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武蔵野食文化 【Enjoy Agano】

2023.03.05

 今回歩いた範囲でいうと、吾野宿には食事のできるお店が3店ある。

一つは3記事前の「ゲストハウス吾野宿 & カフェレストラン」で、カレーやビーフシチューといった洋食メニューがおいしそうだ。
が、今回はライダーの貸し切り状態で、ちょっと無理。


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2店目は、吾野駅前にある「美晴休憩所」という「創業60有余年」(お店のおかあさん談)のお土産&軽食の昭和ノスタルジア系。
もちろん立ち寄り、吾野宿の生き字引きのようなおかあさんにいろいろお話を伺ったが、写真は「撮らなくていいです、こんなとこ(笑)」というので、今回は掲載を控える。


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で、今回食事をしたのが👇こちらの手打ちうどん&ピザのお店。


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あちこちに書いてあってキャッチコピー? とはじめ思っていた「Enjoy Agano」が、こちらの店名。


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うどん、ピザ、おにぎり…。
品ぞろえは多くないが、斜陽の宿場町にあって貴重な存在であろう。


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農家の離れのような外観とは裏腹に、店内は重厚。
無垢材の梁と天井。漆喰の壁。


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酒瓶や缶詰の並ぶショーケースがいい感じで、角打ちかくあるべし! というたたずまい。
「酒屋さんだったんですか?」と尋ねたところそういうわけではなく、ショーケースは閉店した近所の呉服屋さんから譲り受けたものだそう。


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注文は、肉汁うどんと豚すき定食。


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豚すき定食には小鉢がたくさん付いてきて、サービス精神満点といった感じ。

葉物野菜の小鉢を指して「のらぼう菜です」とご主人。
のらぼう菜といえば秩父というイメージだが、自宅の畑で採れたものだそうで、ここが“秩父街道の宿場”ということを思い起こさせる。

たっぷり添えられたポテトサラダは丁寧な手づくり感いっぱい。


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うどんの粉の香りがよかったり豚肉の脂身がおいしかったり、武蔵野うどんに通じるものがある。
武蔵国の同じ食文化圏。


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山間の旧街道は木曽路にも通じるものがあり、そんな旅心を誘われる吾野宿。

吾野宿編おしまい)


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[DATA]
Enjoy Agano
埼玉県飯能市坂石町分229-2
https://enjoy-agano.com/





[Today's recommendation]


https://youtu.be/DslSk317-Dc


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景観重要建造物「高山家」ひな飾り


創業明治23年! 【若松屋 菓子舗】

2023.03.05

 吾野宿編、前々記事からの流れで、「飯能ひな飾り展 吾野宿」を見学したあと宿場の外れの吾野橋まで行って引き返してきたわけだが、往路に「あとで入ろう」と目を付けてあった和菓子屋さんへ。


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こちらのお店、実は覚えがあるということを、達筆の看板を見て思い出した。

「東郷せんべい 若松屋」


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食べログの自己PR的なところに、“創業は明治23年。東郷平八郎の直筆焼印入りの「東郷せんべい」を販売している、老舗の和菓子店です”とある。
さらに“東郷平八郎本人に直々許可を得た、日本で唯一のお店だったりします”と続く。

そのあたりの文言に覚えがある。


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どういうことかというと、車を止めてあるのが東郷公園第一駐車場で、東郷公園=秩父御嶽神社は東郷平八郎の銅像の建つ神社。
前回も同じ駐車場に車を止めており、神社社務所で東郷せんべいというものを買ったことと、そのせんべいの製造元が“本人に直々許可を得た”吾野宿の和菓子店ということをあとで調べて知ったことを思い出したわけである。


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東郷平八郎といえば日露戦争の日本海海戦で知られる海軍軍人。
そのあたりの戦前(明治憲法下)の事案は軍国主義への文脈を免れ得ず、あまり深入りしようとは思わないが、ロシア・バルチック艦隊を打ち破ったと聞けば見方も違ってくる。ウクライナのために拝もうという気持ちになる。


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草餅粒あん・こしあん、まんじゅう粒あん・こしあん、桜餅を買う。
東郷せんべいは、あとで秩父御嶽神社社務所で買うとして。


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秩父御嶽神社社務所


その社務所にて。
せんべいが見当たらないので、詰めていたおじさんに聞いてみると…

「ん、せんべい? そういえば、ずっと来てないなぁ…」

窓口に張り紙がしてあるのに、ユルいというか、超いいかげんなのであった。

(つづく)


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[DATA]
若松屋 菓子舗
埼玉県飯能市坂石町分210





[Today's recommendation]


https://youtu.be/GB3zR_X25UU



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次号予告


閖上の鐘 【法光寺】

2023.03.05

 時系列が行ったり来たりするが、前々記事の“吾野湧水”から線路下の隧道をくぐって旧国道側(吾野駅入り口)に抜け、そのまま左手に少し上ると、お寺さんの門に通じている。
せっかくだからお参りしていくことに。


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HPによれば、「曹洞宗 補陀山 法光寺」は1386(至徳3)年、吾野要害山城主岡部新左衛門入道妙高が、父祖の岡部六弥太(鎌倉御家人)菩提のために、はじめ真言宗の寺院として創建。その後、天正年間(1573~92)に関東曹洞宗の三刹、越生龍穏寺第十二世日峰伊鯨禅師により曹洞宗に改宗。

武蔵野三十三観音霊場 第三十一番札所である。


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山門に立て掛けられた看板が目に留まる。
“宮城県名取市閖上 東禅寺大梵鐘 東日本大震災にて被災しました”


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閖上(ゆりあげ)といえば宮城県県南を代表する漁港で、震災時に津波被害の特に大きかった地区である。
閖上の鐘がこのような山間部に一時避難していることに、同じ宮城の港町に生まれ育った身としては感銘を受けずにいられない。


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六地蔵

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万国戦没者精霊供養塔

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鐘楼

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奥の院 観音窟石龕が有名らしい(埼玉県指定文化財)

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…が、登り口で断念💦


閖上の東禅寺は2018年3月、元の場所に本堂を再建しているようだ。
しかし梵鐘の帰山はいまだかなわず、復興道半ばであろう。

震災の日の1週間前のこと。

(つづく)


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[DATA]
法光寺
埼玉県飯能市坂石町分333-1
https://www.houkoji.jp/





[Today's recommendation]


https://youtu.be/qnEfzOHdOXM



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次号予告


貴重な年代物のひな飾り 【ゲストハウス吾野宿 & カフェレストラン】

2023.03.05

 引き続き吾野宿散策中。

ちょうど「飯能ひな飾り展 吾野宿」(3/5~12)の初日にあたり、「高山家(鱗や)」「大河原家(こくや)」と古民家の貴重な年代物のおひな様を拝見し、3軒目の展示会場「大河原家(問屋)」。


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古民家が続く吾野宿でも特に目を引く立派な門構えの建物である。
しかし、それ以上に圧倒されるのが、軒先から門の中まで所狭しと並ぶバイク。

こちら「大河原家(問屋)」は「ゲストハウス吾野宿 & カフェレストラン」として営業しており、バイクツーリングの聖地? 的スポットのようなのだ。


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おそるおそる遠巻きに様子をうかがっていると、当主とおぼしき男性が門の中から「どうぞお入りください」とにこやかに声をかけてくださった。


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埼玉県の景観重要建造物に指定されており、門は明治時代に江戸の武家屋敷の長屋門を移築したものだそうだ。

「山中を大八車で引いてきたそうです」とご主人。
「ご主人は何代目で?」
「23代目に当たります」
「うわっ!! w( ̄▽ ̄;)wワオッ!!


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指定の理由となった外観の特徴は、平入り切妻で日本瓦葺きの屋根、けやき一枚板の門扉、雲形のひさし持ち送りなど。

展示されているひな飾りは3飾り。
年代物の“御殿飾り”“変わり雛”と時代の新しい七段飾りだ。


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明治・大正時代に人気を集めていたという御殿飾り。平安時代における京都の寝殿を模しているそう

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いまは時事の有名人を模す“変わり雛”だが、昔はおとぎ話などが題材に使われたらしい。舌切り雀や、能の演目として知られる翁、高砂など


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「新しいものはプラスチック製で、型をとっているから顔がみな同じ。でも扱いは楽です。塗りが剝がれたりしないから」


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もう一式、外に乱雑に積み上げられているものが。

「これは処分しようと思ってるんです」
「処分というと、供養とか?」
「まあ、建て前上は(笑)」
「えー、それはもったいないです!」と相方。


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屋内のつるし雛や古道具など一通り拝見し、お暇しようとしたが、処分される人形たちのもとを離れようとしない相方。
ほかの見学者に説明中のご主人がこっちの様子に気づき、「よろしかったら差し上げますよ」と。
「そう言っていただくのを待っていたんです(笑)」


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一式持って帰りたい衝動に駆られたが、そこは節度を持って旅の思い出に1人1個。
高杯とお椀を頂戴する。

「大河原家(問屋)」のひな飾りは3月12日(日)まで通しで開催されている。

(つづく)


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[DATA]
ゲストハウス吾野宿 & カフェレストラン
埼玉県飯能市坂石町分213
https://aganojuku.jimdofree.com/%E3%82%B2%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9%E5%90%BE%E9%87%8E%E5%AE%BF-%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3/





[Today's recommendation]


https://youtu.be/dH3GSrCmzC8



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次号予告


旧街道をゆく ――吾野宿

2023.03.05

 “そうだ 埼玉、行こう。”あるいは“Go To 埼玉”シリーズ。
一昨年10月に続く旧吾野村(飯能市坂石&坂石町分)エリア。

前回はコロナ禍1年半で自分的に観光解禁とした直後だったが、それからさらに1年半が経過している。
いまさらながら、まあ長いこと、コロナ ( ̄Θ ̄;) ムゥ…

吾野宿は秩父街道の宿場町で、馬継ぎの宿として栄えたらしい。
古民家が軒を連ね歴史的な景観を残すという旧国道沿いの宿場町には惹かれるものがある。

約1.5km先の東郷公園駐車場に車を止めて歩く。
吾野宿内は、ちょっと調べた感じで10台収容のコインパーキングがあるのみというのがネック。
それくらい歩くのに全然抵抗ないけど。


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高麗川と西武秩父線橋梁(坂石橋側道橋より)


坂石橋でR299から分岐し旧国道へ。
そこから吾野橋まで約1.5km、高麗川右岸に宿場町が形成されている。


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特急ラビュー(西武秩父線 吾野第1号踏切道)


西武池袋線吾野駅から上流側は街外れで、これといった見どころはない。
湧水があるというので踏切を渡って山側へ。


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吾野駅ホーム。吾野までが西武池袋線でその先が西武秩父線… と駅前の売店のおかあさんに教わった

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吾野湧水。立て札に「…この水の管理は行っておりませんので水を飲まれる方は自己責任にてお願いします」💦 そばの登山道標識には「熊注意! 目撃情報あり!」💦💦

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吾野湧水から法光寺に抜ける隧道

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左が法光寺参道、右が旧国道


駅周辺は意外に複雑な構造で、“吾妻湧水”から線路下のトンネルをくぐって旧国道側に戻る。
法光寺にお参りして、あらためて街歩き。


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吾野弁財天

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吾野宿木碑


吾野駅前橋横の巨岩の上に弁財天が祀られている。
橋のたもとには吾野宿木碑。

「吾野まちづくり(吾野観光案内)」サイトでは吾野駅前橋の先を“吾野宿”としている。
実際、このあたりから趣ある建物が増えてくる。


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一軒の軒先に“ひな飾り”のつり下げ旗。
「飯能ひな飾り展 吾野宿」というものがちょうど始まったところだったらしい(期間 3/5~12)


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実は先週、飯能の街なかのこのイベント(飯能市といっても広く、エリアごとに会期をずらしているようだ)に行くつもりだったが忙しくていけなかったというのがあって、“飯能_ひな飾り”にビビッと反応したわけである。


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景観重要建造物「高山家」

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高山家(鱗や)ひな飾り(3/5、11、12限定開催)


ガラスの引き戸が閉まっており、これは勝手に開けて見学するんだろうか? と、鍵が閉まっていなかったので勝手に開けて見ていると、おうちのおかあさんが出てきていろいろお話を伺えた。
こちらは“厨子造り“と呼ばれる建造物で、なんと築300年。
吾野宿では明治期に大火や出水があったとのことだが、それもかいくぐって現在に残っているという。

ほかに2軒ひな飾りを展示しているお宅があるということを教えてもらい、見に行った。


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「大河原家」

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大河原家(こくや)ひな飾り(3/5、11、12限定開催)


1軒は道を少し戻ったところの「大河原家(こくや)」。
ひな人形は、なんと明治時代のものだそうで、箱の裏書きも見せてもらった。

残る1軒も「大河原家(問屋)」だが、そちらはまさに極め付きで、次回あらためて掲載しようと思う。

ちなみに吾野宿には埼玉県の景観重要建造物に指定されている古民家が3軒あり、うち2軒が今回ひな飾りを展示していた「高山家(鱗や)」と「大河原家(問屋)」である。
もう1軒は“擬洋風建築”と呼ばれるハイカラな雰囲気の建物「石田家(藤田屋)」。


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景観重要建造物「石田家」

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そのまま吾野橋まで歩き、引き返す。


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吾野橋


シャッター化や櫛欠けが著しいのは日本中共通の問題だが、たまたまひな飾りイベントがあったおかげで、いろいろお話を聞くことができたわけである。

(つづく)


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旧R299を木製の看板に従って左折すると吾野橋~吾野宿。前方の交差点(標識)はR299バイパス


[DATA]
吾野宿
埼玉県飯能市坂石町分
https://aganojuku.jimdofree.com/





[Today's recommendation]


https://youtu.be/h5AcpmGzR-w



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次号予告


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