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伝説の峠の茶屋 【平九郎茶屋】

2023.11.03

 前記事の続きで、大平山から奥武蔵グリーンラインへ抜け、車道を下って顔振峠へ。

――顔振峠(かあぶりとうげ)は、奥武蔵の東部、埼玉県飯能市と越生町にある峠である。標高500m。峠には三軒の茶屋があり、奥武蔵グリーンラインや関東ふれあいの道の休憩場所として賑わう。峠から東に徒歩10分ほどのところに展望台があり、晴れた日にはさいたま副都心の高層ビルなどが見渡せる。「顔振峠」Wikipediaより、最終更新 2023年5月14日23:55)


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関東ふれあいの道では埼玉県コース11「義経伝説と滝のあるみち」に当たる。
義経伝説とはこの顔振峠にまつわるもので、京落ちで奥州へ逃れる途次にあった義経・弁慶の主従が、あまりの絶景に何度も振り返ったというもの。


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たしかに、顔振峠その地点でなくとも、暗い杉林を上ってきて劇的に展望が開ける感じがする。
義経の奥州行とは逆向きの行程で、振り返るのではなく、目の前に広がる。


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ところで、時刻は11時30分。
昼メシの問題。

顔振峠周辺にはいくつか茶屋があるというのでそれをアテにしていたが、最初に目に入ったお店は閉まっており、過去の経験から暗雲立ち込める。
いちおうカップ麺は持ってきたが、往来の多い車道まで来てしまっては道端でカップ麺というのも間抜けな感じだし。


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前方にもう一軒茶屋。
“心を込めて営業中”の幟。
ありがとうございます🐱


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壁には「平九郎茶屋」の文字。
ちょうどこのあたりが顔振峠に当たり、顔振峠といえば平九郎茶屋という感じで、僕でも聞いたことがあるくらい名の通ったお店だ。


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平九郎とは渋沢栄一の養子・渋沢平九郎で、明治維新の際、振武軍の参謀として飯能の戦に敗れ、当地で自決した。「渋沢平九郎自決の地」は黒山バス停近くにある。
平九郎が単身落ち延びる際に草履をもとめその代価として刀を預けたという逸話が残る峠の茶屋が、こちら。


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ざるそば2つと旬野菜天ぷらを注文。


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ややあって戻ってきたおかみさん。
「今日は天ぷらやらないって。なにしろ91だから…」

91というのは、名物的な大女将? のことのようで、それは致し方ない。
代わりにみそおでんを頼む。


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みそおでんはゆずみそで、疲れた体に優しい甘みが染み渡る。


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おそばは失礼ながら想像していたせいぜい3割… とはまるで違って、きれいな星の入った本格手打ち風。


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切りの太い素朴な田舎風。
峠の茶屋で秩父多摩の山並みを眺めながら、こんなおそばをすする幸せ。

(つづく)


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[DATA]
平九郎茶屋
埼玉県飯能市長沢1562





[Today's recommendation]


https://youtu.be/UL1p65oSKS0?si=Kqk1zx1Ph7hdjM9L



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次号予告

絶品! しお味らーめん 【ラーメン 中本】

2017.05.19

 昭和の時代、「ラーメン×中本」といえば、蒙古ではなく有楽町だった。
有楽町ビルヂングの地下、昭和27年創業の老舗ラーメン店。極太麺と牛骨ベースのスープが異彩を放っていた。2013年に惜しまれつつ閉店している。
その暖簾分け的な存在が多摩地区にある。東大和市駅近く、青梅街道沿いのラーメン店「中本」だ。


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だいぶ昔のことだから記憶が定かでないが、この地域に移り住んで間もないころ、たしか古いラーメンガイド本だと思うがその中本暖簾分けの店が載っていた。こんな田舎にそんなものがあるのか、と興味を引かれ行ってみた。
たぶんしょう油ラーメンを食べ、ほとんど覚えていないが、野菜のうま味の強いスープというイメージが残っている。


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去年、実に久しぶり行ってしょう油ラーメンを食べ、同じような感想、というか十数年前のイメージの裏づけをとった程度で、たしかにノスタルジック鶏ガラ中華そば系とだいぶ違うとは思ったが、特に強いインパクトは受けなかった。一緒に食べた半高菜チャーハンはかなり好みの味だったが。


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本日、約半年ぶりの来店。
古いけれどもきれいにしている店は少なくないが、この店ほど徹底しているのも珍しい。テーブル・カウンターの天板、厨房のステンレス製品群までピカピカだ。


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塩ラーメンがおいしいとの情報があり、なるほど牛骨スープは塩味が正しそうなので「しお味らーめん」と、前回と同じ「半高菜ちゃーはん」の組み合わせの「ラーメン半チャーハン」850円に。
この店のラーメン半チャーハンは組み合わせ自由で、ラーメンはしょう油味、みそ味、しお味から、チャーハンはノーマル、高菜、キムチから選べる。


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牛骨のだしは鶏ガラ、豚骨の動物系・肉っぽい雑味やにおいが少ない分、うま味も細ると思うのだが、そこを野菜や牛肉も加えて補うのがプロの仕事、と勝手に解釈している。


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で、このしお味らーめんは非常においしい。例えはよくないが、牛タン屋のテールスープをふくよかにして油っこくした感じ。油っこいからスープが麺によく絡む。
そのもちもち中太麺がもろに自分好み。やわらかチャーシュー、トッピングに水菜というのもこのスープに合わせた感じ。


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そして、やはりおいしかった高菜ちゃーはん。その組み合わせは一発で定番登録となった。
ちなみにチャーハンはお母さん担当。音を聞いていると、ずいぶんしっかり炒められている。


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去年久しぶりに入ったときに味以外に思い出したことが2つある。
一つはお父さんの容貌。“東池袋の神様”によく似てる。
あと、ほぼ初めてでも「まいど」と言われること。この近くの「ひさご」のお母さんもそうだが、こういうお店でそう言ってもらえるのは客としては案外うれしい。
今日も帰るとき「まいど」コール。

それにしても、これで3連続のわし(ら)以外に客なしの昼食。
孤独のグルメ週間なのであった。


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[DATA]
ラーメン 中本
東京都小平市小川町1-363-9





[Today's recommendation]


https://youtu.be/6Qe9-z24LMc



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札幌、じゃなくサッポロ 【えぞふじ】

2017.03.24

 旭川ラーメンブームの走りのころ、旭川出身の知人が札幌ラーメンをボロクソにけなして旭川最強説を唱えていた。「なんでラーメンにコーン入れるの。合わないじゃない」というのが札幌ボロクソの重要な論拠だった。
そして、当時恵比寿だか並木橋だかにしかなかった「山頭火」を強く推すのであった。

しかし地元の人やラーメンに詳しい人は「本物の札幌ラーメンにはデフォルトでコーンが入っていることはない」と証言する。「そんなの札幌じゃない」
確かに昔、札幌出身の会社の先輩に連れていってもらった六本木の「天鳳」ではコーンはのっていなかったと記憶している。

とすると、その旭川の人は“本物でない”札幌ラーメンをおとしめることで自らの優位性を主張していたことになる。ちょっとヒキョウではないか。


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ときに、その本物でない札幌ラーメンとは何か。そう、1970年代にはやった札幌と称するチェーン系ラーメン店のことだ(蝦夷ピリカ 参照)。
僕はこういうタイプが好きなのだが、このようにこのテは旭川にけなされ、札幌には他人呼ばわりされて、立つ瀬がない。それではあまりにかわいそうだから、この鬼っ子を本場と区別するため「サッポロラーメン」と表記してその身分を保証したい。


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この「えぞふじ」もサッポロラーメンの一員だ。わしらの年代のおっさんはこういう外観を見ただけで懐かしさがこみ上げてくる。
サッポロ系は味噌ラーメンが基本だから、僕はこのテでは味噌ラーメンしか食べない。この店の工程は、まず熱した中華鍋にモヤシを投入後ただちにスープを入れひき肉を加えてグツグツ煮る。煮えたらみそとネギの入ったどんぶりにスープだけ注ぎ混ぜ合わせる。そこにゆだった麺、先ほどのモヤシとひき肉、そしてチャーシュー、メンマ、ナルト、コーン、海苔をのせて完成。

具材は全部で8種類。それで550円は驚きだ。しかもモヤシもコーンもかなり多い。ナルトなんか2枚ものってる(笑)。


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味噌スープはけっこうニンニクが効いていて昔懐かしい味わいだ。厚めのチャーシューも懐かし系の風味。
こういうラーメンについて、味が薄いという書き込みをよく見かける。しかしこれくらいの加減のほうが、だしやみそ、ニンニク、野菜エキスといった構成要素を判別できて安心感がある。いまどきのラーメンは濃すぎてむしろ偏平に感じられたりもする。


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この店では厨房にスイートコーンの缶詰が山と積まれている。
これだけあっけらかんとやられたら、旭川も戦意喪失するんじゃないだろうか。


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[DATA]
えぞふじ
東京都小平市花小金井5-51-1





[Today's recommendation]


https://youtu.be/souxkKCDh94


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