貴重な近代建築遺構 【旧黒須銀行】
2023.06.24
前々記事「入間市博物館 ALIT」の入り口に国の登録有形文化財「旧石川組製糸西洋館」のポスターが張ってあり、名義がALITであることから、西洋館の管理・運営も当博物館が行っていることがわかる。
その横にもう一枚“旧”の付く管理物件のポスター。
旧石川組製糸西洋館が強く印象に残っているだけに、こっちも期待が持てる。

「入間市博物館 ALIT」の入り口に張られていたポスター
その「旧黒須銀行」、まだ整備途中のようで、公開日は今年わずか4回。
パンフレットによれば“入間市指定文化財「旧黒須銀行」復元工事開始までの特別公開”。
その4回のうちの1回がたまたま2日後というけっこう確率の低い偶然で、せっかくの機会なので行ってみることに。
というか、土曜日は最近わりと孤独で、暇つぶしに自転車で出かけるのにちょうどいい距離感(直線距離12kmほど)である。

――明治42年(1909)5月に黒須銀行本店として建設された土蔵造り二階建で、寄棟造り瓦葺の建物です。建築史的には、明治期の地方銀行に多く見られた洋風土蔵造りであることや、現存する土蔵造り銀行建築が希少であることから、貴重な近代建築遺構とされています。(ALIT HP > 明治時代の銀行建築「旧黒須銀行」より)

さらに社会経済的背景などは上記リンク先を参照されたい。

1階は銀行窓口で、カウンター奥に人(スタッフ)が多くて写真を撮れなかったが💦 窓口業務ならぬお菓子の販売などが行われていた。

左手の急階段を上った2階は仕切りのない広いスペースで、奥にステージが設けられている。
蓄音機や実演による“「くろぎん茶屋」で聴く入間の民謡・お茶のうた”の会場らしい。



ゆがんだガラス窓を通してひずんだ風景が懐かしい
建物裏も“倉庫跡ひろば”と銘打ってイベントが催されており、こちらも食べ物屋さんの屋台が出ている。

建屋裏面

建物自体は内外とも崩れたままの壁などアラが目立つが、逆に言うと、よくそのまま残っていたなぁ… と。
特別公開はけっこうにぎわっている印象。
“壊す”から“残す”への発想の転換で大きな財産となす可能性を秘めており、成功することでモデルケースとして他自治体へも波及することを期待するものである。

[DATA]
旧黒須銀行
埼玉県入間市宮前町5-33
https://www.alit.city.iruma.saitama.jp/irumashiseiyoukan/kyu-kurosubank/
[Today's recommendation]

https://youtu.be/EJoAMsydt-E




前々記事「入間市博物館 ALIT」の入り口に国の登録有形文化財「旧石川組製糸西洋館」のポスターが張ってあり、名義がALITであることから、西洋館の管理・運営も当博物館が行っていることがわかる。
その横にもう一枚“旧”の付く管理物件のポスター。
旧石川組製糸西洋館が強く印象に残っているだけに、こっちも期待が持てる。

「入間市博物館 ALIT」の入り口に張られていたポスター
その「旧黒須銀行」、まだ整備途中のようで、公開日は今年わずか4回。
パンフレットによれば“入間市指定文化財「旧黒須銀行」復元工事開始までの特別公開”。
その4回のうちの1回がたまたま2日後というけっこう確率の低い偶然で、せっかくの機会なので行ってみることに。
というか、土曜日は最近わりと孤独で、暇つぶしに自転車で出かけるのにちょうどいい距離感(直線距離12kmほど)である。

――明治42年(1909)5月に黒須銀行本店として建設された土蔵造り二階建で、寄棟造り瓦葺の建物です。建築史的には、明治期の地方銀行に多く見られた洋風土蔵造りであることや、現存する土蔵造り銀行建築が希少であることから、貴重な近代建築遺構とされています。(ALIT HP > 明治時代の銀行建築「旧黒須銀行」より)

さらに社会経済的背景などは上記リンク先を参照されたい。

1階は銀行窓口で、カウンター奥に人(スタッフ)が多くて写真を撮れなかったが💦 窓口業務ならぬお菓子の販売などが行われていた。

左手の急階段を上った2階は仕切りのない広いスペースで、奥にステージが設けられている。
蓄音機や実演による“「くろぎん茶屋」で聴く入間の民謡・お茶のうた”の会場らしい。



ゆがんだガラス窓を通してひずんだ風景が懐かしい
建物裏も“倉庫跡ひろば”と銘打ってイベントが催されており、こちらも食べ物屋さんの屋台が出ている。

建屋裏面

建物自体は内外とも崩れたままの壁などアラが目立つが、逆に言うと、よくそのまま残っていたなぁ… と。
特別公開はけっこうにぎわっている印象。
“壊す”から“残す”への発想の転換で大きな財産となす可能性を秘めており、成功することでモデルケースとして他自治体へも波及することを期待するものである。

[DATA]
旧黒須銀行
埼玉県入間市宮前町5-33

[Today's recommendation]

https://youtu.be/EJoAMsydt-E




大正時代へタイムスリップ 【旧石川組製糸西洋館】
2022.04.24
コロナ禍で注目されるマイクロツーリズム… つまり近場観光だが、これがなかなか奥が深い。“観光”と肩肘張っていないから現場の意思決定が柔軟で、思いもよらぬ方向に展開したりする。
先日、狭山市の稲荷山公園に向かう途中、信号待ちの交差点でふと横を見ると外国風なオシャレな街並み。ひと目でピンとくるものがあった。
「ジョンソンタウン、こんなとこにあるんだ…」
という経緯で課題となっていた入間市のジョンソンタウン(米軍住居地域跡地)に行ってみることに。
彩の森 入間公園
近くの「彩の森 入間公園」の駐車場に車を止めてぶらぶら歩いて行って、9時半すぎにジョンソンタウンへ。
まだ時間が早く、ひと気もなければ開いている店もない。
おかげでじっくり街並みを観察できたが、10時を回っても街が動きだす気配はない。
「困ったね…」
ジョンソンタウン
実は出かける前に調べておいたことがある。
いつだったかテレビニュースで入間の洋館というものをやっていて、ジョンソンタウンから近いならそっちも見に行こうと考えた。“入間_洋館”で簡単にヒットするが、地図上では歩くには微妙な距離で、ちょっと無理かな… と。
ところがいま、時間はたっぷり余っている。
「行くだけ行ってみる?」
駅側(後ろ側)の外観
朝にざっと見た地図の記憶では、洋館の場所は入間市駅の向こうの国道16号沿い。駅舎を通り抜けていくことに。
駅の階段下にポスターが張ってある。
旧石川組製糸西洋館(そういう名前だったのね…)
駅から徒歩7分(思ったより近い!)
4月の一般公開開催日は…(ん? 常設じゃないの?)
9日、10日 、23日 、24日(なに? たったそれだけ!? てか、今日は何日…?)
えーと、本日は4月24日。
セ、セーフ…。
ということで、結果オーライ的に「旧石川組製糸西洋館」入場。
(ホント、いつも出たとこ勝負で… (・Θ・;))
別館(内部は非公開)
――旧石川組製糸西洋館は、大正から昭和の初めにかけて全国有数の製糸会社であった石川組製糸により外国商人を招くための迎賓館として、いまから約100年前に建てられた洋風木造建築です。(入間市HPより)
2001年に国の登録有形文化財となり、03年に入間市に寄贈され現在に至る。
ちなみに上記ジョンソンタウンはかつて、石川組製糸の工場で働く大人数の従業員の食料を生産する農場だったそうだ。
以下、順路に沿って館内を見ていく。

1階控えの間~応接室
吹き抜けの階段と客室

2階大広間

大広間のステンドグラス
2階東・西和室
西和室床の間

大広間横の階段を下りると広い食堂に出た。
こんな部屋で食事してみたい… と見回していると、“喫茶コーナー試営業中!!”のプレートを見つけ、思わずニンマリ。

ホットコーヒーをお願いする。
スタッフの方は一般公開していない“キッチン”へ。
飲食は人間の基本的な営みであり、家は人間の営みの場だ。
飲み食いをすることで単なる見学対象からリアルな“家”へと劇的に変化する。
1杯の珈琲の香りが、大正浪漫の世界へといざなう。
(つづく)
[DATA]
旧石川組製糸西洋館
埼玉県入間市河原町13-13
https://www.alit.city.iruma.saitama.jp/irumashiseiyoukan/
https://www.facebook.com/irumashiseiyoukan/
[Today's recommendation]



https://youtu.be/nYsGn7Xeo40
https://youtu.be/sI4yCdNeikY
https://youtu.be/5MQyAymsviM


次号予告
コロナ禍で注目されるマイクロツーリズム… つまり近場観光だが、これがなかなか奥が深い。“観光”と肩肘張っていないから現場の意思決定が柔軟で、思いもよらぬ方向に展開したりする。
先日、狭山市の稲荷山公園に向かう途中、信号待ちの交差点でふと横を見ると外国風なオシャレな街並み。ひと目でピンとくるものがあった。
「ジョンソンタウン、こんなとこにあるんだ…」
という経緯で課題となっていた入間市のジョンソンタウン(米軍住居地域跡地)に行ってみることに。
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近くの「彩の森 入間公園」の駐車場に車を止めてぶらぶら歩いて行って、9時半すぎにジョンソンタウンへ。
まだ時間が早く、ひと気もなければ開いている店もない。
おかげでじっくり街並みを観察できたが、10時を回っても街が動きだす気配はない。
「困ったね…」
![]() | ![]() |
実は出かける前に調べておいたことがある。
いつだったかテレビニュースで入間の洋館というものをやっていて、ジョンソンタウンから近いならそっちも見に行こうと考えた。“入間_洋館”で簡単にヒットするが、地図上では歩くには微妙な距離で、ちょっと無理かな… と。
ところがいま、時間はたっぷり余っている。
「行くだけ行ってみる?」
![]() | ![]() |
朝にざっと見た地図の記憶では、洋館の場所は入間市駅の向こうの国道16号沿い。駅舎を通り抜けていくことに。
駅の階段下にポスターが張ってある。
旧石川組製糸西洋館(そういう名前だったのね…)
駅から徒歩7分(思ったより近い!)
4月の一般公開開催日は…(ん? 常設じゃないの?)
9日、10日 、23日 、24日(なに? たったそれだけ!? てか、今日は何日…?)
えーと、本日は4月24日。
セ、セーフ…。
![]() | ![]() |
ということで、結果オーライ的に「旧石川組製糸西洋館」入場。
(ホント、いつも出たとこ勝負で… (・Θ・;))
![]() | ![]() |
――旧石川組製糸西洋館は、大正から昭和の初めにかけて全国有数の製糸会社であった石川組製糸により外国商人を招くための迎賓館として、いまから約100年前に建てられた洋風木造建築です。(入間市HPより)
2001年に国の登録有形文化財となり、03年に入間市に寄贈され現在に至る。
ちなみに上記ジョンソンタウンはかつて、石川組製糸の工場で働く大人数の従業員の食料を生産する農場だったそうだ。
![]() | ![]() |
以下、順路に沿って館内を見ていく。

1階控えの間~応接室
![]() | ![]() |

2階大広間

大広間のステンドグラス



大広間横の階段を下りると広い食堂に出た。
![]() | ![]() |
こんな部屋で食事してみたい… と見回していると、“喫茶コーナー試営業中!!”のプレートを見つけ、思わずニンマリ。

ホットコーヒーをお願いする。
スタッフの方は一般公開していない“キッチン”へ。
![]() | ![]() |
飲食は人間の基本的な営みであり、家は人間の営みの場だ。
飲み食いをすることで単なる見学対象からリアルな“家”へと劇的に変化する。
![]() | ![]() |
1杯の珈琲の香りが、大正浪漫の世界へといざなう。
(つづく)
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[DATA]
旧石川組製糸西洋館
埼玉県入間市河原町13-13


[Today's recommendation]



https://youtu.be/nYsGn7Xeo40
https://youtu.be/sI4yCdNeikY
https://youtu.be/5MQyAymsviM


次号予告