがなく、お土産をゲットできなかったのが心残り
日本の天文学研究の中心 【国立天文台】
2023.09.24
ようやく涼しくなりあらためて実感させられるのは3カ月くらい(暑すぎて)行動制限下に置かれていたという事実であり、誰かに弁償してほしいくらいなのである、ほんと。
休みの日にはどこか出かけなければ… という強迫観念に駆られるのも、その分取り戻さなければという損得勘定が働くせいなのだ。
しかしこの3カ月でガタ落ちした体力回復のリハビリから始めなければならないというもどかしさ。
とりあえず近場の気になるスポットとして、三鷹の天文台がある。
一般公開しているらしいということで、前々からお出かけ先リストにあがっていた。
涼しくなったことだし、リハビリも兼ねて自転車で行くというのはどうか… と、ふと思った。
この際、懸案の相方の自転車買い替え(前記事参照)も兼ねたイベントにしてみてはどうか。
ということで、ネットで調べて近場でいちばん開店時間の早い自転車屋さんで自転車を買って、その足で「国立天文台 三鷹キャンパス」へ。
ちなみにNAOJほかによる“ブラックホールの「自転」”に関する注目のプレスリリースとこの記事の掲載日が重なったのは、もちろんただの偶然である。

国立天文台は1888年、東京大学観象台、海軍省観象台、内務省地理局観測課天象部の三者が合併、海軍省観象台のあった東京麻布台に設置された。
都市化の進展により麻布付近は夜の灯火が増えて天体観測に適さなくなり、1924年に東京府北多摩郡三鷹村(現 三鷹市)の現在地に移転。
以後、都市化や施設の老朽化などにより最先端の観測の多くは機構内の他観測所へ移行されているが、当地はいまなお国立天文台本部キャンパスとして日本の天文学研究の中心的な場所であり続ける。

施設自体は大正期から昭和初期にかけての近代建築として保存されるべき貴重な文化財が多く、三鷹キャンパス内の10件の建造物が国登録有形文化財となっている。

門衛所(国登録有形文化財)

正門右手の門衛所で記名すると「よく見えるところに貼ってください」とワッペンを渡される。
この門衛所自体が国の有形文化財であり、ワッペンもかっこよく、一気にテンション上がる。

最初に訪れたのが第一赤道儀室。
こちらも国登録有形文化財。

第一赤道儀室は三鷹キャンパスに現存する建物としては最も古く、1921年に建設された。




1927年にドイツのカール・ツァイス社製赤道儀が設置される。
対物レンズは口径20cm、焦点距離359cmの色消しレンズからなり、速度調整機構付重錘式時計駆動という方式で動いている。
これは重力により赤道儀内のおもりが下がることを利用し、電気なしで最長1時間半の天体追尾が可能で、月や惑星、太陽など動く速さの異なる天体にも対応して追尾できるという特徴がある。
床下のおもりの落下により駆動する追尾システム。おもりの巻き上げをやらせてもらった
こういったことを研究者(学芸員?)の方が丁寧に説明してくれる。
「電気をいっさい使用していない最先端の観測システムです!」

1938年から1998年までの61年間、太陽黒点のスケッチ観測に活躍した。
老朽化により観測は三鷹構内の新しい太陽観測用望遠鏡のCCDカメラを用いた自動観測に移行しているが、いまなお太陽を追尾し続けている。
リアルタイムの太陽黒点を見たのは初めて。
現時点(2023.09.24 11:40 JST)での太陽黒点
電気不使用の歴史的建造物ということもあり、研究施設というよりファンタジー的。
宮沢賢治の世界だったり、“ムーミン谷のおさびし山の天文台”だったり。

宇宙科学もファンタジー文学も大好きな者としては、興奮のあまりこの第一赤道儀室でいっぱいいっぱい。
続きはまた近いうちに。

※追記:これで完結のつもりだったが、気が変わって次記事に続きを掲載している。
[DATA]
国立天文台
東京都三鷹市大沢2-21-1
https://www.nao.ac.jp/
https://www.facebook.com/naoj.jpn
https://twitter.com/prcnaoj
https://www.instagram.com/naoj_pr/
https://www.youtube.com/user/naojchannel
[Today's recommendation]

https://youtu.be/M3yqo_jc3_c?si=yVLtyf_bs-PejdVX




子午線標(北)
ようやく涼しくなりあらためて実感させられるのは3カ月くらい(暑すぎて)行動制限下に置かれていたという事実であり、誰かに弁償してほしいくらいなのである、ほんと。
休みの日にはどこか出かけなければ… という強迫観念に駆られるのも、その分取り戻さなければという損得勘定が働くせいなのだ。
しかしこの3カ月でガタ落ちした体力回復のリハビリから始めなければならないというもどかしさ。
とりあえず近場の気になるスポットとして、三鷹の天文台がある。
一般公開しているらしいということで、前々からお出かけ先リストにあがっていた。
涼しくなったことだし、リハビリも兼ねて自転車で行くというのはどうか… と、ふと思った。
この際、懸案の相方の自転車買い替え(前記事参照)も兼ねたイベントにしてみてはどうか。
ということで、ネットで調べて近場でいちばん開店時間の早い自転車屋さんで自転車を買って、その足で「国立天文台 三鷹キャンパス」へ。
ちなみにNAOJほかによる“ブラックホールの「自転」”に関する注目のプレスリリースとこの記事の掲載日が重なったのは、もちろんただの偶然である。

国立天文台は1888年、東京大学観象台、海軍省観象台、内務省地理局観測課天象部の三者が合併、海軍省観象台のあった東京麻布台に設置された。
都市化の進展により麻布付近は夜の灯火が増えて天体観測に適さなくなり、1924年に東京府北多摩郡三鷹村(現 三鷹市)の現在地に移転。
以後、都市化や施設の老朽化などにより最先端の観測の多くは機構内の他観測所へ移行されているが、当地はいまなお国立天文台本部キャンパスとして日本の天文学研究の中心的な場所であり続ける。

施設自体は大正期から昭和初期にかけての近代建築として保存されるべき貴重な文化財が多く、三鷹キャンパス内の10件の建造物が国登録有形文化財となっている。

門衛所(国登録有形文化財)

正門右手の門衛所で記名すると「よく見えるところに貼ってください」とワッペンを渡される。
この門衛所自体が国の有形文化財であり、ワッペンもかっこよく、一気にテンション上がる。

最初に訪れたのが第一赤道儀室。
こちらも国登録有形文化財。

第一赤道儀室は三鷹キャンパスに現存する建物としては最も古く、1921年に建設された。




1927年にドイツのカール・ツァイス社製赤道儀が設置される。
対物レンズは口径20cm、焦点距離359cmの色消しレンズからなり、速度調整機構付重錘式時計駆動という方式で動いている。
これは重力により赤道儀内のおもりが下がることを利用し、電気なしで最長1時間半の天体追尾が可能で、月や惑星、太陽など動く速さの異なる天体にも対応して追尾できるという特徴がある。
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こういったことを研究者(学芸員?)の方が丁寧に説明してくれる。
「電気をいっさい使用していない最先端の観測システムです!」

1938年から1998年までの61年間、太陽黒点のスケッチ観測に活躍した。
老朽化により観測は三鷹構内の新しい太陽観測用望遠鏡のCCDカメラを用いた自動観測に移行しているが、いまなお太陽を追尾し続けている。
リアルタイムの太陽黒点を見たのは初めて。
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電気不使用の歴史的建造物ということもあり、研究施設というよりファンタジー的。
宮沢賢治の世界だったり、“ムーミン谷のおさびし山の天文台”だったり。

宇宙科学もファンタジー文学も大好きな者としては、興奮のあまりこの第一赤道儀室でいっぱいいっぱい。
続きはまた近いうちに。

※追記:これで完結のつもりだったが、気が変わって次記事に続きを掲載している。
[DATA]
国立天文台
東京都三鷹市大沢2-21-1





[Today's recommendation]

https://youtu.be/M3yqo_jc3_c?si=yVLtyf_bs-PejdVX




子午線標(北)