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山肌に映える朱塗りの神社建築 【磯山弁財天】

2023.07.23

 名水百選 出流原弁天池には池の手前の弁財天駐車場というところから歩いて行った。
途中、右手の山腹に美しい神社建築を目にしていた。
磯山弁財天楼門である。


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湧水越しに望む磯山弁財天本殿


説明が前後したが、一帯は“磯山弁財天・出流原弁天池”と呼ばれる景勝地で、歴史的・信仰的中心が磯山弁財天。
唐沢山城を築城した藤原秀郷により948(天暦2)年に創建されたと伝えられる。


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『下野國安蘇郡 磯山辨財天眞景全圖』(尾花源内、明治32年)。上の写真のアングルに近い


楼門とともにまず目に入るのが、弁天池からの流れの際に建つ石像“白蛇弁天”。
磯山弁財天境内には、弁財天の化身または遣いとされる白蛇の像がたくさん据えられている。


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風鈴飾りを抜けると朱塗りの楼門。
“磯山弁財天”で予測変換候補に出るように、『千と千尋の神隠し』の世界観が連想される美しい建物である。


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楼門の先の“磯山の大蛇”像の背後に垣間見えるのが本殿で、約130段の石段を上る。
水神である弁財天が高いところに祀ってあるのは珍しいという。

――磯山辨財天も昔は辨天池の小島に祀ってあったものを、霊泉の不変の恩恵に浴した出流川沿岸の住民で特に水車講農民等の信仰が厚く、感謝の総意により現在地に奉安したと言われています。 辨天様を山腹に安置しているのは当磯山辨財天だけです。磯山辨財天観光協会HPより)


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磯山の大蛇の左手にある弁財天像と風穴洞。風穴は石灰岩の浸食地形で、猛暑下にも地底の冷気が吹き出している

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右手に本殿へ続く石段

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朱塗りの鐘楼

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楼門を見下ろす


右手に鐘楼を見ながら石段を上ると、まもなく道が分岐する。
右はさらに上にある三峰神社へ向かう道、左の石段の先が本殿。
分岐点には銭洗い弁天や白蛇手水舎がある。


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銭洗い弁天

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手水所も白蛇の石像づくり


白蛇手水舎の手前を左に折れて石段を上る。


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本殿の建築様式は清水寺舞台と同じ懸造り(かけつくり)で、切り立った崖に建てる技法である。
釘を使わない昔の建築美を誇る。


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磯山弁財天本殿は佐野平野を一望する名勝。
眼下には絵のような風景が広がる。


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本殿山側にはもう一体の白蛇像“阿呍の大蛇”。
白蛇は金運・財運上昇のご利益があるとされる。

(つづく)


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[DATA]
磯山弁財天
栃木県佐野市出流原町1117
https://isoyamabenzaiten.com/index.html





[Today's recommendation]


https://youtu.be/yO1__rtgZ0k



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次号予告


神秘の名水百選 ――出流原弁天池

2023.07.23

 唐沢山を下り次の目的地へ。

2年くらい前にどこかのインスタ投稿を目にして気になっていたスポット、佐野市西部の出流原町にある出流原弁天池(いずるはらべんてんいけ)は、環境省選定「名水百選」の清水の池である。

R293の山形入口という交差点を過ぎてありきたりな住宅地の生活道路みたいなのに誘導されてるな… と思っていると、すぐに道路両側に駐車場が現れはじめる。無料駐車場がたくさんあるのはありがたい。

それにしても市街地から上りも下りもしないこんな平地に?
と半信半疑で先へ進むと…


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普通のアスファルト道路を横切る清流が出現

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名水百選 出流原弁天池湧水の石碑

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鳥居をくぐり太鼓橋を渡ると…

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正面にこぢんまりした神社

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小高いところに建つその湧釜神社にお参りし、振り返ると…


というもったいぶった順路立てをせずとも、周囲どこからでも美しい池は目に入るのであった。


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1億年以上前(中生代ジュラ紀~白亜紀)の古い岩盤である秩父古生層の石灰岩から湧き出す清流をたたえる出流原弁天池。
湧水の水温は年間を通じて16℃、周囲約138mと小さいながら湧出量6~8㎥/分と水量豊かな池である。


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1956年に栃木県指定天然記念物、1985に「出流原弁天池湧水」として名水百選に選定。


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池のまわりを時計回りに歩いてみる。


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背後に山が迫っていて一周できないが、行き止まりから山側に上る散策路がある。


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池の前面はほぼフラットな地形で周辺住民にとっては犬の散歩道感覚かもしれないが、少し上っただけで静謐で神秘的な雰囲気はぐっと高まるのであった。

(つづく)


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[DATA]
出流原弁天池
栃木県佐野市出流原町1117





[Today's recommendation]


https://youtu.be/jJyTfttQvdA



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次号予告


関東有数の本格山城 【唐澤山神社】

2023.07.23

 栃木県佐野市と聞いて即思い浮かぶのはラーメンとサービスエリアと厄除け大師だが、今回の目的はそのどれでもない。

先日、インスタ投稿かテレビニュースかで見た風鈴飾りが、鋳物の風鈴で佐野市の神社というので、引っかかるものがあった。
個人的に風鈴といえば南部鉄器なので鋳物には違いないが、こちらの鋳物はもっと上品で繊細な感じがする。

相方に話すと、「そう。佐野の鋳物って、ブラタモリでやってたじゃん」と言う(NHK『ブラタモリ』2023/07/08放送回)
言われてみれば、引っかかりはそれか…? という気もするが、夜はだいたい酔っぱらっているので昨日のこともあまり覚えていない。

佐野には出流原弁天池というずっと行ってみたいと思っていた場所があって、地図で確かめるとその神社と湧水池はわりと近く、出かける動機が一気に高まった感じはある。


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朝7:40発で、所沢IC―鶴ヶ島JCT―久喜白岡JCT―佐野藤岡IC… というルートで現地「唐澤山神社」9:10着。
ちなみにナビ推奨はその先の佐野IC(佐野SA)だが、うちのクルマはいまどき珍しいETC不搭載車なのでスマートICは利用できないのであった ( ̄- ̄;) ンー


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そんなこんなで「唐澤山神社」。
山の上に広い駐車場があって驚かされる。


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駐車場奥の「唐沢山城跡」の石柱がお参りコース入り口っぽい。
神社に来たつもりが城跡とあって多少混乱したが、案内板によれば山城跡に建立された神社らしい。
所沢の滝の城跡の城山神社のようなもの… とナットク(それよりはるかにスケールが大きいことに徐々に気づかされることになる)


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右手におじさんが座っていて、写真撮るのにじゃまくさいな(失礼💦)… と思って様子をうかがっていると、「まだ時間前なんだけどね…」と話しかけてきた。
どうやらボランティアのガイドさんで、勤務時間前で入り口に待機していたらしい。

「ブラタモリを見て?」とガイドのおじさん。
「あ、そうそう」と相方さん。

ん? “鋳物の佐野”という切り口はなんとなく思い出したが、この神社もブラタモだったの…?


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ガイドのおじさんにいただいたマップ


勤務時間外でありながら、こんなイイカゲンな観光客に対しても実に丁寧に説明してくださり、ガイドのおじさん本当にありがとう。
お出掛けすると何かしら出会いがある。
ヤマドリとか (* ̄∇ ̄)

以下、おじさんの説明(とマップ)に沿って、境内というか城内をめぐる。


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唐沢山城入り口“くい違い虎口(枡形)”

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天狗岩上り口。『ブラタモリ』ロケ地点らしいが悪路とのことで、おじさん非推奨

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神橋手前の鳥居。左手に「大炊の井」がある


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神橋。「四つ目堀」に架かる

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直径9m・深さ8mの大井(大炊の井)

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城を東西に分断する四つ目堀。幅5間・深さ2間

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帯曲輪の東をゆるゆる上る“風鈴参道”

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二つ目堀の先の石段を上って…

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左に折れると、神社正面の石段

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ガイドのおじさんのおすすめは、表参道的なこの石段ではなく、その左手を二の丸に向かうルート。
途中、目玉スポットの高石垣を見上げられるからという。
うん、たしかブラタモリでやってたな(笑)。


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左の道を二の丸へ

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高石垣

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石垣の切れ目が二の丸入り口

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振り返って見た高石垣

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二の丸より本丸(本殿)を望む

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上の写真の石段右手をズーム。正面に鏡石が見える。ちなみに左手の鏡石は石垣養生中でブルーシートに覆われている


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ブラタモリでやっていた鏡石。うん、すっかり思い出した😅


二の丸から石段を上ると「唐沢山城」本丸であり、現在「唐澤山神社」本殿が鎮座する。


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二の丸経由のルートは拝殿左手からのアプローチとなる

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本丸広場

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拝殿

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拝殿奥に本殿


唐沢山城は927(延長5)年、藤原秀郷によって築城された。
平将門の乱を鎮圧したことで知られる忠皇の臣・秀郷を祀る神社として唐澤山神社が創建されたのは1890(明治23)年のことという。


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南曲(引曲)

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南曲から山門を振り返る


お参りのあと、山門をくぐって先の石段を下る。
その先の南城が絶景ポイントとのことだが、夏休みのボーイスカウトのよいこ軍団に占拠されていたので、そのまま駐車場方面へ。

(つづく)


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鳥居の向こうが先の正面石段、石段を下って左手に南城


[DATA]
唐澤山神社
栃木県佐野市富士町1409
http://karasawayama.com/
https://www.instagram.com/karasawayama_shrine/





[Today's recommendation]


https://youtu.be/8y-GlUgTvx8



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次号予告


江戸期の商都を体感 ――栃木蔵の街

2022.09.18

 9月最初の3連休は台風直撃となった。
しかも“過去に例がない”危険な台風という。
不要不急の外出を控えるよう気象庁では呼び掛けている。

しかし台風の中心から遠い関東はまだお出掛け可能なレベル。
というか、今日より明日、明日より明後日と天候が悪化する予報で、出掛けられるうちに出掛けておかないと3連休を丸々家で過ごすハメになりかねない。

朝起きてXRAINアプリで雨雲の動きを見ると、関東ではざっくり北北西方向に雲が流れており、発達した雨雲は神奈川県東部や東京湾に南北に連なっている。
つまり主要な雨雲は群馬方面に向かうと予想され、「栃木ならダイジョブだっぺ?」

ということで、行き先は栃木に決定。
朝8時10分前のこと。
そこから「40秒で支度しな」と速攻で出発し、2時間後には、はや現地に。

読みの正しさを裏付けるように、途中、圏央道を鶴ヶ島JCTから久喜白岡JCTへ(東へと)進むにつれ、どんどん空が明るくなり、雲の切れ間に青空も見えてきた。
これは思った以上にちゃんと観光ができそうだ! と、そのときは思っていたんだが…。


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栃木の総鎮守「神明宮」本殿

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「栃木市立文学館」

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巴波川(うずまがわ)


ちなみに“栃木”とは栃木県栃木市のこと。

――江戸時代には市内を流れる巴波川を利用した江戸との舟運と、朝廷から日光東照宮へと派遣された使者(例幣使)が通行した例幣使街道の宿場町として盛えた商都で、「小江戸」の別名を持つ。Wikipedia

蔵の街並みを背景に川を遊覧船で下るというテレビなどでおなじみの構図を思い出し、あれならたとえ雨が降ったとしても降ったなりに趣あるんじゃない? となったのが、栃木を選んだ理由である。

市街地の中心部にある“蔵の街第一駐車場”(30分100円)に止め、まずは裏手にある栃木の総鎮守「神明宮」へお参り。

以下、行き当たりばったりに街を散策。


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「神明宮」拝殿

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県名“とちぎ”の由来が書いてある。屋根の棟両端のクロスした部材が“千木”、棟に直角に何本か並ぶ部材が“鰹木”で、当社本殿屋根は遠目には合わせて10本の千木に見えたことから“十千木(とちぎ)”→“栃木”説、など(冒頭1枚目写真参照)

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神明宮参道。左が「とちぎ蔵の街観光館」

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観光館内「文庫蔵」入り口

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「文庫蔵」内部


神明宮参道入り口にある「とちぎ蔵の街観光館」は、かつての荒物問屋の見世蔵と土蔵群からなり、現在は観光案内所と土産品販売、食事処などとして活用され、観光の拠点施設となっている。
古民具などが展示されている「文庫蔵」(蔵資料館)を拝見した。

…と、ゆっくりのんびり観光できたのはここまで。
行き当たりばったりというか、パッタリ o(_ _o)pパタッ


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時折パラパラ降っていた雨が、観光館を出ると本降りの様相に。
市役所(東武宇都宮百貨店)に避難し、駐車場でもらった散策マップを見ながら(ここでようやくマップを見るという ;^_^A作戦を練る。


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「蔵の街 のんびり散策マップ」より


最低限見ておきたいところを決め、XRAINで雲の切れるタイミングを計りつつ、「それー!」と突撃しては撤退するという慌ただしい展開に(笑)。


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例幣使道である嘉右衛門通りの南端にあたる嘉右衛門橋

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嘉右衛門橋と巴波川

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「翁島」(岡田記念館別邸)

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「翁島」脇の小径。市中いたるところ水路(と黒塀)が張り巡らされている

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日光例幣使街道

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旧栃木県庁遺構「県庁堀」。背後は「栃木市立文学館」(旧栃木町役場庁舎)

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「横山郷土館」の“荷揚場”。横山家は麻問屋と銀行を営んでいた明治の豪商

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巴波川。県庁堀からの水路が合流する

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倭橋から見る巴波川


この先に有名な遊覧船の発着所やうずま公園があるが、雲行きがいよいよ怪しくなってきたので駐車場のある大通りに戻る。

というか、腹が、減った……

(つづく)


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[DATA]
とちぎ蔵の街観光館
栃木県栃木市万町4-1
https://www.tochigi-kankou.or.jp/spot/kuranomachi-kankokan





[Today's recommendation]

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https://youtu.be/gKl-3yn-eDA



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次号予告


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