愛は惜しみなく 【忠豊】
2022.01.16
猫の消耗品を買いに「ジョイフル本田 瑞穂店」へ行き、周辺で昼ごはんのお店を探したが、いまひとつしっくりくるところがなく、村山団地西通りの商店街まで戻って探すことにした。
商店街なら食べるところの5~6軒はすぐ見つかるだろうという安直な読みは見事に外れ、開いているのはラーメン屋さん2店と中華屋さん1店のみ。
相方はラーメン店にあまり入りたがらないので、簡単に中華店に決まりそうなものだが、これがそう簡単な話ではない。

アーチ2つが出入り口になっているコの字形路地「すずらん通り」の奥、黄色い看板が「忠豊」
中華店というのは「忠豊」。
名にし負うドカ盛り店である。

たとえば一般的な量を1として「忠豊」の盛りがどの料理も2だとすると、僕1人で入った場合、2(1品)頼んで2食べればいい。しかし相方と入ると最低4(2品)頼まなければならず、相方は1以上は食べられないので、僕の食べる量が3に増えるという計算になる。
3人前はちょっと…。
でも楽天家なワタクシ。
まあ、それくらいなんとかなるか… と入店。

意外なことに、1時前で先客1人とすいている。
あとで聞いた話では、やっとお客さんが戻ってきたと思った矢先の第6波で、年明けでパタッと客足が落ちたと。うーむ…。
量、多いからなぁ… と、入る前にさんざん脅かしたので、「いちばん軽そうな中華そば」と相方。
もう1品は焼きそばに。
まず中華そば。
器もそんな大きくなく、パッと見、普通のラーメン。
杞憂だったかな、と安堵した次の瞬間…
配膳台のほうから「おっと、ずいぶん多くなっちゃったね」というおかあさんの声が…
「はい、大盛りサービス!」と、焼きそば来る。
えー!? ∑( ̄[] ̄;)!
えーと、上記数値でいうと、これ一皿で4か5はある。
一瞬にして計算が破綻した。
「どうしてこうなっちゃったんです?」
「つかみ加減でねー(笑)」とおかあさん。
加減って、麺の玉単位のカゲンでもしてるんですかぁー!! ヾ(・ε・。)
中華そばも箸を入れてみるとすごい麺量なのである。
ここからは、ひたすら食べる。

僕がまず中華そばで、7割がた食べたところでチェンジ。
焼きそばぜんぜん減ってないし ( ̄- ̄;)
焼きそばひと口食べて、無理… と思いました。
中華そばは懐かしくもおいしい昔ながらのラーメンで、食欲を刺激されいくらでも食べられそうな気がした。
そのあっさりさっぱりした味と違って、焼きそばはソース味。
これもナツカシおいしいが、ひと口目の甘さが満腹中枢を直撃。
でも焼きそばが来たとき、「食べきれなかったら持ち帰っていい?」と相方が聞いているので、ある程度気は楽なのであった。
ただ、持ち帰るにしても皿の半分も食べなかったら失礼にあたると思うので頑張って食べているわけだが、この半分が遠い(笑)。
結局、パックをもらって詰めたんだが、大きめのパックがいっぱいになった。
頑張って食べなかったら1パックに入り切らなかったという、なんと恐ろしい盛り。
「チャーシューがすごくおいしかった」と相方。
「生のお肉使ってるからね」とおかあさん。「値段は冷凍の3倍はするけど、味がぜんぜん違う。いまさら変えられないです。お客さんにはすぐわかっちゃう」
というように、量のことが取り上げられることが多いが、実はすごくおいしいお店なのである。

昭和45(1970)年からこの地で続けているそうだ。
昔は賑やかで、この奥まった場所にも人がたくさん出入りしていたと。
出前も多く、エレベーターのない団地の3階4階にもおとうさんは届けていたと。
「あれでもけっこう年なんですよ」とおかあさん。「89歳」
えー!? ∑( ̄[] ̄;)!
「あ… 79か」
ズルッ (ノ_ _)ノ

焼きそばをパック詰めしてもらうのは申し訳ないので、途中で持ち帰りの焼き餃子を頼んでいたが、その注文が通っていなかったので生餃子にしてもらった。
「焼いてないから、量でサービスしておきました」
「えー!?」
餃子は15個。こちらの餃子1人前は10個のようなので、5割増し。
自家製ラー油までいただいた。なんと、ワンカップサイズでひと瓶も。

持ち帰った焼きそばと餃子のみで、大満足の晩ごはんになった。
絶品激辛ラー油で冷やっこも食べてみた。

ほぼいちげんさんなのに、こんなによくしてもらって、これを書きながらも涙が出るほどうれしい。

「まだまだ続けますから、ぜひまた来てください!」
頑張ってください。ぜひまた伺います!
[DATA]
忠豊(ちゅうほう)
東京都武蔵村山市学園3-62-4
[Today's recommendation]



https://youtu.be/-nmPdUiT5ks


猫の消耗品を買いに「ジョイフル本田 瑞穂店」へ行き、周辺で昼ごはんのお店を探したが、いまひとつしっくりくるところがなく、村山団地西通りの商店街まで戻って探すことにした。
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商店街なら食べるところの5~6軒はすぐ見つかるだろうという安直な読みは見事に外れ、開いているのはラーメン屋さん2店と中華屋さん1店のみ。
相方はラーメン店にあまり入りたがらないので、簡単に中華店に決まりそうなものだが、これがそう簡単な話ではない。

アーチ2つが出入り口になっているコの字形路地「すずらん通り」の奥、黄色い看板が「忠豊」
中華店というのは「忠豊」。
名にし負うドカ盛り店である。

たとえば一般的な量を1として「忠豊」の盛りがどの料理も2だとすると、僕1人で入った場合、2(1品)頼んで2食べればいい。しかし相方と入ると最低4(2品)頼まなければならず、相方は1以上は食べられないので、僕の食べる量が3に増えるという計算になる。
3人前はちょっと…。
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でも楽天家なワタクシ。
まあ、それくらいなんとかなるか… と入店。

意外なことに、1時前で先客1人とすいている。
あとで聞いた話では、やっとお客さんが戻ってきたと思った矢先の第6波で、年明けでパタッと客足が落ちたと。うーむ…。
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量、多いからなぁ… と、入る前にさんざん脅かしたので、「いちばん軽そうな中華そば」と相方。
もう1品は焼きそばに。
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まず中華そば。
器もそんな大きくなく、パッと見、普通のラーメン。
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杞憂だったかな、と安堵した次の瞬間…
配膳台のほうから「おっと、ずいぶん多くなっちゃったね」というおかあさんの声が…
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「はい、大盛りサービス!」と、焼きそば来る。
えー!? ∑( ̄[] ̄;)!
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えーと、上記数値でいうと、これ一皿で4か5はある。
一瞬にして計算が破綻した。
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「どうしてこうなっちゃったんです?」
「つかみ加減でねー(笑)」とおかあさん。
加減って、麺の玉単位のカゲンでもしてるんですかぁー!! ヾ(・ε・。)
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中華そばも箸を入れてみるとすごい麺量なのである。
ここからは、ひたすら食べる。

僕がまず中華そばで、7割がた食べたところでチェンジ。
焼きそばぜんぜん減ってないし ( ̄- ̄;)
焼きそばひと口食べて、無理… と思いました。
中華そばは懐かしくもおいしい昔ながらのラーメンで、食欲を刺激されいくらでも食べられそうな気がした。
そのあっさりさっぱりした味と違って、焼きそばはソース味。
これもナツカシおいしいが、ひと口目の甘さが満腹中枢を直撃。
![]() | ![]() |
でも焼きそばが来たとき、「食べきれなかったら持ち帰っていい?」と相方が聞いているので、ある程度気は楽なのであった。
ただ、持ち帰るにしても皿の半分も食べなかったら失礼にあたると思うので頑張って食べているわけだが、この半分が遠い(笑)。
結局、パックをもらって詰めたんだが、大きめのパックがいっぱいになった。
頑張って食べなかったら1パックに入り切らなかったという、なんと恐ろしい盛り。
![]() | ![]() |
「チャーシューがすごくおいしかった」と相方。
「生のお肉使ってるからね」とおかあさん。「値段は冷凍の3倍はするけど、味がぜんぜん違う。いまさら変えられないです。お客さんにはすぐわかっちゃう」
というように、量のことが取り上げられることが多いが、実はすごくおいしいお店なのである。

昭和45(1970)年からこの地で続けているそうだ。
昔は賑やかで、この奥まった場所にも人がたくさん出入りしていたと。
出前も多く、エレベーターのない団地の3階4階にもおとうさんは届けていたと。
「あれでもけっこう年なんですよ」とおかあさん。「89歳」
えー!? ∑( ̄[] ̄;)!
「あ… 79か」
ズルッ (ノ_ _)ノ

焼きそばをパック詰めしてもらうのは申し訳ないので、途中で持ち帰りの焼き餃子を頼んでいたが、その注文が通っていなかったので生餃子にしてもらった。
「焼いてないから、量でサービスしておきました」
「えー!?」
餃子は15個。こちらの餃子1人前は10個のようなので、5割増し。
自家製ラー油までいただいた。なんと、ワンカップサイズでひと瓶も。

持ち帰った焼きそばと餃子のみで、大満足の晩ごはんになった。
絶品激辛ラー油で冷やっこも食べてみた。

ほぼいちげんさんなのに、こんなによくしてもらって、これを書きながらも涙が出るほどうれしい。

「まだまだ続けますから、ぜひまた来てください!」
頑張ってください。ぜひまた伺います!
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[DATA]
忠豊(ちゅうほう)
東京都武蔵村山市学園3-62-4
[Today's recommendation]



https://youtu.be/-nmPdUiT5ks


冷やし中華、いっぱつめ 【九州ラーメン いし】
2019.06.26
今年まだ冷やし中華を食べていないが、なかなかそういう気にならないのは、冷やし中華というたべものを考えた場合、いまだに抵抗感が勝る。
漠然とB級とくくればイメージは膨らむけれども…。
ナポリタンもそうだが、主食系で甘いというのがちょっと…。

しかし冷やし中華に関しては、この2~3年でおもしろさがわかってきたように感じている。
昨日、いったん冷やし中華を食べる気になっているので、気持ち面はスタンバイOK… というか、むしろ食べたい。

一発目は、やっぱここかなぁ…
と、「九州ラーメン いし」へ。

僕のいちばん好きなラーメンで、入店すれば匂いだけでもう食べずにはいられなくなるが、夏場の猛暑下にラーメン食べて大汗流してると、「あー… だから冷やしにすりゃよかったろうに」と、大将に憎まれ口をたたかれるのが悔しい。

「冷やし中華!」
と、毅然たる態度で申告。

でも、この野菜潤沢感はいいと思う。
ハムじゃなく自家製チャーシューがたっぷり。
タレにはニンニクかタマネギ系のフレーバーがあって、ただ甘いだけじゃないんだな。
だからこれはこれでいいんだが…

「どうだい、ちょっと涼しくなったかい」と大将。
「んー…。だけど、やっぱラーメン食べたくなっちゃって…(笑)」
「おぉ! 食べなさーい(笑)」

[DATA]
九州ラーメン いし
東京都小平市小川西町3-18-10
[Today's recommendation]


◆ 猫写真はこちら その1 その2 その3 ◆

https://youtu.be/EkaKwXddT_I
今年まだ冷やし中華を食べていないが、なかなかそういう気にならないのは、冷やし中華というたべものを考えた場合、いまだに抵抗感が勝る。
漠然とB級とくくればイメージは膨らむけれども…。
ナポリタンもそうだが、主食系で甘いというのがちょっと…。

しかし冷やし中華に関しては、この2~3年でおもしろさがわかってきたように感じている。
昨日、いったん冷やし中華を食べる気になっているので、気持ち面はスタンバイOK… というか、むしろ食べたい。

一発目は、やっぱここかなぁ…
と、「九州ラーメン いし」へ。

僕のいちばん好きなラーメンで、入店すれば匂いだけでもう食べずにはいられなくなるが、夏場の猛暑下にラーメン食べて大汗流してると、「あー… だから冷やしにすりゃよかったろうに」と、大将に憎まれ口をたたかれるのが悔しい。

「冷やし中華!」
と、毅然たる態度で申告。

でも、この野菜潤沢感はいいと思う。
ハムじゃなく自家製チャーシューがたっぷり。
タレにはニンニクかタマネギ系のフレーバーがあって、ただ甘いだけじゃないんだな。
だからこれはこれでいいんだが…

「どうだい、ちょっと涼しくなったかい」と大将。
「んー…。だけど、やっぱラーメン食べたくなっちゃって…(笑)」
「おぉ! 食べなさーい(笑)」

[DATA]
九州ラーメン いし
東京都小平市小川西町3-18-10
[Today's recommendation]


◆ 猫写真はこちら その1 その2 その3 ◆

https://youtu.be/EkaKwXddT_I
こだわり食材の絶品炭火焼き 【西のやかた】
2017.08.12
西武池袋線秋津駅北口は、JRとの乗り換えで混雑する南口とは一変、閑散とした街である。スーパー「いなげや」があるくらいで商店も少なく、用事のある人以外は行くこともない。しいて挙げればこの先に明治薬科大学があるので、学生はちらほら見かける。
僕は特に用事がある人でもないんだが、明治薬科大のもっと先の中里緑地や柳瀬川回廊に植物などを見に行くことがあるので、ときどきこのあたりを通る。
あと、坂の下の団地の中を流すことも。あのすし屋はまだやってるのかな… という感じで。

そんなときに見かけて気になっていたのが鶏料理・串焼きの「西のやかた」。
備長炭使用店にしてお手ごろ価格のランチを提供するという。

本日、昼すぎに武蔵野線を使うという妻に、昼ごはんは秋津近辺でどうか、と打診され、それならばと真っ先に思い浮かんだのがここ。
情報の少ない店だしお盆休みも懸念されたが、とりあえず行ってみて暖簾が掛かっていてひと安心。

店先のランチメニューを検討していると、「ここ、生活クラブなんだ」と妻。“こだわり食材”のポスターが張ってある。
真っ先にそれに気づいたのは、妻自身が組合員だから。
一気に親近感と期待感が高まる。

店内は思ったほど広くない。外からは隣のテナントと一体化して見えていたのだ。でも狭いわけでもなく、左手の上がりにはゆったり3卓配置されている。右がカウンターで、席の上をぐるりと瓦付きの庇を巡らしてある。
優しそうなおとうさんとしっかりしてそうなおかあさんという、イメージ的に最も安定感のあるコンビネーション。
今年で開店13年という。

奥の席に上がる。注文を決めかねていると、おかあさんが「やきとりと干物は炭火で焼きます」と言うので、迷わずその2品に。
「干物はアジかサバになります」
「じゃあサバで」
「やきとりのご希望は? おまかせでいいですか?」
「はい。おまかせで」

おとうさんはリチャード・ギアと二瓶正也を足して2で割ったような容貌で(ちょっと違うか…)、辛子色の半纏の前をはだけて着こなす粋な料理人だ。
あとで生活クラブのホームページ(おかあさんが教えてくれた。「お父さんの顔写真も出てるの」と)で確認したところ、“神田の名店で30年以上、技を磨きつづけた”とのこと。“その熟練の技で備長炭で焼き上げた国産鶏のやき鳥は絶品です”とある。

やきとり定食と干物定食は、ともに副菜にポテトサラダ、人参と小松菜のごまあえ、大根おろし、お新香(大根、きゅうりのぬか漬け)、みそ汁(油揚げ、水菜)。いずれも食材・調味料の素性の正しさが伝わる手づくりの味わい。
それに、いま備長炭で焼き上げた主菜。どちらも870円とは思えない充実の内容だ。

サバはよく脂がのり、炭火で香ばしく焼き上げられている。下ごしらえも実に丁寧。
やきとりは、やきとり(ねぎま)、つくね、すなぎも、ぼんちりの4串。生活クラブのすなぎもはよく食べるので覚えのある味だが、ほかもすごい。特に、よく脂がのっていながら軽く上品なぼんちりは、まさに絶品。

「ここのレバーを食べたらほかではちょっと、と言われますよ」とご主人。
そうだろうな、と納得しつつ夜に来られたらいいだろうな… と考えていると、同じことを思ったのか「夜は何時までなんですか?」と妻。9時半とのことで、けっこう早いが、やっぱりうちからはちょっと遠いかな…。

「個別配送ですか?」と聞かれ、「それと、あとうちは『デポー』が近いから」と妻。
「それはうらやましい」とおかあさん。
「昨日も行ってきたところですよ」とおとうさん。
ついさっき会ったばかりなんだから知るよしもないが、実のところご近所さんのような近しい関係であったという、とても不思議な感覚。

こちらのご主人はひたすら空堀川沿いを自転車で東村山のデポーまで買い物に行くという。
ならば僕らは同じルートを逆向きにここまで飲みに来てもいいのではないか?
ただし、飲んだら帰りは自転車を押して帰ることになるんだが。

[DATA]
西のやかた
東京都清瀬市野塩1-171-13
[Today's recommendation]

https://youtu.be/2vnYKRacKQc


西武池袋線秋津駅北口は、JRとの乗り換えで混雑する南口とは一変、閑散とした街である。スーパー「いなげや」があるくらいで商店も少なく、用事のある人以外は行くこともない。しいて挙げればこの先に明治薬科大学があるので、学生はちらほら見かける。
僕は特に用事がある人でもないんだが、明治薬科大のもっと先の中里緑地や柳瀬川回廊に植物などを見に行くことがあるので、ときどきこのあたりを通る。
あと、坂の下の団地の中を流すことも。あのすし屋はまだやってるのかな… という感じで。

そんなときに見かけて気になっていたのが鶏料理・串焼きの「西のやかた」。
備長炭使用店にしてお手ごろ価格のランチを提供するという。

本日、昼すぎに武蔵野線を使うという妻に、昼ごはんは秋津近辺でどうか、と打診され、それならばと真っ先に思い浮かんだのがここ。
情報の少ない店だしお盆休みも懸念されたが、とりあえず行ってみて暖簾が掛かっていてひと安心。

店先のランチメニューを検討していると、「ここ、生活クラブなんだ」と妻。“こだわり食材”のポスターが張ってある。
真っ先にそれに気づいたのは、妻自身が組合員だから。
一気に親近感と期待感が高まる。

店内は思ったほど広くない。外からは隣のテナントと一体化して見えていたのだ。でも狭いわけでもなく、左手の上がりにはゆったり3卓配置されている。右がカウンターで、席の上をぐるりと瓦付きの庇を巡らしてある。
優しそうなおとうさんとしっかりしてそうなおかあさんという、イメージ的に最も安定感のあるコンビネーション。
今年で開店13年という。

奥の席に上がる。注文を決めかねていると、おかあさんが「やきとりと干物は炭火で焼きます」と言うので、迷わずその2品に。
「干物はアジかサバになります」
「じゃあサバで」
「やきとりのご希望は? おまかせでいいですか?」
「はい。おまかせで」

おとうさんはリチャード・ギアと二瓶正也を足して2で割ったような容貌で(ちょっと違うか…)、辛子色の半纏の前をはだけて着こなす粋な料理人だ。
あとで生活クラブのホームページ(おかあさんが教えてくれた。「お父さんの顔写真も出てるの」と)で確認したところ、“神田の名店で30年以上、技を磨きつづけた”とのこと。“その熟練の技で備長炭で焼き上げた国産鶏のやき鳥は絶品です”とある。

やきとり定食と干物定食は、ともに副菜にポテトサラダ、人参と小松菜のごまあえ、大根おろし、お新香(大根、きゅうりのぬか漬け)、みそ汁(油揚げ、水菜)。いずれも食材・調味料の素性の正しさが伝わる手づくりの味わい。
それに、いま備長炭で焼き上げた主菜。どちらも870円とは思えない充実の内容だ。

サバはよく脂がのり、炭火で香ばしく焼き上げられている。下ごしらえも実に丁寧。
やきとりは、やきとり(ねぎま)、つくね、すなぎも、ぼんちりの4串。生活クラブのすなぎもはよく食べるので覚えのある味だが、ほかもすごい。特に、よく脂がのっていながら軽く上品なぼんちりは、まさに絶品。

「ここのレバーを食べたらほかではちょっと、と言われますよ」とご主人。
そうだろうな、と納得しつつ夜に来られたらいいだろうな… と考えていると、同じことを思ったのか「夜は何時までなんですか?」と妻。9時半とのことで、けっこう早いが、やっぱりうちからはちょっと遠いかな…。

「個別配送ですか?」と聞かれ、「それと、あとうちは『デポー』が近いから」と妻。
「それはうらやましい」とおかあさん。
「昨日も行ってきたところですよ」とおとうさん。
ついさっき会ったばかりなんだから知るよしもないが、実のところご近所さんのような近しい関係であったという、とても不思議な感覚。

こちらのご主人はひたすら空堀川沿いを自転車で東村山のデポーまで買い物に行くという。
ならば僕らは同じルートを逆向きにここまで飲みに来てもいいのではないか?
ただし、飲んだら帰りは自転車を押して帰ることになるんだが。

[DATA]
西のやかた
東京都清瀬市野塩1-171-13
[Today's recommendation]

https://youtu.be/2vnYKRacKQc

