ふるさとの原風景を体感 【ますや】

2019.08.03

 2年前も同じようなことを書いているが、お盆が近くなると「ますや」に入りたくなるらしい。
これは“疑似帰省”なのではないかと思う。
なにしろ、ヘタな実家よりよっぽど実家らしい。
物件も人物も(笑)。


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昔はおばちゃん1人でやっていた場面しか思い出せないが、最近は何人かでやっておられる。今日なんか4人体制。
従業員というより、人寄せ(冠婚葬祭)のときにお手伝いに来たご近所さんあるいは親戚のおばちゃんという雰囲気だ。
にぎやかなのは結構なことだと思う。


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「冷たいの2つ」と注文。


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カウンターの上に料理写真と品名が張ってあるが、そういうものがなかった時代、注文方法は“冷たいの”か“あったかいの”しかなかった。
いまそうやって頼んで出てくるのは、たぶん“肉汁うどん”700円。


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ちなみに“あったかいの”も同じ肉汁うどんで、麺をお湯にくぐらせて温めてあるというだけの違い… だと思う。壁に張ってある汁うどんタイプの“肉うどん”はまた別… なんじゃないかなぁ。なにしろ品書きはあってないようなものだし… (;^_^A…

肉汁うどん以外のものが食べたいという方は、どういったものが食べたいと明確に説明して、互いに納得がいくまでおばちゃんと話し合ったほうがいい(笑)。


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肉汁うどん(たぶん…)来る。
天ぷら3個付きで、ネタはそのときによって違う。今日はにんじん2個と春菊。


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天ぷらをつゆに浸しつつ、うどんをモソモソっと食べる。
武蔵野うどん特有のよじれの入った麺で、太く不ぞろいなのでズズッとはいかない。ヘタにすすろうとすると汁が飛び散りまくることになる。


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素朴な地粉の香りがして、なんともホッとするうどん。
まさに実家に帰ってきたような気持ちにさせられる。
自分の田舎ではうどんを食べる習慣はないんだけれども… ヾ(・ω・o)


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自家製柚子胡椒


食べ終わるころ、いつもどおり「足りたかい?」と、おばちゃん。
このところのなぜか食欲旺盛で実はちょっと物足りないとも思っていたが、追加1人前はさすがに多いし、食いすぎを厳しく指導されていることもあって、お伺いを立てると、「足りた。もうおなかいっぱい!」と相方さん。

そんなやりとりを見ていて、「女の人はいいんだよ」と、おばちゃん。「男の人はもうちょっと食べておいたほうがいいんじゃないかって言ってるの」
説教口調だが、目が笑ってる。
「はい。じゃ、半分お願いします… (-ω-ゞ


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うどん“半分”追加分


で、こんな半分あるかーい! と、きっちり1人前の追加がやって来るというお約束の展開。
なんとかがんばって完食すると、「ほら、食べられただろ(笑)」とおばちゃん。
そりゃまあ、食べられるけどさ…。
“実家”だけに、食も進むのよー(と、じっと腹を見る…)


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[DATA]
ますや
東京都東村山市久米川町4-33-10



[Today's recommendation]

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◆ 猫写真はこちら その1 その2 その3



 
https://youtu.be/wGM8z8qeTDo





普通にいちばん好きな店 【ますや】

2019.02.02

 以前住んでいた場所からいちばん近い飲食店がうどんの「ますや」だった。
よく食べに行っていたし、武蔵野うどんというものの魅力を知ったのがこのお店だった。


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うどんのうまいのまずいのというだけならほかにおいしい店はいくらもあると思うが、店内の雰囲気やおばちゃんの存在感などトータルな魅力は何物にも代え難い。個人的に、いまでも武蔵野うどん不動のナンバーワンである。
まあ、フツーにいちばん好きなお店ということだが。


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稲作に向かない武蔵野台地では小麦主食の文化圏が形成されていた。うどんはハレの日の行事食であり、寄り合いや人寄せ(冠婚葬祭)のときにうどんを打って出す習慣があった。
大ざっぱにいうと、そうした流れをくむのが武蔵野うどんである。


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店に入ったのが1時前。
小さいカウンター席と小上がりが3卓。常連客とお店のおばちゃんが普通に世間話をしている。


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昔、カウンター前の配膳台に天ぷらの大皿が載っているのを初めて見たときは、少なからず感動したものだ。
いつもはここでおばちゃんがゆで置きの麺を水でほぐして供してくれる。
しかし今日は「これからゆでますのでお待ちください」とお手伝いらしき女性。


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待っている間、おばちゃんがごぼうとさつまあげの煮物と大根の漬物を持ってきてくれた。
この店はいつも何かしらサービスで出てくる。まったくの家庭の味で、ほっとするおいしさ。
お茶をセルフで足そうと思って火鉢にかかった鉄瓶を見ると、今日は炭に火が入っていなかった。


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肉汁うどん700円。
天ぷらはゴボウとニンジン、豚肉のコクと香りが立つ肉汁。


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地粉の素朴な香りと根菜の土くささの相性の良さ。
そこに自家製の柚子胡椒を投入し混然一体となったところを食べる幸せ。


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ゆで置きうどんもひなびた家庭の味で、こういう店ではおいしいが、今日のゆでたてうどんは格別のおいしさだ。


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食べ終わって靴をはいていると、店のおじさんが火の入った炭を運んできた。
「うどん薪でゆでてるから、炭が出るの。40年以上、これでやってる」
薪は材木屋さんに持ってきてもらっているとのこと。


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火鉢の横にはビニール袋に入った小さな卵。
「うこっけいですか」と尋ねると、
「そうだよ」とおばちゃん。「ご飯にかけて食べてみな。コクがあっておいしいよ」
小平の農家の生産品とのこと。
小さくてかわいらしい卵3個入り300円を購入。
小麦といい、実はこだわりのお店なのだ。


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[DATA]
ますや
東京都東村山市久米川町4-33-10



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◆ 猫写真はこちら その1 その2




https://www.youtube.com/watch?v=RpEfAV1T5b0


真夏のパラドックス 【ますや】

2017.07.09

 東日本各地で猛暑となった本日、昼食の店選びに苦労する。家を出る時点で、この暑さで炎天下をふらふらするのはやめたほうがいいんじゃないかと及び腰だから、これはと思った店の前で躊躇してしまう。
散々迷って炎天下をふらふらした挙句にようやくビビッと来たのが、久米川辻の武蔵野うどんの老舗「ますや」。
決めてしまえば、今日ははじめからここだったような、来るべくして来たというような気持ちになる。


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4~5人ぞろぞろ出るのと入れ違いに入店。
カウンターに背広のお客さんが1人。厨房におばちゃんはなし。天ぷらの大皿に天ぷらはなし。
カウンターの左端のいすに座る。
すぐに奥のゆで場から先客用のうどんを盛ったせいろを持って、おばちゃん登場。

「いらっしゃい」とおばちゃん。「何にする?」
「冷たいの」と僕。「天ぷら何があります?」
「何でもあるよ。魚はないけど(笑)」
「人参とごぼう」
「はいよ」
と、手続き終了。ちなみに“冷たいの”とは正式には“肉汁うどん”と称する冷盛りうどんのこと。


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おばちゃんはカウンターの向こうで天ぷらの野菜を切り出すところから始める。奥から手伝いっぽいやや若いおばちゃんがうどんを持ってくる。うどん待機中。
天ぷらは僕のだけってわけじゃなく、ある程度の量を揚げているようだ。種類も多そう。
やがておばちゃんはうどんのお盆に天ぷらの皿を載せ、おわんに肉汁をよそい、カウンター越しにお盆を差し出す。
「おまちどお」


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肉汁うどん(天ぷら3種付き)700円。
揚げたて天ぷらは、人参、ごぼう、なす。個人的好みでは武蔵野うどんとの相性的に黄金の3種だ。
武蔵野うどんはズルズルではなくモソモソと食べる。よじれた麺の端があちこちを向いているから、勢いよくすすろうとすると汁が飛び散りまくるのだ。


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モソモソ食べていると、おばちゃんが「柚子入れたかい?」
これは自家製の柚子胡椒を勧めているのである。
「あ、入れます」と答えたが、柚子胡椒の容器が見当たらない。
キョロキョロしていると、右隣の背広の人におばちゃんが「とってやんな」と指図。誰に対してもそんな感じ。
「ああ、スイマセン…」と、知らない人にとってもらって恐縮する私。
「入れるとひと味違うよ」と満足げなおばちゃん。


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豚肉とごぼうと地粉と柚子の香り。しょっぱめの汁に浮かぶフニャフニャ(コロモ)。それらが次第にゴタゴタになっていくところをモソモソと食べ進める。
「足りたかい?」と、食べ終わるころ、おばちゃんはいつもおかわりを確かめる。
おかわりしたいところだが、そうすると一緒に漬物とか煮びたしとか天ぷらの追加とか、いろんなサービスが付いてくるので、1人のときはアワワワ… となる。
「また今度」と丁重にお断りする。

なんだかお盆を田舎で過ごしているような気にさせられる。地方出身者の東京の休日のひとこまというのが本当のところで、なんとかのパラドックスのようである。そういえば東京はもうすぐお盆だ。


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[DATA]
ますや
東京都東村山市久米川町4-33-10


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聖地を代表する武蔵野うどん 【ますや】

2017.04.08

 武蔵野うどんの聖地、東村山を代表する老舗「ますや」。じゃがいものところでも書いたが、ますやは地元を代表する名店であり、われわれの誇りでもある。

稲作に向かない武蔵野台地では小麦主食の文化圏が形成されていた。うどんはハレの日の行事食であり、寄り合いや人寄せ(冠婚葬祭)のときにうどんを打って出す習慣があった。
大ざっぱにいうと、そうした流れをくむのが武蔵野うどんである。


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武蔵野うどんブームに伴って“コシ信仰”みたいな流れができ、武蔵野うどんはコシが命、みたいにいつの間にかなっていた。それはちょっと違うんじゃないか、と僕は思う。

初めてますやに入ったとき、ひと口食べて「ゆで置きなんだ…」とがっかりした。モソモソと食べ進めるうちに「ん?」となった。それまであまり意識したことのない感覚というか、麺がおいしいのである。甘味と香りがどんどん引き立ってくる。
自分はそれまで麺というものはコシが第一、いやコシがすべてと考えていたフシがあって、そういう感覚を初めて味わった。そのうどんにはまさに蒙を啓かれる思いがした。
コシよりも何よりも、麺は味が第一なのではないか? 以来、うどんを食べるときはそう意識するようになった。

「何にする?」とますやのおばちゃん。
「温かいのと冷たいの」と僕。
温盛り(妻)と冷盛り(僕)という意味だ。壁に料理写真が掛けてあり、一応「肉汁うどん」とかいう名前があるのだが、よくわからないので以前どおりのやり方で注文する。これでたぶん以前どおりの品が出てくるはず。常連客は注文を聞かれもしないし。


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肉汁うどん(たぶん)700円。
天ぷらはゴボウとニンジン、糧はホウレンソウ。豚肉のコクと香りが立つ肉汁。
この麺はゆで置きでもかなりしっかりしており、ところどころ意外なほどの歯応えを残す。たぶん水分・塩分が絶妙なのだと思う。この麺を基準に、ちょっと水っぽいとか硬すぎとか、ちょうどいいとか、無意識のうちにも定めながらうどんというものを食べているような気がする。
地粉の素朴な香りとゴボウの土くささの相性の良さ。そこに自家製の柚子胡椒を入れて混然一体となったところをモソモソと食べる幸せ。
ますやのうどんはズルズルではなくモソモソとなる。


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交通量の多い交差点付近に位置するにもかかわらず、店内は不思議なほど静かだ。外の時間と中のそれでは流れる速度が異なるため物理的非干渉のようなことが起きている、のかもしれない。

支払いを済ませて「ごちそうさま」とあいさつすると、おばちゃんが「甘茶飲んでいきな」
「ん?」と妻と顔を見合わせる。「え? えーと? あ、そうか!」
「そうだよ、今日はお釈迦さまだ」
ありがたく甘茶をごちそうになり、晴れやかな気分でお店を後にした。


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久米川辻を下った徳蔵寺に花祭りのお参りに


[DATA]
ますや
東京都東村山市久米川町4-33-10



                                         

2017.04.08 あずきや/東京都東村山市諏訪町1-29-34

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うぐいす餅100円、玄米まんじゅう90円、茶まんじゅう70円、草もち80円(いずれも特売日[第2土日]価格)


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