知的好奇心はぐくむ豊かな森の古い家 【三鷹市 星と森と絵本の家】
2023.10.05
再び国立天文台へ。
9月24日から約10日置きというごく短期間でのリピートは自分としてはまれなケースだが、自分というより相方がぜひ見たかった施設を回りきれなかったというので。
近いっちゃ近いので、その気になればちゃちゃっと行ける。

その施設とは「三鷹市 星と森と絵本の家」。
大正期に建設された国立天文台旧1号官舎が保存活用されたものである。

先日回った見学コースとは反対側の敷地内北端に位置する。

僕らは真面目に正門門衛所で受け付けをしてぐるっと回ってきたが、来てみると「星と森と絵本の家」前には子ども乗せ自転車がたくさん止まっており、最寄りの裏門から直接入れるようだ(コース見学者以外は手続き不要?)

旧官舎部分
旧1号官舎は1915(大正4)年、高等官官舎として建設され、官舎として使われなくなったのちも、文化財としての価値があるとの理由から取り壊されず残されていた。

管理棟
「星と森と絵本の家」として整備するにあたり、内装を建設当時の姿に復元するとともに現在の建築基準法に適合した耐震化を行い、管理棟を併設する形で、世界天文年の2009年にオープン。
旧官舎部分は三鷹市登録有形文化財に指定されている。

管理棟側から入館し、廊下を渡って旧官舎へ。

旧官舎へは靴を脱いで上がる。


以下、ざっとフロアマップに従って写真を掲示。

旧・次の間と廊下

旧・次の間、建築展示室(旧・玄関)

旧・客間/次の間、建築展示室

次の間の左奥に読書室

読書室(旧・書生部屋、旧・内玄関)

読書室(旧・女中部屋)
――木造平屋建で、外壁は土壁漆喰塗及び押縁下見板貼、屋根は瓦葺の切妻、寄棟、入母屋及び唐破風の混在した外観を呈し、天文台の高等官が住む宿者として、大正4(1915)年に建設された。昭和50(1975)年以降に、二世帯で住むことが出来るように、建物の改造や増築が行われているが、全体的には建設当時の原型をよく留めている。(登録有形文化財1建造物 登録書より)

さすがに宇宙関係の蔵書や展示が目を引く

絵本展示室(旧・居間、旧・居間兼食堂)
天文台の豊かな森の中にある大正時代の建物を保存活用し、広い庭も使って、絵本の展示や絵本を楽しむ場を提供――すなわち「星」「森」「絵本」「家」をキーワードに、絵本との出会いやさまざまな体験を通じて、子どもたちの知的好奇心や感受性をはぐくみ、自然や科学、芸術・文化に親しむ場とすること、子供たちが豊かに成長する地域文化の創造に寄与することを目的としている。
展示室でも庭でも、子どもたちが伸び伸び遊び回っている。
街なかではあまり見られないような生き生きした表情が印象的。
(つづく)

庭から旧官舎正面
[DATA]
三鷹市 星と森と絵本の家
東京都三鷹市大沢2-21-3 国立天文台内
https://www.city.mitaka.lg.jp/ehon/index.html
[Today's recommendation]

https://youtu.be/gyntl24zkZs?si=Y7S41FLRuiayyzrE




次号予告
再び国立天文台へ。
9月24日から約10日置きというごく短期間でのリピートは自分としてはまれなケースだが、自分というより相方がぜひ見たかった施設を回りきれなかったというので。
近いっちゃ近いので、その気になればちゃちゃっと行ける。

その施設とは「三鷹市 星と森と絵本の家」。
大正期に建設された国立天文台旧1号官舎が保存活用されたものである。

先日回った見学コースとは反対側の敷地内北端に位置する。

僕らは真面目に正門門衛所で受け付けをしてぐるっと回ってきたが、来てみると「星と森と絵本の家」前には子ども乗せ自転車がたくさん止まっており、最寄りの裏門から直接入れるようだ(コース見学者以外は手続き不要?)

旧官舎部分
旧1号官舎は1915(大正4)年、高等官官舎として建設され、官舎として使われなくなったのちも、文化財としての価値があるとの理由から取り壊されず残されていた。

管理棟
「星と森と絵本の家」として整備するにあたり、内装を建設当時の姿に復元するとともに現在の建築基準法に適合した耐震化を行い、管理棟を併設する形で、世界天文年の2009年にオープン。
旧官舎部分は三鷹市登録有形文化財に指定されている。

管理棟側から入館し、廊下を渡って旧官舎へ。

旧官舎へは靴を脱いで上がる。


以下、ざっとフロアマップに従って写真を掲示。

旧・次の間と廊下

旧・次の間、建築展示室(旧・玄関)

旧・客間/次の間、建築展示室

次の間の左奥に読書室

読書室(旧・書生部屋、旧・内玄関)

読書室(旧・女中部屋)
――木造平屋建で、外壁は土壁漆喰塗及び押縁下見板貼、屋根は瓦葺の切妻、寄棟、入母屋及び唐破風の混在した外観を呈し、天文台の高等官が住む宿者として、大正4(1915)年に建設された。昭和50(1975)年以降に、二世帯で住むことが出来るように、建物の改造や増築が行われているが、全体的には建設当時の原型をよく留めている。(登録有形文化財1建造物 登録書より)

さすがに宇宙関係の蔵書や展示が目を引く

絵本展示室(旧・居間、旧・居間兼食堂)
天文台の豊かな森の中にある大正時代の建物を保存活用し、広い庭も使って、絵本の展示や絵本を楽しむ場を提供――すなわち「星」「森」「絵本」「家」をキーワードに、絵本との出会いやさまざまな体験を通じて、子どもたちの知的好奇心や感受性をはぐくみ、自然や科学、芸術・文化に親しむ場とすること、子供たちが豊かに成長する地域文化の創造に寄与することを目的としている。
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展示室でも庭でも、子どもたちが伸び伸び遊び回っている。
街なかではあまり見られないような生き生きした表情が印象的。
(つづく)

庭から旧官舎正面
[DATA]
三鷹市 星と森と絵本の家
東京都三鷹市大沢2-21-3 国立天文台内

[Today's recommendation]

https://youtu.be/gyntl24zkZs?si=Y7S41FLRuiayyzrE




次号予告
見どころいっぱい 【国立天文台―その2】
2023.09.24
仕事も重なりキャパオーバー気味な今週、前記事「国立天文台」はお手上げ状態で中途で投げ出したような形になったが、寝て起きてリセットされて考え直し、続きを載せることにした。
いろいろお話を伺ったりしているわけだし、やはり個人的記録として残しておくべきではないかと。

前記事の「第一赤道儀室」から真っすぐ延びる道は“太陽系ウォーキング”と称し、太陽系惑星が等縮尺の距離に配置してある屋外パネル展示になっている。
太陽から約9.54auの位置にある土星の手前を左に入ると「太陽塔望遠鏡(アインシュタイン塔)」。
太陽塔望遠鏡(アインシュタイン塔)(国登録有形文化財)



土星のところに戻ると、その先に「天文台歴史館(大赤道儀室)」。
第一赤道儀室とは太陽系ウォーキングを挟んで対峙する位置関係になっている。
天文台歴史館(大赤道儀室)(国登録有形文化財)


大赤道儀室は1926年に完成。
焦点距離10mに及ぶ屈折望遠鏡をすっぽり納めたドーム部分は木造建築で、精巧な曲面を得るため日本の匠である船大工に製作を依頼したという。
ドイツのカール・ツァイス製65cm屈折望遠鏡は日本最大口径を誇る。
接眼部が床からかなり高い位置にあり、「どうやって観測すると思います?」と解説係のスタッフさん。
なんと、床自体がせり上がる構造になっている。
地下に1トンのおもりが3基あり、床の昇降を制御しているという。
※観測床は2000年に固定され、現在は動かない。

地下のおもり

日本最大口径を誇る65cm屈折望遠鏡と、直径15mの木造ドーム
見学コース中央付近の西棟(展示室)は、すばる望遠鏡や各衛星の展示、NAOJ公開コンテンツを上映するシアタールームなどになっている。
その背後に旧図書庫。
西棟(展示室)
シアタールーム
旧図書庫(国登録有形文化財)

見学コース奥のエリアにも歴史的建造物が並ぶ。
子午儀資料館(レプソルド子午儀室)はレプソルド子午儀(国登録有形文化財)によって観測が行われていた建物で、1925年建造。
ゴーチェ子午環は1903年のフランス製。
子午環とは、子午線上の天体の位置(赤経と赤緯)を精密に観測できるように工夫された望遠鏡である。
子午儀資料館(レプソルド子午儀室)(国登録有形文化財)


ゴーチェ子午環室(国登録有形文化財)



その奥は、天文機器資料館(自動光電子午環)を挟んで南北の子午線標。
東京都とは思えない森閑たるエリア。

1.2mφパラボラアンテナ電波望遠鏡。背後は天文機器資料館(自動光電子午環)
世界最先端の観測施設を擁する日本の天文学のナショナルセンターでありながら、設立当時の貴重な建造物群と観測機器、そして武蔵野台地の面影をいまに伝える、得難い存在。
(さらに10/05へつづく)

天文機器資料館2階から望む子午線標(北)
[DATA]
国立天文台
東京都三鷹市大沢2-21-1
https://www.nao.ac.jp/
https://www.facebook.com/naoj.jpn
https://twitter.com/prcnaoj
https://www.instagram.com/naoj_pr/
https://www.youtube.com/user/naojchannel
[Today's recommendation]

https://youtu.be/3aXsQQ-ueBk?si=XDCiFt81jxQ5_xYd




100円玉の持ち合わせがなく、お土産をゲットできなかったのが心残り
仕事も重なりキャパオーバー気味な今週、前記事「国立天文台」はお手上げ状態で中途で投げ出したような形になったが、寝て起きてリセットされて考え直し、続きを載せることにした。
いろいろお話を伺ったりしているわけだし、やはり個人的記録として残しておくべきではないかと。

前記事の「第一赤道儀室」から真っすぐ延びる道は“太陽系ウォーキング”と称し、太陽系惑星が等縮尺の距離に配置してある屋外パネル展示になっている。
太陽から約9.54auの位置にある土星の手前を左に入ると「太陽塔望遠鏡(アインシュタイン塔)」。
太陽塔望遠鏡(アインシュタイン塔)(国登録有形文化財)



土星のところに戻ると、その先に「天文台歴史館(大赤道儀室)」。
第一赤道儀室とは太陽系ウォーキングを挟んで対峙する位置関係になっている。
天文台歴史館(大赤道儀室)(国登録有形文化財)


大赤道儀室は1926年に完成。
焦点距離10mに及ぶ屈折望遠鏡をすっぽり納めたドーム部分は木造建築で、精巧な曲面を得るため日本の匠である船大工に製作を依頼したという。
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ドイツのカール・ツァイス製65cm屈折望遠鏡は日本最大口径を誇る。
接眼部が床からかなり高い位置にあり、「どうやって観測すると思います?」と解説係のスタッフさん。
なんと、床自体がせり上がる構造になっている。
地下に1トンのおもりが3基あり、床の昇降を制御しているという。
※観測床は2000年に固定され、現在は動かない。

地下のおもり

日本最大口径を誇る65cm屈折望遠鏡と、直径15mの木造ドーム
見学コース中央付近の西棟(展示室)は、すばる望遠鏡や各衛星の展示、NAOJ公開コンテンツを上映するシアタールームなどになっている。
その背後に旧図書庫。
西棟(展示室)
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旧図書庫(国登録有形文化財)

見学コース奥のエリアにも歴史的建造物が並ぶ。
子午儀資料館(レプソルド子午儀室)はレプソルド子午儀(国登録有形文化財)によって観測が行われていた建物で、1925年建造。
ゴーチェ子午環は1903年のフランス製。
子午環とは、子午線上の天体の位置(赤経と赤緯)を精密に観測できるように工夫された望遠鏡である。
子午儀資料館(レプソルド子午儀室)(国登録有形文化財)


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ゴーチェ子午環室(国登録有形文化財)



その奥は、天文機器資料館(自動光電子午環)を挟んで南北の子午線標。
東京都とは思えない森閑たるエリア。

1.2mφパラボラアンテナ電波望遠鏡。背後は天文機器資料館(自動光電子午環)
世界最先端の観測施設を擁する日本の天文学のナショナルセンターでありながら、設立当時の貴重な建造物群と観測機器、そして武蔵野台地の面影をいまに伝える、得難い存在。
(さらに10/05へつづく)

天文機器資料館2階から望む子午線標(北)
[DATA]
国立天文台
東京都三鷹市大沢2-21-1





[Today's recommendation]

https://youtu.be/3aXsQQ-ueBk?si=XDCiFt81jxQ5_xYd




100円玉の持ち合わせがなく、お土産をゲットできなかったのが心残り
日本の天文学研究の中心 【国立天文台】
2023.09.24
ようやく涼しくなりあらためて実感させられるのは3カ月くらい(暑すぎて)行動制限下に置かれていたという事実であり、誰かに弁償してほしいくらいなのである、ほんと。
休みの日にはどこか出かけなければ… という強迫観念に駆られるのも、その分取り戻さなければという損得勘定が働くせいなのだ。
しかしこの3カ月でガタ落ちした体力回復のリハビリから始めなければならないというもどかしさ。
とりあえず近場の気になるスポットとして、三鷹の天文台がある。
一般公開しているらしいということで、前々からお出かけ先リストにあがっていた。
涼しくなったことだし、リハビリも兼ねて自転車で行くというのはどうか… と、ふと思った。
この際、懸案の相方の自転車買い替え(前記事参照)も兼ねたイベントにしてみてはどうか。
ということで、ネットで調べて近場でいちばん開店時間の早い自転車屋さんで自転車を買って、その足で「国立天文台 三鷹キャンパス」へ。
ちなみにNAOJほかによる“ブラックホールの「自転」”に関する注目のプレスリリースとこの記事の掲載日が重なったのは、もちろんただの偶然である。

国立天文台は1888年、東京大学観象台、海軍省観象台、内務省地理局観測課天象部の三者が合併、海軍省観象台のあった東京麻布台に設置された。
都市化の進展により麻布付近は夜の灯火が増えて天体観測に適さなくなり、1924年に東京府北多摩郡三鷹村(現 三鷹市)の現在地に移転。
以後、都市化や施設の老朽化などにより最先端の観測の多くは機構内の他観測所へ移行されているが、当地はいまなお国立天文台本部キャンパスとして日本の天文学研究の中心的な場所であり続ける。

施設自体は大正期から昭和初期にかけての近代建築として保存されるべき貴重な文化財が多く、三鷹キャンパス内の10件の建造物が国登録有形文化財となっている。

門衛所(国登録有形文化財)

正門右手の門衛所で記名すると「よく見えるところに貼ってください」とワッペンを渡される。
この門衛所自体が国の有形文化財であり、ワッペンもかっこよく、一気にテンション上がる。

最初に訪れたのが第一赤道儀室。
こちらも国登録有形文化財。

第一赤道儀室は三鷹キャンパスに現存する建物としては最も古く、1921年に建設された。




1927年にドイツのカール・ツァイス社製赤道儀が設置される。
対物レンズは口径20cm、焦点距離359cmの色消しレンズからなり、速度調整機構付重錘式時計駆動という方式で動いている。
これは重力により赤道儀内のおもりが下がることを利用し、電気なしで最長1時間半の天体追尾が可能で、月や惑星、太陽など動く速さの異なる天体にも対応して追尾できるという特徴がある。
床下のおもりの落下により駆動する追尾システム。おもりの巻き上げをやらせてもらった
こういったことを研究者(学芸員?)の方が丁寧に説明してくれる。
「電気をいっさい使用していない最先端の観測システムです!」

1938年から1998年までの61年間、太陽黒点のスケッチ観測に活躍した。
老朽化により観測は三鷹構内の新しい太陽観測用望遠鏡のCCDカメラを用いた自動観測に移行しているが、いまなお太陽を追尾し続けている。
リアルタイムの太陽黒点を見たのは初めて。
現時点(2023.09.24 11:40 JST)での太陽黒点
電気不使用の歴史的建造物ということもあり、研究施設というよりファンタジー的。
宮沢賢治の世界だったり、“ムーミン谷のおさびし山の天文台”だったり。

宇宙科学もファンタジー文学も大好きな者としては、興奮のあまりこの第一赤道儀室でいっぱいいっぱい。
続きはまた近いうちに。

※追記:これで完結のつもりだったが、気が変わって次記事に続きを掲載している。
[DATA]
国立天文台
東京都三鷹市大沢2-21-1
https://www.nao.ac.jp/
https://www.facebook.com/naoj.jpn
https://twitter.com/prcnaoj
https://www.instagram.com/naoj_pr/
https://www.youtube.com/user/naojchannel
[Today's recommendation]

https://youtu.be/M3yqo_jc3_c?si=yVLtyf_bs-PejdVX




子午線標(北)
ようやく涼しくなりあらためて実感させられるのは3カ月くらい(暑すぎて)行動制限下に置かれていたという事実であり、誰かに弁償してほしいくらいなのである、ほんと。
休みの日にはどこか出かけなければ… という強迫観念に駆られるのも、その分取り戻さなければという損得勘定が働くせいなのだ。
しかしこの3カ月でガタ落ちした体力回復のリハビリから始めなければならないというもどかしさ。
とりあえず近場の気になるスポットとして、三鷹の天文台がある。
一般公開しているらしいということで、前々からお出かけ先リストにあがっていた。
涼しくなったことだし、リハビリも兼ねて自転車で行くというのはどうか… と、ふと思った。
この際、懸案の相方の自転車買い替え(前記事参照)も兼ねたイベントにしてみてはどうか。
ということで、ネットで調べて近場でいちばん開店時間の早い自転車屋さんで自転車を買って、その足で「国立天文台 三鷹キャンパス」へ。
ちなみにNAOJほかによる“ブラックホールの「自転」”に関する注目のプレスリリースとこの記事の掲載日が重なったのは、もちろんただの偶然である。

国立天文台は1888年、東京大学観象台、海軍省観象台、内務省地理局観測課天象部の三者が合併、海軍省観象台のあった東京麻布台に設置された。
都市化の進展により麻布付近は夜の灯火が増えて天体観測に適さなくなり、1924年に東京府北多摩郡三鷹村(現 三鷹市)の現在地に移転。
以後、都市化や施設の老朽化などにより最先端の観測の多くは機構内の他観測所へ移行されているが、当地はいまなお国立天文台本部キャンパスとして日本の天文学研究の中心的な場所であり続ける。

施設自体は大正期から昭和初期にかけての近代建築として保存されるべき貴重な文化財が多く、三鷹キャンパス内の10件の建造物が国登録有形文化財となっている。

門衛所(国登録有形文化財)

正門右手の門衛所で記名すると「よく見えるところに貼ってください」とワッペンを渡される。
この門衛所自体が国の有形文化財であり、ワッペンもかっこよく、一気にテンション上がる。

最初に訪れたのが第一赤道儀室。
こちらも国登録有形文化財。

第一赤道儀室は三鷹キャンパスに現存する建物としては最も古く、1921年に建設された。




1927年にドイツのカール・ツァイス社製赤道儀が設置される。
対物レンズは口径20cm、焦点距離359cmの色消しレンズからなり、速度調整機構付重錘式時計駆動という方式で動いている。
これは重力により赤道儀内のおもりが下がることを利用し、電気なしで最長1時間半の天体追尾が可能で、月や惑星、太陽など動く速さの異なる天体にも対応して追尾できるという特徴がある。
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こういったことを研究者(学芸員?)の方が丁寧に説明してくれる。
「電気をいっさい使用していない最先端の観測システムです!」

1938年から1998年までの61年間、太陽黒点のスケッチ観測に活躍した。
老朽化により観測は三鷹構内の新しい太陽観測用望遠鏡のCCDカメラを用いた自動観測に移行しているが、いまなお太陽を追尾し続けている。
リアルタイムの太陽黒点を見たのは初めて。
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電気不使用の歴史的建造物ということもあり、研究施設というよりファンタジー的。
宮沢賢治の世界だったり、“ムーミン谷のおさびし山の天文台”だったり。

宇宙科学もファンタジー文学も大好きな者としては、興奮のあまりこの第一赤道儀室でいっぱいいっぱい。
続きはまた近いうちに。

※追記:これで完結のつもりだったが、気が変わって次記事に続きを掲載している。
[DATA]
国立天文台
東京都三鷹市大沢2-21-1





[Today's recommendation]

https://youtu.be/M3yqo_jc3_c?si=yVLtyf_bs-PejdVX




子午線標(北)
竜宮めぐりと老舗そば 【季寄せ 蕎麦 柏や】
2018.09.23
3連休中日、何かイベントでもやっていないかと調べてみると、さすがに秋はスポーツ系、食欲系、読書系? とイベント盛りだくさん。
その中で「おっ!」と思ったのが、三鷹市のスタンプラリー「みたか太陽系ウォーク」というもの。
三鷹市は国立天文台の所在地。2009年の世界天文年に“天文台のあるまち三鷹”をアピールすべく始まったイベントだそうで、今回で10回目を迎えた。

このイベントに興味をひかれたのには理由がある。
朝のニュースで、小惑星探査機「はやぶさ2」搭載ローバーMINERVA-Ⅱ1が小惑星リュウグウへの着陸に成功、と伝えていた。
そういうことを書きだすとめんどくさいことになるのでやめるが、僕は宇宙のことは一般レベルよりちょっと詳しいと思う。IとNとNがくっついてJになったころから10数年、その方面の仕事をやらせてもらっていた。たとえば「はやぶさ」初号機なら、まだMUSES-Cと呼ばれていたころのことから、いろいろ事情を知っている。
なので、「はやぶさ2」の動向は気にかかるのである。

太陽系ウォークの特設サイトでは概要がわかりづらいので、直接現地に行ってみる。適当に歩いていればどれか参加店にぶつかるはず。
三鷹の車両基地横の駐輪場に自転車を止めて歩きだすと、さっそく参加店を発見。㈲和好商事という不動産屋。そこで28ページの立派なマップ&スタンプ帳と、1個目のスタンプをゲット。

イベントの概要は、三鷹駅を太陽として13億分の1スケールの太陽系を三鷹市全体に描き、惑星など天体の位置に合わせて11エリアを設定、各エリアを巡ってスタンプを集めるというもの。
11のエリアには太陽から冥王星まで天体の名前が付いているが、そのほか特別に地球と火星の間にリュウグウのスタンプポイントが設けられている。
まずはそのリュウグウ(三鷹ネットワーク大学)に向かう。

が、竜宮城の扉は閉ざされていた ( ̄◇ ̄; )エッ…?
ほかのラリー参加者も続々やって来てすごすご引き返す。先行きに一抹の不安がよぎる。

近い順に、駅前商業施設「三鷹コラル」に。
ここには参加店・施設が3つ。

「啓文堂書店」「三鷹市美術ギャラリー」「季寄せ 蕎麦 柏や」と回ったところで12時50分。
空腹に耐えられず、いつもなら入りそうにないその立派な構えのそば屋にフラフラッと。
落ち着いてイベント概要をちゃんと読んで作戦立てなきゃいけないし。
「季寄せ 蕎麦 柏や」は表(ビル通路側)にたくさん写真パネルを掲示し、昭和5年創業をアピールしている。再開発ビル化に伴って入居したものとみられる。
けっこう混んでいて、少し待って入り口右手の個室に通される。
スタンプラリーは、回ったエリアとスタンプの数によっていろんなグッズがもらえる。ペーパークラフトとかノートとか、小さい子どもいないから要らんなぁ…。っていうか、ちょっと回って気づいたんだが、参加してるのはほとんどよいこたち。そりゃそうだ(笑)。
唯一もらってもいいか… というグッズがオリジナルクリアフォルダーだが、そのスタンプ必要数、なんと60個 Σ( ̄▽ ̄; ) ガビーン!!
「この先、どうします?」
「うーん… リタイア(笑)」
ということで、みたか太陽系ウォーク、あっさり途中棄権。スタンプ数5個。

食べたあとの作戦会議だったら違ってたかも。
なにしろ腹減りすぎて…。
注文は、Cランチ:日替り丼とそばのセット980円(相方)、鶏唐揚ランチ1050円(僕)。
「おそばは気持ち、多くできますけど?」と聞かれ、どちらも気持ち多くしてもらう。
“街そば”と“ジャズそば”についてときどき書いている。そば粉30%の機械製麺でそばより丼物や中華、カレーがよく売れる普通の街のそば屋と、そばは二八や十割で地酒・銘酒を取りそろえ蕎麦前も充実、BGMにはジャズという手打ちそば店のどちらかに、そば屋は二分される、という極論。

さすがに極論で、ほかにたとえば“民芸そば”というタイプ。和風の民芸調インテリアに店員は和装のおばさま、BGMはお琴という高級志向。
こちら「柏や」は、それに近いタイプ。
まあ、店員のおばちゃんたちは気さくで親切なので印象は悪くない。
Cランチの日替り丼は国産鶏&半熟卵の親子天丼。

鶏唐揚ランチは大きな唐揚げ3つと、予想に反してワイルド&ボリューミー。
そばはつなぎが多くなんてことないが、つゆはかつおだしが効いておいしい。
食べログのお店PRには「北は北海道より特上の蕎麦粉を、南は屋久島より黒潮に揉まれて育った鰹から作った鰹節を、また瀬戸内小豆島より天然醸造の醤油を。日本全国より選び抜いた素材を取り寄せ…」とある。

お上品な見た目のイメージから予想される以上に、(特に量的に)しっかり満足できるおそば屋さんである。
みたか太陽系ウォークは10月28日まで。
「はやぶさ2」は10月下旬にリュウグウへのタッチダウンを予定している。
そのへんの盛り上がり方しだいでは、ウォークラリー再チャレンジもあるかも。

[DATA]
季寄せ 蕎麦 柏や
東京都三鷹市下連雀3-35-1 三鷹コラルビル4F
[Today's recommendation]

https://youtu.be/eGMLnr_khUM?si=Br9mUkzleUhXVHBg


3連休中日、何かイベントでもやっていないかと調べてみると、さすがに秋はスポーツ系、食欲系、読書系? とイベント盛りだくさん。
その中で「おっ!」と思ったのが、三鷹市のスタンプラリー「みたか太陽系ウォーク」というもの。
三鷹市は国立天文台の所在地。2009年の世界天文年に“天文台のあるまち三鷹”をアピールすべく始まったイベントだそうで、今回で10回目を迎えた。

このイベントに興味をひかれたのには理由がある。
朝のニュースで、小惑星探査機「はやぶさ2」搭載ローバーMINERVA-Ⅱ1が小惑星リュウグウへの着陸に成功、と伝えていた。
そういうことを書きだすとめんどくさいことになるのでやめるが、僕は宇宙のことは一般レベルよりちょっと詳しいと思う。IとNとNがくっついてJになったころから10数年、その方面の仕事をやらせてもらっていた。たとえば「はやぶさ」初号機なら、まだMUSES-Cと呼ばれていたころのことから、いろいろ事情を知っている。
なので、「はやぶさ2」の動向は気にかかるのである。

太陽系ウォークの特設サイトでは概要がわかりづらいので、直接現地に行ってみる。適当に歩いていればどれか参加店にぶつかるはず。
三鷹の車両基地横の駐輪場に自転車を止めて歩きだすと、さっそく参加店を発見。㈲和好商事という不動産屋。そこで28ページの立派なマップ&スタンプ帳と、1個目のスタンプをゲット。

イベントの概要は、三鷹駅を太陽として13億分の1スケールの太陽系を三鷹市全体に描き、惑星など天体の位置に合わせて11エリアを設定、各エリアを巡ってスタンプを集めるというもの。
11のエリアには太陽から冥王星まで天体の名前が付いているが、そのほか特別に地球と火星の間にリュウグウのスタンプポイントが設けられている。
まずはそのリュウグウ(三鷹ネットワーク大学)に向かう。

が、竜宮城の扉は閉ざされていた ( ̄◇ ̄; )エッ…?
ほかのラリー参加者も続々やって来てすごすご引き返す。先行きに一抹の不安がよぎる。

近い順に、駅前商業施設「三鷹コラル」に。
ここには参加店・施設が3つ。

「啓文堂書店」「三鷹市美術ギャラリー」「季寄せ 蕎麦 柏や」と回ったところで12時50分。
空腹に耐えられず、いつもなら入りそうにないその立派な構えのそば屋にフラフラッと。
落ち着いてイベント概要をちゃんと読んで作戦立てなきゃいけないし。
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「季寄せ 蕎麦 柏や」は表(ビル通路側)にたくさん写真パネルを掲示し、昭和5年創業をアピールしている。再開発ビル化に伴って入居したものとみられる。
けっこう混んでいて、少し待って入り口右手の個室に通される。
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スタンプラリーは、回ったエリアとスタンプの数によっていろんなグッズがもらえる。ペーパークラフトとかノートとか、小さい子どもいないから要らんなぁ…。っていうか、ちょっと回って気づいたんだが、参加してるのはほとんどよいこたち。そりゃそうだ(笑)。
唯一もらってもいいか… というグッズがオリジナルクリアフォルダーだが、そのスタンプ必要数、なんと60個 Σ( ̄▽ ̄; ) ガビーン!!
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「この先、どうします?」
「うーん… リタイア(笑)」
ということで、みたか太陽系ウォーク、あっさり途中棄権。スタンプ数5個。

食べたあとの作戦会議だったら違ってたかも。
なにしろ腹減りすぎて…。
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注文は、Cランチ:日替り丼とそばのセット980円(相方)、鶏唐揚ランチ1050円(僕)。
「おそばは気持ち、多くできますけど?」と聞かれ、どちらも気持ち多くしてもらう。
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“街そば”と“ジャズそば”についてときどき書いている。そば粉30%の機械製麺でそばより丼物や中華、カレーがよく売れる普通の街のそば屋と、そばは二八や十割で地酒・銘酒を取りそろえ蕎麦前も充実、BGMにはジャズという手打ちそば店のどちらかに、そば屋は二分される、という極論。

さすがに極論で、ほかにたとえば“民芸そば”というタイプ。和風の民芸調インテリアに店員は和装のおばさま、BGMはお琴という高級志向。
こちら「柏や」は、それに近いタイプ。
まあ、店員のおばちゃんたちは気さくで親切なので印象は悪くない。
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Cランチの日替り丼は国産鶏&半熟卵の親子天丼。

鶏唐揚ランチは大きな唐揚げ3つと、予想に反してワイルド&ボリューミー。
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そばはつなぎが多くなんてことないが、つゆはかつおだしが効いておいしい。
食べログのお店PRには「北は北海道より特上の蕎麦粉を、南は屋久島より黒潮に揉まれて育った鰹から作った鰹節を、また瀬戸内小豆島より天然醸造の醤油を。日本全国より選び抜いた素材を取り寄せ…」とある。

お上品な見た目のイメージから予想される以上に、(特に量的に)しっかり満足できるおそば屋さんである。
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みたか太陽系ウォークは10月28日まで。
「はやぶさ2」は10月下旬にリュウグウへのタッチダウンを予定している。
そのへんの盛り上がり方しだいでは、ウォークラリー再チャレンジもあるかも。

[DATA]
季寄せ 蕎麦 柏や
東京都三鷹市下連雀3-35-1 三鷹コラルビル4F
[Today's recommendation]

https://youtu.be/eGMLnr_khUM?si=Br9mUkzleUhXVHBg

