青春探訪シリーズ 【キッチンブン】
2022.12.01
前記事の続きというか時系列ではこっちが先だが、不定期連載“青春を懐かしがる”シリーズ(「花蓮」「大王ラーメン」などを参照ください)。
街歩きが好きで都心を歩きたいが、日曜だと人が多くコロナ禍でほとんど出かけられずにいる。平日の午後ならどうか… ということになった。
比較的調整の利く木曜日、地下鉄東西線の早稲田駅で待ち合わせ。

が、予報が外れて雨がぱらついている。
まず昼ごはんかな。食べてるうちにやむかもしれないし。

早大正門と大隈講堂の間を通って都電早稲田駅に向かうカギ道の商店街・大隈通り。

昔から大学の周りは飲食店だらけだったが、人によって出没エリアは決まっており、僕はこの大隈通りが多かった。いまはすっかり寂れ、昔の店も残っていない。

寂れた商店街で唯一? 順番待ちができている「キッチンブン」(奥左側)
…と思っていたんだが、いちばん多く入った洋食店が残っているらしいことに最近気づいた。

なぜ最近まで気づかなかったかというと、そもそもめったに行くことのない場所というのもあるが、店舗が建て替えられていたうえ、困ったことに店名を覚えていなかったから r( ̄_ ̄;)

左の赤い庇テントが「ボンマルシェ」。2006年に閉店しているが店舗はそのまま残っているので、位置関係が把握できる
店名は忘れても有名店「ボンマルシェ」の隣という場所は覚えており、数年前に通りかかったとき、その位置の店に“オープン40周年”みたいな張り紙がしてあった。
その場所で40年なら間違いないのである。


当時は鉄板焼きみたいなのばかり食べていたような気がするが、ちょっと調べているときに見つけたハンバーグスパゲッティーというものがビジュアル的にあまりにも魅力的で、それを頼む。
もう1品はポークソテー。
当時のエピソードを一つ――
タモリのマドンナは吉永小百合かもしれないが、僕らの時代は石井めぐみだった。
“トミーとマツ”で人気絶頂の女優 石井めぐみさんをキャンパスで見かけたことがあるが、当時の男子は声をかけるでもなくただ後ろをぞろぞろと(笑)。やがて見失い、「やれやれ、メシでも食いに行くかー」と適当に入ったお店に、彼女はいた。
その店というのが「キッチンブン」。
小さい店なのでさすがに緊張したものだ (・Θ・;)アセ

ハンバーグスパゲッティーは、ナポリタンの上にハンバーグがのったもの。
カリオストロの例のアレを思わせるビジュアルが、たまりません。

ナポリタンの麺自体は細めのパスタで、モチモチというよりパツパツ。
ゆで上げかもしれず、喫茶店系B級グルメとは一線を画す感じ。

しかしソースはしっかり甘いケチャップ味で、ちゃんと昭和してる。
ハンバーグはなんかいろんなことが思い出せそうな懐かしいお味でした。

ポークソテーは熱々の鉄板にソースがじゅうじゅうになって出てきた。みるみる端から焦げて立ち上る香りがいい。
ナポリタンとは違ってすっきりめのドミグラスソースだ。
「ずっとここでやられてます?」と、いちおう聞いてみた。
「はい。やってますよ、43年」とお店の奥さん。

ご近所のおばちゃん風のお客とずっとおしゃべりしてて、“黙食”はどうなった!? と突っ込みたくなるくらい話し好きな方のよう。
学生風にも元学生風にも満遍なく声をかけている。
そんなお店。

「1980年ごろ、よく入ってました」
「それじゃ、ほんと最初のころね」と奥さん。「あのころはみんな若かったよね」
「はは…」と、なぜかウケてる厨房のご主人。

そりゃ、そっくり40年分スライドしてきているわけだから。
まだ若いつもりでいてもこういう場所に来るとごまかしが利かないことを思い知らされた、青春探訪。

結局、しとしと雨は降り続き、散策は諦め神田川から甘泉園・水稲荷神社(前記事)を通って早稲田通りに上り、そのまま高田馬場駅へ
[DATA]
キッチンブン
東京都新宿区西早稲田1-8-20
[Today's recommendation]

https://youtu.be/1A0-2dfil88




前記事の続きというか時系列ではこっちが先だが、不定期連載“青春を懐かしがる”シリーズ(「花蓮」「大王ラーメン」などを参照ください)。
街歩きが好きで都心を歩きたいが、日曜だと人が多くコロナ禍でほとんど出かけられずにいる。平日の午後ならどうか… ということになった。
比較的調整の利く木曜日、地下鉄東西線の早稲田駅で待ち合わせ。

が、予報が外れて雨がぱらついている。
まず昼ごはんかな。食べてるうちにやむかもしれないし。

早大正門と大隈講堂の間を通って都電早稲田駅に向かうカギ道の商店街・大隈通り。

昔から大学の周りは飲食店だらけだったが、人によって出没エリアは決まっており、僕はこの大隈通りが多かった。いまはすっかり寂れ、昔の店も残っていない。

寂れた商店街で唯一? 順番待ちができている「キッチンブン」(奥左側)
…と思っていたんだが、いちばん多く入った洋食店が残っているらしいことに最近気づいた。

なぜ最近まで気づかなかったかというと、そもそもめったに行くことのない場所というのもあるが、店舗が建て替えられていたうえ、困ったことに店名を覚えていなかったから r( ̄_ ̄;)

左の赤い庇テントが「ボンマルシェ」。2006年に閉店しているが店舗はそのまま残っているので、位置関係が把握できる
店名は忘れても有名店「ボンマルシェ」の隣という場所は覚えており、数年前に通りかかったとき、その位置の店に“オープン40周年”みたいな張り紙がしてあった。
その場所で40年なら間違いないのである。


当時は鉄板焼きみたいなのばかり食べていたような気がするが、ちょっと調べているときに見つけたハンバーグスパゲッティーというものがビジュアル的にあまりにも魅力的で、それを頼む。
もう1品はポークソテー。
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当時のエピソードを一つ――
タモリのマドンナは吉永小百合かもしれないが、僕らの時代は石井めぐみだった。
“トミーとマツ”で人気絶頂の女優 石井めぐみさんをキャンパスで見かけたことがあるが、当時の男子は声をかけるでもなくただ後ろをぞろぞろと(笑)。やがて見失い、「やれやれ、メシでも食いに行くかー」と適当に入ったお店に、彼女はいた。
その店というのが「キッチンブン」。
小さい店なのでさすがに緊張したものだ (・Θ・;)アセ

ハンバーグスパゲッティーは、ナポリタンの上にハンバーグがのったもの。
カリオストロの例のアレを思わせるビジュアルが、たまりません。

ナポリタンの麺自体は細めのパスタで、モチモチというよりパツパツ。
ゆで上げかもしれず、喫茶店系B級グルメとは一線を画す感じ。

しかしソースはしっかり甘いケチャップ味で、ちゃんと昭和してる。
ハンバーグはなんかいろんなことが思い出せそうな懐かしいお味でした。

ポークソテーは熱々の鉄板にソースがじゅうじゅうになって出てきた。みるみる端から焦げて立ち上る香りがいい。
ナポリタンとは違ってすっきりめのドミグラスソースだ。
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「ずっとここでやられてます?」と、いちおう聞いてみた。
「はい。やってますよ、43年」とお店の奥さん。

ご近所のおばちゃん風のお客とずっとおしゃべりしてて、“黙食”はどうなった!? と突っ込みたくなるくらい話し好きな方のよう。
学生風にも元学生風にも満遍なく声をかけている。
そんなお店。

「1980年ごろ、よく入ってました」
「それじゃ、ほんと最初のころね」と奥さん。「あのころはみんな若かったよね」
「はは…」と、なぜかウケてる厨房のご主人。

そりゃ、そっくり40年分スライドしてきているわけだから。
まだ若いつもりでいてもこういう場所に来るとごまかしが利かないことを思い知らされた、青春探訪。

結局、しとしと雨は降り続き、散策は諦め神田川から甘泉園・水稲荷神社(前記事)を通って早稲田通りに上り、そのまま高田馬場駅へ
[DATA]
キッチンブン
東京都新宿区西早稲田1-8-20
[Today's recommendation]

https://youtu.be/1A0-2dfil88



