FC2ブログ

3代続く“野方の台所” 【野方食堂】

2019.06.02

 ずっと探していた棕櫚の箒が野方で手に入るらしいことを知った。
駅の北口、環七の内側の静かで人通りのない住宅街を20分ほど歩くと、いきなり目的の店「そうこう箒本舗」があった。


190602 nogatasyokudo-27


家の掃除はもっぱらダイソンだが、私(相方)は棕櫚の箒に憧れていて、京都三条にいい感じの店があることを知った。ただし、いつもあるとは限らない。職人が作ってくれると店頭に並び、当然ネット通販などしない。京都は遠いな…、いや距離の問題だけでなくその商い方も。
さずが京都と感心するやら諦めの境地やらでいたところ、偶然こちらを知って、さっそく訪れた。――以上、相方記す。


190602 nogatasyokudo-26


野方は高円寺に遊びに行くときやなんか意外に使うことの多い駅で、そんなとき横目で眺め、駅前商店街にはいくつかなんとも惹かれる外観のお店が存在することを記憶にとどめている。


190602 nogatasyokudo-28


その筆頭格が「野方食堂」。
お昼ごはんは迷わずこちらに。


190602 nogatasyokudo-14


過去に現場で横目で見て記憶にとどめてはいるが、お店情報を下調べするようなマメな性格ではないので、入ってみて「あ、そうなのかぁ…」みたいなことがいろいろある。


190602 nogatasyokudo-15


「野方食堂」は昭和11(1936)年創業。あ、そうなのかぁ… みたいな。
てか、えぇー!! 昭和11ねん~!?


190602 nogatasyokudo-16


魚中心の和定食は想像どおりだが、スパゲティ、オムライスといった洋食メニューにもこだわりがあるらしい。それは神田の食堂や上野のレストランで修行を積んだという創業者の経歴に関係するようだ。
いま店を切り盛りするのは孫の3代目だという。


190602 nogatasyokudo-17


注文は、まず“4万食突破”おすすめ度五つ星のA定食(とりから2個&豚肉生姜焼き)。


190602 nogatasyokudo-18


もう1品はせっかくだから洋食方面。オリジナル特製みそが使われているというミートスパゲティー(みそ汁サービス)に。
ご飯大盛り無料とスパゲティ大盛り無料(レギュラー240g→大盛り460g)のサービスがあり、スパゲティのほうだけ大盛りにしてもらう。


190602 nogatasyokudo-20190602 nogatasyokudo-21


客入りはいいが回転も速く、家族連れや年配客など、地元では幅広い層の根強い支持を獲得している雰囲気が伝わってくる。
4人テーブル6卓、2人テーブル6卓の構成だが、2人客でもまず4人掛けから案内するといったサービス精神の徹底された接客がとても好ましく映る。


190602 nogatasyokudo-19


ミートソース(大盛り)は、まさに懐かしの昭和のミートソース。


190602 nogatasyokudo-24


「アルデンテなどという洒落た言葉はありません。それどころかスパゲティを20分も茹でる」(メニュー帳より)
僕らはそんなレシピのスパゲティを食べて育ったのだ。


190602 nogatasyokudo-25-2


A定食もボリューム満点。


190602 nogatasyokudo-22


からあげがデカい。生姜焼きも、肉ばっかり。
ご飯大盛りにしなくてよかった…(笑)。


190602 nogatasyokudo-23


3代目の先代・先々代へのリスペクトがひしひしと伝わってきて、それだけでもほっこりとさせられる街の食堂である。


190602 nogatasyokudo-12


[DATA]
野方食堂
東京都中野区野方5-30-1





[Today's recommendation]

wachat190602-3.jpg
◆ 猫写真はこちら その1 その2 その3





https://youtu.be/sjCw3-YTffo


41年目の年の瀬に… 【狩勝】

2018.12.06

 食べ歩きの愉しみの一つに新しい味(店)との出会いということが挙げられると思うが、新規開拓にかまけて行きつけの店から足が遠のいてしまいがちになる。
いかんいかん… と反省するのが12月。年末のあいさつ回りじゃないが、長く通っているお店には顔を出しておかないと。


181206 karikachi-11


久米川駅前のサッポロラーメン「狩勝」は7月以来。
前回、品書きから消えていた鳥の唐あげはやっぱり見当たらないので、やめちゃったかな? 少しずつメニューが減っていくなぁ…。
でも今日食べようと思っていた品はちゃんと壁の短冊にある。


181206 karikachi-12


「カツカレー」とお店のおかあさんに申告。
「カツカレーは、えーと、ちょっと待ってよ…」と厨房に引っ込み、冷蔵庫を開けて… 「あ、大丈夫。あるある」とおかあさん。「カツが心配だったのよねー(笑)」
ちょっと危なかったみたいだが、オーケーっすか? _( -"-)_ セ、セーフ…!
品数が減ってきているのは、中華鍋が振れないという体力面だけでなく、材料の仕入れ・在庫管理の問題もあるんだと思う。


181206 karikachi-15


品書きのカレーライスには“ビーフ”、カツカレーには“ヒレ肉使用”と書いてある。
カツカレーは正確にいうと“ヒレカツビーフカレー”ということになるのかな?


181206 karikachi-14


7分後にやって来た皿は、まさにヒレカツビーフカレー。昭和時代ならぜいたく品だ。
カレーには牛肉がけっこうたくさん入っている。ヒレカツもまあまあのサイズ。平成最後の年の瀬に食べても、昭和を知る人間にはぜいたくな味がする。


181206 karikachi-17


「お客さん、ときどきみえてるよね」と、おもむろにおかあさん。「うち、12月いっぱいでやめることにしたの」

手が止まり、言葉を失った。

いろいろ理由はあるようだ。
身体面できつくなったこと、すべての設備が老朽化したこと、近所にチェーン店が立て続けにできたこと、後継者がないこと…。
「お父さんがやりたいっていうからやってきたけど、もうかる商売じゃないのよ。個人店は本当に大変。もう限界(苦笑)」


181206 karikachi-18


今年の春先にもこういうのが続いたことがあったが、やはり“平成最後”というフレーズが及ぼす心理的な影響が大きいんじゃないだろうか。
昭和が遠くなったと思っていたら、平成も終わる。そろそろ潮時かな… と。

「もうこのへんで残るのは『しなの』さんだけになっちゃいますね…」と言うと、「あそこもやめるって言ってるわよ」と、それはそれで重大発言なんですけど…。


181206 karikachi-16
閉店を決めてもサービス品(黄色の付箋)を出し続ける姿勢には頭が下がる


うちでは子どもたちもこの店が好きだ。そのことを話すと、「一緒に来てもらわないとわかんないわね(笑)」と。
12月いっぱいといっても銀行が営業している28日までか、あるいはもっと早く閉めるかもしれないとのこと。
それまでに一度、家族みんなで来てみようと思う。

「おつかれさまでした」と店を出るのはつらいものである。


181206 karikachi-13


[DATA]
狩勝(かりかち)
東京都東村山市栄町2-7-1





[Today's recommendation]

wachat181206.jpg
◆ 猫写真はこちら その1 その2




https://www.youtube.com/watch?v=H2RQqDbPRgs


武蔵野のうどん屋という空間 【宅部うどん】

2017.09.23

 狭山公園でイベントが行われるというので様子を見に行くことになった。このところすっかり体がなまっているので、運動を兼ねて少し歩くことに。廻田図書館あたりから上って、丘を越えるルートを選ぶ。
このあたりの地形は基本的に斜面で、畑や雑木林、古い墓地を縫うように曲がりくねった細道、急坂が走る。途中、回田小学校のあたりはちょっとした街のように開け、周りの坂が結界をなすことによって閉じられた小宇宙の様相。飲食店がないのは寂しいが。


yakebeudon51.jpg


狭山公園に来るのは久しぶりで、ずいぶん様子が変わっている。薄暗い印象だったダムの下流部は樹木が剪定され、芝生を生かした明るく開けた雰囲気になった。
イベントはこのあたりで行われるらしいが、何の気配もない。朝まで雨が残ったから中止かな?

「え、夜じゃないの?」と妻。「野外で映画やるっていうんだから」
「あ、そういうことなの?」

イベントのタイトルは“里山シアター feat. ねぶくろシネマ”。映画関連用語が2つも入っているにもかかわらず、僕は“里山”までしか見ていなかったようだ。あと、イベント概要にある“飲食物(軽食)販売”の文字。だいたい祭りやイベントというと、どこの店がどんな食べ物を売るのか、ということにしか関心が向かない。食欲バカである。

ちなみに“ねぶくろシネマ”とは「河川敷の橋脚などに映画を映し、星空を見ながら映画・飲食とともにその雰囲気を楽しむ」という、映画のまち・調布で誕生したイベント。この夜は映画『ベイブ』の上映を無事終えたとのこと。


yakebeudon52.jpg

.
山越えルートを踏破し、なんとなく所期の目的も達成?し、時刻は12時28分。

腹が、減った…

そういえばすぐそこに有名なうどん屋がある。


yakebeudon53.jpg


「宅部うどん」は、民家の庭先の掘っ立て小屋という武蔵野うどんの典型スタイル。
店先に丸型ポストが2つ。よく見ると庭木の向こうにもう2つ。“東京の田舎”小平・東村山地域の田舎ぶりを象徴する丸型ポストと代表食品・武蔵野うどんを有機的に結び付けるイメージ戦略だが、店内にはたばこや切手の看板が飾ってあるので、もともと専売品を扱うお店で、ポストも置いていたという流れかもしれない。


yakebeudon54.jpg


口コミの多い有名店で公園も近いだけに、ウォーキングやサイクリングがてら立ち寄る通っぽいおやじ客が多そうと想像していたが、全然違っていた。


yakebeudon55.jpg


入り口の引き戸を開けると、お客さんが2人、何というか、昭和一桁であった。つまり近所のおじいさん。
ポストには若干つくり込みのニュアンスを感じなくもないが、これは本物(笑)。舞台セット扱いのようで申し訳ないが、古びた店のたたずまいに完全に溶け込んでいる。


yakebeudon20.jpgyakebeudon31.jpg


そうなると、もう目に入るものすべてが“本物”に映る。前述のホーロー看板、柱時計、古い桐のたんす・戸棚、なぜか張ってある西武線の路線図…。この空間そのものが、一つの秩序ある調和のとれたシステム(cosmos)なのであった。


yakebeudon25.jpg


注文は、かけうどん3玉510円(僕)、肉汁うどん2玉530円(妻)。
お店を切り盛りするのはおばちゃん2人。これも武蔵野うどんの典型的な業態。途中、男子中学生が「鍵、開いてないよ」とか言いながら入ってくる。どっちかのおばちゃんのお子さんだろうか。裏に自宅があるとかで。土曜の昼に中学生が下校する光景というのも、なんか昭和的。


yakebeudon56.jpg


どちらも天ぷら3種(カボチャ、ニンジン、春菊・ニンジン・タマネギのかき揚げ)付き。糧・薬味はダイコン、ホウレンソウ、ネギ、ショウガ。
うどんはいわゆるゆで置きだが、店先に掛かっている製粉工場のカレンダーに“国産小麦100%”とあるように、地粉を使った素朴で味わい深いもの。太麺で、かむほどに甘味と香りが広がる。


yakebeudon57.jpg


こういう店で特に今日のような設定では、ゆで上げでコシが強い完成度の高いうどんよりこういうモソモソ系が出てくるほうが、はるかに調和がとれて感じられるところが興味深い。武蔵野うどんをかけで食べたのは初めてで、つけうどんよりもっとモソモソとなるが、これはこれでおいしいと、僕は思う。
うどんと天ぷらのボリューム感に糧・薬味もたっぷりで、2人合わせて1040円と、どこまでも調和を乱す要素が入ってこないのである。


yakebeudon59.jpg


おじいさんたちは帰路、支え合うようにゆっくり坂道を上っていく。
その後ろ姿を見送りながら、もしかしたらこの人たちは70年来(あるいはそれ以上)の付き合いなんじゃないだろうかと思った。


yakebeudon58.jpg


[DATA]
宅部うどん(やけべうどん)
東京都東村山市多摩湖町3-3-20





[Today's recommendation]


https://www.youtube.com/watch?v=ccJTFXvkXkA



chat170923.jpg


Latest Articles
狭山茶の茶園カフェにお立ち寄り 【和田園製茶所】 Jul 06, 2020
弁当といったら、ここ! 【じゃがいも】 Jul 04, 2020
給食メニューで#エール飯! 【東村山給食センター】 Jul 01, 2020
テイクアウトは計画的に! 【きくや】 Jun 30, 2020
所沢周辺ユルポタシリーズ ―その2 Jun 28, 2020
最近のインスタ投稿、まとめてみた Jun 26, 2020
魚屋さんの極上ワンコインちらし 【佐藤水産】 Jun 23, 2020
武蔵野の原風景をめぐるユルポタコース Jun 22, 2020
定番ハンバーグもお持ち帰り♡ 【グルマンやま】 Jun 17, 2020
サイドメニューも👍 な武蔵野うどんの名店 【こせがわ】 Jun 15, 2020
本格炭火焼きをテイクアウト 【ごちそうや ぽっ蔵】 Jun 13, 2020
ウワサの“具なし?”五目焼きそばをテイクアウト! 【笑顔(にこ)】 Jun 12, 2020
Category
Ranking
          
          
Category-2