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三枚看板の謎 【たかのや】

2023.04.19

 “二枚看板”というものに関心があって、立て続けに取り上げた時期があった。
焼肉&とんかつ和菓子&定食とんかつ&中華…。

どれもユニークだが、二枚看板というものは脈絡がなければないほど面白いという結論に至った。
その極め付きが八百屋&ガラクタ屋の二枚看板である。


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ガラクタ… もとい、骨董品が並べてある八百屋さん


西東京市新町1丁目、武蔵境通りと鈴木街道の交差点にあるその八百屋さんでは、通りすがりに柿と古道具(樺細工の菓子器)を買っており、そのときの状況を「ガラクタを陳列している謎の八百屋で、相方が200円で買いたたいた…」とブログ記事に書いている。


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表通り側にはだんごと大判焼きの幟


八百屋さんは角地の裏通り側に店を構えており、同じ建物のメイン通り側に大判焼きのお店があることに後日気づいた。
両者は中でつながっているようにも見え、だとすると三枚看板である。
これは気になる…。

――と、一部で大いに盛り上がっておきながら、そこから無為に3年半を過ごす。
このブログではよくあることである。
即断力に欠けるというべきか、記憶力に長けるというべきか。


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3年半後、ふと通りかかって足をとめる。


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大判焼きはあんことクリーム。
あと5玉だんごが4種類。


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「後ろの八百屋さんと同じ店ですよね?」と聞いてみる。
「えーとね、八百屋さんの一部を借りてやってるの」と、お店のおかあさん。
「え?  それじゃ八百屋さんとは別?」
「そ。定年後の商売。もう17、8年になるけどね」


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三枚看板というわけではなかったか…。
でも間借りといえばコロナ禍で注目された新しいビジネスモデルであり、20年近く前に先どっていたと。


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保温器に作り置きのパッケージが入っており、あんだんごを買おうと思ったがそれは1本のみ。
「何本でもいいですよ」とおかあさん。
あんだんご2本、あとあんこの大判焼きを2個買う。


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少し時間がかかったな… と思っていたが、帰って食べてみるとだんごは焼いてあった。
5本だんごも焼きあんだんごも珍しいかも。


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そして、たっぷりのったあんこが手づくり感いっぱい、甘すぎず小豆の香りよく、とてもおいしい。
そのあんこがパンパンに入った大判焼きも、素晴らしいのひと言。


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200円の樺細工の菓子器に100円の大判焼きを盛り付けてみた


たしか八百屋さんの骨董は八百屋の奥さんが好きで集めてくるという話で、菓子器を買った当日、奥さんはフリマか何かに出かけていて不在。門外漢かもしれないご主人相手に値切ったようで、後ろめたさなきにしもあらず。
大判焼き屋をやっているのは八百屋の奥さんとずっと思い込んでいて、樺細工の菓子器を200円で買ったと白状したらどんな反応を示すか興味があった。
別人とのことで、ちょっと残念。


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「八百屋さんで古道具買ったことあるんです」といちおう言ってみた。
「へー、そうなんだ」
と、サラリと流された。


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[DATA]
たかのや
東京都西東京市新町1-11





[Today's recommendation]


https://youtu.be/H5v3kku4y6Q



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キンラン / 多摩北部医療センター


創意あふれるお団子セット 【ふしみだんご】

2021.04.11

 所用で東伏見へ。
といっても自分の用事ではなく、普段の単独行動はパターン化してしまっているので、人の用事に便乗してマンネリ打開をもくろんでいる。

地元東村山の図書館に必要な資料がない場合、提携関係にある西東京市の図書館で検索するという。
1カ月前の田無神社の記事もまったく同じ用向きだったわけだが、田無の中央図書館が改装工事で閉館しているため、今回受け取り先を東伏見にしたと。


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図書の受け取り窓口は市の行政サービス提供施設「東伏見ふれあいプラザ」で、外で待っていると壁の掲示板に張ってあるポスターが目に留まった。

“ココスポ東伏見設立10周年記念 ココスポ団子セット”


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やたらフォトジェニックしそうな団子の写真に目を奪われた。
“お求めは東伏見駅南口前「ふしみだんご」へ”と書いてある。
こういう情報には自分の足で歩かないとぶつからない。もう買いに行くしかないでしょう。


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右の白いシェードが旧店舗


あとで調べたところ「ココスポ東伏見」は総合型地域スポーツクラブで、ふれあいプラザが事務所および活動拠点として使われている。東伏見エリアはダイドードリンコアイスアリーナや早稲田大学の各種運動施設を擁するスポーツの街である。


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「ふしみだんご」は踏切を渡ってすぐ… と思ったら移転していて、南口駅前の大通り(早大グランド通り)入り口で営業していた。


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お店に入っただけで華やかな気分に。
おだんごだけで10種類以上もあって、彩り豊かである。


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ココスポ団子セットは4月20日までの限定販売(通常380円→360円)。


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移転前は東伏見稲荷参道に店を構えていた、いわば門前の茶屋。


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ということで、東伏見稲荷にお参りに。


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こちらは1929年、京都の伏見稲荷大社の分霊を勧請して創建された。全国に3万社ある稲荷神社の総本宮の東日本唯一の分祀。
初詣には毎年多くの参拝客が訪れる。


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お参りのあと、境内での飲食ははばかられるので、裏手の東伏見公園へ。


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ココスポ団子セットは、いちご団子、さくらあん団子、ふしみ団子のセットで、色合い的にもバランスがよい。


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特にいちご団子が映える。
生地・あん・いちごと、いちご大福と同様の材料だが、構成要素を分解・再構築するというメソッドをとり(笑)、まったく新しいものにつくり上げられている。
にぎりずしのようで粋であるが、かなり食べづらくもある ( ̄  ̄;)


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さくらあん団子は塩漬け桜葉入りのあんで、これも桜餅(道明寺)の変化形といえる。
クマリンの香りは春の華やぎ。


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ふしみ団子は一見オーソドックスなきなこ団子だが、団子が揚げ団子とひと工夫。
揚げ餅のような安定感のあるおいしさだ。


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団子といえばお花見団子やお月見団子と季節の行事につきものだが、実は団子そのものに季節を感じるのは草団子くらい。
こういう季節感の演出も大いにアリ! と思いました。


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[DATA]
ふしみだんご
東京都西東京市東伏見2-6-2
https://www.instagram.com/fushimidango/





[Today's recommendation]

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https://youtu.be/B0bnypWItlY



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空堀川


Another long queue in Joji Town 【こしの ひばりが丘本店】

2019.03.18

 ひばりが丘の「昇龍」で昼ごはんを食べたあと、通りをぶらぶら団地方面へ。
といっても、ジグザグに駅に向かう古い商店街(中原通り)にお店はほとんど残っていない。中原小前交差点からセブンイレブンまでの間、たべもの屋は「昇龍」、昨年オープンの「Bekery PiYoPiYo」、そして和菓子店「こしの」の3店のみ。


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「こしの」ホームページには“行列店ベストランキングに選ばれたテレビでおなじみの、羊羹・最中の専門店”とある。
こんなところにそんな人気店が?
そうです。
店名でピンとくる人もいると思うが、吉祥寺ハモニカ横丁の人気和菓子店「こしの」の本店がこちら。


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ハモニカ横丁の和菓子店といえば「小ざさ」が有名だが、「こしの」はその真裏で営業している。月~水の3日間(13:00~17:00)のみの営業なので、行列のできる人気店ながら知る人ぞ知る的存在かもしれない。
羊羹・最中の専門店だが、かつて吉祥寺の人気商品だったのが酒まんじゅう。数量限定で開店直後に並ばないと買えなかった。
記憶が定かでないが、数年前に酒まんじゅうの販売が休止となり、以来足が遠のいていた。


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「菓匠こしの 吉祥寺店」


最近、「ひばりが丘本店」の店頭に“栗まんじゅう”の張り紙を見つけた。「こしの」の酒まんじゅうは大好きだったので、これは見過ごせない。
ということで「ひばりが丘本店」初入店。


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ところが、お店に入ると“栗まんじゅう 次回販売日3月20日”の札。やはり「こしの」のまんじゅうはレアアイテムなのであった。
せっかくなので最中を小豆2個・白豆1個購入。ともに1個60円とお手ごろ。


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女性店員さんに伺ったところ、酒まんじゅうも再開しているとのこと。
栗まんじゅう同様限定生産と思われるが、吉祥寺に行く楽しみが増えた(というか、戻った)。
そして「ひばりが丘本店」は並ばずに人気商品を買うことができる隠れた名店なのである。


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[DATA]
こしの ひばりが丘本店
東京都西東京市ひばりが丘2-6-27
http://www.koshino.ecnet.jp/



[Today's recommendation]

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◆ 猫写真はこちら その1 その2 その3




https://youtu.be/A2VpR8HahKc


田無宿の変遷と意外な老舗中華 【仲達】

2019.03.10

 古地図散歩というものには非常に興味があるが、あれは主に大都市・江戸の名残を訪ねるものであり、都心に出るのもおっくうな人間にはなかなか実行する機会がない。
その代わりというとちょっと違うが、多摩地区のおもしろい歴史探索の手引がある。
『青梅街道田無 町並み変遷図』
(江戸)明治~現在の青梅街道田無宿における家々の移り変わりの記録である。


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『青梅街道田無 町並み変遷図』(編集:道の会、発行:近辻喜一)より。※年代は、現在:2015年、平成:1991年、昭和:昭和40年代(1968年)、戦後:昭和20年代(1950年)、大正:大正初期(1912年)、明治:明治初期(1876年)、江戸:江戸初期(1690年)


図中央を左右に通っているのが青梅街道で、道に面した上下が現在(2015年)の家並みである。
たとえば先日伺った「うなぎ 坂平」が右下に出てくるが、その横に「現在・平成・昭和・戦後・大正・明治・江戸」とあるように、街道から離れるにつれその土地の歴史をさかのぼるようになっている。「坂平」は少なくとも大正期には当地で店を開いていたことがわかる。隣の「広田豆腐店」(※2017年閉業)、その先の「野崎屋酒店」も同じくらい歴史がある。


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この冊子『青梅街道田無 町並み変遷図』と、上の「坂平」の記事で引用している『田無のむかし話』を併せて使うと、田無の街が違って見えてくるはずだ。
この2冊は去年田無の中央図書館で偶然お会いした近辻喜一さんに教えていただき、『~変遷図』は頂戴までしている。(問い合わせは西東京市中央図書館 〇42-465-〇823;libmaster@city.nishitokyo.lg.jp)


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町並み変遷図を見て意外に思ったのが、西武新宿線の高架近くにある中華料理店「仲達」である。


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昭和の街の中華屋さん、いわゆる“街中華”の典型的店構えとは違っていて、むしろ最近増えている中国系の人による出店にビジュアル的に近いので、そういう流れだと思っていた。
ところが冊子を見ると、少なくとも昭和40年代には当地で営業していたらしい。


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店先の植え込み周りは金魚の水槽やら紹興酒の甕やらで取っ散らかっており、ガラス戸はマジックミラーで、決して入りやすい雰囲気ではない。
しかし入ってみれば、高級志向の内装デザインで小ぎれいにしてあり、BGMはジャズだったりする。


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テーブルが3卓、カウンター6席のほか、奥は円卓の広い座敷になっている。


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注文は、今週の定食A:ふわふわ卵の海鮮あんかけ! 850円と、五目ビーフン炒め800円。


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ビーフンは表の看板の“お薦め品”であり、いつも前を通るときに見て刷り込まれている。
料理人は意外に若い。


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どちらのメニューも皿が大きくボリュームたっぷり。


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ふわふわ炒めにはレタスや大根の細切りが添えられていて、野菜をたくさん食べられる。


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エビ、イカ、アサリはどれも大きくてぜいたく感がある。特にイカは、もっと肉厚な種類だけれどもスルメイカ換算すれば1パイ分くらいありそうだ。卵も3個くらいは使われていそうで、惜しみなく材料を使っている感じが伝わってくる。


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ビーフンも野菜たっぷりで、材料の切り方、炒め方と、丁寧な仕事ぶりである。
味付けは濃い目で、ボリュームの多さからも、予想外のガテン系需要があるのかもしれない。


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座敷の様子や棚の酒類からみて夜は飲み屋として使い勝手がよさそうだが、実際お店の人どうしの会話からも夜の繁盛ぶりが推察される。
地域コミュニティにしっかり根差しているあたり、老舗ならではといえそうだ。


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[DATA]
仲達(なかたつ)
東京都西東京市田無町2-22-10



[Today's recommendation]

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◆ 猫写真はこちら その1 その2 その3




https://youtu.be/zdHg4QEmBvk



 季節の和菓子

2019.03.10 菓子舗青柳 田無店/東京都西東京市田無町5-3-4

青梅街道田無警察署の少し西。直売所のような簡素なつくりの和菓子屋さん。
実際、こちらは一橋学園駅前・学園坂商店街の「菓子舗 青柳」の販売所らしい。店頭には小平名物“ぶるべーどら焼”も並んでいる。


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道明寺140円、桜もち140円、桜まんじゅう120円を購入。


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