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どこまでも昭和な、新年のカレー 【錦乃】

2019.01.10

 だいぶ過ぎてしまったが、正月三が日の食事について――
われわれの子ども時代はまだ土地土地の風習が残っていたと思うが、僕の生家では雑煮のメイン感が際立っていた。
三が日は包丁など道具の使用が禁じられていたので、大みそかに大根、にんじん、ごぼうの千切りを大量に用意する。子どもも総動員で。それが雑煮の具。だしは干しダコだった。
朝は雑煮としるこ(あんころ餅と称した)。昼ごはんなしの2食制で、腹が減らないように子どもは朝に7つも8つも餅を食べる。夕ごはんは4時ごろと早く、白いご飯だったが、おかずはおせちのようなものばかりで、汁ものはやはり雑煮。2日の夜ぐらいになればさすがに飽きる。
飽きたといってもそこはド田舎、食堂など1軒もない。変化をつけるにもインスタントラーメンがせいぜいといったところ。
そこに登場したのが、レトルトカレー。
“おせちに飽きたらカレー”と大々的に展開されたCMキャンペーンが、“無理しておせち食べ続けなくていいですよ”と、いわば国民にお墨付きを与えた。


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『みんなの暮らし日記ONLINE』に掲載されているmarinさんこと翻訳家・森嶋マリさんのカレーのコラムを読んでいたら、いろんなことが思い出された。
正月3日か4日あたりにカレー食べたなぁ… とか。
ランちゃんかわいかったな、とか、樹木希林さんも定番だったな、とか(それは年賀状印刷か…)。


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そのmarinさんから「今年のカレーはまだか?」と、厳しいツッコミが飛んできた。
そうなのだ。
上記コラムに“おせちに飽きたら食べたいものランキング”の結果より“二大人気”と分析されているカレーとラーメンのうち、僕はラーメン派。
少なくともこの10年、正月一発目に食べるのはラーメンであった。


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それはカレーよりラーメンが好きということではなく、正月早々営業していて、なおかつカレーを提供している“味のあるお店”というものを発見できていないということ。
さらにいま現在の事情でいえば、節約モードに入っているので、カレーはさらに選択肢が狭まる。


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でも思い出しました。安いカレーの店。
しかもさらなる節約モードを満足させてみせます。裏技を使って。


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花小金井の北口駅前の「錦乃」。
基本は中華料理屋だが、看板に“カレーとラーメン”と書いてあるようにカレーの押しが強い。


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カレーライスが400円、カツカレーが600円。一概に比べられるものではないが、カレー部門に限れば昨日の激安中華「寳来屋」(各450円、800円)よりさらに安い。
節約モードにおいてカツカレーが食べられるのである。


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注文から約10分。
スプーン in お冷や、乳酸菌飲料付きにて提供 フフ♪ (* ̄ー ̄) v


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こちらのカレーは“日本のカレー(おうちカレー)”に違いないが、より煮込まれて具材が煮崩れたいわゆる“2日目のカレー”的。野菜の甘みが強いが、意外にスパイシーだったりする(S&B風という意味で)。
カツのサイズは安かろう小さかろうということはなく、ボリューム的にも十分満足できる。


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お支払いで倹約の隠し札“割引券”を提示。
これでカツカレーが550円に。


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割り引くにもかかわらず、おばちゃんはほかの客のときよりうれしそう。割引券はリピート客の証しだから。
「また使ってください」と、出した券が返ってきた。
50円で幸せ気分♪


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[DATA]
錦乃
東京都小平市花小金井1-12-2



[Today's recommendation]

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◆ 猫写真はこちら その1 その2




https://www.youtube.com/watch?v=gM1MOaO9lZ8


カレーと餃子の足し算効果 【錦乃】

2018.06.13

 壁のマグネットボードに無造作に貼ってある割引券を見て、昼ごはんのお店が決まった。
“50円割引券 但し3日・13日・23日 使用不可”とある。
今日は6月13日。使用不可の日である。


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なぜわざわざ使用不可に日に行こうというのか?
それは、なぜ使用不可かというともっとお得なサービスデーだから使用不可なのである、ということを知っているから。


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最近、花小金井に寄る機会が多くなっているのと、なぜかカレー熱が高まっていることから、自分の中で存在感が急上昇しているのが「錦乃」。


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基本的には中華料理店だが、表の看板に“カレーとラーメン”とあるように、カレーを売りにしている。ラーメンの前にまずカレーと書いてあるくらいだからイチオシである。


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ところで、このカレーとラーメンが併記された字ヅラが好きだ。おのおののおいしさイメージを互いに高め合っている。
“ラーメンと餃子”より“ラーメンとカレー”のほうがラーメンのおいしそう指数が20%アップする。“カレーとスパゲティ”より“カレーとラーメン”のほうがカレーのおいしそう指数が20%アップする。…ような気がする。


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で、本日のサービス内容が入り口左、ホワイトボードの短冊に記されている。
「3の日サービス、3日、13日、23日 餃子1皿100エン」
通常価格で餃子1皿300円だから200円引き。割引券4枚分のサービスということになる。
気になってしょうがないこちらのカレーをいただくにあたって、せっかくだからサービス餃子も添えて大いに盛り上げようという腹づもりがうかがえる。


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場末の飲み屋にしか見えない店構えは入りにくいオーラ全開だが、入ってしまえばどうってことない。狭い店内には6人掛けテーブルが2つ、4人掛けと3人掛けが各1つ。


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先客2人はタバコを吸わないようなので、隅っこ感のある3人掛けテーブル席に収まり、心おきなくレトロな雰囲気に浸れる。
注文はチキンカツカレー550円と、餃子100円(サービス価格)


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さて、カレーとラーメンはお互いに高め合うと書いたが、それはイメージであって味のほうはどうか。
昔、横浜在住の上役に行きつけの伊勢佐木町のラーメン屋に連れていってもらったことがあるが、そこがラーメンとカレー2枚看板の店だった。せっかくだからとラーメンとミニカレーのセットを勧められ、まず出てきたカレーを食べていると、「でも先にカレー食べちゃうとラーメンの味わかんなくなっちゃうんだよな…」と上役のNYさん。だったらオススメすんな、って話だけど、たしかにそのあたりは微妙な気はした。
異質であるがゆえにスパーク効果で輝きを放つのかもしれない。


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では餃子とカレーはどうか。
おもしろいのは、単品の組み合わせなのにまるでセットメニューのように一式トレーにきれいに収まって出てきたこと。
この組み合わせ、実はよく出るんじゃないかと思わせるものがある。


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味のほうは?
まずカレーが期待以上のおいしさ。いわゆる2日目のカレーのような、よく煮込んで寝かせてというモッタリしたタイプ。具材はほとんど煮崩れていてかろうじてジャガイモのかけらを確認できる程度だが、ジャガイモのうま味成分もたっぷり溶け込んでいそうなまろやかな味わい。


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チキンカツは厚みがあってボリューミーで、深めの皿でご飯の量もけっこう多く、これ1品でかなり腹にたまる。
手づくり感たっぷりの餃子は、合わせ目が緩く食べづらくはあるが、野菜主体の餡がたっぷり詰まって食べでがある。


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で、カレーと餃子の組み合わせ。
ハーモナイズはしないかな…。ミスマッチともいう(笑)。
ただ、相乗効果は期待できないが足し算効果は十二分で、腹いっぱいになること請け合いだ(笑)。


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それにしても驚くのがお値段で、これ一式で650円。一式には冷ややっこと乳酸菌飲料が含まれる。
食べ終わるころ、お店のおとうさんが「コーヒー飲んでいきます?」と。
さらに微糖添加のホットコーヒーが付いて、やっぱり650円なのである。
このサービスの上乗せ、加算効果はほんとにすごい。


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[DATA]
錦乃
東京都小平市花小金井1-12-2



[Today's recommendation]

Martha The Vandellas Dancing In The Street
Martha & The Vandellas
『Dancing In The Street ― The Greatest Hits』

https://www.youtube.com/watch?v=CdvITn5cAVc
https://www.youtube.com/watch?v=9G4jnaznUoQ



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◆ 猫写真はこちら


PART 1 ~旅のはじまり~ 【錦乃】

2017.05.11

 子どものころ冷やし中華が好きで、夏になると親戚の家でよく出前をとってもらった。なぜ親戚かというと、自分のところは僻地で食堂なんか1軒もなかったから街の親戚に遊びに行ったときぐらいしかそんなぜいたくはできなかったということ。
かき氷も同じ店の出前だった。そういえばラーメンもチャーハンもそうだ。いったい何屋なのかというと、老舗そば屋なのであった。

成人して年を重ねるにつれてお店の冷やし中華というものに接する機会は徐々に減っていった。30を過ぎるころからはすっかり疎遠になった。どこか、程度の高くない食べ物、というような意識が働いていたのかもしれない。

しかし今年は少し計画的に冷やし中華というものに向き合ってみようと考えている。
懐かしのB級グルメの代表格であり、避けては通れない道のような気がする。子どものころに好きだった食べ物だから心理面で何らかの刺激を受けるかもしれない。
こういう発想を懐古趣味といわれても反論はしない。


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それで少し調べていて、見た目というか具材のバランスがよさそうで第一候補に挙げていたのがこの「錦乃」。
この店は外観からしてグッとくるものがある。マンション1階なのになぜか場末の地下街のような薄暗い通路、紺地に白抜きの暖簾、赤枠のメニュー短冊…。もう飲み屋にしか見えない。

店内は6人掛けテーブルと4人掛けテーブルが各2つ。4人掛けの一方が空いていたが、カウンター的な使われ方がされていそうな6人掛けの端に座る。
店内に冷やし中華の掲示がないので少し焦ったが、麦茶をもってきたおねえさんに確認し、やっているとのことなので予定どおり注文。

目の前の壁に穴八幡の一陽来復の御守が貼ってある。うちでも毎年貼っているが、今年は早々に落ちてしまった。落ちれば金運の効力はなくなるという。
こちらでは落下防止対策は万全だ。御守を台紙に貼って、その台紙が何本もの画びょうで厳重に壁に留めてある。念のため本体の上から腰帯状に粘着テープを渡してある。さらに御守の上部は接着剤のようなもので天井に固定されている。
見た目なんかどうでもいい。よっぽど金銀融通の御利益にあずかりたいらしい。


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冷やし中華750円は想定どおりのビジュアル。冷ややっこと、なぜか乳酸飲料が付く。
具は、厚焼き玉子、かにかま、ハム、キュウリ、モヤシ、トマト、ワカメ、紅ショウガ、サラダ菜、サクランボ。ゴマがふられ、レモンが添えてある。サクランボが缶詰じゃないところが昭和とは違う。3粒もある。

ひと口食べて、ああ懐かしい、という感想。冷やし中華は麺のかん水臭さが強く出るような気がするが、それが主要な懐かし要素なのかもしれない。
タレは、しょうゆ、酢、砂糖、ごま油という基本的な配合だが、甘味がかなり支配的だ。レモンを目いっぱい搾っても薄まらない。なんだかごはんを食べている気がしない。

気になったのがサクランボの取り扱い。出されたときはサラダ菜の上に鎮座しているから油断してしまうが、食べ進むにつれて海岸線は後退していくわけで、そうするとサラダ菜の浮力なんて知れたものでサクランボの自重でどんどん水没していく。気づいたときにはタレの海に首までつかってる。
これはどうしたらいいんだろう? はじめに食べるのも変だし、デザート扱いだとしても避難場所が見当たらないし。
冷やし中華にはフルーツがのっていることが多いが、それは大きな問題をはらんでいるといわざるをえない。


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冷やし中華においしさを期待するのは無理があるかもしれない。では何を求めるかというと、僕は懐古趣味でもかまわないと思っている。
この店の看板は「カレーとラーメン」となっている。なんか大ざっぱだ。冒頭のそば屋もそうだが、そういう“何でもあり”的な大らかさが冷やし中華という食べ物をつくり出した。だからこういうゆるくレトロな空間で味わうことのトータル性が意味を帯びてくる。
食後の日清ヨークも重要な小道具だ。そういえばここの麦茶はかすかに甘い。それでもう十分すぎるほど楽しい。

サクランボ問題は実は解決している。タレ味のサクランボをそのまま食べればいいのだ。ビミョーな表情を浮かべながら。

冷やし中華をめぐる冒険が始まった。この先、どんなツワモノが待ち受けているのか、どこまで遠く歩みを進めることができるのかワクワクする。
それからこの錦乃の次の課題はカレーに決まる。


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[DATA]
錦乃
東京都小平市花小金井1-12-2


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