北方守護の東京十社 【王子神社】
2023.10.08
前記事「音無親水公園」の明治通りからの入り口になっている舟串橋(ふなくしばし)を渡った正面に石柱門があり、そのまま左岸崖線を一度折れて上る幅広の石段。
王子神社の裏参道である。

王子神社は「東京十社」の一社という。
お参りしないわけにはまいるまい。

途中、東京都指定天然記念物「王子神社のイチョウ」がある。
Googleマップのキャッチは“有名なイチョウの木がある神社”。

――音無川(石神井川)左岸崖線の肩の部分に一際高くそびえ立つ大イチョウです。幹回り5.2m、樹幹の先端部は欠損していますが、高さは24.2mあり、全体的にはほぼ自然樹形を保っています。(説明板より)

石神井川を挟んで飛鳥山の対岸の高台に鎮座する王子神社。
参ったのは裏口なので、あらためて正面大鳥居から入り直す。

天皇が特に例祭などに勅使を差遣し奉幣される神社を「勅祭社」といい、大宮氷川神社など全国16社がこれに当たる。
1868(明治元)年、氷川神社の例大祭を新たに勅祭に定めた明治天皇は、それに続いて東京近郊の主だった神社12社を、勅祭社に準じる社格「准勅祭社」と定めた。しかし准勅祭社の制度は早くも1870年には廃止され、該当神社はそれぞれ府県社あるいは郷社となる。
1975(昭和50)年、昭和天皇即位50年を奉祝し、元准勅祭社12社から遠隔の大國魂神社と鷲宮神社を外した23区内の10社をめぐる「東京十社めぐり」が企画された。これが「東京十社」のはじまりである。

十社とは、芝大神宮、品川神社、赤坂氷川神社、日枝神社、白山神社、王子神社、根津神社、神田神社、亀戸天神社、富岡八幡宮。
七福神めぐりなどと同様、十社めぐりは観光的要素が強いが、「東京十社めぐり」HPによれば“十社をめぐる道のりは、十里七丁(約40km)”。

たとえば今年正月の「雑司が谷七福神」は、全行程およそ3.5km。
ブログ記事にしている中で最長は「浅草名所七福神」の約7.5kmだが、記事を読み返すと、しまいには日が暮れている。
40kmって、どうなんでしょう😅

これまで「十社」として意識したことなかったが、上の顔ぶれを見ると日枝、根津、神田にはお参りしたことがある。
今後もじっくり1社ずつめぐっていくという感じだろうか。

――王子神社については、飛鳥山公園内にある「飛鳥山碑」(都指定有形文化財・古文書)に書かれています。それによれば、元亨(げんこう)年間(1321~24)に豊島氏が勧請したことが始まりとされていますので、その頃にこのイチョウが植えられたとすると、600年近い樹齢と考えられます。戦災によって王子神社の社殿や太田道灌が雨宿りをしたという伝説を持つシイの大木など多くのものが失われた中で、このイチョウは生き延び、今も高台から東京の街の移り変わりを静かに見つめています。(「王子神社のイチョウ」説明板より)
(つづく)

[DATA]
王子神社
東京都北区王子本町1-1-12
http://ojijinja.tokyo.jp/
http://10jinja.tokyo/oujijinja.html
[Today's recommendation]

https://youtu.be/r-Z8KuwI7Gc?si=zzw4hp77lnXZXenJ




次号予告
前記事「音無親水公園」の明治通りからの入り口になっている舟串橋(ふなくしばし)を渡った正面に石柱門があり、そのまま左岸崖線を一度折れて上る幅広の石段。
王子神社の裏参道である。

王子神社は「東京十社」の一社という。
お参りしないわけにはまいるまい。

途中、東京都指定天然記念物「王子神社のイチョウ」がある。
Googleマップのキャッチは“有名なイチョウの木がある神社”。

――音無川(石神井川)左岸崖線の肩の部分に一際高くそびえ立つ大イチョウです。幹回り5.2m、樹幹の先端部は欠損していますが、高さは24.2mあり、全体的にはほぼ自然樹形を保っています。(説明板より)

石神井川を挟んで飛鳥山の対岸の高台に鎮座する王子神社。
参ったのは裏口なので、あらためて正面大鳥居から入り直す。

天皇が特に例祭などに勅使を差遣し奉幣される神社を「勅祭社」といい、大宮氷川神社など全国16社がこれに当たる。
1868(明治元)年、氷川神社の例大祭を新たに勅祭に定めた明治天皇は、それに続いて東京近郊の主だった神社12社を、勅祭社に準じる社格「准勅祭社」と定めた。しかし准勅祭社の制度は早くも1870年には廃止され、該当神社はそれぞれ府県社あるいは郷社となる。
1975(昭和50)年、昭和天皇即位50年を奉祝し、元准勅祭社12社から遠隔の大國魂神社と鷲宮神社を外した23区内の10社をめぐる「東京十社めぐり」が企画された。これが「東京十社」のはじまりである。

十社とは、芝大神宮、品川神社、赤坂氷川神社、日枝神社、白山神社、王子神社、根津神社、神田神社、亀戸天神社、富岡八幡宮。
七福神めぐりなどと同様、十社めぐりは観光的要素が強いが、「東京十社めぐり」HPによれば“十社をめぐる道のりは、十里七丁(約40km)”。

たとえば今年正月の「雑司が谷七福神」は、全行程およそ3.5km。
ブログ記事にしている中で最長は「浅草名所七福神」の約7.5kmだが、記事を読み返すと、しまいには日が暮れている。
40kmって、どうなんでしょう😅

これまで「十社」として意識したことなかったが、上の顔ぶれを見ると日枝、根津、神田にはお参りしたことがある。
今後もじっくり1社ずつめぐっていくという感じだろうか。

――王子神社については、飛鳥山公園内にある「飛鳥山碑」(都指定有形文化財・古文書)に書かれています。それによれば、元亨(げんこう)年間(1321~24)に豊島氏が勧請したことが始まりとされていますので、その頃にこのイチョウが植えられたとすると、600年近い樹齢と考えられます。戦災によって王子神社の社殿や太田道灌が雨宿りをしたという伝説を持つシイの大木など多くのものが失われた中で、このイチョウは生き延び、今も高台から東京の街の移り変わりを静かに見つめています。(「王子神社のイチョウ」説明板より)
(つづく)

[DATA]
王子神社
東京都北区王子本町1-1-12


[Today's recommendation]

https://youtu.be/r-Z8KuwI7Gc?si=zzw4hp77lnXZXenJ




次号予告
渓流の景観を復元 【音無親水公園】
2023.10.08
前回までのあらすじ:飛鳥山の区民まつりの喧騒から逃れるように「旧渋沢庭園」に迷い込み国重文建造物2棟を外から見学(内部は有料)後、隣の「北区飛鳥山博物館」では区民まつりで無料開放につき常設展示をじっくり見学と、あくまでお金をかけないケチケチ物見遊山を実践中のわしら。
飛鳥山博物館に入った目的は“おはぎ”だが、常設展示が思いのほか面白く見学に1時間近くを要し正午を回ってしまい、おはぎのタイミングを外してしまった。
余力が残っていたら戻ってくるということにして、ひとまず王子の街なかで昼ごはんの店を探すことに。

飛鳥山を下ろうとすると、山頂付近に行列ができている。
あんなところに何が?
――飛鳥山モノレール(あすかパークレール)は、JR王子駅中央口改札すぐの公園入り口から山頂までの高低差約18m、レール延長48mを2分で結んでいます。(「飛鳥山モノレール(あすかパークレール)『アスカルゴ』」飛鳥山3つの博物館HPより)
これも無料。気になるぞ!
でも昼ごはんが先。

アスカルゴ山頂駅付近からの眺め
くだんの玉子焼きのお店はかなりの老舗のようで、そのあたりに行けば老舗飲食店などもあるかもしれない。
ちょうどアスカルゴ山頂駅から見下ろしたあたり。

下りてみると…

寄ってみると…

くぐってみると…
なんと、橋の下に渓流風の景観が広がっている。
そういえばたしか博物館の展示に“山と渓流の名所”というようなことが書いてあって、こんなところで渓流…? と疑問に思っていたが。
と、ここでまた寄り道。

――音無親水公園は、小平市の東部を源にして隅田川に注ぐ石神井川の旧流路に整備された公園です。石神井川は、北区付近では“音無川”と呼ばれ親しまれ、古くからの春の桜・夏の青楓と滝あび・秋の紅葉など四季の行楽の名所、景勝の地でした。(「音無親水公園」北区HPより)

石神井川はそれこそ水源あたりからよく知っているが、上中流域がほぼ暗渠か三面コンクリート護岸の味も素っ気もない都市河川の最下流部がこんなことになっていようとは、まったく驚かされる。
昭和の河川改修工事で、飛鳥山公園の下に2本のトンネルを掘り流路のショートカットが行われた際、残された旧流路に“かつての渓流を取り戻したい”ということで整備された公園。
5月上旬~9月中旬は流路に水を流し、水遊びの場として人気という。

で、玉子焼き屋さんはというと、流路から二またに分かれる道の先。

その前に、ちょっと気になる案件があり、さっきの橋のたもとに引き返す。
玉子焼きにも昼ごはんにもなかなかたどり着けないままに…
(つづく)

[DATA]
音無親水公園
東京都北区王子本町1-1
[Today's recommendation]

https://youtu.be/GfG6H2-wWmo?si=b8pP727wrAhAi74g




次号予告
前回までのあらすじ:飛鳥山の区民まつりの喧騒から逃れるように「旧渋沢庭園」に迷い込み国重文建造物2棟を外から見学(内部は有料)後、隣の「北区飛鳥山博物館」では区民まつりで無料開放につき常設展示をじっくり見学と、あくまでお金をかけないケチケチ物見遊山を実践中のわしら。
飛鳥山博物館に入った目的は“おはぎ”だが、常設展示が思いのほか面白く見学に1時間近くを要し正午を回ってしまい、おはぎのタイミングを外してしまった。
余力が残っていたら戻ってくるということにして、ひとまず王子の街なかで昼ごはんの店を探すことに。

飛鳥山を下ろうとすると、山頂付近に行列ができている。
あんなところに何が?
――飛鳥山モノレール(あすかパークレール)は、JR王子駅中央口改札すぐの公園入り口から山頂までの高低差約18m、レール延長48mを2分で結んでいます。(「飛鳥山モノレール(あすかパークレール)『アスカルゴ』」飛鳥山3つの博物館HPより)
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これも無料。気になるぞ!
でも昼ごはんが先。

アスカルゴ山頂駅付近からの眺め
くだんの玉子焼きのお店はかなりの老舗のようで、そのあたりに行けば老舗飲食店などもあるかもしれない。
ちょうどアスカルゴ山頂駅から見下ろしたあたり。

下りてみると…

寄ってみると…

くぐってみると…
なんと、橋の下に渓流風の景観が広がっている。
そういえばたしか博物館の展示に“山と渓流の名所”というようなことが書いてあって、こんなところで渓流…? と疑問に思っていたが。
と、ここでまた寄り道。

――音無親水公園は、小平市の東部を源にして隅田川に注ぐ石神井川の旧流路に整備された公園です。石神井川は、北区付近では“音無川”と呼ばれ親しまれ、古くからの春の桜・夏の青楓と滝あび・秋の紅葉など四季の行楽の名所、景勝の地でした。(「音無親水公園」北区HPより)

石神井川はそれこそ水源あたりからよく知っているが、上中流域がほぼ暗渠か三面コンクリート護岸の味も素っ気もない都市河川の最下流部がこんなことになっていようとは、まったく驚かされる。
昭和の河川改修工事で、飛鳥山公園の下に2本のトンネルを掘り流路のショートカットが行われた際、残された旧流路に“かつての渓流を取り戻したい”ということで整備された公園。
5月上旬~9月中旬は流路に水を流し、水遊びの場として人気という。

で、玉子焼き屋さんはというと、流路から二またに分かれる道の先。

その前に、ちょっと気になる案件があり、さっきの橋のたもとに引き返す。
玉子焼きにも昼ごはんにもなかなかたどり着けないままに…
(つづく)

[DATA]
音無親水公園
東京都北区王子本町1-1
[Today's recommendation]

https://youtu.be/GfG6H2-wWmo?si=b8pP727wrAhAi74g




次号予告
あの将軍が開いた桜の名所 【北区飛鳥山博物館】
2023.10.08
前記事の続きで、“北区内最大級のイベント”が行われている飛鳥山をいまだ抜け出せずにいるわしら。
来てみたらたまたま… みたいなパターンが多いが、そういうのを“持ってる”というのであれば、人が多いのがニガテな人間としては良しあしである。

前記事に「飛鳥山3つの博物館」HPの記事を引用しているが、この3つとは何であるか。
――1998年(平成10年)3月27日、東京都北区飛鳥山公園に博物館ゾーンが誕生しました。紙の博物館は、世界有数の紙専門のユニークな博物館です。北区飛鳥山博物館は、北区のことがなんでもわかる博物館です。渋沢史料館は、近代に日本を創ったリーダー・渋沢栄一の志を伝え続ける博物館です。(「飛鳥山3つの博物館とは」飛鳥山3つの博物館HPより)

前記事の「晩香廬」と「青淵文庫」は「渋沢史料館」のメイン施設である。
今回は「北区飛鳥山博物館」へ。

どうせ“おはぎ”の幟につられたんでしょ?
と思われたあなた、当たりです😅

しかし入ってみると、「ふるさと北区 区民まつり」につき、常設展示および特別展覧会が通常300円のところ無料と。
やっぱり“持ってる”かも(笑)。

2階特別展示室 / ホワイエの「人間国宝奥山峰石と北区の工芸作家展」を見たあと、1階常設展示室へ。

展示をちょこっと拝見してから、監視係の方に「ここ、写真撮影は…?」と聞くと、記入申請が必要であると。
大げさなのはアレなので「だったらいいです」という僕に、「あ、でも簡単なんですよ…」と、ちょっと残念そうな職員さん。

常設展示は歴史に沿った流れで、3番の中里貝塚・西ヶ原貝塚あたりもなかなか見応えあるが、9番「名所王子・滝野川・飛鳥山」で一気に引き込まれる。

展示のテーマが“花見”。
北斎や広重の浮世絵がある。
江戸時代のお花見弁当の再現展示もある。
「やっぱり写真撮らせてください」と、さっきのおねえさんのところに戻って申請させていただきました。
(だからこのような写真付きの記事になっているのであって…)

「東都勝景一覧」1800(寛政12)年、葛飾北斎画・複製

「絵本江戸土産」1850-67(嘉永3-慶応3)年、歌川広重・二世広重画・複製

「花美人名所合 滝の川の紅葉」1896(明治29)年、尾形月耕画
飛鳥山は8代将軍・徳川吉宗が整備・造成を行った公園で、江戸時代の桜の名所として知られる。

江戸の桜の名所といえば上野の山だったが、4代家綱、5代綱吉の廟が上野に営まれ寛永寺が徳川家の菩提寺となると、花見の時期の風紀の乱れが問題に。
そこで吉宗は郊外の飛鳥山に1200本余りの桜を植え公園として整備、自ら宴席を設け名所としてアピールした。


これは享保の改革の一環であり、質素倹約、風俗矯正のスローガンの一方、“開かれた幕府”を印象づけるべく新たな娯楽の場を提供するという、硬軟織り交ぜた柔軟な行政改革であった。
このほかにも隅田川上流、品川の御殿山、さらには一泊行程の小金井・玉川上水堤と、郊外各地の桜の名所を整備していった。


金輪寺の座敷の再現
吉宗は将軍の日光社参の休憩に利用されていた金輪寺に懸け造りの舞台と御殿を建て、花見の御成を行ったという。
その座敷には、玉子焼き。
“王子名物 釜焼き玉子”とある。

そういえば玉子焼き買いに来たんだった… と、ここに至ってようやく自分の中でいろいろ方向性が見え始めたという😅
名物釜焼き玉子とは?
そして、おはぎはどうなった…?
(つづく)

[DATA]
北区飛鳥山博物館
東京都北区王子1-1-3
https://www.city.kita.tokyo.jp/hakubutsukan/index.html
https://www.instagram.com/asukayama_muse/
https://www.youtube.com/channel/UC253nfTJ-l_nUceC0nDhdiA?view_as=subscriber
[Today's recommendation]

https://youtu.be/k7PJxrNEvFc?si=XoK3D6ZA3vPlAJMi




次号予告
前記事の続きで、“北区内最大級のイベント”が行われている飛鳥山をいまだ抜け出せずにいるわしら。
来てみたらたまたま… みたいなパターンが多いが、そういうのを“持ってる”というのであれば、人が多いのがニガテな人間としては良しあしである。

前記事に「飛鳥山3つの博物館」HPの記事を引用しているが、この3つとは何であるか。
――1998年(平成10年)3月27日、東京都北区飛鳥山公園に博物館ゾーンが誕生しました。紙の博物館は、世界有数の紙専門のユニークな博物館です。北区飛鳥山博物館は、北区のことがなんでもわかる博物館です。渋沢史料館は、近代に日本を創ったリーダー・渋沢栄一の志を伝え続ける博物館です。(「飛鳥山3つの博物館とは」飛鳥山3つの博物館HPより)

前記事の「晩香廬」と「青淵文庫」は「渋沢史料館」のメイン施設である。
今回は「北区飛鳥山博物館」へ。

どうせ“おはぎ”の幟につられたんでしょ?
と思われたあなた、当たりです😅

しかし入ってみると、「ふるさと北区 区民まつり」につき、常設展示および特別展覧会が通常300円のところ無料と。
やっぱり“持ってる”かも(笑)。

2階特別展示室 / ホワイエの「人間国宝奥山峰石と北区の工芸作家展」を見たあと、1階常設展示室へ。

展示をちょこっと拝見してから、監視係の方に「ここ、写真撮影は…?」と聞くと、記入申請が必要であると。
大げさなのはアレなので「だったらいいです」という僕に、「あ、でも簡単なんですよ…」と、ちょっと残念そうな職員さん。

常設展示は歴史に沿った流れで、3番の中里貝塚・西ヶ原貝塚あたりもなかなか見応えあるが、9番「名所王子・滝野川・飛鳥山」で一気に引き込まれる。

展示のテーマが“花見”。
北斎や広重の浮世絵がある。
江戸時代のお花見弁当の再現展示もある。
「やっぱり写真撮らせてください」と、さっきのおねえさんのところに戻って申請させていただきました。
(だからこのような写真付きの記事になっているのであって…)

「東都勝景一覧」1800(寛政12)年、葛飾北斎画・複製

「絵本江戸土産」1850-67(嘉永3-慶応3)年、歌川広重・二世広重画・複製

「花美人名所合 滝の川の紅葉」1896(明治29)年、尾形月耕画
飛鳥山は8代将軍・徳川吉宗が整備・造成を行った公園で、江戸時代の桜の名所として知られる。

江戸の桜の名所といえば上野の山だったが、4代家綱、5代綱吉の廟が上野に営まれ寛永寺が徳川家の菩提寺となると、花見の時期の風紀の乱れが問題に。
そこで吉宗は郊外の飛鳥山に1200本余りの桜を植え公園として整備、自ら宴席を設け名所としてアピールした。


これは享保の改革の一環であり、質素倹約、風俗矯正のスローガンの一方、“開かれた幕府”を印象づけるべく新たな娯楽の場を提供するという、硬軟織り交ぜた柔軟な行政改革であった。
このほかにも隅田川上流、品川の御殿山、さらには一泊行程の小金井・玉川上水堤と、郊外各地の桜の名所を整備していった。


金輪寺の座敷の再現
吉宗は将軍の日光社参の休憩に利用されていた金輪寺に懸け造りの舞台と御殿を建て、花見の御成を行ったという。
その座敷には、玉子焼き。
“王子名物 釜焼き玉子”とある。

そういえば玉子焼き買いに来たんだった… と、ここに至ってようやく自分の中でいろいろ方向性が見え始めたという😅
名物釜焼き玉子とは?
そして、おはぎはどうなった…?
(つづく)

[DATA]
北区飛鳥山博物館
東京都北区王子1-1-3



[Today's recommendation]

https://youtu.be/k7PJxrNEvFc?si=XoK3D6ZA3vPlAJMi




次号予告
飛鳥山にて財政に思いを致す 【旧渋沢庭園】
2023.10.08
「王子に行く」という。
気になる玉子焼きのお店があるんだとか。
ふーん、その玉子焼き屋どこらへんだろう… と、なにげなく地図を見て驚いた。
玉子カレーうどん、玉子珈琲焙煎所、玉子ビアガーデン…
あっちにも玉子、こっちにも玉子、この街はタマゴだらけなのだ。
居酒屋一休 玉子店、吉野家 玉子東店、ファミリーマート 玉子駅前店……
(だれか止めてください…💦)
玉子、もとい、王子は車では2~3度通ったことがあるが、駅を降りるのは初めて。
それどころか北区に足を踏み入れるのはこれが最初じゃないだろうか。
ちなみにうちのチビ猫は北区で保護されたとのことで、その好戦的な性格から“赤羽の白い稲妻”の異名をとる。
縁がないながらも王子の飛鳥山の存在は知っており、江戸の名勝ということでいつか行ってみたいと思っていた。

土地勘がないため南口というマイナーな改札を出てしまい、そのまま跨線人道橋を渡って直接飛鳥山へ。

行ってみると、飛鳥山はものすごい人出である。
なんと、「ふるさと北区 区民まつり」という“区内最大級のイベント”の真っ最中なのだった。

江戸情緒など期待したわけでもないが、こう人が多くちゃかなわんなぁ…
と、自然、人を避けるように公園出口方向に歩いていると、左手にいかめしい鉄扉を備えた緑豊かな一角。
「旧渋沢庭園」とある。

渋沢とはもちろんあの渋沢。
次期一万円札の顔の大役を担う近代日本経済の父・渋沢栄一である。

――近代日本経済の基礎を作った渋沢栄一は、設立に尽力した王子製紙(設立当時は抄紙会社)の工場を眼下に見守ることができる飛鳥山に、邸を構えました。1879年(明治12)からは内外の賓客を招く公の場として、その後1901年(明治34)から亡くなる31年(昭和6)までは家族と過ごす日常の生活の場としても使用し、「曖依村荘(あいいそんそう)」とも呼ばれ、栄一もこの地をこよなく愛していました。(「飛鳥山とは」飛鳥山3つの博物館HPより)

庭園内には大正期の2つの建物「晩香廬(ばんこうろ)」と「青淵文庫(せいえんぶんこ)」が当時の姿のままに残されており、国の重要文化財に指定されている。
見学には入館料がかかるので(2館共通で300円)、ビンボーにつき写真は外観のみ (〃 ̄ω ̄〃ゞ
晩香廬




青淵文庫


現在、整備工事中

青淵文庫と芝生を挟んだ対面の位置に「山形亭跡」の説明板がある。
背後の建物がそういうものかと思ったらそうではなく、ただの跡地らしい。

その背後のあたりに「飛鳥山おみやげ館」というものがある。
見た目はKiosk風というかコンビニ風というか、味気はないが…


正式名称を「渋沢×北区 飛鳥山おみやげ館」といい、グッズなどやはり渋沢アイテム中心の品ぞろえのお土産屋さんである。



※許可をいただいて撮影
いろいろ面白いものが並べてあり、たとえば“驚きの青いカレー”「青淵カレー」なんか相当気になるが、レトルトカレーに648円はちょっと… というように、全体にお高い。
まあ、さっきも入館料300円×2シブッたり、新一万円札の顔というお金の神様みたいなお方を前にそんなセコいこと言ってるから、いつまでも金運が向かないという ( ̄- ̄;) ンー

えー、気を取り直して。

都電もなかというものがあり、これは聞いたことがある。
「都電もなか5輛入 飛鳥山おみやげ館限定品」



王子は東京さくらトラム(都電荒川線)の要衝駅である。
いいお土産が買えた。
(つづく)

[DATA]
旧渋沢庭園
東京都北区西ヶ原2-16-1
https://www.shibusawa.or.jp/museum/facility/
[Today's recommendation]

https://youtu.be/EpMn-5d0n3Q?si=nejjbMch0mT7fGoD


赤羽の白い稲妻⚡


次号予告
「王子に行く」という。
気になる玉子焼きのお店があるんだとか。
ふーん、その玉子焼き屋どこらへんだろう… と、なにげなく地図を見て驚いた。
玉子カレーうどん、玉子珈琲焙煎所、玉子ビアガーデン…
あっちにも玉子、こっちにも玉子、この街はタマゴだらけなのだ。
居酒屋一休 玉子店、吉野家 玉子東店、ファミリーマート 玉子駅前店……
(だれか止めてください…💦)
玉子、もとい、王子は車では2~3度通ったことがあるが、駅を降りるのは初めて。
それどころか北区に足を踏み入れるのはこれが最初じゃないだろうか。
ちなみにうちのチビ猫は北区で保護されたとのことで、その好戦的な性格から“赤羽の白い稲妻”の異名をとる。
縁がないながらも王子の飛鳥山の存在は知っており、江戸の名勝ということでいつか行ってみたいと思っていた。

土地勘がないため南口というマイナーな改札を出てしまい、そのまま跨線人道橋を渡って直接飛鳥山へ。

行ってみると、飛鳥山はものすごい人出である。
なんと、「ふるさと北区 区民まつり」という“区内最大級のイベント”の真っ最中なのだった。

江戸情緒など期待したわけでもないが、こう人が多くちゃかなわんなぁ…
と、自然、人を避けるように公園出口方向に歩いていると、左手にいかめしい鉄扉を備えた緑豊かな一角。
「旧渋沢庭園」とある。

渋沢とはもちろんあの渋沢。
次期一万円札の顔の大役を担う近代日本経済の父・渋沢栄一である。

――近代日本経済の基礎を作った渋沢栄一は、設立に尽力した王子製紙(設立当時は抄紙会社)の工場を眼下に見守ることができる飛鳥山に、邸を構えました。1879年(明治12)からは内外の賓客を招く公の場として、その後1901年(明治34)から亡くなる31年(昭和6)までは家族と過ごす日常の生活の場としても使用し、「曖依村荘(あいいそんそう)」とも呼ばれ、栄一もこの地をこよなく愛していました。(「飛鳥山とは」飛鳥山3つの博物館HPより)

庭園内には大正期の2つの建物「晩香廬(ばんこうろ)」と「青淵文庫(せいえんぶんこ)」が当時の姿のままに残されており、国の重要文化財に指定されている。
見学には入館料がかかるので(2館共通で300円)、ビンボーにつき写真は外観のみ (〃 ̄ω ̄〃ゞ
晩香廬




青淵文庫


現在、整備工事中

青淵文庫と芝生を挟んだ対面の位置に「山形亭跡」の説明板がある。
背後の建物がそういうものかと思ったらそうではなく、ただの跡地らしい。

その背後のあたりに「飛鳥山おみやげ館」というものがある。
見た目はKiosk風というかコンビニ風というか、味気はないが…


正式名称を「渋沢×北区 飛鳥山おみやげ館」といい、グッズなどやはり渋沢アイテム中心の品ぞろえのお土産屋さんである。



※許可をいただいて撮影
いろいろ面白いものが並べてあり、たとえば“驚きの青いカレー”「青淵カレー」なんか相当気になるが、レトルトカレーに648円はちょっと… というように、全体にお高い。
まあ、さっきも入館料300円×2シブッたり、新一万円札の顔というお金の神様みたいなお方を前にそんなセコいこと言ってるから、いつまでも金運が向かないという ( ̄- ̄;) ンー

えー、気を取り直して。

都電もなかというものがあり、これは聞いたことがある。
「都電もなか5輛入 飛鳥山おみやげ館限定品」



王子は東京さくらトラム(都電荒川線)の要衝駅である。
いいお土産が買えた。
(つづく)

[DATA]
旧渋沢庭園
東京都北区西ヶ原2-16-1

[Today's recommendation]

https://youtu.be/EpMn-5d0n3Q?si=nejjbMch0mT7fGoD


赤羽の白い稲妻⚡


次号予告